野田地図「華氏マイナス320°」東京芸術劇場プレイハウス
<2026年4月18日(土)夜>
掘れば掘るだけ化石が見つかる発掘現場のはずがまったく見つからないため主任教授が交代になる。新教授が着任早々多数の骨が見つかるが、「骨伝導理論」を掲げる新教授が探しているのは太古の記憶を持つ天使の骨なので見向きもしない。それが現場助手の右腕の骨であるとわかり、新教授は現場助手の記憶を遡ろうとする。だがそれが不完全なうちに発掘スポンサーのお家騒動に巻き込まれ、師の研究を盗んだ泥棒扱いされて現場助手を攫われてしまう。
発掘から古代に遡ると言われると「パンドラの鐘」っぽいところ、今回はもっと個人に寄せてしんどいテーマを扱って休憩なしの2時間20分。終盤から最後は近頃の野田地図らしい形になるものの、海外公演知らんと言わんばかりの言葉遊びは割と野田地図を観ている自分でも置いていかれそうな勢いで、現代中世古代の3時代を扱うものの中世はただの役説明。途中の筋書きが整理不足、あるいは昔ながらのとりあえず流れに乗っておけで観るには本筋がみっちりし過ぎておふざけ要素を差込むのに時間が足りていない印象。
役者寸評。この日は1日2公演の夜だったせいか出だしがいまいちで後半に乗ってきた回なので前半は若干文句あり。それでも途中からとりあえず声張って身軽に駆け回った広瀬すずが野田地図ヒロインの流れを作って二重丸。阿部サダヲと深津絵里がまずまず。川上友里が真面目に観れば二重丸に近い出来もそのポジションには本筋を保ちつつ笑いも取るウワサスキー夫人の要素を求めたいのでもっと遊びもほしい、絶対できると信じたい。大倉孝二も同じ。野田秀樹は出番少な目だからいいとして、高田聖子、橋本さとしのベテラン勢が省エネモードに見えて残念、橋爪功はフラなのか台詞を思い出しながらやっているのか見極めがつかないのが困る。
野田地図は年々扱うテーマがしんどくなってベテラン領域の演技が必要になるのに、小劇場らしいノリがないとそもそも付いていけず、しかも身軽に走れる若い身体がないと立上げにも苦労する。若い役者の一層の発掘を野田秀樹には求めたい。探せば名手はいるはずなので。
