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2021年3月28日 (日)

シス・カンパニー企画製作「ほんとうのハウンド警部」Bunkamuraシアターコクーン

<2021年3月27日(土)夜>

あまり期待ができないミステリーを観に来た2人の評論家。片方はすでに売れっ子で影響力も大きく、片方は別の売れっ子評論家のアシスタントで前評判がいまいちの芝居ばかり観に行かされている。開幕した芝居は案の定いまいちで、2人は舞台そっちのけで自分たちの愚痴を言い合う。

ネタバレしてはいけない芝居だから詳しくは書かないけど、トム・ストッパードはよほど評論家が嫌いだったのかと思わされる一本。調べたら自分も半年は評論家をやっていたらしい。そこでよほど嫌なものを見たか。今回の上演も、75分で終わるからというだけでなく、制作者か演出家か、どちらかまたは両方が評論家に嫌な思いをさせられたことがあったから選んだのかなとか想像してしまう。トム・ストッパード脚本だからイギリスの話だけど、評論家の影響力がどうにも高そうだと思って調べたら1968年初演だった。イギリスは評論家の影響が大きいとは蜷川幸雄も書いていたけど、今だとどうなんだろう。客のSNSのほうが影響力が高そうだけど。

芝居の話に戻ると、生田斗真演ずる評論家のアシスタントが、意味不明な演劇評論をぶつ台詞があって、あの気分がわかる。わかるし、アシスタント止まりなのもわかる。あの場面が笑いにつながらないのがもったいなかった。役者は、劇中劇でわざとらしい演技を面白く披露する芸達者たちのなかでも、「劇中劇としてのわざとらしさ」と「劇中でこの芝居を一生懸命演じてしかも結構上手な役者」の要素を絶妙のバランスで演じた峯村リエに一票。水準以上の演技だったけど場面ごとにこのバランスが偏って見えた山崎一は、小川絵梨子にもう少し使いこなしてほしかった。間と緩急をがっちりはめるコメディ向きの演出スタイルではないのだろうけど。

今回1階席で観られたけど、劇場の音響が確実によくなっている。前回メンテナンスで手を入れたのかも。音楽よかったし、千鳥格子の座席販売だったけど最後の拍手の音の埋まり具合もよかった。

配信のあった日だからか、カーテンコールで生田斗真が、観に来てくれた人に感謝、観に来たことがない人も安心して観に来られる日になりますように、という趣旨の挨拶で格好よかった。ただまあ、新型コロナウィルスのこの時期には収まりの悪さを感じる芝居だった。何でもないときに観たかったコメディ。

そのほか新型コロナウィルス対策メモ。入場前に靴裏消毒、手指消毒、カメラ検温。で、ようやくチケットもぎり、これはロビースタッフが行なった。ロビー販売は飲食なし、物販はパンフレットなど最小限。椅子は1階にはあったけど飲食は最低限の水分補給を除いて禁止の指示、この最低限という記述の細やかさが大事。開演前に注意事項の書かれたボードを持ったスタッフが歩き回ってボードを見せている。こちらはスタッフはフェイスシールドなし。開演前にはアナウンスでの注意があったはず。退場時はスタッフが客席列を示したボードを掲げて後ろがはけるまで待つように整列退場を依頼。75分の芝居を選んだのも対策の一環。全体にアクティングエリアが後方に寄るように(客席最前列と距離を保つように)導線を工夫していた気配もあった。

世田谷パブリックシアター企画制作「子午線の祀り」世田谷パブリックシアター

<2021年3月27日(土)昼>

源平合戦の末期、一の谷の合戦で義経に奇襲をかけられた平家軍が大敗し、阿波民部重能を頼って落延びるところから、源平双方が総力を挙げた舟戦である壇の浦の戦いで、平家が敗れて一族が入水または生捕りにされるまで。

前回観ていたけど、思うところがあってもう一度観ておきたかったので挑戦。今回は新型コロナウィルス対策のため、役者の数をぐっと減らして一部登場人物は削り、群読も控えめにしていた。なんとなく場面も減っていた気がする。詳細不明だけど上演時間が前回3時間50分、今回3時間20分、出なくなった役の分だけ短くなったか。

群読控えめなのでその点は前回のほうが脚本の魅力を伝えていた一方で、一人の役者の台詞は聞きやすく理解しやすく、一長一短。最後の合戦はさすがに群読を使って、そこは前回よりも少なめの人数かつ公演も終盤のため、聞きやすいと言えるくらい揃っていた。

役者の感想は前回に近い。何と言っても義経の成河が一押し。描かれていない場面まで想像して役作りしている雰囲気をひしひしと感じる。村田雄浩の阿波民部重能の無念から「民部、心はぐれてしまい申した」とか、金子あいの前回建礼門院から今回二位の尼の入水で「波の下にも都のさぶろうぞ」とか、ぐっとくる。野村萬斎は前回よりかなりよかったけど、やっぱり演出つけてもらうほうがこの人は生き生きとするなというのも同じ感想。

でも今回は、評議で紛糾してから法皇の院宣でさらにこじれるところや、義経と梶原景時が意見が合わずに衝突するところや、寝返っていないか疑う知盛と負けたときの対応まで考える重能との噛合わないところや、水主梶取を倒そうとする義経と止める船所五郎正利。この手の場面、無理なものを無理と認められない人間がいるばかりに揉める場面のなんと多いことかと泣きそうになった。疲れているな自分。

そもそも和平で一旦引いて立て直すのが最善だったのに揉めて和戦どちらか目的が揃えられないでいるうちに法皇に先を取られて追いこまれて戦わざるを得なくなった平家と、鎌倉から疎まれている現地の大将にも問題なきにしもあらざるものの戦って相手を滅ぼすのが目的であり揉めているのは戦いの進め方である源氏。戦略のミスを戦術に頼らざるを得ない時点で平家は負けていた。なのに、万が一と退却の道筋を用意していた民部を、とらわれた民部の息子が敵方に寝返ったからとは言え、疑って採用できなかった知盛(実際には塞がれて逃げられなかったのだけど)。戦略のミスは戦術で覆せないのに戦術頼みで負けるのは本邦千年来のお家芸なのか、古今東西の典型的な負けパターンなのか。平家物語に学ぶ戦略と戦術、とかコンサルタントが本を書くレベル。だから語り継がれて大勢の日本人が耳を傾けてきたに違いない。

思うところはもっと小さいところだったのに、観ていてそんな主語が大きい感想まで持ってしまった。やっぱり疲れている。前回より登場人物が減った分だけ骨格に目が向いたか。古典の元ネタに現代的な視点と詩的な語りが入って、とにかく脚本がよくできている。演者を揃えるのが大変な芝居だけど、今後も定期的な上演を望む。

その他特筆として舞台美術。前回は動く階段だけだったけど、今回は加えて海面を思わせる反射する円形の床に三日月形の回転する台を組合せて舞台中央に配置した、月の運航を思わせる美術の圧倒的正解感。高さと動きも作れて戦の場面も映える、次回以降の上演で定番化しそうな松井るみの力作。

疑問だったのは語りの録音。前回は低音過多で聞き取りにくかったけど、今回は低音を削りすぎて聞きやすい代わりに昔のラジオっぽく聞こえる。聞き取りにくいよりはいいけど、いいと思ってあのレベル調整したのかは気になる。

オープニングは前回と同じく数分前から日没と月を待つ体だったけど、若村麻由美以外は全員マスクで参加。カーテンコールも最後は全員マスクを付けて、新型コロナウィルス気を付けつつ客も気を付けろよとの無言のメッセージ。違和感なく成立していた。拍手。

そのほか新型コロナウィルス対策メモ。入場は消毒から自分でもぎり、チラシはロビーに置いて本人ピックアップで触った分は持ち帰れの指示。物販はパンフレットのみ、飲食なし。ロビーの椅子がほとんど取っ払われて入口階に単発の椅子が数席のみなのは会話防止か飲食防止か、休憩時間中にロビー休憩難民になる。客席だけでなくロビーも飲食禁止指示もこっそり飲物を飲むくらいは黙認。客席最前列はフェイスシールドをしていたが配布されたものか、多少舞台に距離を取っていたけど声が勝負のこの芝居なら用意するのは正解。スタッフはフェイスシールド着用。開演前を忘れたけど休憩時間終了間際は声掛けの代わりにボードで注意していたが、アナウンスを流さないのは実効性がないという経験則なのか、理由が知りたい。客席は当初すのこ状に列飛ばしで販売していたのを後から追加販売で、後方端と上階端以外は残っていたものの9割くらいの入りか。退場時は後方から列単位で整列退場実施、上階はある程度待ってから実施。客は見た範囲では全員マスク着用で会話も控えめ。

2021年3月17日 (水)

宝塚より面白そうな元宝塚ジェンヌの結婚報道

文春オンライン「トヨタ御曹司が結婚 お相手は元タカラジェンヌ」より。

 トヨタ自動車株式会社の代表取締役社長・豊田章男氏(64)の長男・豊田大輔氏(32)が近く結婚することが「週刊文春」の取材でわかった。お相手は元タカラジェンヌの星蘭ひとみ(26)。
(中略)
 2人を知る人物が明かす。

「昨年2月頃、大輔さんがミュージカルを観に行ったところ、そこで星蘭さんと出会ったそうです。車の話題などで盛り上がり、ほどなく交際に至った。結婚を機に芸能界からは完全に身を引き、大輔さんを支えていくことに決めたようです」

さすがトヨタの御曹司ともなると結婚相手も別嬪さんや、と思いきや、星蘭ひとみのほうも実はすごかった。まとめサイト市況かぶ全力2階建「トヨタ自動車の御曹司・豊田大輔さん、出光一族の元タカラジェンヌ・星蘭ひとみさんと車ガソリン婚」によれば、

港区出身、幼稚園~高校まで学習院の超お嬢様、オードリーヘップバーンの再来と呼ばれる美貌を持ち超難関の宝塚に見事合格、新公ヒロインも複数回務める期待の娘役だったが突如宝塚退団、その後朝ドラ出演などに抜擢され今後の活躍が期待される中、大企業の御曹司との結婚報道……小説でもなかなかない


そもそもTOYOTAと出光だしな。家柄あってる。


宝塚音楽学校の受験を勧めた元タカラジェンヌは鳳蘭、学習院幼稚園から佳子さまの御学友って言うからもういろいろと別世界の話

ということで、出光一族の御令嬢だった。だからミュージカルは出会ったというより、見合いですね。そりゃそうだわな、トヨタの息子が自由結婚なんてできるわけがない。お相手も事情は似たようなものでしょう。ということで、そこらの芝居も真っ青の財閥婚です。

やっぱりこのくらいになると、上流階級のルールと不自由さを日常で会得していて、貴族の芝居なんかに出演すると「ああ、わかるわ」「おばさまがこうだったわ」「そのマナーはイギリス流でフランス流ではありませんけど黙っておきましょう」みたいに演技にリアリティが乗ってきたりするんでしょうか。ここはやはり、宝塚入団からこの結婚までの経緯を芝居に仕立てて宝塚で上演してほしい。「佳子、あたし決めたの。あの人と結婚する」みたいな。知らんけど。

あと、上のまとめサイトで載っていたので面白かったのはこれです。

確かに貴族が会うのは劇場ってヅカ作品で学んだ。

現代日本の古典劇というお話。

2021年3月 9日 (火)

宝塚の誹謗中傷対応アナウンス

そういえば「SNSやインターネット上における誹謗中傷等への対応について」というアナウンスが宝塚から出ていました。

2021/03/01

いつも宝塚歌劇にご愛顧を賜り、ありがとうございます。

昨今、TwitterやInstagram等のSNSやインターネット上の掲示板等において、出演者やスタッフに対する誹謗中傷や、事実に基づかない悪意ある憶測を流布する行為などが多くみられており、例えば現在、以下のようなものを確認しております。

・特定の出演者やスタッフを名指しのうえ、事実ではない情報をもとに、非難、攻撃をすること。
・特定の出演者やスタッフの技量、成果物その他に対し、本人を傷付ける意図を持って、批評や個人的感想を超えた言葉で攻撃すること。
・特定の出演者の人事情報について、あたかも事実であるかのような表現を使い、事実ではない情報を拡散すること。

宝塚歌劇団といたしましては、お客様よりいただく様々なご意見や叱咤激励を有難く拝見し、より良い舞台をお届けするための励みとさせていただいておりますが、上記のように、特定の個人を攻撃するような行為によって、出演者やスタッフが万全な状態で公演に邁進できない事態になりかねない状況は大変遺憾であり、非常に危惧すべき状況であると考えております。
なお、今後上記行為を確認しました場合には、弁護士等と協議のうえ、しかるべき法的措置を検討させていただくとともに、発信者情報開示請求を実施するなどインターネット上の誹謗中傷等にも対応してまいります。

何卒、ご理解を賜りますよう、お願い申し上げます。   

宝塚なんてむしろ熱烈なファンの集まり思っていましたが、どんな人が誹謗中傷するのでしょう。誹謗中傷するにも名指しできる程度の知識はないといけないので、それなりのファンなのかなと推測します。挙がっている内容から考えるとこんなところでしょうか。

・特定の役者のファン過ぎて、年次的にライバルになりそうな他の役者を誹謗中傷する
・特定の役者のファン過ぎて、その役者が失敗した時のスタッフを誹謗中傷する
・特定の役者のファン過ぎて、特定の役者の番手が上がる(って表現でいいのかな)ことを確実だと思い込んで書き込んでしまう

育成から上演まで特異な熱意で運営される環境と、そこに感応した特異な熱意のファンとの相互作用で、神経のねじれた人間が一定数発生してしまうのはまああり得ます。あとはファン以外で知識があるというと、あまり想像したくないですが、内輪揉めからの嫌がらせとかあり得るんでしょうか。

手塩にかけて育成しているのにこんなことで挫折されたら大損でしょうし、昨今のSNS誹謗中傷の悪影響が起きてからでは遅い、ということで、今のご時世ならではの気になる対応です。

誹謗中傷の実物を調べてみようかと思ったのですが、なんかエネルギーを吸いとられる予感がするので止めておきます。

2021年3月 6日 (土)

2021年3月4月のメモ

全体に上演数が少なく、1年前からの影響が出ている印象です。

・劇団☆新感線「月影花之丞大逆転」2021/02/26-04/04@東京建物BrilliaHALL:前月繰越

・松竹製作「三月大歌舞伎」2021/03/04-03/29@歌舞伎座:第一部に勘九郎七之助で「猿若江戸の初櫓」、第二部に仁左衛門で「熊谷陣屋」、第三部に吉右衛門の「楼門五三桐」と玉三郎鴈治郎の「隅田川」とあるのでまとめてピックアップ

・シス・カンパニー企画製作「ほんとうのハウンド警部」2021/03/05-03/31@Bunkamuraシアターコクーン:小川絵梨子演出のトム・ストッパード脚本

・こまつ座「日本人のへそ」2021/03/06-03/28@紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA:井上芳雄小池栄子に栗山民也演出

・小田尚稔の演劇「是でいいのだ」2021/03/11-03/15@三鷹SCOOL:ここ数年恒例のこの時期の上演

・アマヤドリ「生きてる風」「ブタに真珠の首飾り」2021/03/18-03/28@シアター風姿花伝:ダリみたいなチラシ画像でピックアップ

・世田谷パブリックシアター企画制作「子午線の祀り」03/19-03/30@世田谷パブリックシアター:神奈川芸術劇場で2月上演開始からの繰越

・新国立劇場主催「斬られの仙太」2021/04/06-04/25@新国立劇場小劇場:フルで上演したら7時間のところがんばって4時間40分で上演という三好十郎脚本

・松竹製作「四月大歌舞伎」2021/04/03-04/28@歌舞伎座:第一部に白鸚幸四郎の「勧進帳」(ダブルキャストだと幸四郎松也)、第三部に仁左衛門玉三郎で「桜姫東文章 上の巻」があるのでまとめてピックアップ、桜姫東文章は下の巻とかやるんだろうか

・東京芸術劇場主催「パンドラの鐘」2021/04/14-05/04(04/13プレビュー)@シアターイースト:熊林弘高演出でどうなるか

ここらで一度観に行きたいけど、迷います。

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