狂言ござる乃座「70th Anniversary」国立能楽堂
<2024年10月19日(土)昼>
猟師の霊が妻子の前で生前の猟の様子やその報いで地獄で鳥に追われる様子を描く「善知鳥」。遊山に出かけた主人と太郎冠者だが、川で舟の渡しを呼ぶときに太郎冠者はふなと呼ぶので、それはふねだと主人が教えたらそんなことはないと太郎冠者が言い返す「舟ふな」。親族すべて罠にかかって失った狐が僧に化けて猟師に狐を釣る罠猟を止めるようにと言い含め、それで罠を捨てさせて喜んでいたが「釣狐」。
動きの妙を観ていた「善知鳥」と「釣狐」。言葉遣いが古いところに節回しが重なって何を話しているのかわからない、大勢でユニゾンをやられるとなおわからない、やっぱり字幕がほしいと考えてしまった。古典だから筋を知って観るものだと頭ではわかるけど。
その点「舟ふな」は、ひらたい話を明晰に話すのでわかりやすい。万作はさすがだけど、太郎冠者の三藤なつ葉はその孫娘でまだ小学生らしいのに、あれだけしっかり姿勢を決めてはっきり話せるのはさすが。そのやや高い声ではっきりと話すのを聞いて、元の台詞の言葉遣いの古さとイントネーションの関西風なことを改めて認識した。
あれくらいはっきり話してもらって観客にはちょうどいいけど、やはり能狂言は重々しさも求められて、そのあたりの兼合いが観客としては悩ましい。
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