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2020年9月15日 (火)

芝居の客席数の50%制限が9月19日から11月末まで暫定緩和される

いまだにこの手の資料がどこで発表されるのかわかっていないのですが、今回は「【事務連絡】9月19日以降における催物の開催制限等について」という題で内閣官房の「新型コロナウイルス感染症対策」ページに載っていました。

厳密にはこれまで

①収容人数10,000人超⇒収容人数の50%
②収容人数10,000人以下⇒5,000人
(注)収容率と人数上限でどちらか小さいほうを限度(両方の条件を満たす必要)

となっていたところ、

〇 得られた知見等を踏まえた業種別ガイドラインの見直しを前提に、必要な感染防止策が担保される場合(別紙3「収容率及び人数上限の緩和を適用する場合の条件について」)には緩和することとし、当面11月末まで、以下の取扱いとする方針とする。
 ①収容率要件については、感染リスクの少ないイベント(クラシック音楽コンサート等)については100%以内に緩和する。その他のイベント(ロックコンサート、スポーツイベント等)については50%以内(※)とする。
 ②人数上限については、5,000人を超え、収容人数の50%までを可とする。

とされました。この中で収容率要件が100%に緩和されるイベントとして

大声での歓声・声援等がないことを前提としうるもの・クラシック音楽コンサート、演劇等、舞踊、伝統芸能、芸能・演芸、公演・式典、展示会等

と演劇が明記されています。たいていの劇場の収容人数は5000人以下で、その場合は「収容率と人数上限でどちらか小さいほうを限度」でも、客席数100%のほうが小さいほうに該当するため、全席販売が可能になります。

この資料は細かいところに注意書きがたくさんあって、私の理解では客席数(収容率)以外は、消毒飲食その他もろもろ何も緩和しませんという内容です。それでもあらゆる団体で一番気になっていた個所が暫定ですが元に戻ったので、上演側には喜ばしい内容でしょう。

私は実験の報告書を読んでもいまいち安心できなかった人なので、もう少し緩和を待ったほうがいいんじゃないかと考えていました。今後の動向に注目です。

2020年9月12日 (土)

緊急要望を出したのにニュースで公開しない演劇業界

前回紹介した「#コロナ下の音楽文化を前に進めるプロジェクト」報告書を背景に、クラシック音楽公演運営推進協議会が「緊急要望:イベント(舞台芸術公演)における客席の収容率50%制限の撤廃について」を9月10日付で大臣宛に出しています。いろいろ限界や不明点も残っていますが、背に腹は代えられないから早く撤廃してくれ、という立場なのでしょう。それは後で引用する文面に色濃く出ています。

この要望が連名で出されていて、他に「公益社団法人全国公立文化施設協会」と「緊急事態舞台芸術ネットワーク」も名前が載っています。前者は以前調べましたが、国公立の文化会館とか文化センターとか名の付くような施設が参加する協会で、会場側の新型コロナウィルス対策を取りまとめた団体です。クラシック音楽の会場にもなることが多いでしょうから、連名するのはわかります。こちらも同じ要望を出したことを9月10日付で公開しています

で、緊急事態舞台芸術ネットワークです。主に芝居に縁の深い劇場、劇団、スタッフ業界が名を連ねています。「2020年2月26日に政府による突然の自粛要請を受けて以来、公演の中止延期が相次いだ舞台芸術界の損害の実態を把握するため、損害額調査を実施。その結果を受けて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による舞台芸術業界が危機的状況であるとの認識のもと、緊急的に形成されたネットワークです。」と書かれている通り、今回急遽集まった団体です。要望の根拠である実験に芝居業界は何も参加していませんので、少しでも大勢の要望としたかったクラシック業界のお声がけに乗ったのでしょう。

それはそれで構いませんが、この要望を出したことが、緊急事態舞台芸術ネットワークのWebサイトのどこにも載っていません。ニュース一覧のページで私が9月12日16時時点で見ている中で一番新しいニュースは8月31日付のものです。

緊急事態舞台芸術ネットワークの世話人は大物の名前ばかりが載っているので、事務局がどうなっているのかわかりません。そう思って調べたら事務局の情報がほとんど見つからないことに気が付きました。規約の中に「当団体の主たる事務所を東京都豊島区に置く」とあり、世話人の1人が野田秀樹なので、東京芸術劇場のスタッフが兼ねているのかと想像しますが、想像の域を出ません。

事務局仕事も事務局運営ならではの常識やノウハウがいろいろ必要でしょうから、設立から4か月ではなかなか慣れていないのかもしれません。あるいは、世話人が連名することを決めて事務局に連絡を忘れたのかもしれません。ここまでニュースに載っていない理由はさておき、とりあえず名前を連名に載せたからには、要望を提出したことをニュースとして急ぎ掲載したほうがよいです。

そして緊急事態舞台芸術ネットワークの設立趣意には「『緊急事態舞台芸術ネットワーク』は、今回の新型コロナウィルスのような緊急事態にのみ活動します。すなわち、舞台芸術全体が公演中止に追い込まれそうな時、もしくは追い込まれた時においてのみ活動します。主たる目的は社会と共にいかにして舞台芸術の公演を再開していくかにあります。」とあります。一段落したら名前を変えてもいいから、この団体と事務局は維持して、演劇業界を代表する業界団体に育てたほうがよいと思います。離合集散の激しい劇団が長期の参加団体に適しにくく、規模の大きい団体の声が大きくなるかもしれませんが、そうだとしても、劇場やスタッフまで広く職種を横断した業界団体があるのとないのとでは大きな違いなので。

以下が要望の内容です。

令和2年9月10日
新型コロナウイルス対策担当大臣
西 村 康 稔 殿

緊急要望:イベント(舞台芸術公演)における客席の収容率50%制限の撤廃について

公益社団法人全国公立文化施設協会
クラシック音楽公演運営推進協議会
緊急事態舞台芸術ネットワーク

新型コロナウイルス感染症による公演の中止や施設の閉館など舞台芸術関係が被った打撃に対して、国では補正予算を含む多様な支援策を講じていただいており感謝申し上げます。公立文化施設や舞台芸術諸団体としても、新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドラインに則った対策を講じた上で、公演や施設の再開を進めているところです。

一方で、国では屋内イベントの客席収容率を一律で50%以内と示され、それを受け感染拡大予防ガイドラインでは「前後左右を空けた席配置」とし、公演再開においても50%以内の収容を厳守しています。しかしながら、多くの舞台芸術公演では、チケット販売における採算ラインを80%以上と見込んで、予算を立て制作されています。このまま収容率50%制限が続くならば、再開しても公演を続ければ続けるほど、赤字が積み上がることとなります。

クラシック演奏、ダンス、演劇、伝統芸能、演芸等の公演において観客は、原則として公演中は、定められた席に着席し、一定方向を向いて、相互の会話も行わずに観劇しています。先般、クラシック音楽公演運営推進協議会が提出公表した科学的検証においても、マスクを着用していれば、隣り合う配席でも、前後左右を空けた配席でも、感染リスクは変わらない結果が立証されております。また、劇場施設は建築法や興行法等により一定規模の空調設備が設置されており、屋内であっても決して密閉空間ではありません。

公演の中には、公演内容や観客層の年齢構成等、収容率において配慮が求められるものもありますが、公演主催者や施設管理者が、感染拡大予防ガイドラインに基づいて設定し、併せて「歓声や出待ちを控える」等の感染防止策を徹底することにより対策は可能です。

このまま不採算公演が続くと関係諸団体等の倒産や廃業、関係者の離職等による文化の継承の断絶等も想定されます。一定の条件下の舞台芸術公演において、感染拡大予防ガイドラインを遵守した上で、客席収容率50%制限の早期の撤廃をお願いいたします。

2020年9月 2日 (水)

読み方が難しい「#コロナ下の音楽文化を前に進めるプロジェクト」報告書

クラシック音楽の業界団体が音頭を取って実験を行なうと発表していましたが、結果が報告書にまとまって公表されました。クリーンルームで測定して、どのくらい飛沫が飛ぶのかを調べ、今言われているソーシャルディスタンスが本当に必要なのかを検討するためです。丁寧に実験していて、これだけの実験を企画して実現できてしまう日本クラシック音楽事業協会という業界団体の実行力はすごいです。

ある程度の曲を演奏するには演奏する側も密が必要、客席も経済上の理由で密が必要、なのが背景なので、楽器の演奏だけでなく、歌唱と、客席についても測定しているのがポイントです。芝居の参考になる情報がないかと読んでみましたが、これがなかなか難しい。

先に載っているのが客席。クラシック音楽なので「発声したとき」「咳をしたとき」「ブラボーと声を出したとき」の実験が載っています。すべて1分間連続です。向きは前方が90㎝の間隔、横は48㎝の間隔で測定しています。新国立劇場の小劇場の座席スペースが「幅50cm、奥行91cm」、中劇場では「幅52.5cm、奥行95cm」なので、あの客席のサイズを想像してもらえばよいです。

マスクなしで咳をしたときの数値はやばいだろうというのは飛沫感染を警戒されていることからわかります。全般にマスクなしは論外です。ただ、マスクなしの発声と、マスクありの咳とが、倍くらいの差しかありません(マスクなしの発声のほうが大きい)。至近距離で15分間しゃべり続けても感染の可能性があるので、そこから半分になったとして、これが大丈夫か気になります。

というのも、1分間咳が続いたらちょっとロビーで水飲んで来いよと本人も思えますが、芝居だと「笑ったとき」があり得ます。1分間続けてとは言いませんが、短く笑いをつなげて爆笑に持っていったら、断続的に1分間というのはあり得なくはありません。これが「咳をしたとき」「ブラボーと声を出したとき」のどちらに近いか。笑い方にもよりますが、私の直感では咳をしたときに近いと思っています。これがどのくらい影響があるのかわからない。

それは「本実験の限界」として記載もされています。「新型コロナウイルスの感染をきたす微粒子の大きさや数についての明確な情報がなく、微粒子数が少ないことで感染リスクがないと言い切ることはできない」。その通りですが、その通りだからこそ微妙な実験結果が出てしまったなと思います。

そして歌唱についてです。口元が一番多いのは誰が考えても予想通り、マスクなしで咳をしたときと同等です。他の測定個所は、100㎝前方を含めて「少数」となっているので最大2桁ですが、口元の測定値が大きすぎて他の測定値が読めません。口元以外の測定値が、マスクありの咳の前方とどちらが大きいか気になります。

歌ったのは3曲ですが、日本の童謡が2曲、海外の曲は第九の1曲です。この第九が原語か訳詞かがわかりません。西洋言語は唾が飛びやすいから感染しやすいと言われていたので、それを確かめたかったのですが、記載が見つかりません。もし追加実験を行なうことがあったら、日本の歌と西洋の歌と別々に試験してほしいと願っています。

芝居では動いて発声することが多いので、それでどうなるかは今回の実験では不明です。考察にも「より長時間あるいは複数名での歌唱による変化や、体の動きを伴ったり移動したりしながら歌ったりしたときの影響、マスクの効果など、さまざまな実験パターンの検討、追加実験の実施が必要である」と書かれています。

思い出すと、芝居を観ているとき、照明の加減で唾の飛沫が見えることがありますが、目に見えるくらい大きい飛沫はたいてい放物線ですね。上は目の高さくらいから下はあごの先くらいまで広がって、あとは下に落ちる。だいたい手を伸ばしたくらいの距離かもう少し先くらいで落ちていました。それなら全部そうかというと、普通の発声で飛沫がもっと小さい目に見えないときがわからない。今回の実験にある客席の「発声したとき」を当てはめていいのか、役者の発声はまた違った特徴を持つのか。動いて発生したり、換気の流れに乗るような小さい軽い飛沫だとどうなるのか。

あるいは、複数の場合にどうなるか。三密の条件でクラスターが発生しやすいことはわかっているので、1人の測定値では大丈夫でも、それが複数人重なると危険な閾値になることは想像できます。それはどのような場合か。

それは本実験の限界に「今回の実験は無風のクリーンルーム内という特殊な条件で行ったものである。コンサート会場や演奏場面では、空調や換気、複数の演奏者の相互の影響など、さまざまな要因が加わることに留意し、総合的に感染対策を検討することが望ましい」と記載があります。上演条件や環境が違いすぎるので、すべてのパターンを測定できるものではありません。それは承知の上で、上演の前提として、何か線引きできるような実験方法や、実用的な上演条件を考えられればよいのですが、今のところ思いつきません。

なお客席実験の結果を受けて総論に「マスク着用下であれば『1席あけた着席』でも『連続する着席』でも、飛沫などを介する感染のリスクに大きな差はないことが示唆された」と載せています。これは少なくとも芝居の客席については、私は不賛成です。上演中は静かにしていることが普通のクラシック音楽のコンサートの客席と、笑うこともあり得る芝居の客席とはすんなり比べられません。

あと、連続する客席を認めることによる誤ったメッセージを観客に伝える可能性があります。GoToキャンペーンで旅行して陽性になった人のコメントで「旅行に行こうか迷ったがGoToトラベルが始まったので大丈夫かと思い」というのがありました。そういう0か1かの判断で行動する人は世の中に一定数います。私も芝居以外の分野ではそういう行動をきっとどこかでとっている。観客の判断力を当てにした結果、マスクなしの客やおしゃべりする客を誘発することを懸念します。

何でそんなに心配をするのかというと、「赤鬼」を観たときにいたんですよ、マスクを外してお連れの方と話す老婦人の観客が、客席に。芝居が始まる直前にマスクは着けてはいましたけど。暑い中来場して疲れていたのかもしれませんが、それならロビーで休むなり、マスクを外しても話さないなり、あの時期にわざわざ劇場までやって来る観客にはそういう行動を期待したいじゃないですか。でもいたんですよ。入場時にマスクをチェックされる、上演時にはマスクを着ける、でもその間はマスクを外して話しても構わないと考えてしまう観客が。あるいは新型コロナウィルスの前の「芝居は友達と出かけて、待機時間はおしゃべりするもの」という行動様式が抜けない観客が。連続した客席を認めるとこういう観客がもっと増えると予想します。

上演側は観客を選べませんし、100人を超える利害関係の一致しない人間に、強制力なしで同じ行動は期待できません。少なくとも期待できない前提で運営を考えるべきです。その場合、自由席なら今よりもう少し幅を詰めるのはありだと思いますが、物理的に客席の距離を離しておくのは、興行がつらいところを申し訳ありませんが、感染防止への協力を呼掛けるのに有効な手段になっていると考えます。

報告書を読んで参考になりそうな情報を探していたのですが、むしろ悩みが深くなりました。

2020年8月30日 (日)

今後は芝居を観に行く動機をいかに見つけるか

9月と10月のメモをまとめながら感じたことです。

今回、できるだけ今までと同じ目線でまとめました。以前なら「観られるものなら観たいけど金と時間と体力は有限なので縁がなかった」と考えられたラインナップです。ところが今回は本当に観たいか自問して、「いや実はそんなに観たくない」と自答していました。

観劇習慣が抜けてきたとか、「赤鬼」で今までと違うことが体験できていろいろ考えたとか、やっぱり感染が怖いとか、いろいろ理由はつけられます。ですが、何より「そこまで面白そうに思えない」のが一番です。何て表現するのがいいんでしょう、芝居の魔法が解けたというか。

新型コロナウィルス騒動でいろいろ日常の環境と行動が影響を受けて嗜好にも影響があったのと、一連の騒動で芝居業界に対する失望を覚えたのと、両方ありますが、多分それだけではありません。

これだけ世界中が影響を受けているところに、中止や延期などのスケジュール変更はあるにしても、なぜ今まで通り芝居が上演されるのか。消毒だマスクだ1席飛ばしだと製作の苦労はありますが、数年前から企画されていたというだけでそのまま上演するなら企画が現実に負けます。

別に演目を変えろとか、新型コロナウィルスに関連する演出を入れろとか言うのではありません。このご時世で芝居を上演するにあたって、新型コロナウィルスを一時でも忘れられるような娯楽を提供しますとか、新型コロナウィルスの世の中でも戦っていけるように背中を押す芝居を作りますとか、その上演団体の新型コロナウィルスに対する向きあいかたが見えないと、上演案内を見ても輝いてくれません。そこを飛ばして芸術です文化です、紅旗征戎と新型コロナウィルスは我が事ではありませんと無視されると、芸能の魔法が生まれなくなります。以前紹介した横内謙介の覚悟は今も有効であり、これに対する回答を出した団体は寡聞にしてまだ知りません。

そして横内謙介の覚悟は客側にも問われています。「なぜわざわざ劇場に芝居を観に行くのか」と自問して、名残惜しい演目をあと何本か観ておきたい以上の自答ができないのであれば、劇場からおのずと足は遠くなります。そして今のところ私はまだそれ以上の回答を持合せていません。

以前は「新型コロナウィルス後に芝居を上演するようになってもすぐには観に行けない」と書きましたが、今は「芝居を観に行く動機が見つけられなくなっている」状態です。

2020年8月25日 (火)

接触確認アプリをインストールしていたら開幕しても電源オン、機内モードオン、Bluetoothオン、音は鳴らないように

この前「赤鬼」を観に行ったときに、接触確認アプリをインストールしているけど電源を切ったものか、と書きました。そうしたら、新国立劇場は電源を入れたままにするようアナウンスしていました。「新国立劇場における新型コロナウイルス感染拡大予防への取り組みと主催公演ご来場の皆様へのお願い」に書いてあります。

〇新型コロナウイルス接触確認アプリ「COCOA」のインストール、ご利用のご協力をお願いします。

厚生労働省が提供しているアプリをご利用いただきますと、陽性者と接触した可能性が分かることで、検査の受診など保健所のサポートを早く受けることができます。詳しくは厚生労働省のウェブサイト別ウィンドウで開きますでご確認ください。
なお、ご観劇中は、スマートフォンの電源は切らずに、音、振動が出ないように設定をお願いいたします。また、劇場設備に障害が出る恐れがあるため、WiFiをOFFにしてくださいますようお願いいたします。

以前調べたときには記載がなかったので、後から追加したようです。

「COCOA」は近くのスマホとBluetooth通信で接触を確認するので、電源を切ったら接触確認できないし、でも電源を入れていたらいろいろな通信でスマホが鳴るかもしれないし、どうするのかと思ったら、Bluetoothだけオンにしておく方法は用意されていました。検索すれば出てきますけど、とりあえず検索して出てきた「機内モードのままWi-FiとBluetoothを使う方法 iPhone、Android対応版」のリンクを載せておきます。どこでどんな通信が動くのかわからないので、機内モードを有効にして全部の通信を無効にしてから、Bluetoothだけ有効にするのがよさそうです。

これから芝居見物に出かける人は「COCOA」をインストールの上、事前にこの操作に慣れておきましょう。そして通信と関係なく音が鳴る可能性もつぶすために、音量もゼロにしてうっかり鳴らないようにしましょう。

これを推し進めていくと「携帯電話、スマートフォン、時計のアラームなど音の出る機器は、電源からお切りください」のアナウンスを変更することになりますが、これをどうアナウンスにするかがセンスなので、上演側は頑張ってください。「COCOA」をインストールしたスマートフォンは電源入れたままにする、だけどBluetoothだけを有効にする、を上手に説明する定番のアナウンスを生みだせるよう頑張ってください。

2020年8月23日 (日)

新型コロナウィルスに関する公演中止のパターンいろいろ

すでに終わってしまった話ですが、今後のためのメモです。全部追いきれないので目についたところだけ。

(1)スタッフが感染して中止になったケース

東宝「ジャージー・ボーイズ イン コンサート」は「ジャージー・ボーイズ」のコンサート版として7月18日から8月5日まで上演+配信予定だった。これが初日前の7月16日に東宝関係者の1人がPCR検査陽性。出演者や接他のスタッフとの接点が少ない部署の人だったけど、7月18日から7月21日までの公演を配信だけに変更。関係者にPCR検査を実施、陰性を確認して、7月22日の休演日をはさんで7月23日から観客を入れての公演になった。

東宝が説明ニュースを削除してしまったので詳細を思い出せないけど、たしか票券管理スタッフと言っていたような記憶がある。このニュースの掲載先が、東宝のサイトではなく、開示情報サービス会社のリンクだったから最初はあっているのかなと怪しんだ記憶がある。

参考サイト。
東宝演劇部お知らせ用Twitter

同じケースが新国立劇場でもあって、演劇ではないけどバレエ「竜宮」の上演中に業務委託者1名の陽性が7月29日に確定。こちらは7月30日、7月31日の公演が中止になって千秋楽が早まった。

参考サイト。
新国立劇場「【重要】新国立劇場に勤務する業務委託者の新型コロナウイルス感染とバレエ『竜宮 りゅうぐう』7月30、31日公演の中止について

ちなみに歌舞伎でも関係者が微熱になった。8月5日の、これは4部制のうち第3部だけが中止になったけど、PCR検査陰性がわかったので、8月6日からは再開した。これは初の4部制を組んで影響を最小限にしようと考えた松竹の方針が、いきなり有効であることが認められたことになる。4部制、役者スタッフも1部のみ参加、の方針は当面継続されそうです。すでに発表されている九月歌舞伎も同様の体制になっている。ひょっとしたら(2)のケースかもしれないけど、わからないのでこちらに入れておく。

参考サイト。
松竹「歌舞伎座『八月花形歌舞伎』 8月5日(水)第三部『吉野山』公演中止のお知らせ
松竹「歌舞伎座『八月花形歌舞伎』 8月6日(木)以降の公演についてのお知らせ

(2)出演者が感染して中止になったケース

日本テレビ企画製作「巌流島」が、そもそも7月31日に明治座初日で9月10日まで、東京、仙台、新潟、金沢、名古屋、高松、大阪、福岡で全国公演予定だった。このうち新型コロナウィルス騒動で東京が8月6日から8月11日に日程変更、仙台、新潟、金沢が中止になっていた。

それで進めていたところ、宮本武蔵役の横浜流星が抗原検査陽性で7月20日から入院。この時点で東京公演の中止が決定された。ところが主演の濃厚接触者として、佐々木小次郎役の伊藤健太郎も、PCR検査は陰性だったが、8月4日まで自宅待機となった。他も推して知るべしということで、7月29日に全公演の中止が発表された。

参考サイト。
ステージナタリー「横浜流星主演の舞台『巌流島』東京公演が中止に
ステージナタリー「横浜流星主演の舞台『巌流島』全公演中止に
スポニチアネックス「伊藤健太郎 PCR検査も陰性 8月4日まで2週間の自宅待機 舞台『巌流島』で横浜流星と共演
公式サイト「舞台『巌流島』新スケジュール決定/チケット払い戻しのお知らせ
公式サイト「舞台『巌流島』東京公演 中止のお知らせ
公式サイト「舞台『巌流島』名古屋公演・高松公演・大阪公演・福岡公演中止のお知らせ

(3)感染対策と演出が両立できずに中止するケース

帝国劇場で9月2日から9月26日まで上演予定だった「DREAM BOYS」は、もともと脚本演出がジャニー喜多川で、ジャニーズが多数出演して1-2年間隔で再演されていた演目。ボクシング場面やフライング演出などを使った公演が多かった。このため「本作の演出上の特性や新型コロナウイルス感染症の現状も鑑みて、今般の状況下では、『DREAM BOYS』の目指す本来の表現ができない」との理由で、公演が中止になった。

東宝「帝劇9月公演『DREAM BOYS』公演中止のお知らせ

(4)関係者が来日できずに公演中止になるケース

ロベール・ルパージュの劇団であるEx Machina「HIROSHIMA、太田川七つの流れ」はカナダからの来日が難しく、7月10日から7月12日までの上演予定だったのを、5月29日で中止決定。これは出演者含めてほとんど海外のケース。

東急文化村「【重要】『HIROSHIMA 太田川七つの流れ』 公演中止およびチケット払い戻し方法のお知らせ

これとは別に、出演者は日本人だけど演出やスタッフの一部(美術と衣装)を海外から招聘するケースだったのが同じBunkamuraの「アンナ・カレーニナ」。8月7日から9月3日までの東京公演、9月10日から9月13日までの京都公演、ともに5月29日で中止決定。

東急文化村「【重要】『アンナ・カレーニナ』 全公演中止およびチケット払い戻し方法のお知らせ

いろいろなケースがありますけど、(2)のケースは稽古すらできないという厳しいケースで、関係者としても無念と思われます。そして(4)のケースは、DISCOVER WORLD THEATREと銘打って海外演出家に力を入れていたシアターコクーンが結構厳しそうと見ていたのですが、9月11日から10月4日までの「十二人の怒れる男」はここまで中止が発表されていないので、どうにかやりくりがついたと推測されます。

2020年8月 9日 (日)

宝塚のコロナ受難メモ

本家の大劇場が花組「はいからさんが通る」で7月17日から9月5日まで再開。しかも7月中は1日1公演に減らしての対応。

ところが8月2日に関係者の体調不良で当日の公演中止、その晩に8月4日まで中止を決めてPCR検査。結果、感染者が出たので8月16日までの公演中止を決定。

8月7日の発表で、出演者73人スタッフ164人のうち、出演者8人スタッフ4人の計12人の感染が明らかになった。これで県からクラスター発生と認定される。このスタッフは観客に直接対応しないとのことなので、舞台スタッフと推測される。

ここまでが兵庫の話。参考にしたのは以下。
・ステージナタリー「宝塚歌劇団花組『はいからさんが通る』、本日の公演中止
・ステージナタリー「宝塚歌劇団花組『はいからさんが通る』新人公演含め8月4日まで公演中止に
・ステージナタリー「宝塚歌劇団花組『はいからさんが通る』当面の間、公演中止に
・日刊スポーツ「宝塚歌劇団の花組公演で出演者3人ら感染 上演中止
・日刊スポーツ「宝塚歌劇団で新たに7人感染、クラスター発生と判断
・宝塚「花組宝塚大劇場公演『はいからさんが通る』当面の公演中止について(追)

その後、他の組の関係者にも検査を実施。

東京では星組「眩耀の谷」を7月31日から9月20日までの予定で公演開始。ところが兵庫の結果を受けて東京でも検査したところ、8月6日に1人の陽性が確定。これを受けて8月20日までの公演中止を決定。一応、この1人だけでおさまった。

また梅田芸術劇場で宙組「FLYING SAPA」8月1日から8月11日までの予定で上演中だけど、こちらは大丈夫だった。

ところがその後に続けて雪組「炎のボレロ/Music Revolution」が8月17日から8月25日まで上演予定だったけど、これは8月8日に出演者1人の陽性が見つかって、上演するかどうかを検討中。

参考にしたのは以下。
・ステージナタリー「宝塚歌劇団星組『眩耀の谷』明日から公演中止
・ステージナタリー「宝塚歌劇団星組『眩耀の谷』8月20日まで公演中止
・日刊スポーツ「陽性1人で中止の東京宝塚、141人が検査結果待ち
・デイリースポーツ「宝塚歌劇 星組の残り88人は全員陰性 これまでの時系列は…
・宝塚「星組東京宝塚劇場『眩耀の谷 ~舞い降りた新星~』『Ray -星の光線-』当面の公演中止について(追)
・梅田芸術劇場「宝塚歌劇 雪組梅田芸術劇場メインホール公演『炎のボレロ』『Music Revolution!-New Spirit-』 出演予定者の新型コロナウイルス陽性判定について

複数の組があちこちで同時上演するから大変。こんな時、やっぱりトップが陽性の出演者に、コロナが悪くてお前が悪いんじゃないから気にするな、療養に努めろよ、とかメッセージで励まして、はい、ありがとうございます! とか返したりするんだろうか(全然宝塚知りませんので適当です)。

それはさておき。

兵庫の件は、初日から2週間経っての話なので、仕込みも考えると稽古場で感染したよりは、初日以降の感染のほうが可能性が高い。副業をやっている人もいないだろうし、お茶会禁止は2月から継続だと信じている。だとすると、最初の誰かは市中感染か家族感染で、そこから公演で感染が広がったことになる。出演者の倍以上のスタッフがいて、関係者237人っていう大所帯がまずびっくりだけど、これだけの人数がいたら対策にも限度がある、ってことでしょう。

正直に発表した宝塚も偉いし、観客への感染もないし、宝塚なら熱心なファンほどお体お大事にと願いそうだから、劇団ブランドへのダメージはほとんどない。けど、宝塚でこれなら、大掛かりな公演は当面無理なんじゃないのと思わざるを得ない。

その、大掛かりな公演とそうでない公演との境目は、何がどうなんだってのがわからなくて観客として困っているんですが。

<2020年8月25日(火)追記>

東京の星組「眩耀の谷」は8月21日から公演を再開。これは中断14日の、今の最小限で済んだ。梅田芸術劇場の雪組「炎のボレロ/Music Revolution」は8月29日から9月6日に日程を振替えて公演。この日程が確保できたのは8月28日から8月30日まで上演予定だった「巌流島」が公演中止になったという偶然のため。

ところが本家の花組「はいからさんが通る」は待機中の関係者1名に症状がでてPCR検査で陽性が確認された。これが8月15日なので、中断期間を8月31日まで延長。公演が9月5日までの予定なので公演の大半が中止になった。9月の予定も今は未定。

体力(金策)が厳しいと思うけど、そこは阪急グループ(電車と百貨店も影響大ですが)と抜群のブランド力で何とかしてもらって、もう今回は実験公演と割りきって、大規模公演の何がダメでクラスターが発生したのかの分析に全力を振って、今後の対策に生かしてほしい。

参考。
宝塚「星組東京宝塚劇場公演『眩耀の谷 ~舞い降りた新星~』『Ray -星の光線-』 の公演再開について」(8月18日付)
宝塚「雪組梅田芸術劇場メインホール公演『炎のボレロ』『Music Revolution!-New Spirit-』振替公演実施について」(8月21日付)
宝塚「花組宝塚大劇場公演『はいからさんが通る』当面の公演中止について(追)」(8月15日付)

<2020年9月8日(火)追記>

調べるのが遅れたら古い情報が見つからなくなってしまいましたけど、「はいからさんが通る」は払戻しが9月1日までとなっていたので、9月2日から9月5日までは上演したみたいです。そして東京公演は、元の予定がわかりませんが、10月9日からに東京初日がずれた模様です。

本件を受けて、宝塚では追加の対策を公開しました。新人公演中止やトーク中止はわかるのですが、その中に差入辞退があって、このご時世にまだ差入を受付けていたのかと驚きました。手紙は劇団が受取るとあって、これはたしか宝塚のファンクラブ制度に絡んだ独特の風習だったと思います(応援したい役者に直接手紙を送って「私設」ファンクラブにつないでもらう、というのがあったはず)。ただ食べ物禁止はさすがに今更で、むしろ熱心なファンほど差入は控えそうなものですが、どうなんでしょう。それともこのご時世でもなかなか風習が改まらない業界関係者やOGからの陣中見舞があって、公式に防がないといけなかったとか。これは推測の域を出ません。

そして定期的なPCR検査の実施が出てきました。発症直前くらいからでないと検出率が期待できないのは、これは誰が読んでも大丈夫な専門家の忽那賢志「抗体検査・抗原検査・PCR検査 どう使い分ける?」を以前も引用しましたが、効果があるのか心配になります。

検査の費用は、症状が出て医者が必要と判断すれば保険適用で数千円ですが、自主検査は個人なら3万-4万円です。規模が大きければ割引方法もあるかもしれませんが、出演者スタッフで200人を超える規模の公演で検査回数を増やせばばかになりません。座席半数の宝塚でもS席1万円を超えて1000人が入るなら、週に1回検査しても1人3万円として600万円、1か月公演で2、3ステージ分は飛ぶけど、クラスターが発生して2週間も3週間も公演中止になるよりはマシ、という算盤を弾いたのかもしれません。

ただ、PCR検査は100%正しいわけではありません。仮に陽性になったとして、偽陽性の可能性もあります。症状が出ていないけど公演中止に踏みきることができるでしょうか。興行の観点から見ると、むしろ自分たちの判断と行動を縛って混乱を招く行為で、自主申告のほうがよいと素人には思えます。そのくらいは宝塚だってわかっているはずで、それでもなお定期的な検査にするということは、まっとうな理由を推測すれば、今回のクラスター発生は自主申告が機能しなかったと宝塚が判断したということです。無症状の人か、症状に心当たりがあっても自主申告できなかった人が最初にいて、そこから広まった後に自主申告する人が出てきた、という経路をたどったから、宝塚が定期的に検査しないと駄目と判断したのでしょう。

今回の追加対策は記録しておきます。1本目は8月27日付「感染予防のための更なる取り組み強化について」より。

2020/08/27

宝塚歌劇では、7月より各公演を順次再開させていただいておりましたが、このたび、複数の公演関係者の新型コロナウイルス陽性判定にともなう公演中止により、お客様には大変ご心配とご迷惑をおかけしておりますこと、心よりお詫び申し上げます。
7月からの公演再開にあたりましては、政府や自治体のガイドラインを踏まえた感染予防対策に取り組んでまいりましたが、改めて管轄の保健所のアドバイスもいただきながら、お客様と公演関係者の安心・安全を最優先に考え、以下のとおり、感染予防対策を一層強化してまいります。何卒ご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

○公演関係者の体調管理並びにPCR検査体制の強化
公演の開催にあたっては、公演関係者全員の検温及び体調確認を毎日実施し、体調に変化があった場合は、直ちに自主的なPCR検査を行う態勢をとってまいりましたが、今後は、これらに加えて、出演者等に対する定期的なPCR検査を実施するとともに、軽微な体調の変化にも注意を払い、公演関係者の体調のケアと早期段階での感染拡大予防に努めてまいります。

○公演の運営における感染予防策の強化
公演の運営においても、出演者の減員や演出の一部変更、オーケストラの録音演奏などの対策を講じてまいりましたが、更なる感染リスクの低減のため、当面の間、宝塚大劇場・東京宝塚劇場ともに新人公演の実施を見合わせることといたします。あわせて、宝塚友の会会員様限定特別イベント「ステージトーク」「トークスペシャル」につきましても、当面の間、開催を見合わせます。
新人公演を楽しみにしていただいているお客様には心よりお詫び申し上げます。

○各劇場の販売座席について
宝塚歌劇では、政府や自治体のガイドラインに基づき、座席の最前列席は舞台前から十分な距離を取り、また、感染予防に対応した座席配置を行っておりますが、改めて各地域の状況や管轄の保健所のアドバイスも踏まえながら、劇場ごと・公演ごとに販売座席を決定し当ホームページにてご案内いたします。   

2本目は8月28日付「出演者への差し入れ辞退について」より。

2020/08/28

日頃より、宝塚歌劇に温かいご支援を賜り、心より感謝申し上げます。
このたび、政府および自治体等による新型コロナウイルス感染拡大予防のためのガイドラインに基づき、施設内の感染予防対策の徹底を図るため、すべての劇場の宝塚歌劇公演において、食べ物をはじめとする全ての差し入れの受け取りを辞退させていただきます。
なお、お手紙につきましては拝受いたしますが、すべて下記の宝塚歌劇団(兵庫県宝塚市)まで、ご郵送いただきますようお願い申し上げます(各劇場での受け取りは辞退しております)。

2020年8月 6日 (木)

稽古場の評価指標が作れないか想像して限界があると思い至る

稽古場はカラオケボックスのようなものと書きましたが、そもそもマスクなしで近接して長時間会話する時点で、稽古場の環境条件なんて微々たるものです。が、それでも稽古中はマスクをつけたり、演出で出演者同士の距離を設けたり、飲食中の会話も自粛したり、毎日消毒もするから、なんとか稽古できないか、と嘆く演劇関係者がいると想像した場合、どういう方法が考えられるでしょうか。

消毒と換気のうち、消毒は人間の行為なので、おそらく何とかなります。今すぐとは言いませんが、おそらく年月を経て、何をどう消毒するかはノウハウが溜まると思います。急ぐなら保健所なりなんなりの専門家を、典型的な稽古場に招いて、消毒指南をしてもらい、それを文書にまとめればいいです。

換気は、環境であり設備です。巨大送風機を用意するとか、設備に対する補強は考えられますけど、たとえば窓がなかったらそれだけで限界があります。あるいは、稽古に参加する人数によって、求められる換気の能力も変わってきます。ならばせめて、その稽古場の換気の良し悪しをどうやって評価するか。

どの程度の有効度はわかりませんが、私が思いついたのは以下の2つです。

・スモークを焚いてから換気能力を全開にして排気時間を測定する

その稽古場の基本換気能力を測定する方法です。演劇関係者ならスモークを作る機材の手配はできるでしょうから、一度窓を閉めて換気を止めてスモークを充満させて、そこから窓を全開にして換気もフル稼働させて、何分で排出させることができるか。これが何分以下なら何人まで参加可能、何分以上ならその稽古場は駄目、などの指標が作れないでしょうか。何分以上、の指標は、劇場に求められる換気能力の計算方法で代替します。

この方法のいいところは、スモークが目に見えるので、換気能力が偏っている場合でも把握できることです。入口付近はいいけど奥がいまいちなら、入口付近を稽古エリアにして換気を多めにする、などの相談ができます。あるいは本当に換気能力の足りない場所なら、ここでは稽古ができないと諦めがつきます。

欠点は、スモークを作る機材の手配が有料なこと、稽古場ジプシーをする場合に稽古場ごとに測定していられないこと、事前に稽古場に相談しておかないと火事と間違われて大ごとになること、でしょうか。あと、劇場ほどしっかりした換気した設備を備えた稽古場がそうそうあるわけではないので、劇場向けの換気能力の計算方法をどのくらい割引けるのかを考える必要があります。

・二酸化炭素測定器を複数設置して二酸化炭素濃度を測定する

稽古中の換気の悪化を測定する方法です。ウィルス濃度は測定できない前提で、何を代わりに測定すればよいか。つばは呼吸の一環で飛ぶのだから、呼吸で一緒に出てくる二酸化炭素を測定することで代替できないか。二酸化炭素の測定器を複数買って、稽古場のあちこちに置いて、濃度が一定以上になったら1時間を待たずして休憩して濃度が下がるのを待つのはどうでしょう。

この方法のいいところは、値段はピンキリですが、二酸化炭素の測定器は一般にも売っていますから、入手性はよいです。あちこち持って歩けますので、一度買ってしまえば、稽古場ジプシーになっても有効です。

欠点は、測定のノウハウが難しいことです。演出家席などはいいかもしれませんが、アクティングエリアのど真ん中に置かれたら稽古している出演者の邪魔になるので、どこに置けばいいか。濃度は稽古開始前からの相対値で決めるのか、絶対値で決めるのか。日によって出演者やスタッフの人数が変わる場合にどのように値を見ればいいのか。

・3つ目

うまくいったら稽古場ミシュランでも作れないかと、せめて3つくらいは思いつきたかったのですが、2つしか思いつきませんでした。まあ、頭の体操です。そもそも窓がある稽古場でも、開けたら外の相応がうるさい、自分たちがうるさいと外から苦情が来る、という場所もあるでしょうから、開けられるとは限りません。評価指標作成の道のりは遠いです。

新国立劇場のガイドラインは、完全自前の稽古場があり、それをメンテナンスする人たちもいればこそ、稽古場ごとの対策も具体化可能でしょう。今読んだらこれでも粗いと感じたので、ひょっとしたら、これより細かい現場担当者向けチェックリストみたいなものを作っているかもしれません。そしてそういう稽古場を長期間継続して借りられるならまだしも、自分たちが借りた、稽古場にも使える貸スペースでどの程度の対策が実現できるかというと、やはり難しい。

余談ですが、稽古場の評価方法や消毒方法が必要なら、それをまとめるのは業界団体の役目だと思います。やっている情報があるなら教えてほしいです。ただ、劇場の団体はあっても、稽古場を持っていない規模の劇団の業界団体はそもそもないでしょう。自前の稽古場を持つ大手団体が、独自で評価して対策を練ることはあるでしょうが、一般的な貸スペースに対する評価を検討している例はないと推測します。

2020年8月 2日 (日)

新たに稽古場でクラスターが発生した記事を見て稽古場はカラオケボックスと同じという感想に至る

新宿の公演で発生したクラスターは、出演者は稽古場でのクラスター発生があっただろう、と自分なりに結論づけたばかりです。そうしたら別の芝居でもクラスターが発生しました。こちらは公演前だったので観客には影響ありません。先に日テレより

新型コロナウイルスの感染者が過去最多の367人となった東京都内で、演劇関係者20人以上が集団感染していることが分かりました。

東京都によりますと、都内の演劇集団でこれまでに出演者2人の感染が確認されたため、濃厚接触者としてスタッフを含む4、50人の検査を行ったということです。その結果、30日、演劇関係者20人以上の感染が確認されました。10代から50代までの男女だということです。

この舞台は、公演が始まる前で客は入れておらず都内の劇場で稽古を続けていたといいます。都はクラスターが発生したとみて、保健所と詳しい状況を調べています。

これだけでは様子がわからないのですが、日刊スポーツが取材していました

舞台の稽古中の演劇関係者20人以上が新型コロナウイルスに集団感染していたことが31日、分かった。

7月末の公演に向けての稽古中に、出演者2人の感染が判明。濃厚接触者として、出演者41人とスタッフなど計56人の検査を行った結果、31日までに23人の陽性が確認されたという。そのため、公演は延期(時期未定)したほか、陽性者の同居人なども検査を受けており、その結果を待っている状態という。

公演の代表者は本紙の取材に対し、稽古場には換気扇、空気清浄機をつけていたほか、除湿機で湿度調整もし、稽古場入り口も開放するなど、風通しを良くするようにしていたなどと答えた。さらにアルコール消毒液やハンドソープも稽古場に十分に配置。1日おきに掃除もしていたほか、稽古後の飲み会自粛を出演者、スタッフに要請していたという。稽古時間も昼食後に設定したほか、稽古場での飲食も最低限にするように気を付けていたという。

日テレの記事も日刊スポーツの記事も公演名などが載っていないのは、公演前に発覚して公演延期になったのだから観客に周知する必要はなく、載せることで望ましくない反響が出るのを防ぐためでしょう。よい判断だと思います。そして公演直前で検査を行なって、損失確実な状況にも関わらず延期を判断した関係者の英断は認められるべきです。さらに取材に対して稽古場の状況を説明した対応も適切です。今後のためには何がよくて何がダメか、情報を共有するべき段階だからです。

そこは前提で、稽古場の状況がどうだったか。どのような稽古場かはわかりませんが、換気扇という単語が出てくるあたりで、専門の稽古場施設ではないのだなと想像はつきます。入口を開けていたとしても、換気がないよりはまし、という環境だったのでしょう。飲み会や飲食も自粛していたようですが、そうだとしても稽古による環境の悪化のほうが上回っていたのでしょう。空気清浄機は新宿の公演の話にも書きましたが、それで済むなら新型コロナウィルスでこんな騒動にはなっていませんし、ひょっとしたら悪化の可能性も考えられます。雨だらけの7月に全国で感染が広がっているので、除湿器も同じです。

ここで記事を3本引用します。ひとつめはBuzzFeedの記事で、8割おじさんで有名になった西浦博の4月10日のインタビューです。

「8割の自粛」というのもコミュニケーションがしっかりできていません。家の周りや外でどういう工夫ができるかということも時間がない中で宣言が出たので、十分伝わっていないでしょう。

北海道で緊急事態宣言が出た時の話をみなさんとも共有したいのですが、北海道で知事の発表後に面会して、「外出自粛と呼びかけるのは、むしろ逆効果の可能性がある」と押谷先生がアドバイスしたのです。

つまり、外出を控える代わりに、お友達と会って家飲み会が始まったり、家族の夕食会があったりしたら元も子もないわけです。

自粛というのは、接触を削減してもらうことだというのが、正確に伝わらないといけません。

ふたつめは医療サイトm3.comの記事で、専門家会議メンバーの押谷仁による4月18日「クラスター解析からCOVID-19の疫学と対応策」講演の記事。たしか元の講演も例外的にYouTubeで公開されていたはず。

 誰にも感染させていない人は、密閉した環境にいない。多くの人に感染させた人は密閉された環境にいたことが分かった。クラスター、特に患者の集積が起きる環境では、人が密集している。密接した関係で発話がある。これが「3密」の条件。さらにクラスターを解析すると、換気量が増大するような活動、特に初期の段階で目立っていたのは、スポーツジム。大声を出す、歌う、ライブハウスやカラオケなど。接客を伴う飲食業、一人が不特定多数の人に接触するような環境。これらがクラスターが起きる非常に重要な条件だと考えている。

 クラスターを起こしたプライマリー・ケースを見ると、咳、くしゃみ、明らかな発熱はない例が多かった。特に多かったのは、咽頭痛。咳、くしゃみがないので、通常の飛沫感染は考えにくい。何らかの別のメカニズムがないと、起きているクラスターの多くは説明できない。

 接触感染は起こり得ると考えている。これがマジョリティーを占めることはないと思うが、例外的には起こり得る。クラスターが起きた場に、翌日行って感染した例が見られている。これは恐らく接触感染だろう。

最後が朝日新聞から7月10日「微粒子による空気感染、WHO『可能性排除できない』」です。

 世界保健機関(WHO)は9日、新型コロナウイルスの感染について報告書を発表し、空気中の微粒子がある程度の距離を漂って感染を起こす空気感染について、換気の悪い場所など一定の環境で発生する可能性を「排除できない」とする見解を示した。

 WHOは、せきやくしゃみなどの飛沫(ひまつ)感染か、物の表面を触った手にウイルスが付き、鼻や口に伝わる接触感染が主な感染経路だとしている。空気感染は、病院での気管挿管時などを除き、立証されていないとしてきた。

 今回も基本的な考えは変えていないが、空気感染の可能性を示す複数の研究に新たに言及。医療現場以外でも、合唱の練習、レストラン、フィットネスジムといった場所で「混雑して換気が悪いなどの特定の室内環境で、感染者と長時間一緒にいた場合」に、近い距離の空気感染が起こる可能性を排除できないとした。また、この分野ではさらなる研究が必要だとした。

 空気感染をめぐっては各国の専門家が6日に公開書簡を発表し、飛沫が微細になると長く空気中を漂って遠くへ運ばれると指摘。「予防的な措置が取られるべきだ」と注意を促していた。

これらの記事から私が理解したのは以下です。
・人が接触こと(会話すること)には感染の可能性があること
・3密は多くの人に感染する可能性を高くするが、2密も1密も感染の可能性があること
・大声を出す環境は感染の可能性を高くすること
・これらの理由として、飛沫感染、直接感染以外に、空気感染の可能性があること(日本では初期のころにエアロゾル感染という単語がありましたが、空気感染と呼んだほうがすっきりするようです)

もっと平たく書くと、通常の会話より大声で発声する以上、稽古場はカラオケボックスと変わらない環境であり、誰か感染した人がいたらクラスターが発生する可能性が高い、です。どのくらいの広さの稽古場にどのくらいの人数がいたのかはわかりませんが、アクティングエリアを決めて稽古するでしょうし、出演者同士が至近距離での発声は多数あったと推測します。よほど外気との換気の整った場所で距離を確保しない限り、感染は発生するものだと考えたほうがよさそうです。密閉という言葉からはすべてのドアや窓を閉め切った環境を想像しますが、複数のドアや窓を開けて体感で部屋中の空気が流れていることがわかるような環境でない限り、密閉空間と同等と認識したほうが近いのでしょう。

そこから導き出される結論は、非常に残念なものですが、「整った稽古場を用意できない公演はクラスターが発生しうるので、観に行くのはしばらく控えたほうがいい」です。緊急事態宣言解除後の芝居の上演が始まっていて、でも一部は公演中止になったりもして、いろいろありますが、一観客としては様子見を延期したほうがよいとの個人的判断です。

2020年7月31日 (金)

6日間の公演で新型コロナウィルスのクラスターが発生した公演の事実経緯報告書

ここまで、主催者の発表出演者のインタビュー劇場の発表、と3者の発表を見てきました。

そして7月27日付で主催者から「事実経緯報告書」がリリースされました。これによると7月24日時点で検査が陽性だったのは、出演者18名(補足:有村崑は出演者ではないので含まれない)、スタッフ9名、公演関係者8名、観覧者40名、合計75名だそうです。スタッフは以前のリリースより「舞台に関わった当社の社員及びスタッフ」をそう呼んでいるので、公演関係者が有村崑を含む舞台監督などの舞台スタッフなのでしょう。

事実を説明しつつ押返せるところは押返す報告書は、これだけの文書が書けるようになりたいと思えます。念のために書いておくと、私はこの事務所のここまでの発表を読んで、嘘はついていない、わかった事実は伝えるスタイルの事務所だと認識しています。今回新しくわかったのは以下です。
・7月4日の体調不良者は後にPCR検査で陰性、7月5日の体調不良者は後にPCR検査で陽性
・稽古は2020年6月15日から2020年6月28日まで実施、最初の小屋入りが初日前日の6月29日21時でその日は23時まで準備、翌日6月30日は8時にスタッフが小屋入り
・楽屋3か所は、場所によって程度に違いはあるが、密閉された空間ではなかった
・飲食についてはそれなりに気を付けていた
・最前列の観覧者に対しては、フェイスシールド着用を依頼したが、一部の観覧者から強いクレームが入り、一部を除き、着用されていなかった(但し、フェイスシールドをしていない最前列の観覧者も、マスクは全員着用していた)
・開演から約30分後に、換気のために約10分から15分間の休憩時間を設け、その休憩時間中は、全ての窓と扉を開放し、換気を行なった(補足:山本裕典のインタビューだと「最初20分お芝居をして、そのあと1時間『人狼ゲーム』。そして最後に歌があるというトータル2時間くらいの舞台」、そうだと同じ2時間の公演でも後半の時間が10分長くなる)
・後半のステージ(公演時間全体の約3分の2)では、出演者と出演者の間に1枚ずつアクリル板を設置し、各出演者での唾液の飛沫などを防止、公演中ステージで使用していたアクリル板、小道具、マイクも、毎公演終了後の除菌対象だった
・ロビーの状態は、トイレ列、物販ともにほとんどなかった(「物販列は、初日と千秋楽には列が若干混雑することが一部でありましたが、物販自体が全体的に好評でなく売れなかったため、混雑することはほとんどありませんでした」の記載は泣けます)。

一方、やっぱりここに手掛かりがあるだろうと臭う文書です。クラスター発生の心当たりがあるけど避けている、という印象ですね。印象としか言いようがない。その場合、たくさん書かれていることではなく、書かれていないこと、書かれていても手薄なことを探すことになります。あとは他の発表と見比べます。

ここまでの内容で、探すための前提を挙げます。
・これだけ陽性者が出たので、この芝居の何かが原因でクラスターが発生したのは間違いない
・出演者ではない有村崑も陽性だった
・複数回を観た観客もいるが、全日程にわたって陽性者が発生しているので、出演者やスタッフや公演関係者など「上演側」から「観客側」への向きで感染が発生している

ここまでいろいろ調べてきて私が思い込んでいたのは、陽性者全員が同じ理由(対策不足)で感染したということです。でも別々の理由で感染することだってあり得ます。その線で考え直します。

まず、初日から観客に陽性者が出ているということは、(複数回を観た観客でなければ)初日から出演者側に感染者がいたことを示唆します。また、有村崑も陽性になっている。となると、稽古が怪しい。つまり、稽古時の対策が不十分で、小屋入り時点ですでに出演者(とスタッフや関係者の一部)にはクラスターが発生していた可能性が高いです。その目で読み直すと、稽古時の対応は周知はしても自己責任でやってもらっていたものと読めます。また、不要な接触を避けるよう伝えていましたが、注意喚起が限界だったとも読めます。公演中の話が多いのに対して、稽古中の話が極端に少ないのも目を引きます。

 稽古時は事前に当社作成の「稽古の感染防止対策」と題する資料をお渡しし、公演に先立ち「出演者・事務所の皆様へ」と題する、劇場入りしてからのお願い・注意事項をお渡しして、うがい、手洗い、マスク着用、消毒、検温実施等の体調管理、換気、除菌等について注意するよう周知しておりました。また、稽古・公演終了後の食事等不要な接触をせず帰宅するよう、口頭でも注意喚起をしておりました。

あと、休憩をはさんで後半には仕切りを設けたようですが、つまり前半はそうではなかった。稽古ですでに一定数以上の出演者がクラスターになって、1ステージ当たりの出演者が10人を超えるような芝居なので、前半の芝居で感染した出演者も何人かはいるのでしょう。20分から30分、特定のひとりと絡む時間は短くても、代わるがわる感染者と密なやり取りがあったら、感染してもおかしくありません。

 後半のステージ(公演時間全体の約3分の2)上には、出演者と出演者の間に1枚ずつアクリル板を設置し、各出演者での唾液の飛沫などを防いでいました。

なので、出演者については、出演者同士でクラスターを発生させた、それは稽古の段階で発生した、公演関係者へのクラスターの少なくとも一部も同様に稽古場経由だった、がひとつの結論です。そこから他の出演者にも感染させたかもしれませんが、稽古場のほうが比重は高いと推測します。

それにもうひとつ。飲み物に関する記述があっても食べ物に関する記述が見つかりません。毎日昼夜2公演やっていて、一度も食事がないわけがありません。新宿なので外に出れば食事処はたくさんありますが、出待ちされるほどの人気者がそこら辺で食事をとるとは思えません。少なくとも一部の出演者は、自分で買ったか主催者が提供したかは別にして、劇場内で食事をしたはずです。その際にはもちろんマスクを外しますが、他の人がいたら話しますよね。至近距離で話して飛沫が飛んだら換気は関係ありません。三密でなく二密一密でも、確率が下がるだけで感染するときは感染します。

それでひとつ気になるのは、楽屋に空気清浄機が置いてあったという話です。それで済むなら新型コロナウィルスがこんなに騒動になっていません。むしろ、初期の中国ではエアコンの吹出口に沿って感染者が出たという報道もありました。今でも商業施設のハンドドライヤーは感染拡大防止のため使用禁止になっているところが多いです。窓が開いていれば少しはましかもしれませんが、中途半端に飛沫を広めるようにならなかったか、どこかで検証してほしいです。

次にスタッフ。最初に疑うのは換気です。この劇場は珍しく劇場スペースに窓があるので、休憩時間や公演の合間には劇場スペースは熱心に換気していました。出演者のいる楽屋もそれなりだったと説明があります。ただ、ロビーがよくわかりません。開演前終演後は入退場のため外に面したドアを開けますが、それ以外の時間帯は不審者の侵入を防ぐため、閉めておくのが一般的です(物販のグッズやお金も置いてありますし)。その場合、ロビーの換気がどの程度できる劇場なのかがわかりません。それに、普段スタッフが使用しているスペースまで楽屋に提供したのなら、観客のいない時間帯もスタッフはやはりロビーで待機していたのではないでしょうか。つまり、劇場スペースや楽屋の換気に気を取られて、ロビーの換気が足りなかった。空気清浄機を持ちこんだといいますが、それで済むならこんな騒動になっていないのは前述のとおりです。

あるいは、スタッフだけが使うものについてどの程度消毒が行なわれていたかはわかりません。劇場の発表で「受付・物販・の消毒」とありますが、物販で使う電卓や手提げ金庫など、小物や他人に触ってほしくないものものまで劇場が消毒したとは思えません。あるいは、楽屋を出演者に回したらスタッフの私物(鞄など)もロビーの後ろに積まれていて、私物だから消毒対象外だった、などありませんでしょうか。

もうひとつ。スタッフも食事はしたはずです。これは劇場内と外と両方ありますが、どちらにしても、複数名で食事をしながら話したら、やはり感染の危険があります。

なので、スタッフのクラスターは、誰かが最初に感染したとして、それが広がったのはロビーの対策不十分(換気、消毒とも)による接触感染、または食事中の会話を通して飛沫感染、の可能性が考えられます。出演者の稽古場での感染に比べると決め手に欠けますが、これ以上の感染経路が思いつきませんので、ひとまずここで止めます。

最後に観客です。まず、出待ちで握手した出演者がいたのは確実なので、観客の一部はそれで陽性になったと考えます。でも、報告があっただけでも40名の感染です。握手に簡単なお礼の言葉くらいは言ったかもしれませんが、全員が全員それで感染したのなら、その役者はどれだけスーパースプレッダーなんだ、と思いますよね。なので、握手以外の劇場内の感染経路があるはずだ、と疑ってかかります。

スケジュールを見ると、初日前日の21時が劇場入り、初日は15時からなので、仕込みの期間が短いです。でも短い芝居でもゲネプロをやらないことはないでしょうし、歌があるなら音のチェックも必要なので、出演者は初日の朝に劇場入りしてゲネプロを、せめて場当たりを行なったはずです。ここですでに出演者の一定数がクラスターになっていたとします。ゲネプロが終わって劇場スペースの換気は行なったとして、座席やドアノブなどの消毒を、初日のドタバタの中で行なう余裕があったでしょうか。まだ観客は入っていないし、自分たちがクラスターになっているとも知らないのに。

その目で劇場の発表を読みなおすと、ドアノブは劇場が消毒していますが、

可動イス席の手すりの部分の消毒用アルコール(エタノール)での消毒

は主催者の担当になっています。すくなくとも開館から閉館までの間、劇場スペースの消毒は主催者に任されていたのでしょう。手すりだけなのは、布っぽい椅子なので座面や背もたれは不要との判断と推測します。だとしても、空中を漂うウィルスは換気である程度対応できるとして、初日前の空席の手すりに付着したウィルスへの対応がどの程度だったかは不明です。初日を観て感染した観客の何人かは、これが理由だった可能性があります。

ここで止めれば、まだまだ対策不十分でした、で済む話です。ただし、です。これでは初日以外の感染の理由にはなりません。他の日も消毒をさぼっていました、と主催者が言うなら話は別ですが、それはさすがにどうだろう、ということで、嫌な想像を2つ書いておきます。

ひとつは出演者と観客最前列の距離。劇場発表では2mは空けていたとのことですが、観客側はマスクはしていたとはいえ、出演者と観客を遮るものは特になかったはずです。報告書でも距離については触れていません。一般には2mの距離を取れば密接でないと言われていますが、実は2mは日常会話の音量で、芝居や歌で大声を出すときは2mでは飛沫を避ける距離が不足している可能性も考えられます。クラスターとなった大勢の感染者がこちらを向いて並んでいる場合は、1対1よりも感染力が高いはずです。その場合、人数を半分にするだけでなく、最前列から1-2列を余計に空けないといけません。興行的にはさらにつらくなります。

もうひとつは後半の上演時間の長さです。長さも日によって違うようですが、だいたい1時間半くらいあったようです。さらにラスト30分くらいが歌。劇場なので換気装置を備えていることは間違いないのですが、歌も行なう上演プランで換気装置を全力で動かして劇場スペースの音響を損ねることはやりたくないはずです。上演中に換気装置の稼働を低く抑えて、出演者から観客への感染を引起こした可能性はないでしょうか。出演者の大半が感染者だったとすると、歌も含めた1時間半の終盤には劇場スペース内に換気されないエアロゾルが一定量以上あって、観客がマスクだけで防ぐには限界があった、というシナリオもひょっとしたらないでしょうか。一蹴するには情報が足りません。万が一これが本当なら芝居上演はえらいこっちゃで大騒ぎになります。書いてはみましたが、本当に、頭の体操なので鵜呑みにしないでください。

ふたつとも想像にさらに仮定を重ねた話なので、鵜呑みにされると困ってしまいますが、はたしてどうでしょうか。陽性を報告した観客の座っている位置がもっと詳しくわかるとよいのですが、それは報告されていないのか、載せていないのか、どちらでしょう。少なくとも1人は2列目だったようです。

稽古場感染と握手感染以外は、まだ何とも言えません。事実は発表していくスタイルの事務所だとしても、保健所の調査結果まで出すのかはわかりません。調査結果まで発表してくれるのを待つばかりです。

以下は報告書の全文です。これを読んで、皆さん推理をお願いします。

事実経緯報告書
令和2年7月27日
株式会社ライズコミュニケーション

第1 はじめに

 このたび発生しました新型コロナウイルス感染症の集団発生により、応援してくださった観覧者の皆様、出演者の皆様、各関係者の方々、業界の方々、世間の方々に多大なるご心配とご迷惑をおかけしてしまいましたことを改めて深くお詫び申し上げます。また、感染された方々の一日も早いご快復を心よりお祈り申し上げます。弊社といたしましては、これを教訓とし、今後、このようなことが起こらない環境を作ると同時に、事実経緯について、以下ご報告いたします。
 なお、プライバシーの観点から、出演者の方々等のお名前の開示は差し控えております。ご了承ください。

第2 発生場所

公演場所
 新宿区新宿3-33-10 新宿モリエールビル2F(小劇場内)

第3 発生時期

公演2020年6月30日から2020年7月5日
 6/30(火)[昼公演]15:00開演
     [夜公演]19:00開演
 7/1 (水)[昼公演]14:30開演
     [夜公演]19:00開演
 7/2 (木)[昼公演]14:30開演
     [夜公演]19:00開演
 7/3 (金)[昼公演]14:30開演
     [夜公演]19:00開演
 7/4 (土)[昼公演]13:30開演
     [夜公演]18:00開演
 7/5 (日)[昼公演]12:30開演
     [夜公演]17:00開演

 公演は、1日あたりの公演数は2回であり、1回あたりの公演時間は約2時間から2時間30分程度でした(休憩時間を含みます)。

第4 稽古及び公演に関する時系列

 稽古 2020年6月15日から2020年6月28日
 公演 2020年6月30日から2020年7月5日
  6月6日16:30 新宿シアターモリエール(以下「モリエール」)下見。
  6月8日 モリエールに変更を社内で決定。
  6月9日 モリエールに決定したことSNSで発表。
  6月10日 会場を恵比寿・エコー劇場からモリエールに変更したことをHPにて案内。
  6月29日21:00 当社スタッフ、制作スタッフ会場入り。23:00まで準備。
  6月30日08:00 スタッフ会場入り。13:00より先行物販を行う。

第5 発症の経緯

 7月6日14時 出演者A、1名が陽性であると所属事務所より報告を受ける。
 7月6日夕方 出演者Aの管轄保健所から弊社に電話が入り、出演者Aの陽性報告を受ける。そして、その夜、出演者Aの管轄保健所から、以降は弊社管轄保健所とのやり取りになるとの連絡があり、連絡を待つようにとの指示を受ける。

 7月7日12時 弊社管轄保健所と連絡がつき、出演者Aの陽性を改めて確認するとともに、詳細情報を確認中なので待つようにとの指示を受ける。
 7月7日14時47分 弊社管轄保健所へ出演者とスタッフ一覧を提出。同保健所によると、濃厚接触者は、マスクを外して15分以上顔を合わせて会話をする、抱き合うようなものが対象となるとのことで、スタッフ、ゲストに関しては濃厚接触者に当たらないとの見解であることを伝えられる。また、同保健所から、楽屋でのやり取り等を確認してくださいとの指示を受ける。
 7月7日21時30分 弊社1度目のリリース。

 7月8日 弊社管轄保健所から、観覧者は濃厚接触者にはあたらないということで告知していいとの連絡を受ける。弊社2度目のリリース。

 7月9日9時 弊社から弊社管轄保健所に連絡したところ、「顧客の感染は報告を受けていない。舞台を観た方で不安があれば最寄りの保健所に連絡するように案内はしている。」とのこと。
 7月9日 弊社より3、4度目のリリース。

 7月10日16時 弊社管轄保健所から弊社に対し、東京都が以下リリースすると報告を受ける。
  ・総勢10名のコロナ陽性が確認された旨。
  ・全出演者25名全スタッフ27名を濃厚接触者とする旨。
 7月10日18時 弊社からコロナ感染の情報等を内容とする旨の5度目のリリース。

 7月12日23時13分 弊社から新たに相談窓口を設置する旨の6度目のリリース。

 7月13日13時26分 東京都から、業界別感染拡大予防ガイドラインの遵守状況等の確認の連絡。
 7月13日16時49分 弊社管轄保健所から観覧者全員が濃厚接触者という連絡。
 7月13日 弊社より7度目のリリース

 7月15日 弊社より8度目のリリース

<集計>
・観覧者人数(なお、同一の方が複数の公演に来場している場合があります)
 6/30 昼69 夜80
 7/1 昼52 夜58
 7/2 昼81 夜47
 7/3 昼71 夜81
 7/4 昼89 夜88
 7/5 昼82 夜89
・陽性確認者(7/24現在)
 出演者18名
 スタッフ9名
 公演関係者8名
 観覧者40名
  ※弊社が観覧者より報告を受けている人数となります。
 合計陽性者75名

第6 感染拡大防止策の実施

0 初めに
 「劇場、音楽堂等における新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン」(参考資料:公益社団法人全国公立文化施設協会が令和2年5月14日付公表。)を参考に、当社でもガイドライン(以下、「ガイドライン」といいます。)を作成し、HPにて「新型コロナウイルス感染症対策について」と題して掲載を行い、観覧者に周知をいたしました。出演者及び所属事務所に対しても、稽古開始時と公演直前日に、それぞれ注意喚起のための資料を渡しました。

1 公演前の対策

(1)入場制限
 密な状況を発生させないよう、以下の工夫を行いました。
 まず、開場時間を、観客入場時の混雑を避けるため、通常開演時間の30分前にしているところ、開演時間の45分前に変更しました。また、公演の合間に休憩時間を設けました。入場時のチケットのもぎりは、全スタッフはマスクを着用し、スタッフの前で観覧者にご自身で行っていただき、それをスタッフがこれを目視にて確認する形で行いました。
 また、本来モリエールの座席は186席あったところ、その50%である93席を超えないように座席を配置し、指定された座席に座っていただきました。入場は、スタッフの指示に従い行っていただきました。

(2)観覧者との関係
 公演ごとに、観覧者の氏名、住所、電話番号及びメールアドレスを記載する用紙を客席におき記入いただき終演後に出口に回収しました。これらの情報は必要に応じて保健所等への公的機関へ提供されることについても当該用紙に記載し、HPで事前に周知いたしました。
 劇場入口でサーモグラフィ(37.5度以上の方が居た場合、ブザー音が鳴るシステムが付属しております)による検温を行い、検温の結果やその他体調不良等の事情によっては、入場をお断りする旨についてもHPで事前にお伝えしました。咳エチケットのご協力、マスクの着用・手指消毒の呼びかけについても同時にHPで掲載しておりました。

(3)出演者との関係
 稽古時は事前に当社作成の「稽古の感染防止対策」と題する資料をお渡しし、公演に先立ち「出演者・事務所の皆様へ」と題する、劇場入りしてからのお願い・注意事項をお渡しして、うがい、手洗い、マスク着用、消毒、検温実施等の体調管理、換気、除菌等について注意するよう周知しておりました。また、稽古・公演終了後の食事等不要な接触をせず帰宅するよう、口頭でも注意喚起をしておりました。

2公演当日の対策

(1)周知・広報
 観覧者に対しては、咳エチケットのご協力、マスク着用・手指消毒の呼びかけ、お並びの際は社会的距離(ソーシャルディスタンス)確保の上指示に従っていただきたい旨、プレゼント禁止の旨、検温の結果や体調によっては入場をお断りする旨などをHPや会場で告知していました。公演期間中もスタッフが同様のアナウンスを行い、観覧者の皆様にもご協力を頂きました。なお、入退場時にマスクを着用していない観覧者はいませんでした。

(2)観覧者の入場時の対応
 開場時間を開演45分前とし、余裕を持った入場時間を設定しました。観覧者が劇場に入る際、サーモグラフィを使用して検温確認をし、37.5度未満の方だけをお通ししました。サーモグラフィは37.5度以上の人が通るとブザーが鳴るシステムです。また、手指消毒のアルコールを劇場内の各所に設置し、利用を呼びかけました。サーモグラフィのチェックや消毒に対して、観覧者の皆様にご協力頂きました。
 入り待ちに関しては、ほとんどおりませんでしたが、発見した場合、スタッフが口頭注意を行いました。

(3)公演会場内の感染防止策
ア 座席の配置
 最前列の観覧者に関する感染防止対策として、最前列の席を通常より2列分舞台から離して配列し、キャパの上限である186席からの50%相当である93席で配席しました。また弊社としましては、最前列の観覧者に対しては、HPで事前にフェイスシールドの着用のご協力をお願いするとともに、実際に、公演開始から終了に至るまでの全ての公演で、最前列の観覧者の席にフェイスシールドを配布しました(フェイスシールドは、日本製でプラスチック(リサイクルPET樹脂)素材のものです)。しかし、フェイスシールドの着用に関しては、一部の観覧者の方から強いクレームが入り、公益社団法人全国公立文化施設協会が定めるガイドラインでもフェイスシールドは必須とされておらず、弊社としてもご協力をお願いする立場であったため、結果的に、一部の方を除き、着用されていない状況でありました。但し、フェイスシールドをしていない最前列の観覧者も、マスクは全員着用しておりました。
イ 換気
 今回の舞台において使用した会場では、客席内に6個の窓(サイズ:横約25㎝×縦約100㎝)があり、その全てを開けて換気をし、さらに、ロビーには当社が持参した空気清浄機を1機置いておりました。
 開演前は、常時、窓と扉を開放し、換気をしておりました。開演後は、会場(施設)側の指示に基づいて、会場周辺に対する騒音を防止する目的から、窓と扉を閉めて公演を行いました。開演から約30分後に、換気のために約10分から15分間の休憩時間を設け、その休憩時間中は、全ての窓と扉を開放し、換気を行いました。なお、開演30分後に換気をした理由は、開場してからすぐに入場した観覧者の方にとっては、会場に滞在する時間がその時点で約1時間になるためです。
終演後は、客席内の窓と扉を全て開けて換気を行いました。
◆換気時間例(7/1公演の場合)
 換気時間帯計:7時間20分
  11:00~14:25(3時間25分)
  15:00~15:15(15分)
  16:30~18:55(2時間25分)
  19:30~19:45(15分)
  21:00~22:00(1時間)
ウ 演出
 一部報道で、「出演者が客席に降り、ファンと抱擁した」などといった報道がされていましたが、そのような演出含め、観覧者と出演者が接触するような演出は一切ありませんでした。また、声援や、観覧者同士の会話も控えていただくよう事前にお願いしておりました。
エ その他
 事前にマスク着用と会話抑制を観覧者に呼び掛けたとおり、その点は徹底されておりました。トイレ列に関しては、その列専用の並びスペースを設けており、列が密であったことはないと思います。

(4)公演関係者の感染防止策
ア 体調確認
 各出演者には、稽古中から公演終了日まで毎日検温の実施をし、各出演者及び所属事務所に対して、体調不良が発生した場合には報告するように伝えていました。
イ 楽屋について
 本舞台は出演者が15名程度であったため、楽屋での出演者の間隔を空けるために、通常用意された劇場の楽屋(楽屋①)の他、ステージ裏(楽屋②)、普段スタッフが使用しているスペース(楽屋③)の計3箇所を楽屋に充て、出演者を割り振り、対策をとりました。楽屋①は通常13席分ありましたが、間隔を開けて10席ないしは11席分とし、席と席の間に会場が用意した間仕切りを設置していました。間仕切りは、楽屋②と楽屋③にも設置し、全ての楽屋は、毎日、除菌と清掃を行いました。各楽屋及び喫煙所、洗面所には消毒液を設置し、洗面所には、うがい液とコップも設置していました。なお、コップは使い捨ての物でした。
 楽屋①の窓は毎朝スタッフが解放していました。また、楽屋①には、会場所有の空気清浄機が置かれており、基本的に常時稼働している状況でした。楽屋③には、窓はありませんでしたが、そもそも扉もなく、常時、解放された空間でし
た。なお、楽屋②については、窓はあるものの、窓の前に会場所有の機材が置いてあったため、開けることはできませんでしたが、出入り口の扉は常時開放していましたので、密閉空間ではありませんでした。
ウ その他
 事前に周知したとおり、出演者は、出番以外はマスクの着用を徹底、うがい、手洗い、手指のアルコール消毒をこまめに行っておりました。飲み物や食べ物については、原則、出演者個人で用意をしてもらっており、食器等の備品を共有したことはございません。なお、出演者に対し、水やお茶をペットボトルで提供したことはございましたが、全て500mlのペットボトルで、蓋に名前を書いていたため、共有することはありませんでした。稽古の際にも、弊社の方で、飲み物を用意したこともございますが、同じく個々にペットボトルの飲み物を配っておりました。
 後半のステージ(公演時間全体の約3分の2)上には、出演者と出演者の間に1枚ずつアクリル板を設置し、各出演者での唾液の飛沫などを防いでいました。
 公演中ステージで使用していたアクリル板、キャストが使用する小道具、マイクに関しても、毎公演終了後、除菌をし、ステージの清掃、除菌スプレーの散布を行っておりました。
 また、当社は出待ち・入り待ちを禁止し、これに違反した方にスタッフが気づいた場合には都度注意していました。なお、全日程の公演終了後に判明したことですが、会場外のスタッフの目の届かないところで、出演者に近づいた観覧者が数名ほどいた旨の報告を受けております。

(5)感染が疑われる者が発生した場合の対応
 7月4日の夜、1名の出演者の方から、発熱があった旨の報告をいただきましたが、抗体検査の実施の結果、陰性であったことと、検温の結果が36.7度であり、ガイドラインの規定(37.5度)の範囲内であったことから、ご本人と相談の上、7月5日のご出演となりました(なお、当該出演者は、7月15日付でPCR検査において陰性の結果がでております)。
 7月5日、別の1名の出演者の方から、検温の結果が平熱より高い37.0度であった旨の申告をいただきましたが、ご本人と所属事務所の方々から、持病の扁桃炎に起因する可能性が高いとの医師の診断があった旨のご説明を受けたことと、検温の結果がガイドラインの規定の範囲内であったことから、ご本人及び事務所と相談の上、ご出演となりました(その後のPCR検査の結果7月9日陽性と診断されました)。

(6)物販・トイレの列等について
 物販はマスクを着用しビニールシートにより購買者との間を遮蔽しました。お金のやり取りはトレーを使い、直接の接触はありませんでした。
 場外、そして並んでいる観覧者に対しては「間隔を開けて並んでください」とアナウンスし、開場してからの物販列、トイレ列に対しても整理を行いました。
 トイレ列に関してはその列専用の並びスペースを設けていたので、列が密であったことはありません。物販列は、初日と千秋楽には列が若干混雑することが一部でありましたが、物販自体が全体的に好評でなく売れなかったため、混雑することはほとんどありませんでした。

(7)観覧者の退場時の対応
 退場時間は、余裕をもって設定していました。出待ち行為に関しては、本公演では禁止としておりました。また、HP上で、出待ちの典型的なものである、プレゼント、お手紙、フードサポートの受渡しを禁止する旨の周知を行っておりました。また、多くの観覧者の皆様にはご理解、ご協力を頂いておりました。
 しかし、上記周知にもかかわらず、出待ちされる観覧者が一部の公演で10名ほどいらっしゃいましたので、各スタッフが気づき次第速やかに、出待ちを行わないように観覧者に注意させていただきました。
 また、全日程の公演終了後に分かったことですが、一部の公演で、会場外のスタッフの目の届かないところで、出演者に近づいた観覧者が夜公演終了後に数名いた旨の報告を受けております。スタッフの目の届かない所でのファンへの対応は、弊社では極めて困難でした。

3 公演後の対策
 公演ごと観覧者の氏名、住所、電話番号及びメールアドレスを把握し、名簿を作成していたことは先に述べた通りです。名簿等の保管には個人情報保護の観点から十分留意し、感染状況について個別に公開の許可を得た方についてのみ、当社HPで匿名公開をしております。

第7 今後の対応に関する当社の検討

1 まず、前提として、当社としては、ガイドラインを遵守し、感染予防を図るため、経済的・現実的な制約の中で、最善を尽くすべく努力して参りました。しかしながら、個別の感染者が本公演内で感染したかは不明ですが、結果的に、多くの感染者が発生してしまいました。その点を踏まえ、当社として、そのような制約を考えず、事後的に見てどのような方法があり得たのか、以下の通り検討します。

(1)公演の座席配置等について
 座席配置は行っていましたが、固定椅子ではないため、一部の公演で位置の若干のばらつきはありました。これに対しては、椅子の場所の印を明確にする、一次的に椅子を固定するなどの措置が考えられます。
 また、最前列の観覧者のフェイスシールドの着用に関して、観覧者の方から強いクレームが入り、結果的に、大多数の観覧者が着用されていない状況でありました。そのため、理解を得られるようにさらに説得を行うことや、従っていただけない場合、入場制限又は退場等の措置をとることが考えられます。

(2)換気について
 会場との協議が必要ですが、騒音等に配慮した上で可能な限り公演中にも換気を行うことや、送風設備や空気清浄機等をさらに導入すること、換気のための細かな休憩時間の設定等が考えられます。

(3)楽屋について
 第6、2(4)イに記載の通り、楽屋②について会場とも協議をし、窓を解放する等の措置を検討、会場外の楽屋増設の措置を検討、また、それぞれの楽屋の利用時間に差を設けるなどの工夫が考えられます。

(4)出演者に対する注意喚起について
 第6、2(4)ウに記載の通り、会場外のスタッフの目の届かないところで、出演者に近づいた観覧者がおりましたが、これについては、出演者及び所属事務所にさらなる注意喚起を促し、その協力を仰ぐ対応が考えられます。

(5)出待ち入り待ち禁止の徹底について
 第6、2(7)に記載の通り、出待ちされる観覧者がおり、注意をしても、会場外の、スタッフの目の届かないところで、出演者に近づいた観覧者がいた方がいらっしゃいました。これについては、前記(4)でも記載しましたが、観覧者の方、出演者双方にさらに注意喚起を行う措置が考えられ、また、スタッフの増員をはかり、出待ち対策をより徹底することが考えられます。

(6)感染が疑われる者が発生した場合の対応
 第6、2(5)に記載の通り、出演者からガイドラインの基準度数未満の発熱があった旨の報告を受けておりました。これについては、ガイドライン以上のさらに厳しい健康管理基準を設け、健康状態を細かく聴取することや、少しでも体調不良(37.5度以上でなくとも平熱より高い熱など)があった場合には所属事務所と連携を図り、自宅待機し、出演の取りやめ、又は公演中止などの対応が考えられます。

(7)公演前の出演者の行動の把握
 感染防止対策の観点から、公演前及び公演期間中における公演とは別の活動内容を把握するために、具体的な事前報告を詳しく求める措置が考えられます。

(8)無症状の方への対応
 非常に困難なことではありますが、観覧者、出演者、スタッフの中に無症状者がいる可能性まで考慮すると、公演開催に向けてPCR検査の強化等のさらに厳しい基準を検討せざるを得ないものと思われます。

第9 一部報道等について

1 一週間前の報道について
 一部報道では、「『シアターモリエール』スタッフによると、当初「THE★JINRO」は別の劇場での上演を予定していたが、コロナ対策による人数制限が厳しかったため、初日の1週間前に『-モリエール』に変更した」という報道がございます。しかしながらこちらは事実ではございません。
 当社では、既に述べた通り、会場につきましては、6月8日に変更を決定し、6月10日に当社のHPにおいて発表し、また初日公演は6月30日です。

2 会場内における握手、物販販売等について
 会場外における目の届かないところにつきましての詳細は不明ですが、会場「内」における握手はございません。また、ガイドラインで物販販売が禁止されていたとの一部報道がございますが、劇場、音楽堂等における新型コロナウィルス感染拡大予防ガイドラインでも、物販をすること自体は禁止されておりません。なお、当社では感染予防対策に努め実施致しました。

3 フェイスシールドについて
 一部、フェイスシールドが「ビニール製の手作りのものだった」との報道がございましたが、こちらは日本製のもので素材はプラスチック(リサイクルPET樹脂)で、曇りにくい構造になっており、クリア面が広く、圧迫感が少ない、眼鏡・ゴーグルも着用したまま使用可能な医療用にも使用できるというものであり、手作りのものではございません。

4 その他
 その他の報道につきましても事実ではない報道が多くされている状況でございます。
 各報道の詳細まで把握し、反論することはできませんが、明らかに間違っているにも係わらず、広く報道されている内容につきましては、今後の適切な事実確認にも支障が生じるため、確認の上、報告・公表等の対応をしてまいりたいと思います。

第10 最後に

 以上、これまで判明している事実をご報告申し上げますと同時に、皆様にご心配とご迷惑をおかけしておりますことを重ねてお詫び申し上げます。
 弊社といたしまして、既に述べたような感染防止対策を行い、観覧者、キャスト、関係者の皆様にもご協力いただき公演を実施いたしましたが、その中で、今回のような新型コロナウィルス感染者の発生が起きた経緯については、東京都や保健所による検証が行われており、その結果を反省点とするとともに、今後のこのようなことが起こらないようにさらに厳しい対策を講じて参りたいと考えております。
以上

より以前の記事一覧