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2020年5月 6日 (水)

新型コロナウィルスに対する劇団四季社長の残念なインタビュー

ところで、ここから先の長文を読む前に質問です。あなたはこの新型コロナウィルス騒動がどのように終わると考えていますか。

緊急事態宣言の効果で一度感染が収まったら、もう二度と広まらないでしょうか。そんなことにはならないと思います。すでに感染している人からまた広がります。少なくとも次の冬には再流行すると私は考えます。

本当に解決となるためには、ワクチンが開発されて、全員が接種できること。あるいは、飲んでも副作用がないけど新型コロナウィルスには効果がある薬が開発されること。でもこれは1年どころではありません。仮に効果のありそうなワクチンが見つかったとして、書類審査は特急で流すとしても、人間に投与して効果があること、少なくとも致命的な害がないことを確認する時間は短縮に限界があります。そして1億人を超える人にワクチンの接種が行きわたるのも年単位の時間がかかります。アビガンの名前を見かけますけど、いろいろ読んだ限りでは劇薬に類するもので、気軽に飲める薬ではありません。

次善の解決として、新型コロナウィルスに感染するパターンがわかって、社会全体でそれを避けるようになること。これはワクチン開発よりももっと望み薄です。緊急事態宣言が出ても「自粛」できない人が一定数いることがわかったのは今回の「成果」のひとつです。パターンがわかったとして、そのパターンが避けられない商売や環境が絶対あるはずで、そういうところに出かける人がいて、第3波、第4波ができるはずです。

でも緊急事態宣言を際限なく続けると国として無視できないくらい経済に影響が出ます。それでどうなるか。おそらく、解除の指標を設けて、地域と業種を限って部分的に解除を広げていくことになると思います。解除の指標は、感染者数とか、感染者増加率とか、なにかそういうものですね。たとえば指標が上がったら、その地域なり業種なりは指標が下がるまで、だいたい14日間くらい「自粛」してもらって、改善したら解除する。その繰返しが1年以上続くうちに、ワクチンなり薬なりの開発が追いつくのが、私の新型コロナウィルス騒動終息イメージです。トータルだと3年くらいかかるかもしれません。ちなみに大阪府では5月5日時点で独自の解除基準案として「陽性率が7%未満」「感染経路のわからない人の数が1日の新規陽性者のうち、10人未満」「重症者向けの病床の使用率が60%未満」「前の週と比べ感染経路不明の人の数が増えていないこと」「これらの基準を7日間連続で満たしていること」という条件を検討しているそうです。

では劇場も最初から解除対象に入るか。私は悲観的に考えています。「2020年3月、劇場からコロナウィルス集団感染は出ませんでした」という、私以上に物好きなどなたかがまとめてくれたものがありました。たしかにクラスター感染は出ませんでした。そこまでならよいのですが、上演側の宮藤官九郎が初日直前に感染発覚したという実績無症状の時期のほうが発症後より感染力が強いという報告、そして一般的な業種より携わる人数も経済的規模も少ないことから、解除の中でも一番後回しになると思います。

この状況でどうすべきか。劇団四季の社長のインタビューが載っていました。理念、苦境、海外の事例などと続いて、お願いが挙げられています。

 今回の問題では、劇場芸術だけでなく、観光や飲食業など様々な業界が試練に直面している。何をどのように救済するのかを決めるのは難しいに違いない。国や自治体が、劇場芸術を直接支援するためには、恐らく様々な道程を歩まねばならないだろうことも想像は出来る。その上でも、敢えてお願いしたい点が三つある。

 一つ目は、中止した公演への金銭的支援。実害の5割でも構わない。これが示されれば、無理に興行を行う団体は少なくなるはずだ。結果として感染の収束を早めることにも繋がる。二つ目は、公演実施可能な条件を「ガイドライン」で示してほしいということ。現下の状況では自粛もやむを得ないと思う。しかし、状況が落ち着いて再開が議論されるようになった際には、どのような種類の公演が、どんな対策をして臨めば出来るのかを、ぜひ示してほしい。これによって救われる業界や団体は必ずあるはずだ。この二つは、「ぴあ」の矢内廣社長がインタビューで話されていたことだが、私も全く同感である。

 三つ目は、感染防止策の厳格な運用である。国や自治体には、収束を早める施策、努力を最大限のスピード感をもって、徹底的に行ってもらいたいと思う。個人情報の扱い方や法制度の違いは分かっているが、アメリカや欧州、韓国、台湾などの施策に見習うべきものはないだろうか。外出自粛を国民に「要請」し続けるという方法は、指示に忠実な日本人に合っているかもしれないが、街にはまだ人がいる。このままでは収束が長期化してしまわないか。「監視社会の到来を招く」という懸念も理解はするが、今は非常時だ。事後に必ず再度議論をするなどの条件を付けて、直ちにコロナを止める手を打てないか。

ぴあの社長はそりゃそう言うでしょう。上演団体から手数料を取る業務なのだから、上演団体がなくなったら商売あがったりです。ぴあやe+のようなチケットガイドについては、なんで配信向け投銭システムを自分たちで提供しないのかが不思議でしょうがないです。今まではチケット前売だったのを配信日からX日間に設定する、チケット1枚いくらを一口いくらに読みかえて枚数制限なしで購入できるようにする、手数料と支払サイトは少なくとも最初は頑張る。今のシステムをそのまま使えるはずですし、客も新たにクラウドファンディングの種類ごとに登録する必要がありません。「エンタメサポーターチケット」が作れるならやれるでしょう。

劇団四季の社長の話に戻って、引用した箇所以外の全文を読んだうえでの感想ですが、私はがっかりしました。様々な業界が試練に直面している状況で、中止した公演への支援を期待できると本当に考えているのかわからないのがひとつ。ガイドラインの提供を自治体側に期待しているのがひとつ。そして感染防止策がまだ不明確なのにそれを運用してほしいと挙げるのがひとつ。でも国内有数の民間劇団が、ぜんぶお願いだけというのもあんまりではないですか。言うだけならタダだから言っている、と思いたい。

コロナの影響をモロに受ける12業種」という記事がありました。「建設」「海運」「航空」「観光」「小売」「娯楽」「外食」「製薬」「自動車」「電気・部品」「食品」「アパレル」の12業種です。芝居は「娯楽」に含まれますが、他の11業種を差し置いて金銭支援があると考えているのでしょうか。

そこをもっと具体的に、不動産と外食を切口に書いたのがこちらのブログです。

 よく考えていただければ分かるのですが、我が国のGDPが550兆あり、一か月50兆円弱あったとして、これが、3か月にわたって昨年対比2割減少したのだとなれば、ざっと30兆円の穴が開きます。いますったもんだしている国民一人当たりたった10万円の支給をするとして、一発13兆円もかかります。いま経済対策でやっている総当たりの真水部分が19兆円です。要は、日本は国の財政よりも民間経済が大きくなりすぎていて、政策で全員を救うことなどできない、という話になります。

 そこで、前述の「トリアージ」が発生します。トロッコ問題として、いまみんな困っています、誰を助けますか。まず、絶対に困っている国民です。10万円の支給で助かるはずもありませんが、それでもまずは国民を救おうとします。

 次に誰か。インフラです。電力、ガス、水道、輸送、道路、通信、金融(決済含む)あたりは、是が非でも守らなければなりません。ここが死んだら、二度と日本経済は復活できないぞというところが、トリアージとして優先になります。
(中略)
 政策決定のトリアージから漏れた産業が、そういう冬の時代を生き残る秘訣はただ一つ。「現預金を多く積んでおくこと」以外にありません。CASH is KING。アリとキリギリス。現金のない奴は、死ぬんです。

差別なく救うなら個人を対象に、業界を助けるならインフラを対象に。非常にわかりやすいです。これが今の一般的な合意事項とは思いませんが、おおよそ合意されるラインだと思います。もちろん、国民全員に給付しろ、国民としてその10万円はきっちりもらう、というのは筋の通った話です。団体として該当する各種申請は片っ端から出す、使える制度は全部使って現金を確保する、というのも正当な話です。でも個人やインフラを差置いて、娯楽業界(文化業界でも芸術業界でもよいです)の興行が補償されることは、ないでしょう。念のために書いておくと、私は残念ながら漏れる産業に勤めているサラリーマンです。そして娯楽業界の興行を補償する費用があるなら、学校教育の再開をどうにかするほうに回すのが先決だと私なら考えます。

この状況で劇団がどうするか。現金を確保していずれ来る上演の機会を待つか、上演する方法を模索するか。では上演したいならどうするか。

続きます

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