松竹主催「十二月大歌舞伎 第三部」歌舞伎座
<2023年12月16日(土)夜>
酒売りに勧められて酒を飲んだ猩々二匹が踊りだす「猩々」。人間たちが近づくことのない白鷺城の天守閣の最上階に住む、人ならぬ身の存在である美しく気高い富姫と異形の者たちだが、遊びに来た亀姫への土産として殿様の鷹を捕まえてしまったため、鷹を探しに姫川図書之助が遣わされる「天守物語」。
猩々は何かと思ったら霊獣なんですね。酔って足を前後させる動きの面白い舞踏です。
天守物語は七之助の富姫が美しいのですが、玉三郎の亀姫はそれよりずっと年下の娘に見えるのがすごくて、もはや玉三郎が人ならぬ身ではないかと思わせてくれます。ただ、中村虎之介の演じた姫川図書之助が凛々しいの一言で、あれは男が見ても格好いいですね。そして追手の片岡亀蔵もくっきりはっきりしていい印象です。話良し、演出良し、役者良し。抜けのいい空の照明も含めて、いま観られてよかった、いま観なくていつ観るんだという1本です。
ちなみに勘九郎が猩々の片方だけでなく、亀姫についてきた舌長姥と獅子の彫刻を彫った近江之丞桃六の二役を務めているんですけど、どちらも初めは勘九郎だとわかりませんでした。いつももっと、出てきただけで勘九郎とわかるような役作りしか観たことがなかったのでいまさら気がつきましたけど、真面目に役に徹しても上手いんですね。
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