青年団「阿房列車」こまばアゴラ劇場
<2024年5月11日(土)夕>
娘夫婦を訪ねるために電車に乗っている夫婦。何となく気のない会話しているところに若い女性がやって来て向かい座る。夫は何かと話しかけるが若い女性には迷惑そうである。
「旅行ですか」と話しかけるところから始まる三人の会話は、平田オリザの本に書かれていたかな。オチのない会話が続く中、三人の誰がいるかいないかを使って描かれる夫婦の関係です。
何かと夫に気を使うのに夫から気に掛けているようで雑に扱われる妻、妻には気のない会話をするのに若い女性には何かと話しかけたい夫、夫に話しかけられても迷惑そうにするのに夫のいないところでは妻に自分から話しかける若い女性、実に上手です。三人とも好演でしたが、役どころもあってかたむらみずほがやや目立ちます。
若い女性が社内販売の売り子を務めるのが二役ではなく別人であると劇中では示しながら進むところは、一見笑いを取りに行ったように見えます。だけど娘に会いに行くことを話す中で「もうすぐですね」と話したり、偽卵のことを話したりするあたり、どことなく孫のことを予感させます。
初演は平田オリザ初の外部への描き下ろしだそうですが、平田オリザのお手本のような芝居でした。
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