青年劇場公演「Sの顛末」紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA
<2026年6月6日(土)夜>
女学生同士の心中事件の記事をきっかけに青鞜に文章を送った女学生S。青鞜の編集部を訪ねたその日に出会ったスズを下宿先の親戚の家に招きつつ、青鞜の雑誌編集活動を手伝い、彼女らの活動と関係、そして問題をつぶさに見ることになる。
史実を基にしたフィクションとは言い条、ざっとWikipediaを読んだだけでもまずまずの史実が盛込まれていて、たとえば紅吉の話はほぼ史実。Sとスズに喫茶店店員の男性といった架空の登場人物を導入して、史実を拡張するようにLGBTやトランスジェンダーといった補助線を入れることで、現代でも問題になっているその方面の人たちの息苦しさと、当時の青鞜の崩壊につながった主要女性陣の心変わりや狭量やその致し方なさを対比して両方を描く鮮やかさ。役者もよくそれに応えて存分に力を発揮。衣装を着物にする以外は明治大正風に囚われないことで新旧両方をつないだスタッフワークも見事。劇団、スタッフ、脚本演出の高羽彩の力作と評したい仕上がり。
平塚らいてうではなく保持研(当日パンフのクレジットは研子ではなく研)にはっきり言わせたクライマックスはおそらく脚本家の筆力の賜物と想像しながら、少ない出番で手厳しい与謝野晶子の発言がどのくらい史実なのかに興味が湧きつつ、女が女を描くことの何と辛辣なことよとも思う。それも含めて力作。
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