EPOCH MAN「我ら宇宙の塵」新宿シアタートップス
<2025年11月1日(土)夜>
星座と宇宙に詳しい父親が亡くなって5年、ほとんど口をきかなくなった息子は朝早くに家を出て行方不明となる。気が付いた母親は息子を探して家を出る。幸い行く先々で息子の手掛かりは得られ、息子と話した人たちも一緒に探すと申し出てくれる。
一人劇団として名前を見かけていたので観劇。評判通りの仕上がりでした。
息子を探す話がやがて、という展開は落着いて考えれば強引極まりないものですが、そこは日本の小劇場の伝統ある作風に則って笑いとテンションで納得させて引張ってくれます。そこに子供は人形を使って演じられていて、あの足を役者の足に付けて頭と腕を棒で動かすタイプの人形を何と呼ぶのか知りませんが、不思議と馴染んでいました。
そしてその作風に則りすぎるとやや貧乏臭い舞台になることもままあるのですが、今回は舞台の側面から背面までをLEDパネルで覆って、全面の映像を上手く使うことでむしろ洒落ていました。映像の観やすさの違いを気にして狭いシアタートップスで席種を4つも設けていましたが、2つくらいでよかったんじゃないかなと思います。ちなみに音響も綺麗で雰囲気を新しくするのに一役買っていて、音源と設備によってはこのくらいはできるのだなと再認識しました。
肝心の芝居ですが、全員よかった。とは言え池谷のぶえがやはり一頭抜けていて、真面目な役なのにふざけた場面で役と芝居の雰囲気を壊さずにふざけるのに付合える腕前は素晴らしいの一言。渡邊りょうは調べたらこれまで何度か観ていたはずなのにあまり記憶にないですけど、こういう弱いところの多い役もできる人なのですね。そこにテンション勝負なら負けていない異儀田夏葉はKAKUTAの人、見た目で勝負しつつ意外と動けるぎたろーはコンドルズの人だからそれは動ける、そして自分は子供の役で参加した脚本演出の小沢道成は、あちこちから狙った通りの役者を集められるのも実力のうち。
1時間半くらいだったかな、時間が短くとも密度で短いとは感じさせない。初演で読売演劇大賞を取ったのも納得でした。
« 文学座「華岡青洲の妻」紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA | トップページ | ほろびて「光るまで」浅草九劇 »
« 文学座「華岡青洲の妻」紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA | トップページ | ほろびて「光るまで」浅草九劇 »

コメント