2020年9月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30      

« 読み方が難しい「#コロナ下の音楽文化を前に進めるプロジェクト」報告書 | トップページ | 芝居の客席数の50%制限が9月19日から11月末まで暫定緩和される »

2020年9月12日 (土)

緊急要望を出したのにニュースで公開しない演劇業界

前回紹介した「#コロナ下の音楽文化を前に進めるプロジェクト」報告書を背景に、クラシック音楽公演運営推進協議会が「緊急要望:イベント(舞台芸術公演)における客席の収容率50%制限の撤廃について」を9月10日付で大臣宛に出しています。いろいろ限界や不明点も残っていますが、背に腹は代えられないから早く撤廃してくれ、という立場なのでしょう。それは後で引用する文面に色濃く出ています。

この要望が連名で出されていて、他に「公益社団法人全国公立文化施設協会」と「緊急事態舞台芸術ネットワーク」も名前が載っています。前者は以前調べましたが、国公立の文化会館とか文化センターとか名の付くような施設が参加する協会で、会場側の新型コロナウィルス対策を取りまとめた団体です。クラシック音楽の会場にもなることが多いでしょうから、連名するのはわかります。こちらも同じ要望を出したことを9月10日付で公開しています

で、緊急事態舞台芸術ネットワークです。主に芝居に縁の深い劇場、劇団、スタッフ業界が名を連ねています。「2020年2月26日に政府による突然の自粛要請を受けて以来、公演の中止延期が相次いだ舞台芸術界の損害の実態を把握するため、損害額調査を実施。その結果を受けて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による舞台芸術業界が危機的状況であるとの認識のもと、緊急的に形成されたネットワークです。」と書かれている通り、今回急遽集まった団体です。要望の根拠である実験に芝居業界は何も参加していませんので、少しでも大勢の要望としたかったクラシック業界のお声がけに乗ったのでしょう。

それはそれで構いませんが、この要望を出したことが、緊急事態舞台芸術ネットワークのWebサイトのどこにも載っていません。ニュース一覧のページで私が9月12日16時時点で見ている中で一番新しいニュースは8月31日付のものです。

緊急事態舞台芸術ネットワークの世話人は大物の名前ばかりが載っているので、事務局がどうなっているのかわかりません。そう思って調べたら事務局の情報がほとんど見つからないことに気が付きました。規約の中に「当団体の主たる事務所を東京都豊島区に置く」とあり、世話人の1人が野田秀樹なので、東京芸術劇場のスタッフが兼ねているのかと想像しますが、想像の域を出ません。

事務局仕事も事務局運営ならではの常識やノウハウがいろいろ必要でしょうから、設立から4か月ではなかなか慣れていないのかもしれません。あるいは、世話人が連名することを決めて事務局に連絡を忘れたのかもしれません。ここまでニュースに載っていない理由はさておき、とりあえず名前を連名に載せたからには、要望を提出したことをニュースとして急ぎ掲載したほうがよいです。

そして緊急事態舞台芸術ネットワークの設立趣意には「『緊急事態舞台芸術ネットワーク』は、今回の新型コロナウィルスのような緊急事態にのみ活動します。すなわち、舞台芸術全体が公演中止に追い込まれそうな時、もしくは追い込まれた時においてのみ活動します。主たる目的は社会と共にいかにして舞台芸術の公演を再開していくかにあります。」とあります。一段落したら名前を変えてもいいから、この団体と事務局は維持して、演劇業界を代表する業界団体に育てたほうがよいと思います。離合集散の激しい劇団が長期の参加団体に適しにくく、規模の大きい団体の声が大きくなるかもしれませんが、そうだとしても、劇場やスタッフまで広く職種を横断した業界団体があるのとないのとでは大きな違いなので。

以下が要望の内容です。

令和2年9月10日
新型コロナウイルス対策担当大臣
西 村 康 稔 殿

緊急要望:イベント(舞台芸術公演)における客席の収容率50%制限の撤廃について

公益社団法人全国公立文化施設協会
クラシック音楽公演運営推進協議会
緊急事態舞台芸術ネットワーク

新型コロナウイルス感染症による公演の中止や施設の閉館など舞台芸術関係が被った打撃に対して、国では補正予算を含む多様な支援策を講じていただいており感謝申し上げます。公立文化施設や舞台芸術諸団体としても、新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドラインに則った対策を講じた上で、公演や施設の再開を進めているところです。

一方で、国では屋内イベントの客席収容率を一律で50%以内と示され、それを受け感染拡大予防ガイドラインでは「前後左右を空けた席配置」とし、公演再開においても50%以内の収容を厳守しています。しかしながら、多くの舞台芸術公演では、チケット販売における採算ラインを80%以上と見込んで、予算を立て制作されています。このまま収容率50%制限が続くならば、再開しても公演を続ければ続けるほど、赤字が積み上がることとなります。

クラシック演奏、ダンス、演劇、伝統芸能、演芸等の公演において観客は、原則として公演中は、定められた席に着席し、一定方向を向いて、相互の会話も行わずに観劇しています。先般、クラシック音楽公演運営推進協議会が提出公表した科学的検証においても、マスクを着用していれば、隣り合う配席でも、前後左右を空けた配席でも、感染リスクは変わらない結果が立証されております。また、劇場施設は建築法や興行法等により一定規模の空調設備が設置されており、屋内であっても決して密閉空間ではありません。

公演の中には、公演内容や観客層の年齢構成等、収容率において配慮が求められるものもありますが、公演主催者や施設管理者が、感染拡大予防ガイドラインに基づいて設定し、併せて「歓声や出待ちを控える」等の感染防止策を徹底することにより対策は可能です。

このまま不採算公演が続くと関係諸団体等の倒産や廃業、関係者の離職等による文化の継承の断絶等も想定されます。一定の条件下の舞台芸術公演において、感染拡大予防ガイドラインを遵守した上で、客席収容率50%制限の早期の撤廃をお願いいたします。

« 読み方が難しい「#コロナ下の音楽文化を前に進めるプロジェクト」報告書 | トップページ | 芝居の客席数の50%制限が9月19日から11月末まで暫定緩和される »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 読み方が難しい「#コロナ下の音楽文化を前に進めるプロジェクト」報告書 | トップページ | 芝居の客席数の50%制限が9月19日から11月末まで暫定緩和される »