ケムリ研究室「サボテンの微笑み」シアタートラム
<2026年4月4日(土)昼>
昭和初期ごろの東京、両親を亡くして長い兄妹。兄は温室で花を育てて気が向いたら売り、妹はめったに外出しないが、財産があるので暮らしていける。兄も妹もほとんど付合いはないが、兄が病気の療養でお世話になった元看護婦の夫妻と、兄妹の幼馴染で小説家になった男だけは年賀状をくれる程度の付合いがある。ある年、この夫妻と小説家が珍しく兄妹の家を訪れることが重なる。
いわゆる「いい人」が、自分からいろいろ動いて相手を見つけるのではなくたまたま知合って好意を持たれた相手にそれ以上の好意を抱いてしまうこと、なのに自分から積極的に相手を誘って楽しむでもなく2人きりになっても上手な会話を目指して間が持たないこと、優しさは自分が好意を持つ相手と嫌う相手とを区別せずに相手かまわず他人が傷つくのを防いで波風立たせないようにする形でのみ表現されること、好意を持っている普通の人なら自分から意識して距離を縮めていくこと、を芸達者な役者でこれでもかと表現する3時間10分。オチも含めて解像度が高すぎる。演技の基準が他よりもやややり過ぎなところにある赤堀雅秋と、狭い劇場で百面相を駆使する緒川たまきが、兄妹のいたたまれなさにはまり過ぎ。プロジェクションマッピングなしの固定舞台も、盆を使った無意識の好意の距離と、見えてもガラスで隔てられている庭向こうの温室とで場面を回す技術は職人芸。
« ホリプロ/東宝企画制作「メリー・ポピンズ」東急シアターオーブ | トップページ | ゴーチ・ブラザーズ主催「ポルノ」本多劇場 »
« ホリプロ/東宝企画制作「メリー・ポピンズ」東急シアターオーブ | トップページ | ゴーチ・ブラザーズ主催「ポルノ」本多劇場 »

コメント