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2025年2月24日 (月)

新国立劇場オペラ研修所「フィガロの結婚」新国立劇場中劇場

<2025年2月23日(日)昼>

とある伯爵家で使用人のフィガロとスザンナが結婚式を挙げる当日。スザンナに懸想する伯爵は愛人になるように迫り、フィガロとの結婚を信じて金を貸してきた女中頭のマルチェッリーナにその恋人の医師バルトロはフィガロの結婚を邪魔しようと画策する。フィガロもスザンナも何とか両者の企みを跳ね返そうとするのだが、それを知らない伯爵夫人は伯爵の愛が離れていくのを心配し、スザンナに頼んで伯爵を逢瀬に誘って自分が身代わりになって伯爵を懲らしめる計画を立てる。それだけでもややこしいのに、近ごろ恋に目覚めた伯爵の小姓ケルビーノは伯爵夫人は素敵だとスザンナに訴える。小姓と言えども男性なのに伯爵夫人と二人っきりのところを見られては嫉妬深い伯爵の怒りが予想されるのでスザンナも伯爵夫人も追返そうとする。フィガロの結婚の日なのに、とにかくややこしい1日。

おー聞いたことある、というオープニング曲から始まりはしたものの、とにかくややこしい話。ややこしさの全貌がようやく見えてきた後半は登場人物全員、間が悪い空気読めと引っぱたきたくなるけれど、それは置いておいて、やっぱり耳馴染みのいい曲が多くて、モーツァルトの名作と言われている理由はわかりました。「セビリアの理髪師」の続編だということも初めて知りました。

全編イタリア語の字幕というあたりに一抹の不安を感じましたが、ろくに粗筋も知らないで臨んだ身としては、むしろ粗筋を字幕で追って耳では原語を楽しめたので初フィガロには今回の仕組みの方がよかったと観終わった今は思います。だけど字幕を観ないで原語で聴いているっぽい笑いも少数ながら起きていて、芝居とは客層が違うなと思わされました。

ダブルキャストなので本日初日にして最後だったため、出だしこそ歌手が(オーケストラも)やや緊張していた気配がありましたが、前半の後半あたりから温まって来て、終わるころには絶好調でした。だから頭から通しで出ていた歌手は調子を測るのが難しいですけど、それでも歌がいいなあと感じたのは伯爵夫人の吉田珠代が一番、ケルビーノの大城みなみは歌だけでなく茶目っ気を出した演技も含めて二番、伯爵の中尾奎五は一人演技の場面で声量が落ちたのが惜しいですけど大勢と合せるときはそんなことなくて威厳があるときの伯爵らしさもよく出ていて三番、でしょうか。とはいえ、そこから先は明確に劣る人は誰もいません。しいて言えばオペラ歌手の圧倒的な声量というのも聴いてみたかったですが、声量が中劇場サイズにチューニングされていたのはしょうがないとして、声が前に飛ばず奥に向かう歌手が何人かいたようではありました。素人的には前にパーンと張って出てくる方が好ましいです。

カーテンコール含めて3時間45分の長丁場でしたが、有名演目を観られて聴けて、全体に満足の行く出来で、楽しめました。他の有名オペラもこれで観たいと思わされました。オペラハウスもいいんですが、やはり大きすぎる。

後は芝居と関係ありませんが、当日パンフを読んで知ったのは、オペラストゥディオ(オペラ研修所)の場合は全員音大を出てからさらに入っているのですね。そこは日本語の世界である芝居と、西洋言語で世界をマーケットに見据えないといけないオペラ(クラシック)の世界とでキャリアパスが全く違うのだなと勉強になりました。

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