ゲキ×シネ「薔薇とサムライ2」
<2023年8月5日(土)昼>
もと女海賊のアンヌが女王となって治める国、コルドニア。近隣の国、ソルバニアノッソを治めるマリア・グランデが併合の野望を見せる中、なんとかそれを阻止しようとする。一方そのころ、遠方の島で麻薬効果のある塩のことを調べていた五右衛門は、塩と島民を攻め取ろうとしたコルドニア軍を追って、かつての旧友アンヌの治めるコルドニアにやってきた。
最近NTLiveを観ていたところ、劇団☆新感線の芝居の映像化がちょうど上映されていたのでこちらにも参戦。古田新太の五右衛門で始まったシリーズも、古田新太の身体をそこまで動かすことができず、天海祐希を事実上の主人公に持ってくるなどいろいろ工夫を重ねての上演。変装して化けた設定で早乙女友貴に殺陣を任せるというのは、
中身は安定の新感線ですが、映像で若干落着いて観ると、大量の登場人物に見どころを用意するので賑やかでわちゃわちゃしつつ、起承転結のしっかりしたよくできた脚本ですよね。もともとわかりやすい脚本を、さらに分かりやすく伝えるために説明台詞も多めに入れて、中島かずきの脚本はいまどきに合せてチューニングされた親切設計です。
役者で言えば天海祐希です。記憶喪失して怪盗として活躍する、という設定を挟むことで男役を復活させるとか、無理やりすぎて笑えますが、これも後につながるのだから脚本は上手。天海祐希の男役は初めて観ましたが、たしかに格好いい。その場面の相手役を務めたマリア・グランデこと高田聖子がウインクと投げキスを受けて「殺して、殺して~」と叫ぶところまで込みで笑ってしまいました。なるほど、あれが宝塚。
ちなみに天海祐希だけでなく他の役者も大活躍でしたが、私が一番よかったのは高田聖子です。やはり何をやらせても何か客の心を捕まえにくるところのある女優です。
で、映像化の話ですが、いい話で言うと、映画館のアップにも耐えられる今どきのメイクはすごいという発見がありました。あと、客席の笑い声を絞って一部にしか入れなかったのは、映像的な観やすさとしては良かったです。
悪い話で言うと、ちょっと新感線の舞台には難しいなというのがありました。というのも、もともと新感線は広い舞台を役者が動き回るアクション舞台です。なんでもない場面でも歩いたりします。これをアップ多めで追おうとすると、ややカメラが追いつかないし、なんとなくうるさくなるんですね。割と場所と動きは決まっていてもカメラアングルに制限のある以上、どうにかしないといけないんですけど、まだ処理しきれていない感がありました。殺陣は派手に見えると言えば見える、何をやっているのかわからないといえばわからない。
それと声ですね。ハウリング防止のためか、身に付けているマイクと、歌で使うマイクが違っていて、それでレンジが違って若干違和感がありました。で、身に付けているマイクもやや声が籠って聞こえる人がいて、まあ難しいです。
音と言えば休憩時間中、音なしで時間と役者紹介の映像を少しだけ流していましたけど、ちょっと静かになりすぎでした。NTLiveだと休憩時間中の客席の音と映像を流しっぱなしにしていましたけど、あれはあれで効果があったんだなというのは発見です。いまどきだと客席を撮影するのにも神経質になるところですが、何かいいやり方を見つけてほしいです。
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