劇団俳優座「ガリレイの生涯」シアターΧ
<2026年9月11日(金)夜>
優れた数学者であり科学者としても知られていたが、稼ぎが足りずに苦労していたガリレオ・ガリレイ。ある時、存在を知った望遠鏡を使って天体観測を始めると、天動説を覆すような観察結果がいくつも見つかる。観察結果を研究成果としてまとめた本はガリレイの評判を高めるが、それは人と聖書と神を中心に据えていた当時のローマ教会の権威否定につながるものであり、目を付けられることになる。
ヴェネツィア在住ですでに娘が15歳のときから、異端審問に至ってその後日談までを描く。ガリレイの有名な話だし、冒頭で結論は出ているので、その行跡を追う形。力作なのは認めるものの3点がどうにも納得いかず。1点目は学問と心理の探求に熱心なガリレオ自身の描写。序盤で大学の俸給の値上げ交渉や弟子入りの謝礼を吹っかけつつ近所の子供には自身の研究成果を基に教えるところや、前半終盤のペストの場面でガリレイがあっさりしすぎ。これが弱いから後半が生きない。2点目は時に近づき時に脅すカトリック教会の恐ろしさが薄い。全体に薄いが、特に終盤の異端審問の結論を待つ弟子たちの楽観度や、逃がそうとする職人や、見張りが付いている軟禁中のガリレイから未発表の草稿をもらって大声で褒めたり隠し場所の地球儀をほったらかしにしたりする元弟子の様子などは不満足。怖さは周りからも伝わるようにしてほしい。
3点目、一番気になったのは、コの字の変形舞台で舞台両脇にも席が設けられているのに舞台正面をメインに据えた絵作り。自分は正面席だったものの、せっかく回転舞台を作ったのに両脇は同じ料金で置いてきぼり。変形舞台は正面向き中央ではなく回転軸の中央が絵作りの中心、役者配置の重心であるべきで、囲みのある舞台なら役者の配置は斜めの対角線が基本。劇場のレギュラー座席で見切れができるならまだしも、わざわざ変形舞台を作ってこれは駄目。昔一度ひどい目にあって以来気になってしょうがない。稽古場の演出家席がわかるように絵を作るな、記録撮影のカメラを1台だけしか置けないとしたらどこに置いてもいいと思えるか考えろ、成り立たないならどれだけ至近距離のかぶりつきでも見切れ席扱いで安く売れ、が自分の意見。
真理もたらす行く末や民衆の苦しみに重きを置きすぎて、本来欠かすべからず劇中の雰囲気や観客への配慮をなおざりにした演出の力不足、が結論。スタッフワークで言えば衣装と選曲はよかった。ブレヒトを演じていた森一は、それで芝居全体がどうこうというのではないが、あの無邪気とも見える素直さは一服の清涼剤の感があった。
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