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2024年7月 6日 (土)

新国立劇場主催「デカローグ7・8」新国立劇場小劇場

<2024年7月5日(金)夜>

高校生のときに教師の子供を産んだ女性。生まれた子供は自分の母親の娘として届けが出されて自分の妹として暮らしているが、子供を子供として名乗れない生活に我慢の限界が来た女性は娘を誘拐してその父親の元に隠れる(デカローグ7「ある告白に関する物語」)。大学で倫理学を教える女性教授は著作を何冊も出してもいる。その翻訳をしてくれている女性翻訳者がアメリカから訪ねてきて、ゼミの倫理討論を見学する。そこで話を聞いていた女性翻訳者も、倫理の議論としてひとつの題を出す。第二次世界大戦下で、ユダヤ人の少女がホロコーストから身を守るためにカトリックの洗礼が必要となったが、事前に請負ってくれていた立会人の女性が土壇場で拒否したのは倫理の観点からどうかというのだ。実は女性翻訳者がその少女、拒否した女性は女性教授だった(デカローグ8「ある過去に関する物語」)。

デカローグ7は子供を産んだ女性と娘の話かと思わせつつ、女性とその母親との確執に加えて、それぞれの相手との関係を描いた話で、牧師と教師の子はグレるという言葉を思い出しました。役者はなかなかの出来でしたが、主要登場人物全員に観ていて癇に障るところや煮え切らないところがあって、さらわれた妹実は娘の態度も掴みかねて、よくできてはいるものの観終わってから不完全燃焼が残りました。

デカローグ8は女性教授と女性翻訳家が相手と過去に向合う話。女性教授の高田聖子も、女性翻訳家の岡本玲も、抑え気味に進めていたのが好印象です。上演上は、昔のアパートを訪ねてさまよう場面が初め何の場面なのかわかりにくかったのが惜しいところ。企画上は、岡本玲の見た目が物語から推測される年齢よりかなり若く見えてしまうところと、ホロコーストとユダヤ人の話が昨今は昔ほど素直に観られなくなっているのが時期を外してしまったところ、その2点が惜しいです。住職の娘の高田聖子に教会にいかないという台詞を言わせたところに内心受けたのは駄目な小劇場ファンです。天使役の亀田佳明が初めて口をきいたところも含めて、こちらが最終プログラムになった人向けにも終わった感を味わってほしかったのだろうなという演出でした。

今回は過去6作よりも映画的な無駄が少ない2作だったというのが、観終わった直後の感想です。

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