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2026年2月24日 (火)

2026年3月4月のメモ

チケット買えるかどうかで様子を見ながら、何本観られるか。

・Dialogue!「101分のペリクリーズ」2026/03/04-03/08@シアター風姿花伝:まだ観たことのないシェイクスピア演目なので

・松竹主催「三月大歌舞伎」2026/03/05-03/26@歌舞伎座:昼が「加賀見山再岩藤」の通しで夜が「三人吉三巴白浪」だけどどうしよっかなー、くらいの気持ちで

・円盤に乗る派「『いまのところまだ存在しているわたしのたましいが……』」2026/03/12-03/15@吉祥寺シアター:名前を見かけるのでピックアップ

・世田谷パブリックシアター企画制作「コーカサスの白墨の輪」2026/03/12-03/30@世田谷パブリックシアター:ブレヒトの有名演目の1つなので

・劇団印象-indian elephant-「藤田嗣治 ~白い暗闇~」2026/03/19-03/24@東京芸術劇場シアターウエスト:何となくひっかかったので

・「砂の女」製作委員会主催「砂の女」2026/03/19-04/05@紀伊國屋ホール:安部公房は相性が悪いのですけどこれくらいは1度観たほうがいいのではないかと

・サルメカンパニー「水の間の子供たち」2026/03/28-03/31@東京芸術劇場シアターウエスト:近頃人気急上昇中ですが今回は重い演目の気配

・ホリプロ/東宝企画制作「メリー・ポピンズ」2026/03/28-05/09@東急シアターオーブ(2026/03/21-03/27プレビュー):実はまったく内容を知らないので一度観ておきたい

・ケムリ研究室「サボテンの微笑み」2026/03/29-04/19@シアタートラム:KERA新作です

・ゴーチ・ブラザーズ主催「ポルノ」2026/04/02-04/12@本多劇場:長塚圭史を初めてみたのがこれで酷い話からのラストで持って行かれた気分を覚えている、今回は演出が松居大悟

・新国立劇場主催「椿姫」2026/04/02-04/12@新国立劇場オペラハウス:有名演目なので

・松竹主催「四月大歌舞伎」2026/04/02-04/27@歌舞伎座:昼に菊五郎勘九郎七之助で「裏表先代萩」、夜に「連獅子」と井上ひさしの「浮かれ心中」

・EPOCH MAN「The Closet Revue」2026/04/05-05/04@ザ・スズナリ(2026/04/04プレビュー):前回がよかったので期待

・ドナルカ・パッカーン「女の一生」2026/04/08-04/12@座・高円寺1:森本薫の代表作と言われているのでピックアップ

・パルコ・プロデュース「メアリー・ステュアート」2026/04/08-05/01@PARCO劇場:宮沢りえと若村麻由美の女王対決で演出は栗山民也

・シス・カンパニー企画製作「新宿発8時15分」2026/04/09-04/26@日本青年館ホール:三谷幸喜の新作ミュージカル

・野田地図「華氏マイナス320°」2026/04/10-05/31@東京芸術劇場プレイハウス:新作です

・セルリアンタワー能楽堂主催「万作狂言会」2026/04/12@セルリアンタワー能楽堂:もうチケット売切れていますけど

・ウンゲツィーファ「8hのメビウス」2026/04/15-04/20@BUoY:関係者が出ていた別作品で興味を持ったので

・万作の会「野村狂言座」2026/04/16-04/17@観世能楽堂:こちらは2日公演です

・「ドリアン・ドリアン」製作委員会「DURIAN DURIAN」2026/04/18-04/26@I'M A SHOW:脚本演出が村角太洋です

・エイベックス・ライブ・クリエイティヴ/シーエイティプロデュース主催「ナルキッソスの怒り」2026/04/18-04/30@東京芸術劇場シアターウエスト:成河の1人芝居を藤田俊太郎演出で

あとからいくつか足すかもしれませんが取急ぎ。

<2026年3月7日(土)追記>

2本追加。他にも気になった芝居をチラシ経由でいくつか見つけてはいるのですが、そこまで観に行く時間がないため割愛しています。

駅前劇場とOFF・OFFシアターも改修でしばらく休館

こちらはビルの改修に伴うもので5か月です。公式サイトより。

駅前劇場/OFF・OFFシアター

TAROビル改修工事に伴う休館について

この度、当劇場が入居しているTAROビルの改修工事に伴い、下記の期間について、駅前劇場、OFF・OFFシアター共に休館とさせていただきます。
劇場をご利用いただいている団体様、劇場へお越しいただいているお客様には大変ご迷惑をおかけいたしますが、何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます

休館期間
2026年3月2日(月)~7月31日(金)

何でもメンテナンスは必要なのでしょうがない。ここでしっかりメンテナンスを済ませて安心して観られるようになってほしいです。

世田谷パブリックシアターが改装で一時休館

1年以上前に発表されていたのにすっかり見落としていました。公式サイトより。

2024年11月15日

世田谷パブリックシアター(主劇場)一時休館のお知らせ

世田谷パブリックシアター(主劇場)は天井および舞台設備等の改修工事のため以下のとおり休館いたします。
ご利用の皆様には大変ご不便をおかけいたしますが、ご理解いただきますようお願い申し上げます。

【休館期間】令和8年4月1日~令和9年3月31日(予定)

【対象施設】世田谷パブリックシアター

※シアタートラムは通常通り営業いたします。
※休館明けの劇場使用申込みの受付時期につきましてはあらためてお知らせいたします。

ここで休館期間が明けて2027年4月1日となると、ちょうど芸術監督の交代期になります。なるほど、それに合せて必要な改修は済ませておこうということと思われます。

そして野田秀樹。東京芸術劇場の芸術監督は3月いっぱいで終わりますし、今年の野田地図は4月に幕を開けて海外公演を挟んで8月に終わります。何となく来年の野田地図公演も4月から始めるとちょうど収まりがよさそうですね。改修後のオープニングを新芸術監督就任記念として自作で飾るとか、ありそうですね。次期芸術監督、誰になるでしょうか。答え合せはおそらく今年の12月。

国内芝居「お梅は呪いたい」の上演延期の話

小説原作の舞台化が上演延期になりました、という話です。公式サイト「舞台『お梅は呪いたい』上演に関するお知らせ」より。日付はファイル名の通り、2026年1月23日発表です。

このたび、2026年2月に上演を予定しておりました舞台『お梅は呪いたい』につきまして、関係各所・出演者・スタッフと慎重に協議を重ねた結果、誠に残念ではございますが、公演を延期させていただく判断に至りました。

お客様に安心して作品をお楽しみいただくため、また関係者が十分な環境のもとで作品づくりに向き合えるよう、
主催・制作側として整えるべき準備と体制を見直す必要があると判断し、今回の決断に至りました。

本公演にご尽力くださっている藤崎先生、祥伝社の皆様、スタッフ・出演者・マネージメント各社、劇場関係者の皆様、
そして、なにより、クラウドファンディングを通じて応援してくださった皆様、
すでにチケットをお買い求めいただいている皆様、
本作にお心を寄せてくださったすべての皆様に、
多大なるご迷惑とご心配をおかけしましたことを、心より深くお詫び申し上げます。

延期後の公演時期、出演者等の詳細につきましては、改めて準備が整い次第、公式に発表させていただきます。
なお、チケットの払い戻しやクラウドファンディングに関する対応につきましては、下記よりご確認ください。
(中略)
本来であれば、このような判断に至らぬよう進めるべきところ、主催・制作側の至らなさにより、
多くの皆様にご迷惑をおかけする結果となりましたことを、重ねて深くお詫び申し上げます。
何卒ご理解を賜りますよう、お願い申し上げます。

舞台『お梅は呪いたい』製作委員会

「主催・制作側として整えるべき準備と体制を見直す必要があると判断し、今回の決断に至りました」と書いているくらいなので主催・制作側に責任があるのでしょうが、それならどのような判断があったのか。それは普通、表に出る話ではないのでわかりません。ただ、主催・制作がどこなのかというと、「『お梅は呪いたい』製作委員会」とだけあって具体的な体制がさっぱりわかりません。

この製作委員会という体制は映画やアニメでよく見かけますが、私の中途半端な知識によれば、作る側にかなりの責任がかかり、金を出すのは製作委員会ですが損をしても出した金以上の損は払わず、儲けは製作委員会側が大半を取って、出来上がった製作物の権利も製作委員会が持って行くという、あまり評判のよくない体制という偏見があります。もちろん金を出すのは大事ですし、作り手がどのように関わるかの実際は契約次第でしょうし、宣伝や運営も製作委員会側が持ちます。

ただ、この芝居はクラウドファンディングで費用を集めているのですよね。300万円目標に対して1回目が不発で、2回目がほぼ95%で、合せるとほぼ100%まで集めています。別にクラウドファンドで資金を集めていけないことはありませんし、実際に上演に際してクラウドファンドで費用を集めている芝居を見かけたこともありますが、製作委員会の体制にはあまり馴染まないものです。ちなみに集まった金額に関わらず払われるAll-in形式ですが、返金は2月いっぱいまで受付けており、冒頭のお知らせの中略部分にURLがあります。

支援金の使い道には以下が挙げられていました。

設備費
人件費
広報/宣伝費
リターン仕入れ費
人形をはじめとする小道具製作費、英語字幕製作費などを含む公演制作費
※目標金額を超えた場合はプロジェクトの運営費に充てさせていただきます。

実際、今時の物価で300万円では上演費用には足りないことは、一度真面目に計算したことがあるのではっきりしています。しかもクラウドファンドなら手数料も2割くらい持って行かれます。だからチケットを買ってくれるお客様探しの面が大きいと思います。

これがやらかし上等で費用を集めていたのかというと、そうとも言い切れません。というのも、上演台本と演出に松村武を、主演に高田聖子を呼んでいるからです。別にこの2人と個人的な接点は皆無なのですが、少なくとも詐欺の片棒を担ぐような人たちとは思えません。

ここであらためてクラウドファンドのリターンを見てみます。原作者のアフタートークが入っているくらいなので、それなりに信用できる体制で進める予定だったはずです。

3,000円 公演パンフレット+非売品手ぬぐい
5,000円 稽古場見学参加権利+公演パンフレット+非売品手ぬぐい
15,000円 バックステージツアー+公演チケット+稽古場見学参加権利+公演パンフレット+非売品手ぬぐい
30,000円 藤崎翔さんも参加の特別アフタートーク参加券+特別アフタートーク回公演チケット
+バックステージツアー+公演チケット+稽古場見学参加権利+公演パンフレット+非売品手ぬぐい
100,000円 クレジット入り 非売品カンパニーウェア+公演パンフレットにクレジットを記載※映像化されるの際にはエンドロールにもクレジットを記載+全部セット(30,000円リターンと同様の内容)

そこでもう一度「主催・制作側として整えるべき準備と体制を見直す必要があると判断し、今回の決断に至りました」に戻ります。

本当に当てずっぽうの予断でしかないのですが、原作者が元芸人ということで、原作者に近い芸能関係者で、かつ舞台業界に詳しくない人がいたとします。舞台化したら面白そうとノリで始めて周りに声をかけたら、それなりに人が見つかったので上演しようと製作に入ります。ところが舞台を1本作るにも様々な苦労があり、次々と出てくる問題を解決するにはそれなりに各分野に通じていないといけません。しかも勢いで借りた劇場がまだ新しいキャパ508席の飛行船シアター(東京)で10日間13ステージと、346席の西文化小劇場(愛知)で2日間2ステージ、もちろん仕込みは別。赤字を出さないためにチケット代を13800円で設定してみたものの、お前は「ハリー・ポッター」と勝負するのかという値段では客入りが覚束ないのは想像に難くありません。あれこれやってみたものの、このまま進むと赤字で死ぬとギブアップした。そんな物語が浮かびました。

当てずっぽうは当てずっぽうでしかないのですが、延期と言い丈、このまま中止になっても驚きません。そんな舞台の上演計画があった、という話です。

海外ミュージカル「バーレスク」の上演中止

1月に発表されて、続報があるかと待っているうちに書きそびれた話です。公式サイト「ミュージカル『バーレスク』公演中止のお知らせ」より。日付が入っていませんがたしか2026年1月9日発表で、上演予定が2026年5月から8月まで東京大阪福岡でした。

 弊社梅田芸術劇場では、ミュージカル『バーレスク』日本版公演の上演権を取得し、実現に向けて入念に制作における準備を進めてまいりました。しかしながら、誠に遺憾ではございますが、本公演の実施を断念せざるを得ない状況となりました。

 本公演を心待ちにしてくださっていたお客様には、このようなご報告となりましたこと、心より深くお詫び申し上げます。あわせて、公演の実現に向けてご尽力いただきました日本キャストならびにスタッフの皆様に対しましても、多大なるご迷惑をお掛けいたしましたこと、重ねてお詫び申し上げます。

 このたびの事態を重く受け止め、今後はこれまで以上に真摯に舞台制作に取り組み、皆様に信頼していただける舞台エンタテインメントをお届けできるよう、誠心誠意努めてまいります。

 何卒ご理解を賜りますよう、お願い申し上げます。

 株式会社梅田芸術劇場

補足でステージナタリーから記事を拾っておきます。

本作は2010年に公開された、クリスティーナ・アギレラ主演のミュージカル映画「バーレスク」をもとにしたミュージカル。ミュージカル版は昨年7月から9月にかけてイギリス・ロンドンのウエストエンドで上演され、映画版の脚本・監督も務めたスティーヴン・アンティンが脚本、歌手・ラッパー・振付家のトドリック・ホールが演出を担当。またエグゼクティブプロデューサーとして、アギレラもクレジットされている。日本キャスト版では、元宝塚歌劇団星組トップスターの礼真琴がアリ役を務めることが発表されていた。

理由については推測するしかないのですが、たっぷり吹っ掛けられていた上演料を為替の手当てをせずに後日決裁としていたら、円安で限界を突破して、違約金を払ったとしても中止にしたほうがまし、と判断するくらいに追込まれたのではないかと想像します。

というのも、1月に発表になったということは、その前に1か月くらいはかけて関係者にごめんなさい行脚をしていたはずです。ということは中止の決定をしたのはさらにその前の10月か11月。そのころちょうど為替が一本調子で円安になったころで、ドルでもポンドでも傾向は同じ。商業芝居は上演準備が約3年とどこかで読んだことがありますけど、2023年の円高なときと比べるとドルで2割、ポンドで3割も為替が変わっています。

海外公演の上演料が国際的なドル決済なのか、現地通貨としてポンド決裁なのかはわかりませんが、これだけ変わったら算盤も弾き直さないといけません。

推測は推測でしかありませんが、なぜこのように推測したかというと、役者の責任なら意地でも代役を探してきたでしょうし、何より今回の中止の発表文章からあまり責任が感じられなかったのですよね。やらかしたのではなく、不可抗力な状況に負けたからしょうがないという雰囲気を読取りました。円安も物価の値上がりの理由1つだと全国的に膾炙しているところなので関係者も諦めがついたというべきか。本来は為替も商売のリスクの1つなので、本当に為替が理由ならやらかしたことには変わりないのですが。

ともかく、中止になったミュージカルの上演計画があった、という話です。

ACT.JT主催「第12回 立合狂言会」国立能楽堂

<2026年2月23日(月)昼>

妻の実家に初めて挨拶に向かうのに儀礼を教えてもらおうと人に尋ねたら「音曲聟」。せっかく育てた作物を荒らしに来る鳥や獣を追払ううちに夜になり「狐塚」。旅人を泊めることまかりならんとお触れが出た中で旅の僧が一夜の宿を借りるために工夫する「地蔵舞」。宝を守るために夜に一人で見回りをすることになった「杭か人か」勝手に休んだ太郎冠者を叱るために出掛けた主人と次郎冠者だが居留守をつかわれて「叫声」。旅の鬼が人里を求めて歩くうちに夫の留守を一人で守る妻の家にやって来て「節分」。主人が留守の間に米蔵と酒蔵を守るように言いつけられて「樋の酒」。師匠の言いつけを言葉通りに守ろうとして「重喜」。金の値段を訊いてくるように言いつけられた太郎冠者だが勘違いして「鐘の音」。長命の薬となるかたつむりを探すように言いつけられて探した藪の中には山伏が休んでいたが「蝸牛」。

全体評では演目の順序は考えてほしいところ。狂言の演目は今風に呼べばネタ1つの短編をテンポ極遅の20分かけて上演するので、明るい演目といえどもそれだけで感心するのは難しい。身体か声のフィジカルを早目に押し出してわかりやすく感心する取っ掛かりから流れを作ってほしいところ。今回でいえば「叫声」「鐘の音」あたりか。個別評は出来を評するほど見きれなかったので省略。ただ、声が大きくてはっきりしているのはいいが、声質がきんと響く演者の多いことが気になった。古典ならもっと深い声を目指してほしい。

演者演目を一度に知るには丁度良いと考えて臨んだものの、前半5本後半5本で押して4時間40分コースは不慣れな古典を観るはさすがに体力が厳しい。とは言え、始まってすぐに寝ていた客も1人や2人ではきかなかったがあれはいったい何をしに来たのかと疑問もあり。生の舞台は客席から話を掴みに行くことも求められるもの。休憩時間に帰った客はむしろ良心的で、後半始まっていきなり正面席でいびきが聞こえたのはさすがに演者に失礼。

2026年2月22日 (日)

劇団アンパサンド「歩かなくても棒に当たる」東京芸術劇場シアターイースト

<2026年2月22日(日)夜>

マンションのゴミ捨て日。回収が早いためゴミ捨ての時間も8時までと決まっているが、間に合わなかったゴミをそのまま捨てたい各位。そこで思い出されるのが1年前に亡くなった住人の話。ルールを破るのが許せずにゴミ捨て日にはいつもゴミ捨て場の隣に座って見張っていたという。引越してきたばかりで初めて話を聞いて感心していた女性だが、どうも肩が重くて痛む。

劇団初見にして岸田戯曲賞受賞作。丁寧に積んだ前半を使って怒涛の後半を処理する展開はホラーコントとでも呼ぶべきもので、普通に考えれば強引なところ芸達者な女優6人の力を十二分に生かしたパワープレイに最後まで笑いっぱなしで押切られてシャッポを脱ぐ一本。これのどこが岸田戯曲賞なのか演出賞ではないのかと考えるも、後半の罰せられる順番の決め方はやはりセンス。チケット完売なので口コミプッシュは出さないけれども、観られてよかった。

新国立劇場オペラストゥディオ「ウィンザーの陽気な女房たち」新国立劇場中劇場

<2026年2月22日(日)昼>

仲の良い女房2人だが、片や嫉妬深い夫に悩み、片や娘の結婚相手に悩んでいる。そんな2人に色男と名高いドンファンが恋文を送る。恋文を届けられただけでも腹立たしいのにまったく同じ恋文であることに憤慨した2人は、ドンファンと嫉妬深い夫の双方を手玉に取って懲らしめる作戦を考える。

舞台と衣装は現代に移したものの歌も筋も変えていないと思われる1本。席は後ろでも距離の近い中劇場の生オケでやや声の隠れる場面もあったものの、おおむね堪能。嫉妬深い夫に悩むフルート夫人の有吉琴美、愛し合う娘アンナの谷菜々子とその相手フェントンの矢澤遼の3人がこの日は絶好調。これで5千円はやはりオペラの勉強にお得な1本。

2026年2月15日 (日)

新国立劇場演劇研修所演劇研修所「社会の柱」新国立劇場小劇場

<2026年2月15日(日)昼>

ノルウェーの海沿いにある小さな町。領事を務めるベルニック家の当主カルステンは造船業を営み町の経済を支え、公園を寄贈し、学校を作り、社会の柱として期待されるような名士である。その妻ベッティーも模範的な妻であったが、かつて弟のヨーハンと異母姉のローナが15年前に騒動を起こしてアメリカに渡って以来、影を引きずっている。町に鉄道敷設の話が挙がっているだけでなく、自前の船の整備に加えてアメリカの船が緊急修理でやって来たため造船業が忙しいある日、ヨーハンとローナがアメリカから戻ってくる。カルステンは2人に誰にも話していない負い目があった。

よくぞここまで問題を積上げたというイプセンの脚本は現代演劇のはしりと呼ばれるに相応しい1本。それだけに役者に求められるものも多く、言い訳出来ない万全のスタッフワークでこの演目を持ってきて千尋の谷に突落とす演出兼研修所長の宮田慶子は鬼畜半分親心半分か。主要人物を演じた役者は頑張りは認めるものの歯は立てど食いちぎって消化するところまでは届かず、オープニングの噂話も上滑りして休憩時間に登場人物図を見直す必要あり。造船業の現場監督の和田壮礼、支配人の森唯人、ベッティーたちの従兄ヒルマールの菊川斗希が役作りに揺れがあるとしても気になる場面あり。とは言え千秋楽でこの出来は観客として満足には至らず、役者各位には今後の奮起を望む。

2026年2月 5日 (木)

トライストーン・エンタテイメント/ディライト・エンタテイメント企画制作「いのこりぐみ」IMM THEATER

<2026年2月4日(水)夜>

とある小学校の放課後の教室。生徒の母親から担任を変えてほしいと言われて、まずは何があったのかを把握するために面談をすることになった教頭と、保護者と1対1では会えないため付合わされた教師が来校を待っている。過去にも学校に文句を言ってきたことがある母親に備えている2人だが、はたしてやって来た母親は担任を変えてほしいの1点張りで要領を得ない。

三谷幸喜の新作4人芝居。幕が開いて役者が出揃ったときにはきっとこうだろうなとオチは読めて、あとはそこまでどうやって話が流れるかを楽しむところ。その流れに観客席側の空間を使うのが若干反則気味なものの、適度な突っ込みもあって楽しめる。駄目押しのオチはさすがにどうだろうかと考えたものの、この日この時間ならぎりぎり成立たなくもないような設定だった。人称の使い方だったり、結論ははっきりとさせつつ観客によって肩を持ちたくなる役が微妙に違うだろうなという線を狙った脚本はさすが。1時間45分の長さもいい。

4人とも上手なところ、客に芝居を届ける演技の教師役の小栗旬と母親役の菊地凛子に対して、客の注目を自分に引付ける演技の教頭役の相島一之と担任教師役の平岩紙でタイプが分かれていた。どちらが好みかは観客次第なものの小劇場の観客が長い自分は後者の2人の演技に惹かれる。

2026年2月 2日 (月)

アイオーン主催「ゴドーを待ちながら」赤坂RED/THEATER

<2026年2月1日(日)昼>

木がある以外に何もない場所で、エストラゴンとウラジミールの2人はゴドーを待っている。どうして約束したのか、そもそも本当に約束したのか、ゴドーがどんな人間だったのかすら曖昧なまま待ち続ける。召使を連れた貴族が通って絡んだり絡まれたりはするものの、なかなか来ないゴドーを待ち続ける。

別演出で一度観たことがあるものの今回改めて観劇。今回のダブルゴドーの裏芝居の感想はこちら。エストラゴンの小倉久寛は適度にフラが入って1人場面でもしっくりくるが、ウラジミールの横堀悦夫が1人場面だと細い仕上がりで大ベテランでも会話のない芝居は苦手なのかもと驚き。ポゾーの釆澤靖起、ラッキーの佐藤銀平まで出来がよかった分だけそこが残念。

ストーリーのない不条理劇と言われているものの、醜い現代社会(ポゾー)と、その現代によって貶められた過去の社会(ラッキー)、そしてもっと素晴らしいはずだと期待しているがどのようなものかもいつやって来るのかもわからない未来の社会(ゴドー)、そんな中に放り込まれて身動きの取れない市井の現代人(主人公2人)、この見立てで書かれた芝居だというのが今回の観劇で得られた理解で個人的にはすっきり。抽象舞台の3つのオブジェのうち2つは木と岩に見立てたものだが、3つ目の宙に浮かぶ輪はそんな人間世界を見下ろす天使の輪か。

アイオーン主催「ゴドーを待ちながらを待ちながら」赤坂RED/THEATER

<2026年1月31日(土)夜>

芝居「ゴドーを待ちながら」のアンダーステディとして今日も劇場の裏で待機している2人の役者。いつか自分にもチャンスが巡ってくると願いながら昼公演の幕が開く。

初日。スケジュールの都合でこちらから観劇。ダブルゴドーの本編の感想はこちら。後で観れば「ゴドーを待ちながら」を下敷きにした場面も多数あったとわかったし、他の芝居の引用も複数あるようで、知っている方がより楽しめるが「ゴドーを待ちながら」よりも賑やかで単体でも観られる。バックステージものとしての作り込まれた脚本を真面目に演出しすぎて、目が出ない役者の悲哀が強く出過ぎて笑いきれない場面が散見。そこは役者と演出で適切な距離感を取ってほしかった。その点は舞台監督補の朝海ひかるの突き放し具合がよかったものの、脚本を読む場面で宝塚をさせないほうが個人的にはよかった。詰められるところはまだまだあるという初日の仕上がり。

PARCOプロデュース「志の輔らくご in PARCO 2026」PARCO劇場

<2026年1月31日(土)昼>

近頃とみに増えた外国人旅行客が日本で一番気に入っていたもの、それは盆踊りであった「ドドンがドン」。正月セールの広告を一生懸命考えているときに届いた間違いファックス、内容が内容だったので間違いですよと送り返したら「踊るファックス」。彫刻が見事で知られた名人の父親が亡くなり息子も彫刻を始めたがてんで駄目、江戸中の道具屋が見切りをつける中でも先代に世話になったからと根気よく付合う道具屋の若狭屋だったが「浜野矩随」。

千秋楽。オリジナルの前半2本で屈託なく笑わせてから後半の古典は、映画「国宝」の出来もさることながらその準備に費やされた手間暇を羨ましがる枕から始めて滋味深い仕上がり。ようやく千秋楽、昔のようにはできない、と幕開けの雑談で口にする様子は笑いも交えながら本気の様子も、噺が始まれば尻上がりに盛上がっていくのはさすが。まだまだいけると見せてくれた1本。

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