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2024年9月17日 (火)

神奈川芸術劇場主催企画制作「リア王の悲劇」神奈川芸術劇場ホール内特設会場

<2024年9月16日(月)昼>

老いて国を三人の娘に分け与えようとする王。長女と次女の追従に喜ぶが、言葉を飾らず感謝を述べる三女に激怒して勘当してしまう。三女に与えるつもりだった領地も長女と次女に与えて自分は月替わりで世話になるつもりだったが、父親の癇癪ぶりを目の当たりにした長女と次女は一計を案じる。その裏で、王の家来である伯爵の私生児である息子が、後継ぎの座を狙って姉を追落としにかかる。

初日。見慣れたせいか自分が歳をとったのか、それとも翻訳がこなれているのか、特に翻案はしていないはずなのに日本語のシェイクスピアもここまで来たかというくらい明瞭な上演。リア王の木場勝己はここからさらに先を期待できる出来。ケント伯爵の石母田史朗、グロスター伯爵の伊原剛志、次女の森尾舞、コーンウォール侯爵の新川將人が快調。兄ならぬ姉になったエドガーの土井ケイトは場面によって良し悪しの幅が大きいからがんばれ、二役の原田真絢は道化はいいから三女をがんばれ、長女の水夏希はもっとがんばれ、エドマンドの章平とオズワルドの塚本幸男とオールバニ侯爵の二反田雅澄はいいけどもっといける、が初日寸評。スタッフはどれもいいけど和風の歌を歌わせた宮川彬良に一票。なぜか似合っていたし、あれを道化に歌わせることで芝居の調子が決まった感がある。雨だけ客席も巻込むつもりでもっと大袈裟にやってもよかった。

今回は配役でも訴える演出。三女と道化を同じ役者が二役兼ねることで追放した三女に道連れで助けられるというメタなところが出たし、グロスター伯爵も疑って追手を掛けた娘に助けられるというリア王と同じ境遇が造れた。あとはコロスにあたる兵士にきっちり演技をさせるところもよかった。あれをやればこそ、伝令を伝えるにしても止めに入るにしても、場面が生きる。行届いた演出。

客席削っているから距離は近くで観られるけど、舞台の間口は削らずに客席が横に長いから、前の端席だと首が痛くなる。当日券を狙うなら後ろでも中央寄りをお勧め。あれは客席の組み方をもう少し工夫してほしかった。

なお、芝居を観終わってこの感想を書こうとしたらちょうど社長が娘に刺されたという事件が目に入ってきました。何と普遍的な芝居だと感に入っているところです。

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