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2020年7月31日 (金)

6日間の公演で新型コロナウィルスのクラスターが発生した公演の事実経緯報告書

ここまで、主催者の発表出演者のインタビュー劇場の発表、と3者の発表を見てきました。

そして7月27日付で主催者から「事実経緯報告書」がリリースされました。これによると7月24日時点で検査が陽性だったのは、出演者18名(補足:有村崑は出演者ではないので含まれない)、スタッフ9名、公演関係者8名、観覧者40名、合計75名だそうです。スタッフは以前のリリースより「舞台に関わった当社の社員及びスタッフ」をそう呼んでいるので、公演関係者が有村崑を含む舞台監督などの舞台スタッフなのでしょう。

事実を説明しつつ押返せるところは押返す報告書は、これだけの文書が書けるようになりたいと思えます。念のために書いておくと、私はこの事務所のここまでの発表を読んで、嘘はついていない、わかった事実は伝えるスタイルの事務所だと認識しています。今回新しくわかったのは以下です。
・7月4日の体調不良者は後にPCR検査で陰性、7月5日の体調不良者は後にPCR検査で陽性
・稽古は2020年6月15日から2020年6月28日まで実施、最初の小屋入りが初日前日の6月29日21時でその日は23時まで準備、翌日6月30日は8時にスタッフが小屋入り
・楽屋3か所は、場所によって程度に違いはあるが、密閉された空間ではなかった
・飲食についてはそれなりに気を付けていた
・最前列の観覧者に対しては、フェイスシールド着用を依頼したが、一部の観覧者から強いクレームが入り、一部を除き、着用されていなかった(但し、フェイスシールドをしていない最前列の観覧者も、マスクは全員着用していた)
・開演から約30分後に、換気のために約10分から15分間の休憩時間を設け、その休憩時間中は、全ての窓と扉を開放し、換気を行なった(補足:山本裕典のインタビューだと「最初20分お芝居をして、そのあと1時間『人狼ゲーム』。そして最後に歌があるというトータル2時間くらいの舞台」、そうだと同じ2時間の公演でも後半の時間が10分長くなる)
・後半のステージ(公演時間全体の約3分の2)では、出演者と出演者の間に1枚ずつアクリル板を設置し、各出演者での唾液の飛沫などを防止、公演中ステージで使用していたアクリル板、小道具、マイクも、毎公演終了後の除菌対象だった
・ロビーの状態は、トイレ列、物販ともにほとんどなかった(「物販列は、初日と千秋楽には列が若干混雑することが一部でありましたが、物販自体が全体的に好評でなく売れなかったため、混雑することはほとんどありませんでした」の記載は泣けます)。

一方、やっぱりここに手掛かりがあるだろうと臭う文書です。クラスター発生の心当たりがあるけど避けている、という印象ですね。印象としか言いようがない。その場合、たくさん書かれていることではなく、書かれていないこと、書かれていても手薄なことを探すことになります。あとは他の発表と見比べます。

ここまでの内容で、探すための前提を挙げます。
・これだけ陽性者が出たので、この芝居の何かが原因でクラスターが発生したのは間違いない
・出演者ではない有村崑も陽性だった
・複数回を観た観客もいるが、全日程にわたって陽性者が発生しているので、出演者やスタッフや公演関係者など「上演側」から「観客側」への向きで感染が発生している

ここまでいろいろ調べてきて私が思い込んでいたのは、陽性者全員が同じ理由(対策不足)で感染したということです。でも別々の理由で感染することだってあり得ます。その線で考え直します。

まず、初日から観客に陽性者が出ているということは、(複数回を観た観客でなければ)初日から出演者側に感染者がいたことを示唆します。また、有村崑も陽性になっている。となると、稽古が怪しい。つまり、稽古時の対策が不十分で、小屋入り時点ですでに出演者(とスタッフや関係者の一部)にはクラスターが発生していた可能性が高いです。その目で読み直すと、稽古時の対応は周知はしても自己責任でやってもらっていたものと読めます。また、不要な接触を避けるよう伝えていましたが、注意喚起が限界だったとも読めます。公演中の話が多いのに対して、稽古中の話が極端に少ないのも目を引きます。

 稽古時は事前に当社作成の「稽古の感染防止対策」と題する資料をお渡しし、公演に先立ち「出演者・事務所の皆様へ」と題する、劇場入りしてからのお願い・注意事項をお渡しして、うがい、手洗い、マスク着用、消毒、検温実施等の体調管理、換気、除菌等について注意するよう周知しておりました。また、稽古・公演終了後の食事等不要な接触をせず帰宅するよう、口頭でも注意喚起をしておりました。

あと、休憩をはさんで後半には仕切りを設けたようですが、つまり前半はそうではなかった。稽古ですでに一定数以上の出演者がクラスターになって、1ステージ当たりの出演者が10人を超えるような芝居なので、前半の芝居で感染した出演者も何人かはいるのでしょう。20分から30分、特定のひとりと絡む時間は短くても、代わるがわる感染者と密なやり取りがあったら、感染してもおかしくありません。

 後半のステージ(公演時間全体の約3分の2)上には、出演者と出演者の間に1枚ずつアクリル板を設置し、各出演者での唾液の飛沫などを防いでいました。

なので、出演者については、出演者同士でクラスターを発生させた、それは稽古の段階で発生した、公演関係者へのクラスターの少なくとも一部も同様に稽古場経由だった、がひとつの結論です。そこから他の出演者にも感染させたかもしれませんが、稽古場のほうが比重は高いと推測します。

それにもうひとつ。飲み物に関する記述があっても食べ物に関する記述が見つかりません。毎日昼夜2公演やっていて、一度も食事がないわけがありません。新宿なので外に出れば食事処はたくさんありますが、出待ちされるほどの人気者がそこら辺で食事をとるとは思えません。少なくとも一部の出演者は、自分で買ったか主催者が提供したかは別にして、劇場内で食事をしたはずです。その際にはもちろんマスクを外しますが、他の人がいたら話しますよね。至近距離で話して飛沫が飛んだら換気は関係ありません。三密でなく二密一密でも、確率が下がるだけで感染するときは感染します。

それでひとつ気になるのは、楽屋に空気清浄機が置いてあったという話です。それで済むなら新型コロナウィルスがこんなに騒動になっていません。むしろ、初期の中国ではエアコンの吹出口に沿って感染者が出たという報道もありました。今でも商業施設のハンドドライヤーは感染拡大防止のため使用禁止になっているところが多いです。窓が開いていれば少しはましかもしれませんが、中途半端に飛沫を広めるようにならなかったか、どこかで検証してほしいです。

次にスタッフ。最初に疑うのは換気です。この劇場は珍しく劇場スペースに窓があるので、休憩時間や公演の合間には劇場スペースは熱心に換気していました。出演者のいる楽屋もそれなりだったと説明があります。ただ、ロビーがよくわかりません。開演前終演後は入退場のため外に面したドアを開けますが、それ以外の時間帯は不審者の侵入を防ぐため、閉めておくのが一般的です(物販のグッズやお金も置いてありますし)。その場合、ロビーの換気がどの程度できる劇場なのかがわかりません。それに、普段スタッフが使用しているスペースまで楽屋に提供したのなら、観客のいない時間帯もスタッフはやはりロビーで待機していたのではないでしょうか。つまり、劇場スペースや楽屋の換気に気を取られて、ロビーの換気が足りなかった。空気清浄機を持ちこんだといいますが、それで済むならこんな騒動になっていないのは前述のとおりです。

あるいは、スタッフだけが使うものについてどの程度消毒が行なわれていたかはわかりません。劇場の発表で「受付・物販・の消毒」とありますが、物販で使う電卓や手提げ金庫など、小物や他人に触ってほしくないものものまで劇場が消毒したとは思えません。あるいは、楽屋を出演者に回したらスタッフの私物(鞄など)もロビーの後ろに積まれていて、私物だから消毒対象外だった、などありませんでしょうか。

もうひとつ。スタッフも食事はしたはずです。これは劇場内と外と両方ありますが、どちらにしても、複数名で食事をしながら話したら、やはり感染の危険があります。

なので、スタッフのクラスターは、誰かが最初に感染したとして、それが広がったのはロビーの対策不十分(換気、消毒とも)による接触感染、または食事中の会話を通して飛沫感染、の可能性が考えられます。出演者の稽古場での感染に比べると決め手に欠けますが、これ以上の感染経路が思いつきませんので、ひとまずここで止めます。

最後に観客です。まず、出待ちで握手した出演者がいたのは確実なので、観客の一部はそれで陽性になったと考えます。でも、報告があっただけでも40名の感染です。握手に簡単なお礼の言葉くらいは言ったかもしれませんが、全員が全員それで感染したのなら、その役者はどれだけスーパースプレッダーなんだ、と思いますよね。なので、握手以外の劇場内の感染経路があるはずだ、と疑ってかかります。

スケジュールを見ると、初日前日の21時が劇場入り、初日は15時からなので、仕込みの期間が短いです。でも短い芝居でもゲネプロをやらないことはないでしょうし、歌があるなら音のチェックも必要なので、出演者は初日の朝に劇場入りしてゲネプロを、せめて場当たりを行なったはずです。ここですでに出演者の一定数がクラスターになっていたとします。ゲネプロが終わって劇場スペースの換気は行なったとして、座席やドアノブなどの消毒を、初日のドタバタの中で行なう余裕があったでしょうか。まだ観客は入っていないし、自分たちがクラスターになっているとも知らないのに。

その目で劇場の発表を読みなおすと、ドアノブは劇場が消毒していますが、

可動イス席の手すりの部分の消毒用アルコール(エタノール)での消毒

は主催者の担当になっています。すくなくとも開館から閉館までの間、劇場スペースの消毒は主催者に任されていたのでしょう。手すりだけなのは、布っぽい椅子なので座面や背もたれは不要との判断と推測します。だとしても、空中を漂うウィルスは換気である程度対応できるとして、初日前の空席の手すりに付着したウィルスへの対応がどの程度だったかは不明です。初日を観て感染した観客の何人かは、これが理由だった可能性があります。

ここで止めれば、まだまだ対策不十分でした、で済む話です。ただし、です。これでは初日以外の感染の理由にはなりません。他の日も消毒をさぼっていました、と主催者が言うなら話は別ですが、それはさすがにどうだろう、ということで、嫌な想像を2つ書いておきます。

ひとつは出演者と観客最前列の距離。劇場発表では2mは空けていたとのことですが、観客側はマスクはしていたとはいえ、出演者と観客を遮るものは特になかったはずです。報告書でも距離については触れていません。一般には2mの距離を取れば密接でないと言われていますが、実は2mは日常会話の音量で、芝居や歌で大声を出すときは2mでは飛沫を避ける距離が不足している可能性も考えられます。クラスターとなった大勢の感染者がこちらを向いて並んでいる場合は、1対1よりも感染力が高いはずです。その場合、人数を半分にするだけでなく、最前列から1-2列を余計に空けないといけません。興行的にはさらにつらくなります。

もうひとつは後半の上演時間の長さです。長さも日によって違うようですが、だいたい1時間半くらいあったようです。さらにラスト30分くらいが歌。劇場なので換気装置を備えていることは間違いないのですが、歌も行なう上演プランで換気装置を全力で動かして劇場スペースの音響を損ねることはやりたくないはずです。上演中に換気装置の稼働を低く抑えて、出演者から観客への感染を引起こした可能性はないでしょうか。出演者の大半が感染者だったとすると、歌も含めた1時間半の終盤には劇場スペース内に換気されないエアロゾルが一定量以上あって、観客がマスクだけで防ぐには限界があった、というシナリオもひょっとしたらないでしょうか。一蹴するには情報が足りません。万が一これが本当なら芝居上演はえらいこっちゃで大騒ぎになります。書いてはみましたが、本当に、頭の体操なので鵜呑みにしないでください。

ふたつとも想像にさらに仮定を重ねた話なので、鵜呑みにされると困ってしまいますが、はたしてどうでしょうか。陽性を報告した観客の座っている位置がもっと詳しくわかるとよいのですが、それは報告されていないのか、載せていないのか、どちらでしょう。少なくとも1人は2列目だったようです。

稽古場感染と握手感染以外は、まだ何とも言えません。事実は発表していくスタイルの事務所だとしても、保健所の調査結果まで出すのかはわかりません。調査結果まで発表してくれるのを待つばかりです。

以下は報告書の全文です。これを読んで、皆さん推理をお願いします。

事実経緯報告書
令和2年7月27日
株式会社ライズコミュニケーション

第1 はじめに

 このたび発生しました新型コロナウイルス感染症の集団発生により、応援してくださった観覧者の皆様、出演者の皆様、各関係者の方々、業界の方々、世間の方々に多大なるご心配とご迷惑をおかけしてしまいましたことを改めて深くお詫び申し上げます。また、感染された方々の一日も早いご快復を心よりお祈り申し上げます。弊社といたしましては、これを教訓とし、今後、このようなことが起こらない環境を作ると同時に、事実経緯について、以下ご報告いたします。
 なお、プライバシーの観点から、出演者の方々等のお名前の開示は差し控えております。ご了承ください。

第2 発生場所

公演場所
 新宿区新宿3-33-10 新宿モリエールビル2F(小劇場内)

第3 発生時期

公演2020年6月30日から2020年7月5日
 6/30(火)[昼公演]15:00開演
     [夜公演]19:00開演
 7/1 (水)[昼公演]14:30開演
     [夜公演]19:00開演
 7/2 (木)[昼公演]14:30開演
     [夜公演]19:00開演
 7/3 (金)[昼公演]14:30開演
     [夜公演]19:00開演
 7/4 (土)[昼公演]13:30開演
     [夜公演]18:00開演
 7/5 (日)[昼公演]12:30開演
     [夜公演]17:00開演

 公演は、1日あたりの公演数は2回であり、1回あたりの公演時間は約2時間から2時間30分程度でした(休憩時間を含みます)。

第4 稽古及び公演に関する時系列

 稽古 2020年6月15日から2020年6月28日
 公演 2020年6月30日から2020年7月5日
  6月6日16:30 新宿シアターモリエール(以下「モリエール」)下見。
  6月8日 モリエールに変更を社内で決定。
  6月9日 モリエールに決定したことSNSで発表。
  6月10日 会場を恵比寿・エコー劇場からモリエールに変更したことをHPにて案内。
  6月29日21:00 当社スタッフ、制作スタッフ会場入り。23:00まで準備。
  6月30日08:00 スタッフ会場入り。13:00より先行物販を行う。

第5 発症の経緯

 7月6日14時 出演者A、1名が陽性であると所属事務所より報告を受ける。
 7月6日夕方 出演者Aの管轄保健所から弊社に電話が入り、出演者Aの陽性報告を受ける。そして、その夜、出演者Aの管轄保健所から、以降は弊社管轄保健所とのやり取りになるとの連絡があり、連絡を待つようにとの指示を受ける。

 7月7日12時 弊社管轄保健所と連絡がつき、出演者Aの陽性を改めて確認するとともに、詳細情報を確認中なので待つようにとの指示を受ける。
 7月7日14時47分 弊社管轄保健所へ出演者とスタッフ一覧を提出。同保健所によると、濃厚接触者は、マスクを外して15分以上顔を合わせて会話をする、抱き合うようなものが対象となるとのことで、スタッフ、ゲストに関しては濃厚接触者に当たらないとの見解であることを伝えられる。また、同保健所から、楽屋でのやり取り等を確認してくださいとの指示を受ける。
 7月7日21時30分 弊社1度目のリリース。

 7月8日 弊社管轄保健所から、観覧者は濃厚接触者にはあたらないということで告知していいとの連絡を受ける。弊社2度目のリリース。

 7月9日9時 弊社から弊社管轄保健所に連絡したところ、「顧客の感染は報告を受けていない。舞台を観た方で不安があれば最寄りの保健所に連絡するように案内はしている。」とのこと。
 7月9日 弊社より3、4度目のリリース。

 7月10日16時 弊社管轄保健所から弊社に対し、東京都が以下リリースすると報告を受ける。
  ・総勢10名のコロナ陽性が確認された旨。
  ・全出演者25名全スタッフ27名を濃厚接触者とする旨。
 7月10日18時 弊社からコロナ感染の情報等を内容とする旨の5度目のリリース。

 7月12日23時13分 弊社から新たに相談窓口を設置する旨の6度目のリリース。

 7月13日13時26分 東京都から、業界別感染拡大予防ガイドラインの遵守状況等の確認の連絡。
 7月13日16時49分 弊社管轄保健所から観覧者全員が濃厚接触者という連絡。
 7月13日 弊社より7度目のリリース

 7月15日 弊社より8度目のリリース

<集計>
・観覧者人数(なお、同一の方が複数の公演に来場している場合があります)
 6/30 昼69 夜80
 7/1 昼52 夜58
 7/2 昼81 夜47
 7/3 昼71 夜81
 7/4 昼89 夜88
 7/5 昼82 夜89
・陽性確認者(7/24現在)
 出演者18名
 スタッフ9名
 公演関係者8名
 観覧者40名
  ※弊社が観覧者より報告を受けている人数となります。
 合計陽性者75名

第6 感染拡大防止策の実施

0 初めに
 「劇場、音楽堂等における新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン」(参考資料:公益社団法人全国公立文化施設協会が令和2年5月14日付公表。)を参考に、当社でもガイドライン(以下、「ガイドライン」といいます。)を作成し、HPにて「新型コロナウイルス感染症対策について」と題して掲載を行い、観覧者に周知をいたしました。出演者及び所属事務所に対しても、稽古開始時と公演直前日に、それぞれ注意喚起のための資料を渡しました。

1 公演前の対策

(1)入場制限
 密な状況を発生させないよう、以下の工夫を行いました。
 まず、開場時間を、観客入場時の混雑を避けるため、通常開演時間の30分前にしているところ、開演時間の45分前に変更しました。また、公演の合間に休憩時間を設けました。入場時のチケットのもぎりは、全スタッフはマスクを着用し、スタッフの前で観覧者にご自身で行っていただき、それをスタッフがこれを目視にて確認する形で行いました。
 また、本来モリエールの座席は186席あったところ、その50%である93席を超えないように座席を配置し、指定された座席に座っていただきました。入場は、スタッフの指示に従い行っていただきました。

(2)観覧者との関係
 公演ごとに、観覧者の氏名、住所、電話番号及びメールアドレスを記載する用紙を客席におき記入いただき終演後に出口に回収しました。これらの情報は必要に応じて保健所等への公的機関へ提供されることについても当該用紙に記載し、HPで事前に周知いたしました。
 劇場入口でサーモグラフィ(37.5度以上の方が居た場合、ブザー音が鳴るシステムが付属しております)による検温を行い、検温の結果やその他体調不良等の事情によっては、入場をお断りする旨についてもHPで事前にお伝えしました。咳エチケットのご協力、マスクの着用・手指消毒の呼びかけについても同時にHPで掲載しておりました。

(3)出演者との関係
 稽古時は事前に当社作成の「稽古の感染防止対策」と題する資料をお渡しし、公演に先立ち「出演者・事務所の皆様へ」と題する、劇場入りしてからのお願い・注意事項をお渡しして、うがい、手洗い、マスク着用、消毒、検温実施等の体調管理、換気、除菌等について注意するよう周知しておりました。また、稽古・公演終了後の食事等不要な接触をせず帰宅するよう、口頭でも注意喚起をしておりました。

2公演当日の対策

(1)周知・広報
 観覧者に対しては、咳エチケットのご協力、マスク着用・手指消毒の呼びかけ、お並びの際は社会的距離(ソーシャルディスタンス)確保の上指示に従っていただきたい旨、プレゼント禁止の旨、検温の結果や体調によっては入場をお断りする旨などをHPや会場で告知していました。公演期間中もスタッフが同様のアナウンスを行い、観覧者の皆様にもご協力を頂きました。なお、入退場時にマスクを着用していない観覧者はいませんでした。

(2)観覧者の入場時の対応
 開場時間を開演45分前とし、余裕を持った入場時間を設定しました。観覧者が劇場に入る際、サーモグラフィを使用して検温確認をし、37.5度未満の方だけをお通ししました。サーモグラフィは37.5度以上の人が通るとブザーが鳴るシステムです。また、手指消毒のアルコールを劇場内の各所に設置し、利用を呼びかけました。サーモグラフィのチェックや消毒に対して、観覧者の皆様にご協力頂きました。
 入り待ちに関しては、ほとんどおりませんでしたが、発見した場合、スタッフが口頭注意を行いました。

(3)公演会場内の感染防止策
ア 座席の配置
 最前列の観覧者に関する感染防止対策として、最前列の席を通常より2列分舞台から離して配列し、キャパの上限である186席からの50%相当である93席で配席しました。また弊社としましては、最前列の観覧者に対しては、HPで事前にフェイスシールドの着用のご協力をお願いするとともに、実際に、公演開始から終了に至るまでの全ての公演で、最前列の観覧者の席にフェイスシールドを配布しました(フェイスシールドは、日本製でプラスチック(リサイクルPET樹脂)素材のものです)。しかし、フェイスシールドの着用に関しては、一部の観覧者の方から強いクレームが入り、公益社団法人全国公立文化施設協会が定めるガイドラインでもフェイスシールドは必須とされておらず、弊社としてもご協力をお願いする立場であったため、結果的に、一部の方を除き、着用されていない状況でありました。但し、フェイスシールドをしていない最前列の観覧者も、マスクは全員着用しておりました。
イ 換気
 今回の舞台において使用した会場では、客席内に6個の窓(サイズ:横約25㎝×縦約100㎝)があり、その全てを開けて換気をし、さらに、ロビーには当社が持参した空気清浄機を1機置いておりました。
 開演前は、常時、窓と扉を開放し、換気をしておりました。開演後は、会場(施設)側の指示に基づいて、会場周辺に対する騒音を防止する目的から、窓と扉を閉めて公演を行いました。開演から約30分後に、換気のために約10分から15分間の休憩時間を設け、その休憩時間中は、全ての窓と扉を開放し、換気を行いました。なお、開演30分後に換気をした理由は、開場してからすぐに入場した観覧者の方にとっては、会場に滞在する時間がその時点で約1時間になるためです。
終演後は、客席内の窓と扉を全て開けて換気を行いました。
◆換気時間例(7/1公演の場合)
 換気時間帯計:7時間20分
  11:00~14:25(3時間25分)
  15:00~15:15(15分)
  16:30~18:55(2時間25分)
  19:30~19:45(15分)
  21:00~22:00(1時間)
ウ 演出
 一部報道で、「出演者が客席に降り、ファンと抱擁した」などといった報道がされていましたが、そのような演出含め、観覧者と出演者が接触するような演出は一切ありませんでした。また、声援や、観覧者同士の会話も控えていただくよう事前にお願いしておりました。
エ その他
 事前にマスク着用と会話抑制を観覧者に呼び掛けたとおり、その点は徹底されておりました。トイレ列に関しては、その列専用の並びスペースを設けており、列が密であったことはないと思います。

(4)公演関係者の感染防止策
ア 体調確認
 各出演者には、稽古中から公演終了日まで毎日検温の実施をし、各出演者及び所属事務所に対して、体調不良が発生した場合には報告するように伝えていました。
イ 楽屋について
 本舞台は出演者が15名程度であったため、楽屋での出演者の間隔を空けるために、通常用意された劇場の楽屋(楽屋①)の他、ステージ裏(楽屋②)、普段スタッフが使用しているスペース(楽屋③)の計3箇所を楽屋に充て、出演者を割り振り、対策をとりました。楽屋①は通常13席分ありましたが、間隔を開けて10席ないしは11席分とし、席と席の間に会場が用意した間仕切りを設置していました。間仕切りは、楽屋②と楽屋③にも設置し、全ての楽屋は、毎日、除菌と清掃を行いました。各楽屋及び喫煙所、洗面所には消毒液を設置し、洗面所には、うがい液とコップも設置していました。なお、コップは使い捨ての物でした。
 楽屋①の窓は毎朝スタッフが解放していました。また、楽屋①には、会場所有の空気清浄機が置かれており、基本的に常時稼働している状況でした。楽屋③には、窓はありませんでしたが、そもそも扉もなく、常時、解放された空間でし
た。なお、楽屋②については、窓はあるものの、窓の前に会場所有の機材が置いてあったため、開けることはできませんでしたが、出入り口の扉は常時開放していましたので、密閉空間ではありませんでした。
ウ その他
 事前に周知したとおり、出演者は、出番以外はマスクの着用を徹底、うがい、手洗い、手指のアルコール消毒をこまめに行っておりました。飲み物や食べ物については、原則、出演者個人で用意をしてもらっており、食器等の備品を共有したことはございません。なお、出演者に対し、水やお茶をペットボトルで提供したことはございましたが、全て500mlのペットボトルで、蓋に名前を書いていたため、共有することはありませんでした。稽古の際にも、弊社の方で、飲み物を用意したこともございますが、同じく個々にペットボトルの飲み物を配っておりました。
 後半のステージ(公演時間全体の約3分の2)上には、出演者と出演者の間に1枚ずつアクリル板を設置し、各出演者での唾液の飛沫などを防いでいました。
 公演中ステージで使用していたアクリル板、キャストが使用する小道具、マイクに関しても、毎公演終了後、除菌をし、ステージの清掃、除菌スプレーの散布を行っておりました。
 また、当社は出待ち・入り待ちを禁止し、これに違反した方にスタッフが気づいた場合には都度注意していました。なお、全日程の公演終了後に判明したことですが、会場外のスタッフの目の届かないところで、出演者に近づいた観覧者が数名ほどいた旨の報告を受けております。

(5)感染が疑われる者が発生した場合の対応
 7月4日の夜、1名の出演者の方から、発熱があった旨の報告をいただきましたが、抗体検査の実施の結果、陰性であったことと、検温の結果が36.7度であり、ガイドラインの規定(37.5度)の範囲内であったことから、ご本人と相談の上、7月5日のご出演となりました(なお、当該出演者は、7月15日付でPCR検査において陰性の結果がでております)。
 7月5日、別の1名の出演者の方から、検温の結果が平熱より高い37.0度であった旨の申告をいただきましたが、ご本人と所属事務所の方々から、持病の扁桃炎に起因する可能性が高いとの医師の診断があった旨のご説明を受けたことと、検温の結果がガイドラインの規定の範囲内であったことから、ご本人及び事務所と相談の上、ご出演となりました(その後のPCR検査の結果7月9日陽性と診断されました)。

(6)物販・トイレの列等について
 物販はマスクを着用しビニールシートにより購買者との間を遮蔽しました。お金のやり取りはトレーを使い、直接の接触はありませんでした。
 場外、そして並んでいる観覧者に対しては「間隔を開けて並んでください」とアナウンスし、開場してからの物販列、トイレ列に対しても整理を行いました。
 トイレ列に関してはその列専用の並びスペースを設けていたので、列が密であったことはありません。物販列は、初日と千秋楽には列が若干混雑することが一部でありましたが、物販自体が全体的に好評でなく売れなかったため、混雑することはほとんどありませんでした。

(7)観覧者の退場時の対応
 退場時間は、余裕をもって設定していました。出待ち行為に関しては、本公演では禁止としておりました。また、HP上で、出待ちの典型的なものである、プレゼント、お手紙、フードサポートの受渡しを禁止する旨の周知を行っておりました。また、多くの観覧者の皆様にはご理解、ご協力を頂いておりました。
 しかし、上記周知にもかかわらず、出待ちされる観覧者が一部の公演で10名ほどいらっしゃいましたので、各スタッフが気づき次第速やかに、出待ちを行わないように観覧者に注意させていただきました。
 また、全日程の公演終了後に分かったことですが、一部の公演で、会場外のスタッフの目の届かないところで、出演者に近づいた観覧者が夜公演終了後に数名いた旨の報告を受けております。スタッフの目の届かない所でのファンへの対応は、弊社では極めて困難でした。

3 公演後の対策
 公演ごと観覧者の氏名、住所、電話番号及びメールアドレスを把握し、名簿を作成していたことは先に述べた通りです。名簿等の保管には個人情報保護の観点から十分留意し、感染状況について個別に公開の許可を得た方についてのみ、当社HPで匿名公開をしております。

第7 今後の対応に関する当社の検討

1 まず、前提として、当社としては、ガイドラインを遵守し、感染予防を図るため、経済的・現実的な制約の中で、最善を尽くすべく努力して参りました。しかしながら、個別の感染者が本公演内で感染したかは不明ですが、結果的に、多くの感染者が発生してしまいました。その点を踏まえ、当社として、そのような制約を考えず、事後的に見てどのような方法があり得たのか、以下の通り検討します。

(1)公演の座席配置等について
 座席配置は行っていましたが、固定椅子ではないため、一部の公演で位置の若干のばらつきはありました。これに対しては、椅子の場所の印を明確にする、一次的に椅子を固定するなどの措置が考えられます。
 また、最前列の観覧者のフェイスシールドの着用に関して、観覧者の方から強いクレームが入り、結果的に、大多数の観覧者が着用されていない状況でありました。そのため、理解を得られるようにさらに説得を行うことや、従っていただけない場合、入場制限又は退場等の措置をとることが考えられます。

(2)換気について
 会場との協議が必要ですが、騒音等に配慮した上で可能な限り公演中にも換気を行うことや、送風設備や空気清浄機等をさらに導入すること、換気のための細かな休憩時間の設定等が考えられます。

(3)楽屋について
 第6、2(4)イに記載の通り、楽屋②について会場とも協議をし、窓を解放する等の措置を検討、会場外の楽屋増設の措置を検討、また、それぞれの楽屋の利用時間に差を設けるなどの工夫が考えられます。

(4)出演者に対する注意喚起について
 第6、2(4)ウに記載の通り、会場外のスタッフの目の届かないところで、出演者に近づいた観覧者がおりましたが、これについては、出演者及び所属事務所にさらなる注意喚起を促し、その協力を仰ぐ対応が考えられます。

(5)出待ち入り待ち禁止の徹底について
 第6、2(7)に記載の通り、出待ちされる観覧者がおり、注意をしても、会場外の、スタッフの目の届かないところで、出演者に近づいた観覧者がいた方がいらっしゃいました。これについては、前記(4)でも記載しましたが、観覧者の方、出演者双方にさらに注意喚起を行う措置が考えられ、また、スタッフの増員をはかり、出待ち対策をより徹底することが考えられます。

(6)感染が疑われる者が発生した場合の対応
 第6、2(5)に記載の通り、出演者からガイドラインの基準度数未満の発熱があった旨の報告を受けておりました。これについては、ガイドライン以上のさらに厳しい健康管理基準を設け、健康状態を細かく聴取することや、少しでも体調不良(37.5度以上でなくとも平熱より高い熱など)があった場合には所属事務所と連携を図り、自宅待機し、出演の取りやめ、又は公演中止などの対応が考えられます。

(7)公演前の出演者の行動の把握
 感染防止対策の観点から、公演前及び公演期間中における公演とは別の活動内容を把握するために、具体的な事前報告を詳しく求める措置が考えられます。

(8)無症状の方への対応
 非常に困難なことではありますが、観覧者、出演者、スタッフの中に無症状者がいる可能性まで考慮すると、公演開催に向けてPCR検査の強化等のさらに厳しい基準を検討せざるを得ないものと思われます。

第9 一部報道等について

1 一週間前の報道について
 一部報道では、「『シアターモリエール』スタッフによると、当初「THE★JINRO」は別の劇場での上演を予定していたが、コロナ対策による人数制限が厳しかったため、初日の1週間前に『-モリエール』に変更した」という報道がございます。しかしながらこちらは事実ではございません。
 当社では、既に述べた通り、会場につきましては、6月8日に変更を決定し、6月10日に当社のHPにおいて発表し、また初日公演は6月30日です。

2 会場内における握手、物販販売等について
 会場外における目の届かないところにつきましての詳細は不明ですが、会場「内」における握手はございません。また、ガイドラインで物販販売が禁止されていたとの一部報道がございますが、劇場、音楽堂等における新型コロナウィルス感染拡大予防ガイドラインでも、物販をすること自体は禁止されておりません。なお、当社では感染予防対策に努め実施致しました。

3 フェイスシールドについて
 一部、フェイスシールドが「ビニール製の手作りのものだった」との報道がございましたが、こちらは日本製のもので素材はプラスチック(リサイクルPET樹脂)で、曇りにくい構造になっており、クリア面が広く、圧迫感が少ない、眼鏡・ゴーグルも着用したまま使用可能な医療用にも使用できるというものであり、手作りのものではございません。

4 その他
 その他の報道につきましても事実ではない報道が多くされている状況でございます。
 各報道の詳細まで把握し、反論することはできませんが、明らかに間違っているにも係わらず、広く報道されている内容につきましては、今後の適切な事実確認にも支障が生じるため、確認の上、報告・公表等の対応をしてまいりたいと思います。

第10 最後に

 以上、これまで判明している事実をご報告申し上げますと同時に、皆様にご心配とご迷惑をおかけしておりますことを重ねてお詫び申し上げます。
 弊社といたしまして、既に述べたような感染防止対策を行い、観覧者、キャスト、関係者の皆様にもご協力いただき公演を実施いたしましたが、その中で、今回のような新型コロナウィルス感染者の発生が起きた経緯については、東京都や保健所による検証が行われており、その結果を反省点とするとともに、今後のこのようなことが起こらないようにさらに厳しい対策を講じて参りたいと考えております。
以上

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