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2024年5月27日 (月)

劇団青年座「ケエツブロウよ」紀伊国屋ホール(若干ネタバレあり)

<2024年5月26日(日)昼>

婦人解放運動の先駆け、無政府主義者、奔放な恋愛で全国に名をとどろかせた伊藤野枝。女学校を卒業して初めの夫と結婚したものの、数日で家を飛び出して英語教師の家に身を寄せたが、そのままでは済まないため福岡県は今宿村にある生家に親から呼寄せられた。その実家に里帰りした伊藤野枝と、振回される周りの親族たちを描く四幕。

マキノノゾミ脚本で宮田慶子演出なら鉄板だろうと考えて観に行きましたけど、期待通りの面白さで存分に楽しみました。大半が九州弁ですけど、だいたい雰囲気でわかりますから心配無用です。

伊藤野枝というと芝居では「美しきものの伝説」や「走りながら眠れ」で観ていましたけど、それらとはがらりと変わったのは実家を舞台にしたから。猪突猛進(劇中では「有言実行」)な柄でありながら、家族だって言い分はあるから遠慮なくその我儘を責めてくる。そこに東京が舞台では出来なかったような対等な言い合いが生まれます。

今回は那須凜が騒ぎの真ん中で存在感を示して、いつの間にかタイトルロールを張れる女優になっていたのに驚きましたけど、周りの鉄板ベテラン勢がまだまだとばかりに貫禄で迫ってくるのがたまりません。回りくどい思わせぶりなど一切抜きで大喧嘩する一幕で魅せた祖母役の土屋美穂子のあの説教ぶりは痺れます。舞台の真ん中に陣取って決して怒鳴らず周りを抑える叔父役の横堀悦夫の存在感、ちょっとだけ強さを見せる母親役の松熊つる松、父親役の綱島郷太郎と世話役の小豆畑雅一のすっとぼけぶりとか、いいですよね。

あとは新劇の流れを汲む劇団として、着物が全員板に付いているのがいいです。それを最後に(身内では)大杉栄と二人だけ洋服にしたところは「人形の家」を思い出しました。あれも新しい時代の女性を描いた芝居です。そしてこの芝居では伊藤野枝の我儘を我儘として描きながら、「我儘を通して、周りにいっぱい迷惑をかけて、でも姉はそれでよかったんです(大意)」と言える線を狙ってその通りに仕上がっていました。そこがこれまでの伊藤野枝の描き方と異なって、さすがマキノノゾミ、さすが宮田慶子の仕上がりでした。

だから安心して観ていたら、最後にあの曲はちょっと合っていないかな。直接描かないだけで史実ではそんな幸せな最後じゃなかったぞと言いたいのはわかりますが、この芝居ならもう少しからっと賑やかに締めてもよかったと思います。でもそれくらいですね。後ろの席は空いていたみたいなので、行けば観られると思います。何かこの期間に適当な一本を探している人はぜひ。

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