2022年5月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        

« 2022年3月 | トップページ | 2022年5月 »

2022年4月13日 (水)

宝塚の入学倍率の話

こんな記事を見かけました。デイリースポーツ「宝塚音楽学校 4回目で合格『信じられない』 元タカラジェンヌ名ダンサーの娘も」より。

 タカラジェンヌを育成する兵庫県宝塚市の宝塚音楽学校で30日、第110期生の合格発表が行われ、692人が受験し、17・3倍の難関を突破した40人が夢への切符を手にした。

17.3倍とは難関だなと思ったので、難関倍率話題でよく挙がる東大の入学倍率を調べてみました。今載っている最新情報が1年前の情報ですが、記事に合せて受験者数と合格者数で一番低いのが理科一類の2744人対1122人で2.45倍、一番高いのが理科三類の335人対98人で3.42倍です。

他に何かないかなと考えて、東京藝術大学の入学倍率を調べてみました。こちらは今年の情報がすでに載っています。志願者数と募集人員なので厳密には違いますが、一番低いのが音楽学部邦楽科の41人対25人で1.64倍、一番高いのが美術学部絵画科油画の951人対55人で17.29倍です。

つまり、藝大の最難関コースと宝塚音楽学校とで、倍率がほぼ同じです。

もちろん東大は優秀さでふるいにかけられたあとの受験者による倍率ですし、藝大だって芸術実技のコースは試験の時点で実技が一定以上できる受験者による倍率です。さらに宝塚音楽学校は入学時年齢が15歳から19歳なので対象年齢も違います。が、公開されている審査内容も第3次試験まであってなかなかの厳しさです。

・面接では、容姿、口跡、動作、態度、華やかさ等、宝塚歌劇の舞台への適性を審査します。
・歌唱試験では、課題曲の歌唱により、声量、声質、音程等を審査します。加えて新曲視唱により基礎的な読譜力を審査します。
・舞踊試験では、リズム感など基本的な運動能力や柔軟性、ならびに洋舞の適性等を審査します。課題は、当日試験場において本校生徒が模範演技を示します。

華やかさまで審査対象になる点は、筆記試験の東大や実技の比率が高い藝大よりしんどいとも言えます。それで受験のライバルが、ミス・ワールド・ジャパンのファイナリストや、親が宝塚の二世です。東大にも藝大にも二世三世はいるでしょうが、勝るとも劣らない難関と言えます。

音楽学校入学が40人です。そして今の宝塚は5組それぞれに70人強、それと専科で、ざっと400人です。途中辞める人もいれば長く活動する人もいて、在籍平均がざっと10年になります。最初の1-2年は慣れるところからでしょうが、通算10年活躍してもらわないといけない。そのための基礎をゼロから2年で叩きこむのは無理だし、芸能ごとで客から求められる華やかさは先天性によるところが大きい。それに応えられる人材を宝塚の芝居で魅了して引き寄せないといけない。

順調に回っているときはいいですが、駄目になったらとことん駄目になるシステムです。いきおい、音楽学校入学時点の重要性が高くなり試験も厳しくなろうというものです。

<2022年4月14日(木)追記>

全文引用するなと指摘が来たので記事部分を倍率の個所のみに削減。

2022年4月11日 (月)

新国立劇場バレエ団が見せたいろいろな支援の形

「アンチポデス」がプレビューに続いて初日も延期と聞いて新国立劇場の公式発表を見に行ったら、たまたま見つけました。「ウクライナ情勢の影響により帰国しているダンサーのクラスレッスン受け入れについて」より。

2022年4月11日

新国立劇場バレエ団は、ウクライナ情勢の影響により帰国している、プロフェッショナルとして活動中のバレエダンサーをサポートいたします。
大変難しい状況下におかれている方々への支援の一環として、バレエ団のクラスレッスンを提供させていただきます。僅かながら一助となれば幸いです。

ご希望の方は下記の内容をご覧いただき、下記のメールアドレスへご連絡ください。
募集内容
レッスン期間:2022年4月より 
スケジュール:平日10:00~12:00の間で75分程度
場所:新国立劇場 リハーサル室
お申込み先: buyo_fm@nntt.jac.go.jp へメールにてご連絡ください。
その他
※事前に連絡先や職歴などをご記入いただく書式、参加にあたっての承諾書をご提出いただきます。
※初回のレッスン前および定期的に実施する、劇場の指定するウイルス検査を受検いただきます。
※新型コロナウイルス感染拡大予防対応によるリハーサル室のスペースの都合上、定員になり次第お申し込みを締め切らせていただきます。

吉田都舞踊芸術監督よりメッセージ

バレエダンサーには毎日の基礎レッスンが欠かせません。ウクライナ情勢のために、急に拠点を離れ稽古場を確保しなければならない状況に置かれたダンサーたちに、バレエ団のクラスレッスンを受けていただきたいと思います。私自身もイギリスを離れ日本でフリーとして活動することになった時に、スターダンサーズ・バレエ団のクラスレッスンに参加させていただき、大変有難く思った経験があります。

新国立劇場バレエ団にできることはどういうことか、考え続けています。少しでも辛い思いをされているバレエダンサーの力になれるよう、これからも動いてまいります。

ウクライナ関係者に直接支援するのではなく、自分たちの守備範囲にある巻きこまれた人達に、無理のない形で間接的に支援を提供するのが、何というかその、いいですよね。「帰国している」とあるので邦人メインかと思いますが、ウクライナ難民にもダンサーがいるかもしれない。そういうところにつながる可能性もある。

世間全般の各種支援の中では地味なほうに分類されるでしょうけど、国公立劇場にふさわしい活動です。侵攻から2か月経っていないのに実現までもっていった芸術監督および関係者の努力が報われますように。

2022年4月 6日 (水)

表現の自由は他人の自由を含むか

走り書きです。

去年の年末にこんなことを書きました。これはコンテンツ(あえて芸術とは言わない)を創る側の表現の自由についてです。

一番は自民党が参議院の立候補に漫画家を立てての表現の自由に関する話題です。ことさらに取りあげるのは、表現の自由なんて芝居関係者には自明のことと考えるのは早計だからです。もともと左翼的イデオロギーの強い舞台関係者の中に自民党大嫌いという人達が一定数いて、表現の自由より自民党嫌いを優先させるひねくれものが一定数出てくる可能性があります。私自身もその傾向がありますが、大義のために気に入らない奴のことを我慢するくらいなら、大義なんて蹴っ飛ばして気に入らない奴をけなすほうがいい、と思うことは度々あります。それが行き過ぎて、自民党を応援することになるくらいなら表現の自由をあきらめてもいいと言い出す関係者が出てこないか、比べられないものを比べて蹴っ飛ばす人が出てきてしまわないか、今からドキドキしています。出てこないことを願います。

ただ最近思ったのは、コンテンツに対する表現の自由は案外認められるのではないか、その代わりにコンテンツに対する評価を統一するような動きが出る可能性があるのではないか、です。この統一の対象とは、面白いつまらないの評価だけではなく、そのコンテンツの社会的立ち位置についての評価です。

例を挙げます。いまロシアをテーマにした新作芝居をつくるとして、ロシアを褒める内容の芝居だったとします。この上演は認められるとして、観客がロシアにも認めるべき点があると感想を書けるか。書いた瞬間に芝居と現実の区別がついていない間抜けという非難が飛んでこないか。

観客は芝居を観ての芝居についての感想であり、現実のロシアについては是々非々とわかっていたとしても、読者が多ければ非難は飛んでくるでしょう。むしろ芝居と現実の区別がついていないのは非難した側なのに。いわゆるクソレス、クソリプと呼ばれるものです。だからと言って感想への反応を止めるわけにはいきません。誤解する人間は一定数いるので、少なくとも読解力のある人間に誤解されないように書く努力を試みる必要があります。

一方で、コンテンツと呼ばれるものは鑑賞する側に影響を及ぼすことを志向するので、観客がロシアにも認めるべき点があると感想を書いたらガッツポーズですし、そこに非難の余地はありませんし、非難するべきでもありません。ただし、この時期にロシアをほめる内容の芝居を上演して穴だらけの設定だったら非難されるのは最初から覚悟しておくべきですし、木戸銭払った観客につまらないと感想を書かれたなら甘受すべきです。

表現の自由の定義は「やりたいことをやる」では片手落ちで、「自分にとって気に入らないことをやっていることを認める」まで含みます。もちろん程度問題であり、さすがに人殺しを認めろとまでは言いません。ただ表現の自由とは、自由という名前にも関わらず不自由も強います。

年末に偉そうなことを書きましたが、たまに沸騰して文句を書き散らす自分がどこまで表現の自由を尊重しているかと言われると、自信がありません。このブログでは、少なくとも芝居の感想は、自腹で木戸銭を払った人間として書いてきました。零細ブログと言えども、その線だけは守りたいです。

« 2022年3月 | トップページ | 2022年5月 »