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2024年8月 6日 (火)

松竹製作「八月納涼歌舞伎 第二部」歌舞伎座

<2024年8月4日(日)昼>

身代の厳しい材木屋で娘に持参金付きの婿を取らせることになったが、手代と好き合っている娘は互いに身の行方を儚む。それを聞きつけた出入りの髪結である新三が手代に持ちかけたのは二人での家出。自分の長屋に匿うからと唆したら、家を出てきた娘は攫って手代は打ちつける。初めから大店相手に強請りでひと儲けを狙っていた新三だが、店が番頭に頼んで交渉に寄越したのは「梅雨小袖昔八丈」。夏の神社の夕涼みでいろいろな職業の町人が踊る「艶紅曙接拙」。

梅雨小袖昔八丈は髪結新三のサブタイトルが付く1本。愛想よく見せかける勘九郎もいいけれど、悪い男を全面に出した勘九郎が新鮮で、しかも見応えがあった。悪い役をやらせても上手いですね。啖呵もさすがです。なんとなく仁左衛門でも観てみたい演目です。

他にも攫われる娘の鶴松がきれいだとか、手代の七之助のなよなよした駄目っぷりとか、新三の手下の巳之助がなかなかいいとか、新三を相手にする大家の彌十郎が狸だとか、役者に見応えのある中で、岡っ引きを演じた幸四郎がなんともしょんぼりした出来。新三に追返されるから間違っていないけど、それよりも声も何もかもが小さかった。これは第三部に気を取られていたのではないかと推測しますけど、もう少しぱりっとしてほしかった。

娘を返した金を数えるところが盛上がりすぎて、終わったら帰ろうとするお客さんが多く、その後に橋の前での場面があるから気を付けましょう。でも、最後にあんな終わらせ方があるとは知らなかった。

艶紅曙接拙も出てくる人が一通り踊るけど、一番たくさん踊るのが勘九郎。上手ですね。足を上げて軽く踊るなかでたまに足裏が地面に吸い付いたような動きをするところがあって、鍛えているんだろうなと思わされました。

これは良席でみられたのもありますが、背景の書割が抜けるような絵になっていました。こういう席で観ると慣れない踊りでも背景も相まって、感想も変わってくるなと今更ながらに考えました。

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