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2024年6月20日 (木)

2024年7月8月のメモ

7月にだいぶ偏っています。

・松竹主催「裏表太閤記」2024/07/01-07/24@歌舞伎座:白鸚幸四郎染五郎揃い踏みで夜の部に通し上演

・松竹主催「義経千本桜」2024/07/03-07/26@大阪松竹座:大阪ですけど夜の部で仁左衛門がいがみの権太って一度くらい観ておいた方がいいのだろうなと思いつつ

・Serialnumber「神話、夜の果ての」2024/07/05-07/14@東京芸術劇場シアターウエスト:カルト宗教を問う新作、らしい

・範宙遊泳「心の声など聞こえるか」2024/07/06-07/14@東京芸術劇場シアターイースト:前に見た岸田國士戯曲賞作がなかなかよかったので

・Bunkamura主催企画製作「ふくすけ」2024/07/09-08/04@THEATER MILANO-Za:前に観たときは古いと感じたけど書直したらしい

・劇団フルタ丸「口車ダブルス」2024/07/10-07/14@小劇場B1:気になって観られない劇団

・Office8次元プロデュース「春鶯囀」2024/07/10-07/14@シアター風姿花伝:あやめ十八番の堀越涼が脚本で寺十吾が演出

・iaku「流れんな」2024/07/11-07/21@ザ・スズナリ:旗揚2年目の初期作を改稿再演

・野田地図「正三角関係」2024/07/11-08/25@東京芸術劇場プレイハウス:野田地図です

・世田谷シルク「カズオ」2024/07/13-07/15@アトリエ春風舎:永井愛の昭和の脚本を二人芝居でやるので気になるけど会場が

・CEDAR「ヒストリーボーイズ」2024/07/20-07/28@あうるすぽっと:既存脚本劇団による海外脚本ですけど役者スタッフにも気合を入れたせいかチケット代に注意

・シノフィス企画制作「志の輔らくご 真夏の大忠臣蔵 in 下北沢」2024/07/24-07/31@本多劇場:牡丹灯籠かと思いきや忠臣蔵です

・マシーン・ドゥ・シルク「ゴースト・ライト」2024/07/26-07/28@世田谷パブリックシアター:影を使った二人サーカスらしい

・松竹主催「八月納涼歌舞伎」2024/08/04-08/25@歌舞伎座:いい役者が揃って三部構成ですけどひとつだけ選ぶなら第二部の「髪結新三」かなあ

・ハイバイ「ワレワレのモロモロ2024」2024/08/08-08/11@ザ・スズナリ:札幌に滞在して作ったそうです

・イキウメ「奇ッ怪」2024/08/09-09/01@東京芸術劇場シアターイースト:楽しめた芝居だった記憶があります

・KOKAMI@network「朝日のような夕日をつれて2024」2024/08/11-09/01@紀伊國屋ホール:第三舞台の旗揚公演を一度くらい観ておいてもいいかと

・劇団東演「どん底」2024/08/31-09/08@シアタートラム:どうもロシア文学に疎いのでここらで芝居として観るといいかも

眺める分にはなかなか楽しみな時期ですが、果たしてどれだけ観られることやら。

2024年6月15日 (土)

劇団四季「オペラ座の怪人」神奈川芸術劇場ホール

<2024年6月8日(土)昼>

オペラ座の備品がオークションに出されている。それを競り落とす子爵夫人が昔を思い出す。それはオペラ座のオーナーが交代して、新作の稽古中に挨拶にやって来たときのことだった。座席と高額の報酬を要求する手紙と、それが叶えられない場合にとオペラ座で頻発する事故に立腹して、プリマドンナが降板してしまう。当時端役の1人だったクリスティーヌは急遽抜擢されて大成功を収め、子供のころに出会っていた子爵と再会する。だがその成功の裏には、「先生」として毎夜クリスティーヌの歌を訓練するオペラ座の怪人の存在があった。

有名な作品です。粗筋は知っているしミュージカルだしで、安い席で臨みました。それで見切れになるのは覚悟していたから納得しました。

ただ、「オペラ座」の怪人なんですよね。なので登場人物がことごとくビブラートたっぷりのオペラ歌唱でした。その上、席が悪かったのか安い席まで音響の手が回らなかったのか外部劇場では調整に限界があるのか、オーケストラの音が目一杯張り出して歌声に重なってしまいました。そうすると明晰な発声を旨とする劇団四季でも何を歌っているのか歌詞がわかりませんでした。

つまり見切れと不明な歌詞で、何のために観に行ったのかわかりませんでした。慣れた人なら歌詞を脳内補完しながらソプラノとテノールを楽しめたのでしょうが、ミュージカル素人の私には無理でした。慣れない分野ほどいい席を狙うべきだったと勉強になりました。

ゴツプロ!「無頼の女房」本多劇場

<2024年6月7日(金)夜>

昭和二十三年の東京。人気作家の塚口は自宅に押掛ける編集者を待たせて二階で原稿を書き続ける。言論の鋭さと、躁鬱が激しくて二階から庭に飛び降りたりするような奇行を行なうことから無頼派作家と呼ばれる塚口を内縁の妻は支えるが、その妻にも我儘を言っては編集者や作家仲間の付合いを優先させてしまう。そんなある日、塚口が原稿を書き上げて編集者と飲みに行くが、編集者が原稿を忘れてしまう。それは塚口が以前に愛していた女流作家との話を描いたものだった。

坂口安吾をモデルにしつつ、その妻と周りの人物に焦点を当てた1本。中島淳彦脚本は初見ですけど、いい意味で小劇場らしい大らかさに溢れた仕上がりでした。

それぞれ欠点なり弱点なりの多い登場人物たちを前向きに仕上げてくるところはお手本です。一方で、熱量を前面に出した塚口に対して登場人物全員、距離感にある程度の齟齬があり、塚口が面倒見のいい相手は冷静で、塚口に親身な人ほど塚口が我儘をいうのは、世の中そういうところがあるよね、といったところでした。それがある出来事をきっかけに爆発する脚本、よくできています。

ただ、「贋作・桜の森の満開の下」は観たことがあっても、私は坂口安吾を1本も読んだことがないんですよね。だから一生懸命原稿を書いているのはわかっても、女流作家の話と、台詞でいくつか出てくる話以外、どういうことを書いている作家なのかがわかりませんでした。職業作家として生活のために原稿を書く必要があるのはわかりますが、無頼派として飲み歩く以外に作家としてのインプットをどこでしているいのかがわからなかった。「原稿を走る筆の音が、まるで身を削る刃物の響きに聞こえて」という台詞が浮いていた。脚本に足りなかったことをひとつだけ挙げるとしたら、塚口の作家面です。

ただしタイトルロールはその妻ですし、その分だけ周りの人間を描いています。いまなら編集者はもっと無礼な人間に描かれてもいいんじゃないかと思いますが、初演が2002年らしく、それならしょうがないです。個人的に好きな場面は、お手伝いのかんのひとみが爆発するところ、匿われに来た女流作家の妹を作家仲間の久保酎吉が口説こうとするところ、その妹の鹿野真央が姉の靴を置いて姉の身体を順番に思い出すところ、です。本筋と関係あるようなないようなところにも見所、演じどころの多い芝居でしたし、役者もそれによく応えて、しかも最後はばっさりと終わるところが、いろいろ見事でした。

近ごろの流行りである精密に深彫りしていく演出の芝居とは反対でしたが、脚本には合っていましたし、それで楽しめました。急に芝居を観られることになったので何を観ようか迷って選んだのですが、我ながらいい選択でした。

フライングシアター自由劇場「あの夏至の晩 生き残りのホモサピエンスは終わらない夢を見た」新宿村LIVE

<2024年6月7日(金)昼>

王が滅ぼした国の女王との結婚を数日後に控えたある日、家来が王に訴える。息子の婚約者がである女性が、息子の友人と心を寄せ合っているのだという。女性は友人の女性に別れを告げて森に駆落ちするが、これが息子に告口して二人で森に向かう。その夜の森では職人一同が王の結婚式で上演するために稽古に励んでいた。だが森の中では妖精の王と女王が喧嘩中であり、これを何とかするために妖精王はいたずら好きの妖精パックに命じて目を覚まして初めて見た者を好きになる媚薬を女王に塗るように渡す。妖精パックがあちらこちらで媚薬を塗ってしまい・・・。

えーと、すいません、日にちを置いて感想を書こうとしたらチラシがどこかに紛れてしまいました。が、Wikipediaを見たところ家来の「娘」が婚約者の「男性」がいるにも関わらず別の「男性」と恋仲になり、という筋ですね。なんか間違いながら観ていたようです。大勢に影響はありませんが、そのくらいの集中力だったということで、あらかじめ断っておきます。

元は「真夏の世の夢」ですが、人間の王と家来に関わる話、妖精の話、稽古する職人の話、役者がそれぞれで1役ずつ持った上で、さらに役者としての独白を持たせるように構成された芝居です。全員白い衣装で、舞台は白い幕に、木とか城とかの形に切り出した白いパネルを役者が動かします。だからしつらえだけなら学芸会と言っても当たらずとも遠からずです。

そのくらいぎりぎりまで削った舞台美術にも関わらず、やっぱり観るに値する出来に仕上がっています。ひと言でいえば役者が達者。王様から壁(笑)までこなす島地保武と、軽く明るい声がアクセントの谷山知宏のコンビがいい味出しています。この2人に、割とフラットに演じた大空ゆうひの3人が身体に存在感がある。四角関係の婚約騒動組も頑張ります。

なのですが、役者だけではない。やっぱりこれは演出の串田和美の意思が色濃く貫かれているから観られる芝居になっているんですよね。終盤に暗転して「壁を壊せ」という声と工事機器で壁を壊す音を挟んでくる。この壁が、劇中の王と職人と妖精であったり、それを演じ分けないといけない役者であったり、あるいは芝居の世界と役者自身の独白による現実の世界との壁でもあり、しっかり作り込んだ商業演劇とそこまでやらなくたって芝居は芝居というミニマムな演劇との壁でもあり、宝塚からダンサーまで多岐にわたる出自の役者の混成チームのことでもあり、いろいろ捉えられます。とにかく役者になんでも分け隔てなく演じさせることで、そういう壁を取っ払って見せたところに意味があるのかな、と受取りました。もちろん、客に向けても壁を取っ払ってみろよと訴えるところもあるのでしょう。

それは今の時代となってはやや純朴に過ぎるメッセージではないかと思わないでもないのですが、それにも関わらず一定の説得力を持って成立っているんですよね。挙げたようないろいろな壁を取っ払った芝居を実際に創ってみせたというだけでなく、様々な立場から長年芝居を創り続けてきた、松尾スズキに「真面目に不真面目をしている」と言わしめた串田和美の矜持みたいなものが支えになっているのでしょうか。「K.テンペスト2019」もそうでしたけど、いろいろなアレンジを施すことがあっても芝居の核は外さない自信があるのかもしれません。

その串田和美の役者ぶりですが、やや声は小さくかすれているものの以前とさほど変わりません。それより独白の場面とは一転、パックを演じているときのあのじゃれるような、思い出しながらやっているような、ふざけた様子はまさにいたずら好き妖精ですね。

2024年6月 2日 (日)

国立劇場の再整備が難航中

朝日の「国立劇場、再整備見直しへ 資材高騰で事業者決まらず『国費増額を』」からですが、無料の部分だけしか読んでいません。

 老朽化が進んだため劇場を運営する独立行政法人・日本芸術文化振興会(芸文振)は2016年、全面改修する計画を作成。20年には「文化観光拠点としての機能強化」を掲げて建て替えの方針へと転換した。民間の資金や経営力を生かすPFI方式を導入することとし、ホテルなどの併設を目指した。民間事業者はホテルやカフェなどを整備・運営し、土地の賃料を芸文振に払う仕組みだ。

 関係者によると、入札にあたっては、国費をもとに800億円超の財源を用意。しかし全国的な建築資材の高騰や人材不足などが影響し、22、23年の入札では落札に至らなかった。再整備のめどが立たないなかで23年10月に国立劇場は閉場した。

国立劇場の建替え話が表に出てきたのは2021年の11月でした。似たような時期で2021年5月にBunkamuraも長期休館が決まりましたが、2021年に発表ならそれよりもう少し前から話を進めていたでしょうし、東急グループのBunkamuraは身内に施行を請負った東急建設がいるから、実際にはもっと早くから話を進めていたことでしょう。国立劇場とは前提が異なります。あるいはあの時期ですから、1年差でも資材高騰の影響差は大きかったでしょう。

で、記事のタイトルからすると有料で読めない部分に国費増額の話が書いてありそうなのですが、どうでしょう。そもそも立地の隼町のあたり、観光エリアからも商業エリアからも外れていますから、一等地とは言えホテルやカフェを出したい会社がどれだけあるのか怪しいです。

賃料が入らない前提だとどのくらい足りなくなるのでしょう。うっかりすると倍くらいになるかもしれません。いまそれだけ余裕があるのかという話です。いっそホテル抜きにして今のように低層の劇場だけにしたほうが安くなるんじゃないのか、高層ビルだとメンテナンスの費用も馬鹿にならないだろうし、と素人考えでは思いますが、どうなることやら、です。

KUNIOが演出家兼美術家の主宰ダウンで公演中止

あるようであまりないケースなのでは。本家サイトより。

平素よりKUNIOをご愛顧くださり、誠にありがとうございます。
この度、2024年6月22日(土)から6月30日(日)まで、KAAT神奈川芸術劇場にて上演予定のKUNIO16『ゴドーを待ちながら』について、本作品の演出を担う杉原邦生の体調不良のため公演を中止する運びとなりました。
ご来場を楽しみにお待ちいただいていたお客様には多大なご迷惑をおかけしますことを、深くお詫び申し上げます。

公演中止に伴う前売チケットの払戻し方法につきましては、後日、下記の公式サイト内にてご案内いたします。今しばらくお待ちくださいますようお願いいたします。払い戻しのご案内までチケットはお手元にお持ちくださいますようお願いいたします。

KUNIO16『ゴドーを待ちながら』公式サイト

誠に勝手ではございますが、何卒ご理解賜りますよう、お願い申し上げます。

2024年5月29日
主催:KUNIO/KUNIO,Inc.

公演まであと1か月を切ったところで随分と思い切りのいい判断です。何となく、代わりに演出家を立てて上演するところではないかと考えなくもないのですが、探す時間が足りなかったか、そこまで予算を捻り出せなかったか、美術の兼任が重かったか、KUNIOなんだからKUNIOが倒れたら中止すんのが当たり前なんだわと考えたか、どのあたりでしょう。

台風で計画中止にするのは支持しますし、みんながこの人を観に来るという役者が降板になって公演中止するのは考えられなくもないですけど、演出家が体調不良で公演まで中止にするのはちょっと意外な印象でした。純然たる商業演劇とは違うところです。

神奈川芸術劇場なら、いっそ芸術監督の長塚圭史に代打を頼めなかったものかとも思いますが、観たかった芝居なので惜しい中止です。

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