松竹主催「八月納涼歌舞伎 第3部」歌舞伎座
<2025年8月3日(日)夜>
江戸の日本橋を舞台に浜唄やおけさ節、布を波に見立てた布さらしを披露する「越後獅子」。刀の研ぎ師から侍に取立てられた元町人の守山辰次は、赤穂の討入で盛上がる家中を相手にお家を潰しては元も子もないと話して、剣術の稽古で家老に打ち据えられる。これはあんまりだと夜道で驚かして仕返しをしようと企んだが、これに驚いた家老が脳卒中で亡くなってしまう。だが守山辰次の仕業だと見抜いた同行者が切られたことにしたため、守山辰次は追われることになり、家老の2人の息子は敵討ちの旅に出ることになる。探すこと2年、ついにとある宿屋で出会うことになるが・・・「野田版 研辰の討たれ」。
初日。踊りは華やかで布もたくさん使っていいですね、という話。申し訳ないですがメインは研辰。
その研辰、再演版を観ているはずなのですが、美術から展開から記憶とはだいぶ変わった芝居でした。記憶よりももっとずっと、周りの無責任な煽りを強調してそれに当人たちが翻弄されるのはSNS時代を反映してのことでしょう。そこに出てくる人物も、前は御白州を舞台に奉行か代官の前で申し開いていたはずですが、今回は寺を舞台に追いかけてきた同心一人に野次馬と寺に参詣していた人たちが見物になって、より庶民が煽る形に。そこに出てくる和尚はたしか前回はいなかった役で、この展開にはほしかったのだろうなと。そしてあのラストは、それは野次馬たちが去った後の双方の当人たちの物語としては欠かせなかったので、あってよかったですね。
初日なだけに客席も期待していましたが、それ以上に役者が熱演。いかにも野田秀樹っぽい言葉遊びに、昔話も織り交ぜながらの勘九郎の勢いが止まらない。「若い、そしてエモい、昔は出来たんだ」と言われたら笑わないわけにはいかない。二役で奥方から姉娘の七之助もきっちり笑わせに来るけれど、妹娘の坂東新悟もなかなか。和尚の良観を演じた中村扇雀が怪しさも見せつつ貫禄十分。追いかける兄弟の弟に勘太郎が来るのも、邪険にする子供に長三郎が入りつつお楽しみで毛を振るのもいい。けれど兄弟の兄に入った染五郎が凛々しくてもっとよくて、わかりやすく売出し中でいい役を与えられているのもありますが、それに応えられるのも大事。今一番脂が乗っているのが勘九郎七之助なら、若手の一番の注目が染五郎です。
<2026年1月4日(日)追記>
思い出しました。再演版の研辰ではなく、野田版鼠小僧と勘違いしていました。よくできた話なのは変わりませんが訂正しておきます。
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