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2021年3月28日 (日)

世田谷パブリックシアター企画制作「子午線の祀り」世田谷パブリックシアター

<2021年3月27日(土)昼>

源平合戦の末期、一の谷の合戦で義経に奇襲をかけられた平家軍が大敗し、阿波民部重能を頼って落延びるところから、源平双方が総力を挙げた舟戦である壇の浦の戦いで、平家が敗れて一族が入水または生捕りにされるまで。

前回観ていたけど、思うところがあってもう一度観ておきたかったので挑戦。今回は新型コロナウィルス対策のため、役者の数をぐっと減らして一部登場人物は削り、群読も控えめにしていた。なんとなく場面も減っていた気がする。詳細不明だけど上演時間が前回3時間50分、今回3時間20分、出なくなった役の分だけ短くなったか。

群読控えめなのでその点は前回のほうが脚本の魅力を伝えていた一方で、一人の役者の台詞は聞きやすく理解しやすく、一長一短。最後の合戦はさすがに群読を使って、そこは前回よりも少なめの人数かつ公演も終盤のため、聞きやすいと言えるくらい揃っていた。

役者の感想は前回に近い。何と言っても義経の成河が一押し。描かれていない場面まで想像して役作りしている雰囲気をひしひしと感じる。村田雄浩の阿波民部重能の無念から「民部、心はぐれてしまい申した」とか、金子あいの前回建礼門院から今回二位の尼の入水で「波の下にも都のさぶろうぞ」とか、ぐっとくる。野村萬斎は前回よりかなりよかったけど、やっぱり演出つけてもらうほうがこの人は生き生きとするなというのも同じ感想。

でも今回は、評議で紛糾してから法皇の院宣でさらにこじれるところや、義経と梶原景時が意見が合わずに衝突するところや、寝返っていないか疑う知盛と負けたときの対応まで考える重能との噛合わないところや、水主梶取を倒そうとする義経と止める船所五郎正利。この手の場面、無理なものを無理と認められない人間がいるばかりに揉める場面のなんと多いことかと泣きそうになった。疲れているな自分。

そもそも和平で一旦引いて立て直すのが最善だったのに揉めて和戦どちらか目的が揃えられないでいるうちに法皇に先を取られて追いこまれて戦わざるを得なくなった平家と、鎌倉から疎まれている現地の大将にも問題なきにしもあらざるものの戦って相手を滅ぼすのが目的であり揉めているのは戦いの進め方である源氏。戦略のミスを戦術に頼らざるを得ない時点で平家は負けていた。なのに、万が一と退却の道筋を用意していた民部を、とらわれた民部の息子が敵方に寝返ったからとは言え、疑って採用できなかった知盛(実際には塞がれて逃げられなかったのだけど)。戦略のミスは戦術で覆せないのに戦術頼みで負けるのは本邦千年来のお家芸なのか、古今東西の典型的な負けパターンなのか。平家物語に学ぶ戦略と戦術、とかコンサルタントが本を書くレベル。だから語り継がれて大勢の日本人が耳を傾けてきたに違いない。

思うところはもっと小さいところだったのに、観ていてそんな主語が大きい感想まで持ってしまった。やっぱり疲れている。前回より登場人物が減った分だけ骨格に目が向いたか。古典の元ネタに現代的な視点と詩的な語りが入って、とにかく脚本がよくできている。演者を揃えるのが大変な芝居だけど、今後も定期的な上演を望む。

その他特筆として舞台美術。前回は動く階段だけだったけど、今回は加えて海面を思わせる反射する円形の床に三日月形の回転する台を組合せて舞台中央に配置した、月の運航を思わせる美術の圧倒的正解感。高さと動きも作れて戦の場面も映える、次回以降の上演で定番化しそうな松井るみの力作。

疑問だったのは語りの録音。前回は低音過多で聞き取りにくかったけど、今回は低音を削りすぎて聞きやすい代わりに昔のラジオっぽく聞こえる。聞き取りにくいよりはいいけど、いいと思ってあのレベル調整したのかは気になる。

オープニングは前回と同じく数分前から日没と月を待つ体だったけど、若村麻由美以外は全員マスクで参加。カーテンコールも最後は全員マスクを付けて、新型コロナウィルス気を付けつつ客も気を付けろよとの無言のメッセージ。違和感なく成立していた。拍手。

そのほか新型コロナウィルス対策メモ。入場は消毒から自分でもぎり、チラシはロビーに置いて本人ピックアップで触った分は持ち帰れの指示。物販はパンフレットのみ、飲食なし。ロビーの椅子がほとんど取っ払われて入口階に単発の椅子が数席のみなのは会話防止か飲食防止か、休憩時間中にロビー休憩難民になる。客席だけでなくロビーも飲食禁止指示もこっそり飲物を飲むくらいは黙認。客席最前列はフェイスシールドをしていたが配布されたものか、多少舞台に距離を取っていたけど声が勝負のこの芝居なら用意するのは正解。スタッフはフェイスシールド着用。開演前を忘れたけど休憩時間終了間際は声掛けの代わりにボードで注意していたが、アナウンスを流さないのは実効性がないという経験則なのか、理由が知りたい。客席は当初すのこ状に列飛ばしで販売していたのを後から追加販売で、後方端と上階端以外は残っていたものの9割くらいの入りか。退場時は後方から列単位で整列退場実施、上階はある程度待ってから実施。客は見た範囲では全員マスク着用で会話も控えめ。

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