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2023年7月16日 (日)

National Theater Live「ハムレット」

<2023年7月15日(土)夕>

王である父を亡くして悲しみに暮れるデンマークのハムレット王子。それから二か月しか経っていないのに母が叔父と再婚を決めてさらに悲嘆していた。だが父王の亡霊を見たと夜警の兵士から教えられて見張っていると、はたして父王の亡霊と出会う。叔父に毒殺されたのだと伝えられたハムレットは、叔父に復讐を果たすために狂人を装って機会をうかがう。

オセロー」を観たらアンコール祭りをやるとのことで見物。衣装や役や小道具で若干の現代風アレンジがされているけど、まあ丸ごとハムレットのはず。一部の役で黒人の役者が起用されたり女性に置きかえられたりしているのは、なかなか今様なのだろうなと。

ベネディクト・カンバーバッチ主演と言われてもピンとこなかったけど、確かに主演を務めて最後までテンションを切らさないところはさすが。殺陣をつけているとはいえ最後の決闘は結構危なく見えてどきどきする。ただ今回だと、一番の出来は王妃だった。弱きものよ汝の名は女なりだけに収まらない、再婚を決めるまでにいろいろ葛藤があったし今もいろいろ考えているのだろうなと思わせる現代的な役作りですね。僅差で二番目は叔父の新王。卑怯な人物とはいえ、王の弟として育ってきた貫録と、王位の簒奪を狙った人間の強かさ、諦めずに状況を自分の都合のいい方に持っていこうとする粘り強さを見せてくれた。ハムレットも十分よかったけど三番目ですね。次が僅差でオフィーリア、また僅差でレアティーズ。

あとは映像で観ていると意識しづらかったけど、長い一幕の終わりに舞台を汚して、二幕はそのまま演じる美術はすばらしかったですね。外の場面を外っぽく見せつつ、屋敷の場面は崩れていく王家の荒廃した心象につなげる。始まる前にわざわざ美術も名前を紹介していましたけど、なるほど会心の美術でした。あれは1日2公演できるんだろうか。

で、やっぱり字幕で観ると余分な台詞の修飾が減って、理解が進みます。かっちりと王家と忠臣一家と友人の関係を描いた演出に、はっきりした字幕で、ようやくハムレットの物語を理解した気分になりました。字幕でたぶん2か所誤植があって、それが惜しい。

なるほど四大悲劇に数えられているだけのことはある、とわかって大満足でした。

2023年7月11日 (火)

Twitterの閲覧制限が困るので当日券の案内はホームページでやってくれないかというぼやき

タイトル通りです。まあ制作側からしたらTwitterの方が楽ですよね。ちょいちょいと書込めばそれでいいんだから。

当日券の発売予定数見込みを書くならそれでいいんです。「若干枚」とか「余裕があります」とか「お立見だけになります」とか。

ただ、そもそも当日券を販売するかどうかすらホームページに載っていないのはもともとよくないと思っていました。ホームページこそが公式情報だろうと考える古い人なので、Twitterにだけ「当日券は開演の1時間前より販売します」とか書いてあるのが嫌いでした。

あと、たまに紛らわしいアカウントが出てくることもありました。もし客が全員ホームページからTwitterアカウントに飛ぶと考えているなら少なくとも私は違って、まず検索、うまく見つからなかったらホームページから、で探していました。が、ホームページにTwitterアカウントが載っていないこともありました。ならTwitterアカウントがないかというと、あって、そちらで情報発信していたりする。

そうしたらこの度のTwitter閲覧制限で、当日券情報がいまいちわからなくなりました。それでタイトルのぼやきになります。一番いいのは野田地図みたいに、当日券は全公演販売いたしますってチラシの時点から書いてほしいですね。

ちなみに閲覧数制限にひっかかるという話ではなく、私はTwitterをやっていないという話です。まあ、いまどきそういう人もいるってことで、ぼやきでした。

2023年7月 2日 (日)

National Theater Live「オセロー」

<2023年7月1日(土)夕>

ヴェニスで将軍を任されているムーア人のオセロー。上院議員ブラバンショーの娘デズデモーナと愛し合い、ふたりはブラバンショーに内緒で結婚したが、デズデモーナが本気のためしかたなく結婚を認められる。直後にキプロス島を守るためにオセローが派遣されるが、結婚したばかりのデズデモーナも付いていく。キプロス島は嵐のために敵の船が引返して無事だったが、嫌いな将軍にいいことが続く旗手のイアーゴーは、副官のキャシオーがデズデモーナと密通をしているとオセローに吹込み、両者の追落しを狙う。イアーゴーが自分の妻エミーリアに手に入れさせたハンカチのためにイアーゴーの言うことを信じてしまったオセローは嫉妬に苦しむ。

シェイクスピアの中でも観たことのない演目だったのでこの機会にと鑑賞。衣装がモダンでスタイリッシュな舞台だけど、脚本は一応原作通りなのかな? 芝居で観るとシェイクスピア特有の良くも悪くも回りくどい台詞を追うのに苦労することがあるけど、字幕頼りで観たらこれが随分とわかりやすくて今っぽい。なるほど、四大悲劇と言われるだけのことはある。内容の是非を問わなければ、この芝居はタイトル役のオセローより敵役のイアーゴーのほうが役としては「おいしい」ですね。

今っぽいのは現代の問題を反映させてそういう演出にしたと幕間の裏話で話していた。イアーゴーの妻エミーリアが後半に後悔するところはMeToo運動なんかを踏まえたらしく、短い出番ながらも激しい主張。あとイアーゴーがオセローを陥れた理由を問われた最後のあたりは、人種差別の意図。幕間の裏話によると黒塗りの役者が白人のデズデモーナ役とキスするのが大騒ぎになったこともあるんだとか。

だとしても、全体にすっきりと観やすい話だった。役者に外れはないので落着いて観ていられる。これも幕間の裏話によると周囲に座っている役者のリアクションも演出をはっきりさせるために効果的だったらしいけど、映像だとそこは一部しか観られなかったので、効果は不明。

全体によくできていたので、迷っている人なら観て後悔はないでしょう。

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