ヨーロッパ企画「切り裂かないけど攫いはするジャック」本多劇場
<2023年9月28日(木)昼>
19世紀のロンドン。下町の同じ場所で4日で3人が攫われてロンドン中で騒がれている。3人目が攫われたときには花売り娘の叫び声を聞いて付近の住民が現場に駆けつけたが、犯人も花売り娘も姿が見えなかった。事件を調べるためにやって来た警部だが、自分で犯人を推理して押しつけてくる人たちを相手に聞込みにも難渋する。
25周年企画にして初見。ミステリーコメディらしいですけど、どたばたコントですね。辻褄を合わせようとはしていますが、発散することすること。適度に考えつつも深く考えないのが正しい見方だと気がついてからは素直に笑って楽しめました。
テンションと突っ込みの間合いで勝負の2時間みたいなところがあって、それで最後まで走り切った技量はすごかったです。ただし、100求められるところにきっちり100で答えていた感はあります。勢いがあるように見えて、振りきってはいなかった。ミステリー要素とコメディ要素、両方とも外したらいけない間があるのでそこは守らないといけないのですが、引出しは3000くらいあるけどそのうち100だけ出してみましたというような役者はいなくて、みんな真面目に100を積んでいました。
カーテンコール含めて観終わったあとでこの雰囲気はどこかで観たことがあるなと思い返していたのですが、演劇集団キャラメルボックスの舞台がちょっとこんな雰囲気でした。良くも悪くも劇団と観客との間で信頼が大きいようです。泣かせる話が得意な向こうと笑わせてなんぼの今回とは違いますが、多少強引な設定を最後まで持っていきつつ、絶対に客席に不快を与えないであろうと思わせる安心感も似ています。
この日はおまけトークがありましたが、「役者によっては出ずっぱり」「たくさん推理できる人とできない人がいる」「台詞が多いので緊張感が切れると台詞が出て来なくて真っ白になることがある」「当時の言葉に寄せつつもミステリー関係の言葉だけは現代の言葉を使わせてもらった」「某役を追詰める場面の方法はミステリーとしてぜひやってみたかった」などなど、いろいろ面白かったです。
それで言えば、脚本は言葉選びで微妙に作品世界に馴染んでいないところがいくつかあったのですが、理由は納得です。それと、某役を追詰める場面の方法をやってみたかったというのはわかります。私もあの場面は好きでした。
ネタばれしたら面白くないのでネタばれはしません。観た人が楽しんでください。
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