松竹主催「菅原伝授手習鑑 昼の部(Aプロ)」歌舞伎座
<2025年9月6日(日)昼>
親王が神事で外に出ている最中に、管丞相の姪で養女の苅屋姫との逢引を手伝った桜丸夫婦。そこに様子を嗅ぎつけてやって来た相手を桜丸が追払ったはよいが、その間に見つかっては一大事と親王と苅屋姫は駆落ちを決めて逃げてしまう(加茂堤)。一方、屋敷に籠っていた管丞相は、手習鑑の製作に没頭していたため家人が遠慮しての事件を伝えていなかった。管丞相は、手習鑑をかつて屋敷から追放した家来にして弟子だった武部源蔵に伝授するが、勘当は解かぬと追返す。そこに、親王の駆落ちを管丞相の企みと決め付ける藤原時平の手下によって屋敷で蟄居を命じられる。武部源蔵は屋敷の中の梅王丸から管丞相の息子を引取って逃げる(筆法伝授)。実母の覚寿の屋敷に、覚寿と姉の立田前の情けで匿われていた苅屋姫。大宰府に護送される途中、姉の覚寿の屋敷に滞在することを許された管丞相だが、自分が原因で追放されることになった管丞相とは顔を合わせられない。この滞在中、立田前の婿とその父は、自分の出世のために藤原時平の味方について、菅原道真の殺害を目論むが(道明寺)。
通しで観ました。夜の部はこちら。
おそらく歌舞伎はこれでフル上演ですが、文楽のフル上演で観た初段から二段目までのうち、藤原時平との対立は見せる代わりに背景に追いやり、覚寿の屋敷に滞在することになる経緯を省いたものになります。滞在の経緯はともかく、藤原時平との対立はしっかり描かれた方が後半の松王丸梅王丸桜丸の話にも利いてくるのでよいと思うのですが、文楽だと最後は天神となって祟った管丞相が藤原時平を倒す展開なので、そこを省いて人間ドラマに仕立て上げようと昔の歌舞伎の人が考えたのでしょう。なので前半は管丞相の追放の原因、管丞相の追放、管丞相の追放の途中での一矢報いる話、と管丞相でまとめられた構成です。武部源蔵への筆法伝授と管秀才を預ける所は後半への振りです。細かいところですけど、武部源蔵と妻の戸浪に子供がいないことをここで触れていたのに気が付きました。これも後半への振りですね。
せっかく観た話なので自分のブログを振返って思い出していましたが、ここから感想。
加茂堤は逢引を手伝った桜丸の歌昇がやや軽く助平な有様で、一方逢引から駆落ちしてしまう親王の米吉が立派な宮様。この場面だけを考えても、後半の桜丸の思い詰めようを考えても、立派と助平は逆の方がよかったのでは。
筆法伝授は仁左衛門の管丞相と幸四郎の武部源蔵が組んだものを以前にも観ましたけど、前よりは良くても、やっぱり幸四郎が軽く見えてしまい、ぼちぼちです。三の線の方が似合うと思うのですよね、幸四郎は。
道明寺も、さらさらと進んで終わってしまいました。宿禰太郎と立田の前は夫婦なのに、宿禰太郎の叔父に当たる管丞相を討って出世の手蔓にしようという悪い側の酷さが流されて伝わらない。宿禰太郎の父土師兵衛の歌六が、貫禄と笑いのバランスを取っていましたが、話の酷さを伝えるところはやはり足りず。そしてこの場面の話の悲しさを伝えるのは管丞相ではなくその姉の覚寿ですが、覚寿の魁春にもっと頑張ってほしかった。仁左衛門がほとんど動かないのは覚悟の上で観ていましたが、座っているだけでも呼吸が荒くなっていたように見えたのは、役のテンションがそうさせるのか体力がきついのかいまいち見極められず。
あとこの回は客席でスマホが鳴っていて、たぶん2人いたと思うのですが、少なくとも1人はひっきりなしにメンションの音が鳴っているのに電源を切らずにいたので、3幕通して集中力が削がれてしまったのが残念でした。あれは本人が耳が遠くてあの高さの音に気付かなかったんでしょうか。そう言えば会場アナウンスも、機種によって電源の切り方が異なりますが必ず電源から切ってください云々とアナウンスしていたので、まさか電源の切り方入れ方がわからなくて確信犯で電源を切らない人だったということもないと思うのですが。歌舞伎座も電波抑制装置を導入してほしいです。
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