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2021年6月 5日 (土)

団体ごとに上演劇場の流れが別れてきてやいないか

こういう話題を書くと劇場すごろくガーって騒ぐ人が来ますけど、そういう人は置いておきます。単に流れが出来て、しかも別れていやしないか、という話です。もともと大手の松竹東宝阪急は外します。

・下北沢小規模系

どこかの小さい劇場から、駅前劇場、ザ・スズナリあたりで上演する層です。ただ、ここから本多劇場まで行く団体が最近は少ない。

・老舗劇団系

本多劇場でたまに上演しつつ、演出家がシアターコクーンに呼ばれる層を想定しています。が、最近はあまりいませんね。ナイロン100℃、大人計画(ウーマンリブ含む)に、M&O Playの上演で岩松了や倉持裕が絡むくらいでしょうか。

・民間ストレートプレイプロデュース系

シアターコクーン、世田谷パブリックシアター、東京芸術劇場プレイハウス、新国立劇場中劇場、が射程で上演する層です。シス・カンパニーやホリプロ、あとはTBS以外のテレビ局関係のプロデュースなどです。PARCOが外の劇場でプロデュースする場合もここですね。

昔だとサンシャイン劇場も入ったと思いますが、今は2.5次元芝居が多いイメージがあります。

・こまばアゴラ劇場系

他に吉祥寺シアターとか、三鷹星のホールとか、東京芸術劇場のシアターイーストとウエストとか、神奈川芸術劇場の大スタジオとか、こまばアゴラ劇場以外は似た規模の公共劇場をぐるぐる廻る層です。こまばアゴラ劇場系と便宜上書きましたが、娯楽志向より表現志向が強い団体ですね。ここから規模を上げない団体が最近は目立ちます。

・公共劇場自前系

新国立劇場の小劇場、世田谷パブリックシアターのシアタートラム、神奈川芸術劇場の大スタジオ、あたりです。それぞれ中劇場、世田谷パブリックシアター、ホール、の大規模にはあまり手を出したがりません。こまばアゴラ劇場系か次の新劇系から演出家が起用されやすいイメージがあります。

・新劇系

自前の拠点で上演しつつ、たまに紀伊国屋ホールやサザンシアターで上演しています。あとはツアー。

・民間ミュージカルプロデュース系

スターを呼んで上演する層です。赤坂ACTシアター、東京建物BrilliaHall、IHIステージアラウンド東京が3大劇場です。ミュージカルが多く、劇団☆新感線もここに乗っています。

最後の民間ミュージカルプロデュース系は松竹東宝阪急に準ずるから外していいと思います。残りの系統を大雑把に、民間劇場系(下北沢小規模系、老舗劇団系、民間ストレートプレイプロデュース系)と公共劇場系(こまばアゴラ劇場系、公共劇場自前系、新劇系)に別れているように見える、というのがこのエントリーの趣旨です。娯楽系と表現系と分けてもいいかもしれません。公共劇場の興隆で後者が育ってきました。

昔はもう少し本多劇場と紀伊国屋ホールの上演団体が近いイメージがありましたけど、最近はあまりかすりませんね。いまいろいろな種類の団体が上演している劇場はどこだと聞かれたら、東京芸術劇場のシアターイーストとウエストではないかと答えます。手ごろな規模の劇場を持ちつつ、野田秀樹の影響でだいぶ変わりました。

そして紀伊国屋ホールや本多劇場で上演する団体が増えていない気がします。今もあるかわかりませんが、昔はどんなに人気があっても本多劇場初回の団体には4日しか貸さないルールがあって、それでキャラメルボックスは縁を切ったと読んだことがあります。

ただ、今は紀伊国屋ホールも本多劇場も、400人規模の劇場に手を出す団体自体が減って、両者とも上演団体の新陳代謝が出来ていない印象が強いです。本多劇場だと新規常連団体はヨーロッパ企画くらいでしょうか。その、昔なら400人規模の劇場に手を出した団体が今はどこにいるかというと、こまばアゴラ劇場系の規模、200人前後の劇場でたむろしています。

1公演の集客が1万人を超えたあたりが(収入と支出のバランスで)一番きつい、とはこれもキャラメルボックスの話で読みました。1か月4週末で25ステージを上演するとちょうど1万人です。団体の上演だけで食っていくことを目指すのでなければ、劇場の規模はそのままにロングランして、あとは他の上演なり映像の仕事なりに出演するのが安定するんだろうな、とは想像がつきます。

ところで今の芸術監督には下北沢系から老舗劇団系を辿った出身者が結構な割合を占めています。野田秀樹、松尾スズキ、長塚圭史ですね。新国立劇場は小川絵梨子という海外系の突然変異の芸術監督になったのが例外で、もともと新劇系です。串田和美や佐藤信の自由劇場出身者も俳優座出身だから新劇系と言えます。平田オリザはもちろんこまばアゴラ劇場系です。野村萬斎は古典畑の人、近藤良平はダンス畑の人ですね。

この多様性が保てているのがよいのですが、ここから下北沢系の出身者がいなくなった場合、どこから芸術監督を充てることになるのでしょう。新劇系は長年運営されている大所帯で演出することで、老舗集団ならではの経験が積めるのでしょう。それが下北沢系の場合、そこでとどまって老舗劇団系のキャリアを踏めていない場合、芸術監督が務まるのか微妙なところです。こまばアゴラ劇場系でとどまっている場合も同様です。

もともと劇場すごろくと呼ばれるくらい一本道しかなかったところに、別の選択肢が出てきたことは素晴らしいかもしれませんが、いいこともあれば悪いこともあるでしょう。以前なら民間劇場系の団体は、ある程度売れたら押し出される形で老舗系に進出せざるを得なかったところ、そのパスから外れられるようになった。個別の団体視点では喜ばしいことですが、「業界」の人材育成がどうなるか。私の趣味の範囲に偏った範囲ですが、要観察です。

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