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2020年8月 2日 (日)

新たに稽古場でクラスターが発生した記事を見て稽古場はカラオケボックスと同じという感想に至る

新宿の公演で発生したクラスターは、出演者は稽古場でのクラスター発生があっただろう、と自分なりに結論づけたばかりです。そうしたら別の芝居でもクラスターが発生しました。こちらは公演前だったので観客には影響ありません。先に日テレより

新型コロナウイルスの感染者が過去最多の367人となった東京都内で、演劇関係者20人以上が集団感染していることが分かりました。

東京都によりますと、都内の演劇集団でこれまでに出演者2人の感染が確認されたため、濃厚接触者としてスタッフを含む4、50人の検査を行ったということです。その結果、30日、演劇関係者20人以上の感染が確認されました。10代から50代までの男女だということです。

この舞台は、公演が始まる前で客は入れておらず都内の劇場で稽古を続けていたといいます。都はクラスターが発生したとみて、保健所と詳しい状況を調べています。

これだけでは様子がわからないのですが、日刊スポーツが取材していました

舞台の稽古中の演劇関係者20人以上が新型コロナウイルスに集団感染していたことが31日、分かった。

7月末の公演に向けての稽古中に、出演者2人の感染が判明。濃厚接触者として、出演者41人とスタッフなど計56人の検査を行った結果、31日までに23人の陽性が確認されたという。そのため、公演は延期(時期未定)したほか、陽性者の同居人なども検査を受けており、その結果を待っている状態という。

公演の代表者は本紙の取材に対し、稽古場には換気扇、空気清浄機をつけていたほか、除湿機で湿度調整もし、稽古場入り口も開放するなど、風通しを良くするようにしていたなどと答えた。さらにアルコール消毒液やハンドソープも稽古場に十分に配置。1日おきに掃除もしていたほか、稽古後の飲み会自粛を出演者、スタッフに要請していたという。稽古時間も昼食後に設定したほか、稽古場での飲食も最低限にするように気を付けていたという。

日テレの記事も日刊スポーツの記事も公演名などが載っていないのは、公演前に発覚して公演延期になったのだから観客に周知する必要はなく、載せることで望ましくない反響が出るのを防ぐためでしょう。よい判断だと思います。そして公演直前で検査を行なって、損失確実な状況にも関わらず延期を判断した関係者の英断は認められるべきです。さらに取材に対して稽古場の状況を説明した対応も適切です。今後のためには何がよくて何がダメか、情報を共有するべき段階だからです。

そこは前提で、稽古場の状況がどうだったか。どのような稽古場かはわかりませんが、換気扇という単語が出てくるあたりで、専門の稽古場施設ではないのだなと想像はつきます。入口を開けていたとしても、換気がないよりはまし、という環境だったのでしょう。飲み会や飲食も自粛していたようですが、そうだとしても稽古による環境の悪化のほうが上回っていたのでしょう。空気清浄機は新宿の公演の話にも書きましたが、それで済むなら新型コロナウィルスでこんな騒動にはなっていませんし、ひょっとしたら悪化の可能性も考えられます。雨だらけの7月に全国で感染が広がっているので、除湿器も同じです。

ここで記事を3本引用します。ひとつめはBuzzFeedの記事で、8割おじさんで有名になった西浦博の4月10日のインタビューです。

「8割の自粛」というのもコミュニケーションがしっかりできていません。家の周りや外でどういう工夫ができるかということも時間がない中で宣言が出たので、十分伝わっていないでしょう。

北海道で緊急事態宣言が出た時の話をみなさんとも共有したいのですが、北海道で知事の発表後に面会して、「外出自粛と呼びかけるのは、むしろ逆効果の可能性がある」と押谷先生がアドバイスしたのです。

つまり、外出を控える代わりに、お友達と会って家飲み会が始まったり、家族の夕食会があったりしたら元も子もないわけです。

自粛というのは、接触を削減してもらうことだというのが、正確に伝わらないといけません。

ふたつめは医療サイトm3.comの記事で、専門家会議メンバーの押谷仁による4月18日「クラスター解析からCOVID-19の疫学と対応策」講演の記事。たしか元の講演も例外的にYouTubeで公開されていたはず。

 誰にも感染させていない人は、密閉した環境にいない。多くの人に感染させた人は密閉された環境にいたことが分かった。クラスター、特に患者の集積が起きる環境では、人が密集している。密接した関係で発話がある。これが「3密」の条件。さらにクラスターを解析すると、換気量が増大するような活動、特に初期の段階で目立っていたのは、スポーツジム。大声を出す、歌う、ライブハウスやカラオケなど。接客を伴う飲食業、一人が不特定多数の人に接触するような環境。これらがクラスターが起きる非常に重要な条件だと考えている。

 クラスターを起こしたプライマリー・ケースを見ると、咳、くしゃみ、明らかな発熱はない例が多かった。特に多かったのは、咽頭痛。咳、くしゃみがないので、通常の飛沫感染は考えにくい。何らかの別のメカニズムがないと、起きているクラスターの多くは説明できない。

 接触感染は起こり得ると考えている。これがマジョリティーを占めることはないと思うが、例外的には起こり得る。クラスターが起きた場に、翌日行って感染した例が見られている。これは恐らく接触感染だろう。

最後が朝日新聞から7月10日「微粒子による空気感染、WHO『可能性排除できない』」です。

 世界保健機関(WHO)は9日、新型コロナウイルスの感染について報告書を発表し、空気中の微粒子がある程度の距離を漂って感染を起こす空気感染について、換気の悪い場所など一定の環境で発生する可能性を「排除できない」とする見解を示した。

 WHOは、せきやくしゃみなどの飛沫(ひまつ)感染か、物の表面を触った手にウイルスが付き、鼻や口に伝わる接触感染が主な感染経路だとしている。空気感染は、病院での気管挿管時などを除き、立証されていないとしてきた。

 今回も基本的な考えは変えていないが、空気感染の可能性を示す複数の研究に新たに言及。医療現場以外でも、合唱の練習、レストラン、フィットネスジムといった場所で「混雑して換気が悪いなどの特定の室内環境で、感染者と長時間一緒にいた場合」に、近い距離の空気感染が起こる可能性を排除できないとした。また、この分野ではさらなる研究が必要だとした。

 空気感染をめぐっては各国の専門家が6日に公開書簡を発表し、飛沫が微細になると長く空気中を漂って遠くへ運ばれると指摘。「予防的な措置が取られるべきだ」と注意を促していた。

これらの記事から私が理解したのは以下です。
・人が接触こと(会話すること)には感染の可能性があること
・3密は多くの人に感染する可能性を高くするが、2密も1密も感染の可能性があること
・大声を出す環境は感染の可能性を高くすること
・これらの理由として、飛沫感染、直接感染以外に、空気感染の可能性があること(日本では初期のころにエアロゾル感染という単語がありましたが、空気感染と呼んだほうがすっきりするようです)

もっと平たく書くと、通常の会話より大声で発声する以上、稽古場はカラオケボックスと変わらない環境であり、誰か感染した人がいたらクラスターが発生する可能性が高い、です。どのくらいの広さの稽古場にどのくらいの人数がいたのかはわかりませんが、アクティングエリアを決めて稽古するでしょうし、出演者同士が至近距離での発声は多数あったと推測します。よほど外気との換気の整った場所で距離を確保しない限り、感染は発生するものだと考えたほうがよさそうです。密閉という言葉からはすべてのドアや窓を閉め切った環境を想像しますが、複数のドアや窓を開けて体感で部屋中の空気が流れていることがわかるような環境でない限り、密閉空間と同等と認識したほうが近いのでしょう。

そこから導き出される結論は、非常に残念なものですが、「整った稽古場を用意できない公演はクラスターが発生しうるので、観に行くのはしばらく控えたほうがいい」です。緊急事態宣言解除後の芝居の上演が始まっていて、でも一部は公演中止になったりもして、いろいろありますが、一観客としては様子見を延期したほうがよいとの個人的判断です。

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