宝塚のコロナ受難メモ
本家の大劇場が花組「はいからさんが通る」で7月17日から9月5日まで再開。しかも7月中は1日1公演に減らしての対応。
ところが8月2日に関係者の体調不良で当日の公演中止、その晩に8月4日まで中止を決めてPCR検査。結果、感染者が出たので8月16日までの公演中止を決定。
8月7日の発表で、出演者73人スタッフ164人のうち、出演者8人スタッフ4人の計12人の感染が明らかになった。これで県からクラスター発生と認定される。このスタッフは観客に直接対応しないとのことなので、舞台スタッフと推測される。
ここまでが兵庫の話。参考にしたのは以下。
・ステージナタリー「宝塚歌劇団花組『はいからさんが通る』、本日の公演中止」
・ステージナタリー「宝塚歌劇団花組『はいからさんが通る』新人公演含め8月4日まで公演中止に」
・ステージナタリー「宝塚歌劇団花組『はいからさんが通る』当面の間、公演中止に」
・日刊スポーツ「宝塚歌劇団の花組公演で出演者3人ら感染 上演中止」
・日刊スポーツ「宝塚歌劇団で新たに7人感染、クラスター発生と判断」
・宝塚「花組宝塚大劇場公演『はいからさんが通る』当面の公演中止について(追)」
その後、他の組の関係者にも検査を実施。
東京では星組「眩耀の谷」を7月31日から9月20日までの予定で公演開始。ところが兵庫の結果を受けて東京でも検査したところ、8月6日に1人の陽性が確定。これを受けて8月20日までの公演中止を決定。一応、この1人だけでおさまった。
また梅田芸術劇場で宙組「FLYING SAPA」8月1日から8月11日までの予定で上演中だけど、こちらは大丈夫だった。
ところがその後に続けて雪組「炎のボレロ/Music Revolution」が8月17日から8月25日まで上演予定だったけど、これは8月8日に出演者1人の陽性が見つかって、上演するかどうかを検討中。
参考にしたのは以下。
・ステージナタリー「宝塚歌劇団星組『眩耀の谷』明日から公演中止」
・ステージナタリー「宝塚歌劇団星組『眩耀の谷』8月20日まで公演中止」
・日刊スポーツ「陽性1人で中止の東京宝塚、141人が検査結果待ち」
・デイリースポーツ「宝塚歌劇 星組の残り88人は全員陰性 これまでの時系列は…」
・宝塚「星組東京宝塚劇場『眩耀の谷 ~舞い降りた新星~』『Ray -星の光線-』当面の公演中止について(追)」
・梅田芸術劇場「宝塚歌劇 雪組梅田芸術劇場メインホール公演『炎のボレロ』『Music Revolution!-New Spirit-』 出演予定者の新型コロナウイルス陽性判定について」
複数の組があちこちで同時上演するから大変。こんな時、やっぱりトップが陽性の出演者に、コロナが悪くてお前が悪いんじゃないから気にするな、療養に努めろよ、とかメッセージで励まして、はい、ありがとうございます! とか返したりするんだろうか(全然宝塚知りませんので適当です)。
それはさておき。
兵庫の件は、初日から2週間経っての話なので、仕込みも考えると稽古場で感染したよりは、初日以降の感染のほうが可能性が高い。副業をやっている人もいないだろうし、お茶会禁止は2月から継続だと信じている。だとすると、最初の誰かは市中感染か家族感染で、そこから公演で感染が広がったことになる。出演者の倍以上のスタッフがいて、関係者237人っていう大所帯がまずびっくりだけど、これだけの人数がいたら対策にも限度がある、ってことでしょう。
正直に発表した宝塚も偉いし、観客への感染もないし、宝塚なら熱心なファンほどお体お大事にと願いそうだから、劇団ブランドへのダメージはほとんどない。けど、宝塚でこれなら、大掛かりな公演は当面無理なんじゃないのと思わざるを得ない。
その、大掛かりな公演とそうでない公演との境目は、何がどうなんだってのがわからなくて観客として困っているんですが。
<2020年8月25日(火)追記>
東京の星組「眩耀の谷」は8月21日から公演を再開。これは中断14日の、今の最小限で済んだ。梅田芸術劇場の雪組「炎のボレロ/Music Revolution」は8月29日から9月6日に日程を振替えて公演。この日程が確保できたのは8月28日から8月30日まで上演予定だった「巌流島」が公演中止になったという偶然のため。
ところが本家の花組「はいからさんが通る」は待機中の関係者1名に症状がでてPCR検査で陽性が確認された。これが8月15日なので、中断期間を8月31日まで延長。公演が9月5日までの予定なので公演の大半が中止になった。9月の予定も今は未定。
体力(金策)が厳しいと思うけど、そこは阪急グループ(電車と百貨店も影響大ですが)と抜群のブランド力で何とかしてもらって、もう今回は実験公演と割りきって、大規模公演の何がダメでクラスターが発生したのかの分析に全力を振って、今後の対策に生かしてほしい。
参考。
宝塚「星組東京宝塚劇場公演『眩耀の谷 ~舞い降りた新星~』『Ray -星の光線-』 の公演再開について」(8月18日付)
宝塚「雪組梅田芸術劇場メインホール公演『炎のボレロ』『Music Revolution!-New Spirit-』振替公演実施について」(8月21日付)
宝塚「花組宝塚大劇場公演『はいからさんが通る』当面の公演中止について(追)」(8月15日付)
<2020年9月8日(火)追記>
調べるのが遅れたら古い情報が見つからなくなってしまいましたけど、「はいからさんが通る」は払戻しが9月1日までとなっていたので、9月2日から9月5日までは上演したみたいです。そして東京公演は、元の予定がわかりませんが、10月9日からに東京初日がずれた模様です。
本件を受けて、宝塚では追加の対策を公開しました。新人公演中止やトーク中止はわかるのですが、その中に差入辞退があって、このご時世にまだ差入を受付けていたのかと驚きました。手紙は劇団が受取るとあって、これはたしか宝塚のファンクラブ制度に絡んだ独特の風習だったと思います(応援したい役者に直接手紙を送って「私設」ファンクラブにつないでもらう、というのがあったはず)。ただ食べ物禁止はさすがに今更で、むしろ熱心なファンほど差入は控えそうなものですが、どうなんでしょう。それともこのご時世でもなかなか風習が改まらない業界関係者やOGからの陣中見舞があって、公式に防がないといけなかったとか。これは推測の域を出ません。
そして定期的なPCR検査の実施が出てきました。発症直前くらいからでないと検出率が期待できないのは、これは誰が読んでも大丈夫な専門家の忽那賢志「抗体検査・抗原検査・PCR検査 どう使い分ける?」を以前も引用しましたが、効果があるのか心配になります。
検査の費用は、症状が出て医者が必要と判断すれば保険適用で数千円ですが、自主検査は個人なら3万-4万円です。規模が大きければ割引方法もあるかもしれませんが、出演者スタッフで200人を超える規模の公演で検査回数を増やせばばかになりません。座席半数の宝塚でもS席1万円を超えて1000人が入るなら、週に1回検査しても1人3万円として600万円、1か月公演で2、3ステージ分は飛ぶけど、クラスターが発生して2週間も3週間も公演中止になるよりはマシ、という算盤を弾いたのかもしれません。
ただ、PCR検査は100%正しいわけではありません。仮に陽性になったとして、偽陽性の可能性もあります。症状が出ていないけど公演中止に踏みきることができるでしょうか。興行の観点から見ると、むしろ自分たちの判断と行動を縛って混乱を招く行為で、自主申告のほうがよいと素人には思えます。そのくらいは宝塚だってわかっているはずで、それでもなお定期的な検査にするということは、まっとうな理由を推測すれば、今回のクラスター発生は自主申告が機能しなかったと宝塚が判断したということです。無症状の人か、症状に心当たりがあっても自主申告できなかった人が最初にいて、そこから広まった後に自主申告する人が出てきた、という経路をたどったから、宝塚が定期的に検査しないと駄目と判断したのでしょう。
今回の追加対策は記録しておきます。1本目は8月27日付「感染予防のための更なる取り組み強化について」より。
2020/08/27
宝塚歌劇では、7月より各公演を順次再開させていただいておりましたが、このたび、複数の公演関係者の新型コロナウイルス陽性判定にともなう公演中止により、お客様には大変ご心配とご迷惑をおかけしておりますこと、心よりお詫び申し上げます。
7月からの公演再開にあたりましては、政府や自治体のガイドラインを踏まえた感染予防対策に取り組んでまいりましたが、改めて管轄の保健所のアドバイスもいただきながら、お客様と公演関係者の安心・安全を最優先に考え、以下のとおり、感染予防対策を一層強化してまいります。何卒ご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
○公演関係者の体調管理並びにPCR検査体制の強化
公演の開催にあたっては、公演関係者全員の検温及び体調確認を毎日実施し、体調に変化があった場合は、直ちに自主的なPCR検査を行う態勢をとってまいりましたが、今後は、これらに加えて、出演者等に対する定期的なPCR検査を実施するとともに、軽微な体調の変化にも注意を払い、公演関係者の体調のケアと早期段階での感染拡大予防に努めてまいります。
○公演の運営における感染予防策の強化
公演の運営においても、出演者の減員や演出の一部変更、オーケストラの録音演奏などの対策を講じてまいりましたが、更なる感染リスクの低減のため、当面の間、宝塚大劇場・東京宝塚劇場ともに新人公演の実施を見合わせることといたします。あわせて、宝塚友の会会員様限定特別イベント「ステージトーク」「トークスペシャル」につきましても、当面の間、開催を見合わせます。
新人公演を楽しみにしていただいているお客様には心よりお詫び申し上げます。
○各劇場の販売座席について
宝塚歌劇では、政府や自治体のガイドラインに基づき、座席の最前列席は舞台前から十分な距離を取り、また、感染予防に対応した座席配置を行っておりますが、改めて各地域の状況や管轄の保健所のアドバイスも踏まえながら、劇場ごと・公演ごとに販売座席を決定し当ホームページにてご案内いたします。
2本目は8月28日付「出演者への差し入れ辞退について」より。
2020/08/28
日頃より、宝塚歌劇に温かいご支援を賜り、心より感謝申し上げます。
このたび、政府および自治体等による新型コロナウイルス感染拡大予防のためのガイドラインに基づき、施設内の感染予防対策の徹底を図るため、すべての劇場の宝塚歌劇公演において、食べ物をはじめとする全ての差し入れの受け取りを辞退させていただきます。
なお、お手紙につきましては拝受いたしますが、すべて下記の宝塚歌劇団(兵庫県宝塚市)まで、ご郵送いただきますようお願い申し上げます(各劇場での受け取りは辞退しております)。
« 稽古場の評価指標が作れないか想像して限界があると思い至る | トップページ | 東京芸術劇場企画制作「赤鬼」東京芸術劇場シアターイースト »
« 稽古場の評価指標が作れないか想像して限界があると思い至る | トップページ | 東京芸術劇場企画制作「赤鬼」東京芸術劇場シアターイースト »
コメント