劇団☆新感線「天號星」THEATER MILANO-Za
<2023年9月16日(土)昼>
口入屋の主人半兵衛、実は裏家業の元締、と思いきや実は妻の元締の身替りに見た目の怖さだけで婿入りした元は流れの大工の気弱な男だった。だが裏家業の同業者、白浜屋真砂郎から手を組むように持ちかけられたのを断ったため、たまたま江戸に流れてきていた一匹狼の殺し屋、宵闇銀次を差向けられる。もともと暮らしていた長屋に立寄った帰り道、雨の中で銀次に襲われた半兵衛だが、そこに雷が落ちて二人は気を失う。そこにいた半兵衛の昔なじみの占い師弁天に介抱されて目覚めたが、半兵衛と銀次の二人が入替っていた。
久しぶりの劇団☆新感線はチャンバラでした。以上。そのくらいまあ、いのうえ歌舞伎と聞いて想像できるいつも通りの劇団☆新感線でした。やや渋めなもののネタもそれなりにあって、安心して見ていられます。タイトルになっている天號星の入替りの話だけ解決はなくて「そういうものだ」で進みますが、受入れましょう。そうすれば親切な脚本とチャンバラが最後まで運んでくれます。
裏事情のようなものを察するに、客が求めるもののそこまで動きたくない古田新太にほどほどのチャンバラをさせて、代わりに早乙女兄弟に存分にチャンバラをさせるための設定なのではないかと思います。一応後半は古田新太もチャンバラしますけど、主人公は入替ったりする早乙女太一です。
そしてそれでいいんじゃないかと思いました。やっぱりチャンバラは身体の切れがある人がやったほうが格好いいです。あれだけ芝居を通してチャンバラできるなら、もう劇団員として毎回呼んでもいいんじゃないでしょうか。そう思わせる立回りの格好よさがありました。早乙女友貴演じる渡世人の人切の朝吉とのチャンバラになる前半ラスト、格好いいですよね。あれは拍手が起きます。
若干もったいなかったのが山本千尋で、素手のアクションの方が上手だったので剣を持たせずにかんざしとか短剣とか、もう少し得物を考えたかった。ひょっとしたら公演後半にはもっと慣れているかもしれませんが。個人的にはうさんくさい役の池田成志が久しぶりに観られたのが楽しかったです。
割と場面転換が多い芝居でしたが、場面転換の早さとチャンバラの事情を汲んで、舞台美術でオブジェも床もあまりないのですね。そういうところでも工夫をするのだなと、次の日のミュージカルともども感心していました。
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