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2025年8月16日 (土)

はぶ談戯「JULIO」駅前劇場

<2025年8月15日(金)昼>

鴨川のとある精神病院に軽症で入院した患者を、医者が勝手に実験台にしてひそかに実験が行なわれた。ストレスを掛けた患者に特定のきっかけを与えて凶暴性を発揮させることが出来るかどうかを確かめる実験は、1か月の予定を短く切上げるほどの成果を見せたが、そのあとで治して退院した患者が何らかのきっかけで家族を殺害、警察に射殺される痛ましい結末となったが、実験は隠蔽された。それから4年後、事件の生き残りである犯人の妻が再捜査を願って警察にやってきたまさにその時、同様の手口で被害者が殺された殺人事件が起きる。

脚本が後藤ひろひとと聞いて観劇。こういう展開でもぐいぐい推し進める作風だったなと観ながら思い出しました。初演が1996年らしいので、若干ネタが古いところもそのままのようです。芝居の核心の大ネタに納得すればきれいに嵌まる脚本ですが、演出と演技が追いついていませんでした。

この20年以上で随分と現代口語演劇が広まりました。これは自然な台詞回しが売物ですが、それを実現させるために「客席に背を向けて話す」と言われたような役者の向きもセットで付いてきます。この脚本は、というか後藤ひろひとの脚本は真面目な場面とネタの場面が入り混じる小劇場らしい脚本ですが、どちらの場面かを問わずに客席に正面を切って話す役者、非常に多かったですね。これは正面を向いて伝えた方がいいと思える場面もありましたが、狙ったようには見えません。「絵作り」に頓着しない演出でした。

と言って、ネタの場面で吹っ切れて演技をするわけでもない。1対1でやりやすく、かつ独立性の高い場面だったのはありますが、後半に出てくる音響研究家のアンナの場面くらいですね、上手く振切れたのは。真面目とネタの入り混じった場面は切替の早さと内面のテンションの高さが求められるのですが、そこが上手くいっていなかった。ネタの場面に出ている複数の役者の意識が合せられていないといった技術的な面もあるかと思いますが、その前提として演出がここはネタの場面だと狙いを定めきれていなかった。圭茂木(兄弟)の登場する場面がことごとく外していたのがつらいところです。緩急に頓着しない演出でした。

加えて、演じている側がネタを知らないでやっているのではないかという雰囲気を感じました。時代に関係ないネタだけでなく、時代を感じさせるネタも多数あります。時代を固定した脚本なので時代を感じさせるネタも古いまま固定されたのは致し方ないにしても、ネタの理解は必要です。

あとは白で揃えてカーテンも使った美術はいい感じでしたが、衣装が何か、しっくりきませんでした。ファッションには疎いのですが、2000年ごろっぽい感じと今っぽい感じが混ざっていたような印象を受けました。それとも女優の化粧でしょうか。いっそ今風で揃えた方がよかったかもしれません。

これでも2000年頃なら、小劇場らしい佳作と感想を書いたはずです。が、今ではこの出来では他人に勧めることはできません。端的に言えば出来が古い。小劇場らしい脚本ほどテンションと技術の両方が求められるのだなと再認識しつつ、今時の日本の小劇場は確実に進化しているなと思い知った次第です。

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