2021年1月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            

« シアター風姿花伝の換気説明動画 | トップページ | ヨーロッパ全体にロックダウン傾向でもちろん劇場も対象に »

2020年12月14日 (月)

松竹と東宝の売上の話から歌舞伎の観客層の話から戻ってギャラの話

興味深い記事を見つけました。現代ビジネス「消えた120億円…コロナ禍で歌舞伎界がうけた大ダメージ」より。

それにしても、客が少ない。関係者だけの総稽古を見学しているみたいな日もあった。

松竹の、2021年決算の第2四半期の累計で見ると、3月から8月の6か月の演劇部門の売り上げは20億7200万円で、前年同期の142億6500万円の14.5%でしかない。

前年の約85%以上、120億円近くの売り上げが消えたことになる。

映像部門では、3月から8月で114億2300万円の売り上げで、前年同期は291億7800万円だったので、69%は確保できている。

演劇の落ち込みの激しさがわかる。

ライバル東宝も見てみると、3月から8月の演劇部門の売り上げは20億6900万円で、前年同期の87億3000万円に対して23.7%。映像部門は379億2400万円の売り上げで、前年同期は986億8800万円だったので、その38.4%。

演劇では松竹のほうが落ち込みが激しく、映画では東宝のほうが落ち込んでいる。だが、この後、東宝は『鬼滅の刃』が大ヒットしたので、映像部門の数字はよくなるだろう。

ここまで落込んではかなわない、という数字です。この数字の後に東宝は「鬼滅の刃」1本で同額近くをたたき出すのだから、芸能界は水物と言われる所以です。

ただこの記事は最後にもうひとつ重要な指摘があります。

松竹の数字の落ち込みは、歌舞伎興行の厳しい現実を見せつける。

前述したチケットの割高感と、演目が何度も見たものなのも、客足が鈍る一因だろう。

しかし、もともと歌舞伎興行は、熱心なファンが支えていたのではなく、一生に一度は見てみたいという人や、東京への観光客(海外からも含む)、そして何よりも団体客で成り立っていた。

コロナ禍で、団体客と観光客が消えてしまったのだから、客席が埋まらないのは当然だ。

個人の客も高齢者の比率が高かった。高齢者は行きたくても、家族が外出を止めるだろうから、行けない。

団体客と観光客が戻ってくるのは、来年も後半、五輪が無事に開催できてからだろう。

確かに幕間で観ていると外国人観光客は多かったです。ただ、熱心なファンが支えていたのではないというなら、歌舞伎は実は死に体なのでしょうか。あるいは勘三郎のころなら役者にファンがついて成立していたのでしょうか。ここはとても気になるところです。

関連記事というわけでもありませんが、同じ現代ビジネスの「知ってましたか? 歌舞伎界・梨園の『格付けと格差』」に役者のギャラの話が載っていたので、メモしておきます。これは2017年の記事なので、芸名が一部違う人たちもいます。

400年の歴史を誇る歌舞伎は、約300人の歌舞伎役者によって支えられている。彼らは30ほどの家(一門)に分かれており、家柄と役者には明確な格付けがある。
(中略)
「近代はやはり稼ぎ頭が偉いんです。お客さんが呼べる家は栄えていきます。つまり一門のなかにスターが誕生するかどうか。それがいまは海老蔵であり、猿之助であるわけです」(喜熨斗氏)
(中略)
最後の発表となった'04年の長者番付で歌舞伎界でトップだったのは海老蔵で、推定年収1億4100万円(納税額4970万円)。次いで幸四郎が推定年収1億1800万円、玉三郎が推定年収8400万円だった。

まさに人気と実力を兼ね備えた3人であり、この順位は現在も大きくは揺るがないだろう。だが、歌舞伎公演以外の収入が大きい3人でもある。本業だけではそれほど儲からない。副業に精を出さなければ、千両役者(年収1億円)にはなれないのかもしれない。

歌舞伎座公演1ヵ月のギャラは主役級で500万前後~800万円程度と推測されるが、それは格によって決まるという。

「やっぱり実力がある人、切符が売れる人に松竹が出演料を高く払うのは当然だと思いますが、海老蔵さんがいくらお客さんを呼べるといっても、菊五郎さんや吉右衛門さん、仁左衛門さんのほうが高いと思います」(歌舞伎エッセイスト・関容子氏)
(中略)
いまも歌舞伎役者300人のうち、大半は月給10万~30万円以下でもがき苦しんでいるという。

千両役者が1億円という換算は納得です。で、主役級のそのまた格上の一部の役者は、年間の大半を出演してくれるなら1億円、というのが契約の目安なのでしょう。ロングラン体制の劇団四季や、育成の宝塚音楽学校からトップになっても数年でトータル在籍期間が短い宝塚で、それ以上のギャラを払っているとは思えません。舞台メインだと千両役者が今でも超一流の基準なのでしょう。やはり厳しい業界です。

何の話か分からなくなりましたけど、気にしないでください。

« シアター風姿花伝の換気説明動画 | トップページ | ヨーロッパ全体にロックダウン傾向でもちろん劇場も対象に »

コメント

歌舞伎の観客層が根本から変わったのは、十二代目団十郎襲名から始まってバブルと軌を一にした「歌舞伎ブーム」からです。その前、歌舞伎は本当に客が入らない芸能で、松竹は映画が支えているといわれていました。この辺は新聞データベースを検索するといろいろ出てくると思います。
しかし、歌舞伎ブームでついた20代の客は現在高年になりつつある中年で、その下の世代の個人客がついてこない。世の中が不景気なのに劇場のチケット代の設定が変わらない、下がらないことが一因でしたが……
三代目猿之助、十八代目勘三郎でついたお客は、彼らの芝居しか基本的に見ない。とくに勘三郎のお客はそうでした。新たな客層が定着したかと言えば、しなかったと言わざるを得ないです。
2013年に歌舞伎座が建てかわって開場したあと、客層がどうなるだろうかと、歌舞伎を見る人は誰もが思いましたが、結果として客層は「いつでも初見」の人しか来ない。リピートするには敷居が高いと思わせる芸能になってしまっていました。
リピーターが定着しないので、昔からはとバス客や団体は大事でしたが、ますます団体客頼みにならざるを得なかった。そこにコロナが来た。歌舞伎を30年見ている観客としては、そんな感じだと思います。

匿名さん

ありがとうございます。芝居の歴史はたまに勉強していますが、客層の歴史までは手が回っておらず、とても参考になります。小劇場は多少知識も実感もあるのですが、小劇場ブームの後に大勢を動員できる劇団が続かなくてプロデュース公演に寄りすぎて、みたいな動きと歌舞伎も似ているんですね。

そして「三代目猿之助、十八代目勘三郎でついたお客は、彼らの芝居しか基本的に見ない。とくに勘三郎のお客はそうでした。」の個所、私も野田秀樹と勘三郎のコンビから歌舞伎に入った人なのでとてもよくわかります。あれと、古典と、両方楽しむ人のほうが少数派です。宮藤官九郎が後に続くかとおもったら盛大にすっころんだので、今の松竹は三谷幸喜に願いをかけているところですか。

幕間がいくら安くても映画と同じくらいの値段ですし、そもそも古典は前提知識を求めるものですし、たまに台詞がさっぱり聞き取れない言い回しの演目もあります。このエンタメ充実時代に歌舞伎見物なんて娯楽どころか修行です。私も観に行くときは楽しみ半分、勉強半分の意識です。有名な演目だから一度くらい観ておかないと、という意識ですね。

わかりやすいコメントでいろいろ教えていただき感謝です。

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« シアター風姿花伝の換気説明動画 | トップページ | ヨーロッパ全体にロックダウン傾向でもちろん劇場も対象に »