PARCO PRODUCE「アメリカン・ドリーム」PARCO劇場
<2026年9月5日(土)夜>
アメリカで反共産主義が猛威を振るった「赤狩り」の時代。ホテルの一室では映画関係者の取調べが行なわれている。この日はなかなか売れない女優、人気監督、ヨーロッパから亡命してきた脚本家、そして当代一番の売れっ子脚本家の4人が呼ばれた。2人の委員が1人ずつ取調べをする中で、4人はどのように対応するのか。
ほぼ出ずっぱりの委員2人を演じる浅野雅博と中川大志が、紅一点の関谷春子と、三谷幸喜常連の浅野和之、山崎一、小日向文世を出迎えて1時間50分に中編4本を詰込んだ趣がある。「笑の大学」のバリエーションを想像させるシチュエーションながらも、あちらが笑いメインで構築していたのに対して、今作は笑いどころも多数用意しつつ真面目な話に正面から取組んだ意欲作。役者6人全員文句なしで、芸達者な常連組の芸を堪能しつつ、浅野雅博をあまり見かけない強面委員役で起用して成功させたのは慧眼。映像の使い方に映画監督もやる三谷幸喜の腕前発揮を見つつ、舞台美術や衣装の助けもあって、三谷幸喜らしからぬ渋くてお洒落な仕上がりは当時のハリウッド映画を目指したか。
この仕上がりにケチを付ける方が野暮なのは承知で、もう社会派要素抜きで笑いに笑える新作を三谷幸喜に求めるのは無理なのだろうなという諦めもあり。喜劇路線をこの規模で継げる人も今は思い浮かばない。喜劇路線というのもちょっと違って、いかなる真面目な話題であっても洒落のめして胸を張る気概というか。今の世の中、特にここ10年くらい、洒落を名乗って逃げようとする目に余る邪悪を叩き潰すために余裕がなくて、本物の洒落まで呼吸する余裕がなくなった。「笑の大学」は邪悪に、というのは業界的な邪悪というのが私の理解ですが、それに洒落以外徒手空拳で立向かうような芝居だった。
これは将来の売れっ子脚本家の登場に期待を残して。
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