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2021年10月 9日 (土)

筋が悪い海老蔵の新橋演舞場公演

2022年1月公演です。ステージナタリーより。

にしのあきひろ(西野亮廣)の絵本「えんとつ町のプペル」は、ゴミ人間・プペルと、少年・ルビッチが紡ぐファンタジー作品。昨年、「映画 えんとつ町のプペル」のタイトルで映画化されたほか、これまでにも数多く舞台化されている。

「えんとつ町のプペル」を原作とした新作歌舞伎「プペル~天明の護美人間~」では、原作・脚本・空間 / 美術演出を西野、演出を藤間勘十郎が担当。主人公のプペル役を市川海老蔵が勤め、原作のルビッチにあたる玄(げん)役を、海老蔵の実子である市川ぼたんと堀越勸玄が演じる。また海老蔵は、物語の鍵を握る玄の父親役・熊八役も兼任する。

作者と作品は別モノなのは新型コロナウィルス騒動で見せつけられましたが、それはそれとして。

芸能界としても触らないほうがいい人、あるいは芸能界から見てもやばいから活動を別枠に隔離したほうがいい人はいるわけです。個人サロンその他で素人相手に芸以外を提供して対価を取る、阿漕な商売をしている西野亮廣はそういう別枠の人だと私は認識しています。

それを原作として作品だけ触るならまだしも、脚本と美術まで絡ませるのはあんまりじゃないのかと考えます。以前、海老蔵が干されていると書きましたけど、こんな付合いがあるようでは干されても仕方がありません。後先はわかりませんが、あるいは干されたからこういう付合いにのめり込むようになったのかもしれません。どこで読んだか、オリンピックの開会式に出たのは禊が済んだことになると書かれていましたが、それでこんな公演をするようでは禊のかいがありません。

料金設定も自由なもので、SS席3万円という破格のチケット代です。値上げ著しい歌舞伎座ですら三部制の1等席1万5000円。仁左衛門玉三郎の桜姫東文章の上の巻下の巻2回分と同額です。参考までに宝塚を調べると本公演でSS席1万2500円です。ちなみに私が観たことがある1本で最大金額は中島みゆきが赤坂ACTシアターでやった夜会の2万円です。価格は需要と供給ですから、売れると踏めば高くつけること自体に反対はありません。ただ、興行には相場というものがあるので、この公演が通常興行とは違う位置づけにある、ということはわかるはずです。サロン向けの価格です。

新橋演舞場は松竹の管轄だから、こんな公演を許して、ここまで干してきた松竹も新型コロナウィルスで背に腹は代えられなくなったのかと最初は思いました。が、チラシをよく見ると「主催・制作 新作歌舞伎『プペル』実行委員会」とありました。劇場は貸してもあとは知らんということでしょう。正しいです。表の商売として危ない筋との付合いは無くすのが世間の流れで、ここまで松竹が海老蔵を干してきたことにも納得しました。

歌舞伎にそこまでのめり込んでいるわけではありませんが、こんな付合いにめげずに堀越勸玄市川ぼたんがまともに育つことを願ってやみません。

2021年8月24日 (火)

横浜市の市長選挙でオペラハウス反対の候補者が当選

カジノ誘致の中止が話題になっていますけど、公約に「オペラ座建設(615億円)の中止で財源確保」って書いてありますから、こちらも中止になると思います。

個人的には、神奈川芸術劇場はスタジオばかり稼働してホールは不入りだという印象があります。ましてオペラ。すぐ近くの東京のほうが大勢の観客からアクセスがいいのに、わざわざ横浜でオペラ公演やる団体があるのかよと、普通に考えます。

それは事前にも指摘されています。朝日新聞「みなとみらいに劇場構想 建設費480億、根強い慎重論」より。なおタイトルが480億ですけど、横浜市の「新たな劇場整備の検討」に載っている資料をいくつか見ると、償還財源の一般財源充当額に598億円とか566億円とか644億円とか試算が載っているので、劇場建設費だけと、それ以外も含めた総額との違いなのでしょう。今回の議論だと615億円のほうが総額の実態に近いと思います。

末崎毅 2021年8月20日 13時00分

 都心では五反田のゆうぽうとが2015年に閉館するなど、この10年ほどで劇場やホールの閉館・改修が相次いでいる。「首都圏では、本格的なオペラ・バレエなどの舞台芸術を上演するにふさわしい舞台設備を有し、十分なキャパシティーがある劇場はほとんどない」(横浜市)のだという。

 実際、あるバレエ関係者は「東京にはバレエやオペラができる、ちゃんとした劇場がいまだに少なくて困っている」と嘆く。「東京と横浜で比較すると横浜の方が集客は少ないが、東京の劇場よりも舞台機構などが整った魅力的な劇場が横浜にできれば東京から人が見にいくようになり、十分運営できるのではないか」

 横浜市内では県民ホールでバレエやオペラの公演実績があるが、開館から46年たっており設備の老朽化が気になるという。「バレエやオペラ、音楽に関わる人間で舞台芸術のための劇場ができることに反対する人間はまずいないのではないか。文化芸術の振興は歓迎で、横浜の新しい魅力になる。アジア一の舞台芸術の拠点をつくってほしい」

 一方、市の委託で株式会社日本経済研究所がまとめた19年の報告書によると、有識者らからは「新国立劇場や県民ホールなど、オペラ・バレエが上演されている劇場が近い」との課題も指摘された。東京の新国立劇場までは横浜駅から1時間かからず、県民ホールも同じ市内。横須賀市にも劇場がある。「(新劇場の)整備・運営には覚悟が必要」とされた。

 開発事業者からは「横浜とオペラ・バレエはイメージが合致するが、マーケットは厳しい」との意見も出た。市の有識者委員会ではぴあ総研の調査による国内の市場規模の推計が紹介されたが、「オペラは来日公演が減少。バレエは来日公演が多くを占め、年ごとの増減変化はあるものの全体的には横ばい傾向」だという。

 昨年末には有識者委員会が、新劇場によって「アジアの顧客などが期待できる」とした上で、整備にともなう負担は「妥当」だと提言した。しかし将来の財政悪化が見込まれる中で市議会では慎重論もある。

報告書の「覚悟が必要」とは趣深い表現です。素直に読めば「赤字になります」ですね。「ちゃんとした劇場が少なくて困っている」関係者には、ちゃんとした劇場をつくる投資をしたくなるほどの市場はない分野だと伝えたくなります。

ちなみに場所はみなとみらいと言われていますが、最寄駅は新高島駅で、横浜駅から歩くには微妙な距離です。だからバス乗場の併設まで議論されていますが、電車ではどこから行くのがいいのか微妙な立地です。集客のためには東京から一定数を見込まないといけない点で、新国立劇場の新宿から初台までとは条件が違います。

カジノの是非はさておいて、継続的な赤字が見込まれるオペラハウスの中止は妥当だと個人的には考えます。

2021年8月13日 (金)

代役の準備はどのように行なわれるべきか

前のエントリーの発表内容通りなら、田中れいなは共演者から感染した可能性が高いです。ところで田中れいなの4月の降板騒動のとき、引用先の記事はこんなことを書いていました。

田中やハロプロメンバーが所属している事務所は業界の中でも特に厳しい対策をしていることで有名だ。

事務所が厳しくても、さすがに共演者の陽性までは管理できません。そして厳しい対策をしているという事務所の所属役者でも感染するなら、他は推して知るべしです。デルタ株の感染力は以前より強力であることが発表されていますから、今後は降板騒動、公演中止が頻発すると予想します。念のために書いておくと、隠して上演を強行してクラスターを出した例が最近あったばかりなので、降板や公演中止になるのはまともに運営されている証拠です。

何かあったら即座に中止ができる団体ならいいですが、規模が大きい公演ではそうもいかないことが多いでしょう。だから公演継続できるように、最初から代役候補を考慮した制作が必要になります。海外だと大きな芝居の大きな役にはアンダースタディという立場があって、担当役が無事なら一度も出演できないことを承知の代役を用意しておきますが、日本ではその制度はありません。

ならば最初から他の役に紛れ込ませておくか。これは少人数芝居だと紛れ込ませておくのが難しいですし、務まるような役者を複数探すキャスティング時点で困難があります。野田地図が一度そんなキャスティングをやっていました(そうとは言っていません、私の勝手な印象です)。けど、海外公演ありで再演の野田地図だからできたことです。人気も込みでそこまで役者を集められる公演は、普通はありません。

となると、やっぱりその都度代役を探すことになります。通常は必要になってから考えるところ、各役の代役候補を複数挙げて、軽くスケジュールも把握して無理な人は外したうえで順番を決めて、何かあったら全力で順番に打診する。

代役の存在を知らされた側も、勝手に代役候補にされた側もいい気分はしないでしょうから、内緒にしておかないといけない。何よりその案を実際に使うかどうかわからない。でもその準備がないと瞬発力高く動けない。

ひょっとしたら大きい公演では普段から同じことをやっている可能性があります。歌舞伎はトラブル時にかなり融通の利いた代役が行なわれていますが、あれは古典で役者全員が内容を知っていて、しかも(公演機会の都合で)常に出演していない歌舞伎役者ががいるから動かしようがあって、観客側もそういうものだと納得しているからですね。劇団四季も役者全員交代という力技を出したことがありますが、スターに頼らないでロングランを行なう体制を組んでここまでやってきたからこそです。通常の芝居では、公演が大きくなるほど出演者の人気に依存する割合が大きくなるので、どうでしょう。

実際に制作しつつ、こんな裏プランも考えないといけないから、制作者は忙しいポジションです。

2021年7月24日 (土)

さいたまゴールド・シアター解散決定

さいたまネクスト・シアターの解散はすでに発表されていましたが、さいたまゴールド・シアターも解散が決定しました。ステージナタリー経由で発表コメントを引用。

蜷川幸雄さんが亡くなられて5年が経ちました。

2006年、彩の国さいたま芸術劇場の芸術監督に就任した蜷川さんは、「演劇経験のない高齢者を集めてプロの劇団を作り、世界へ打って出る」という構想のもと、55歳以上の高齢者による“さいたまゴールド・シアター”を結成しました。折しも日本が高齢化社会に突入する時と重なり、その活動は大きな注目を集めました。公演を重ねるたびに芸術的評価が高まり、国内ばかりでなくパリ、香港、ルーマニアなどの海外から招聘を受けるまでに成長を遂げ、まさに “世界的”な劇団になりました。そして、この活動から「一万人のゴールド・シアター2016」公演やゴールド・アーツ・クラブが結成されたり(昨年解散)、国内の高齢者による演劇活動がより盛んになるなどその影響の大きさを改めて感じる昨今です。

しかし結成から15年経ち、劇団員の平均年齢は81歳を超え、48名で出発したメンバーは現在34名となりました。在籍しながらも様々な理由から活動への参加が困難なメンバーも増えて、劇団のあり方を見直そうと思っていた矢先に、コロナ禍となりました。本年2月に予定していました松井周さんの作・演出の「聖地2030」が公演中止を余儀なくされ、劇団としての活動継続は困難を極めております。こうした状況を踏まえ、苦渋の決断ではありますが、劇団を解散することといたしました。

最後となる作品は、1981年に劇団転形劇場で初演されて以来、国内外で高い評価を得て上演されてきた太田省吾さんの沈黙劇「水の駅」を杉原邦生さんの演出で上演いたします。

やっぱりよほどの条件がそろわないとこの手の活動は続けていけないのでしょうね。

2021年7月23日 (金)

小林賢太郎がオリンピックのショーディレクターを解任されたことについてうまく説明できない感情

日テレNEWS24「菅首相『言語道断だ』 小林賢太郎さん解任」より。

東京オリンピックの開会式の演出の調整役だった元お笑いタレントの小林賢太郎さんが過去にユダヤ人大量虐殺をネタにしていたことがわかり、組織委員会の橋本会長が小林さんの解任を発表し謝罪しました。

これを受けて菅首相が22日午後、記者団の取材に応じ、「言語道断だ」などと述べました。

記者団とのやりとりは以下の通りです。

Q.解任の受け止め。

菅首相
「ご指摘の件については言語道断。全く受け入れることは出来ない」

Q.総理としてどの部分を問題にして組織委員会にどう対応したのか。

菅首相
「このことはあってはならないことですから、そこについては秘書官を通じてこれは受け入れられないということで対応した」

Q.開会式は予定通り行うべきか

菅首相
「そこは予定通り行うべきだと思う」

Q関係者の辞任相次ぐ。大会成功への自信は。

菅首相
「組織委員会においては重く受け止めていると思う。それと同時に、これから準備すべき点はしっかり準備する中で、やはり今まで準備してきたことについて、だめなものは事実のなかでしっかりやってほしいと思っている」

小林賢太郎はコメントを残して解任を受入れました。ハフィントンポスト「小林賢太郎さん解任。コメント全文『自分の愚かな言葉選びが間違いだった』」より。

小林賢太郎と申します。私は元コメディアンで、引退後の今はエンターテイメントに裏方として携わっております。

かつて私が書いたコントのセリフの中に、不適切な表現があったというご指摘をいただきました。

確かにご指摘の通り、1998年に発売された若手芸人を紹介するビデオソフトの中で、私が書いたコントのセリフに極めて不謹慎な表現が含まれていました。

ご指摘を受け、当時のことを思い返しました。思うように人を笑わせられなくて、浅はかに人の気を引こうとしていた頃だと思います。その後自分でも良くないと思い、考えを改め、人を傷つけない笑いを目指すようになっていきました。

人を楽しませる仕事の自分が、人に不快な思いをさせることはあってはならないことです。当時の自分の愚かな言葉選びが間違いだったということを理解し、反省しています。

不快に思われた方々にお詫びを申し上げます。申し訳ありませんでした。

先ほど、組織委員会からショーディレクター解任のご連絡をいただきました。

ここまで、この式典に携わらせていただいたことに感謝いたします。

小林賢太郎

合せて片桐仁もコメントを発表しています。所属事務所「報道に関する片桐仁からのコメント」より。

この度は、23年前のラーメンズのコント内での極めて不適切なセリフにより、多くの方々に不快な思いをさせてしまい、深くお詫び申し上げます。

当時、差別的な表現や不謹慎な言い回しに対する意識が低く、それによって不快な思いをする相手の方がいることを、想像出来ていませんでした。
若気の至りとは言えない、非常識な人間だったと思います。

皆様のご指摘により、そのことに改めて気付かされ、事の重大さに気付かず、自分自身が演じてしまったことを反省しております。

今後、二度とこのようなことがないように、表現をする際には、一度立ち止まって考えることを心がけたいと思います。

大変、申し訳ありませんでした。

片桐仁

非難の対象となったコントは(いつまで残っているのかわかりませんけど)ニコニコ動画のこれです。「できるかな」のノッポさんとゴン太くんを元ネタに、2人が好きあっているという構成です。対象となったのは、唐突に出てきたネタとはいえ、1か所だけです。ネタというより台詞に近い。直後にフォロー台詞も入っています。これが最近のネタだったら言語道断と言われてもしょうがないなと思いましたけど、23年前です。仮に最近のネタだったとしても、それで小林賢太郎や片桐仁が嫌いになったとは思いません。

でも小山田圭吾やのぶみが責められて辞任や辞退したのは当然だと思っています。ここの違いが上手く説明できません。

ひとつには、過去の歴史をネタで扱ったということと、実際に本人が行なった犯罪相当の行為なり絵本なりというのがあります。ただ、これで線引きするのも違うと思います。

小林賢太郎と片桐仁は実際に舞台で観たことがあり、小山田圭吾やのぶみは本人を観たことも、それと意識して創作物を観たこともありません。小山田圭吾の音楽は知らない間に耳にしていたことはあるかもしれませんが、のぶみの絵本の内容は今回初めて知りました。だからといって、それで左右されるものでもないと思います。まして、創作物のよしあしと創作者の人格のよしあしは比例しませんから。

ただ、小山田圭吾の過去が問題になったときに「過去にまったく間違いがない人間がどのくらいいるのか」という擁護のコメントが上がったのには、不快感を覚えました。他人にウンコを食わせたような人間が、昔も今も世の中に何人いるんだよ、という点です。小林賢太郎の今回の件に対して適用されるべき擁護が、小山田圭吾の件で使われたことで、この擁護自体の説得力を失わせてしまいました。

それでも何とか説明を試みようとすると、まったく曖昧な物言いしかできないのですが、小山田圭吾の過去の犯罪相当の行為が発覚してから、辞任まで揉めた件と、そのあとでのぶみの起用がきまるまでの一連の流れに、嫌なものを感じたのですね。

現場の担当者が、いま辞任されて曲が差替えになると開会式に間に合わないことを恐れたのはあったと思います、というか、思っていました。自分のしがない仕事ですら締切に追いこまれると間に合わるためにあれこれごまかそうとするのだから、ましてオリンピックの担当者のプレッシャーはいかばかりか。小山田圭吾はクビになるべきという自分の思いとは別に、言いたいことはわかるけど間に合わないから勘弁してくれと締切間近の現場が抵抗するのはしょうがないだろうと考えていました。

でもそのあとにのぶみの起用が出てきて、それで絵本の内容を見たら、どうも違うっぽい。時間がない中でまともな人は誰も引受けなかったとは思いますが、だとしても小山田圭吾の後にこういう人間を起用する話が出てくる時点でおかしい。

推測ですが、関係者、特に起用解任の人事関係者は、小山田圭吾と同じ価値観を持っている。なおかつ、世の中の他の価値観は自分たちの価値観より下だと思っている、ひょっとすると他の価値観が存在しているという認識も持っていないかもしれない。そしてその価値観で捉えている範囲が、ものすごく狭い。いわゆる仲間内だけにとどまっていて、それを疑っていない。

それを小林賢太郎のコントのネタと一緒にするのはどうかと思います。国際的なイベントで、会長がドイツ人だから、たとえコントの中の1か所の台詞だったとしても機微に触れる問題となって、解任はしかたがないかもしれません。でも変な話ですが、トラブル続きの後とはいえ今回あっさり解任されたことで、本人が仲間内の価値観に含まれていない可能性を示して見せたとも言えます。同じ解任でも、同列に並べてはいけない。

上手く説明できませんが、少なくとも今回の件だけでは、自分は小林賢太郎や片桐仁を嫌うことにはなりません。「過去にまったく間違いがない人間がどのくらいいるのか」という話を、他人への説得ではなく、自分の感情に適用します。

<2021年7月23日(金)追記>

オリンピックの開会式、全部観たわけではありませんが、各競技のピクトグラムをパントマイムで表現するあたりが小林賢太郎っぽかったですね。どのパートが誰の演出とか情報は知りませんが、あそこは自分でやってたんじゃないでしょうか。

<2021年7月24日(土)追記>

小山田圭吾を起用したのは小林賢太郎という朝日新聞の記事が出ました。また、今回の件で日本の在各国大使館がユダヤ人団体に謝罪したそうです。背景には、ミュンヘン大会でイスラエル人の選手やコーチが犠牲になったという事件があり、今回の開会式でそれを追悼する個所があったそうです(自分は該当箇所は未見)。

いろいろ自分の理解できる範囲を超えているので、この件についてはこれ以上書かないようにします。

2021年7月18日 (日)

発音で世代がわかるという話

何かと気が滅入る話題が多いので、Twitterで見かけた内容を紹介。

すきえんてぃあ@書け
@cicada3301_kig
歳をとった女性声優が若作りして出す声、独特のダミ声のような老化の特徴もあるんだけど、それ以上に言語の変化として音素の世代差が隠しきれていない。若者はマジでガ行が全然鼻に抜けないし、サ行が過剰に無声化して独特のシャリシャリした響きが入る。年寄り声優にはそれがない。言語が違う。
午後6:44 ・ 2021年7月13日

たま、絵仕事
@hantutama
40年程前に言語学の先生が「今の若者は『アワビ』と発音出来ない。『アービ』になる。言葉は変わって行く...」と言っていた。
個人的には20年くらい前から語尾が「i」から「e」に変わっているのが気になる。
「かわええ」「おいしぇえ」「うれしぇえ」...
時代物のドラマでこれが出るとつらい
午後7:18 ・ 2021年7月13日

川井いぜ
@nekw0
これじつは VOT とかも違うんですよね。わたしは声を聞いた男性の年齢層を無意識にこれで判定している
午後10:26 ・ 2021年7月13日

同じ人でもうひとつ。

すきえんてぃあ@書け
@cicada3301_kig
アニメ「探偵はもう死んでいる」の主人公とヒロインを演じる若手声優が、日本語史における新しい世代の最先端の発音になってることを先日から指摘しているんだけど、ガ行鼻濁音が生じないばかりか、確かに先行研究で指摘されているように語頭の濁音が有声化しない。まるでアイヌ訛りのように聞こえる!
午前7:23 ・ 2021年7月15日

第一話では同じ世代同士で会話していたからギャップが目立たなかったが、第二話では「老いた」発音の従来的な美少女が登場するから、注意して聞いていると会話シーンでギャップがめちゃくちゃ目立つ

いやまあ有声化しないはノリで言い過ぎたけどちょっと弱い、なんだろなピッチか帯気か別の情報による弁別に少し寄っているけどまだよくわからない直感的に評価してるだけなので

アメリカなんかでは、役の出身国ごとの訛りを演じ分けられるように専門の訓練があると聞いたことがあります。日本語でも、単語のアクセントが地域だけでなく時代によっても変わると聞いたこともあります。けど、発音によって、聞く人が聞けば「言語が違う」ほど変わるものだとは思わなかった。昔、宮田慶子が「最近の若者はサ行をスァと発音する」と言っていましたけど、詳しい説明を出すとこうなるわけですね。

何となく、舞台修行だとある種のはっきりした発音ができるように訓練されるイメージがありますけど、どうなんでしょう。時代劇でふにゃっとした発音は困るから、大河ドラマくらいだと発音指導も入りそうですけど。

それよりもっと近代、ここ数十年の違いを適切に表現するために、こういう発音の違いを意識して演出するような需要が舞台、映像を問わず日本であるんでしょうか。逆に、その年代の違いを意識して発音を使い分けている役者、声優っているんでしょうか。

2021年7月 3日 (土)

台風ではないのに長引く大雨で交通影響が出る珍しいケース

台風の時は事前に気象庁がアナウンスを出して、電車各社が運行予定をアナウンスして、それを元に上演するか中止するか上演するけど払戻しや振替を受付けるかの対応を決めましょう、ってのはこのブログでも見てきた対応です。大手を中心に何となく定着してきた流れです。

ところが本日は、台風ではないものの線状降水帯による記録的な大雨で、朝からの交通が遅延、場所によっては運休になっています。さっき見たら、JRは京浜東北線と埼京線と東海道線と横須賀線と総武線と常磐線と他多数、私鉄は小田急と京急と相鉄の影響が大です。

なのだけど、東京中心はそこまで影響を受けていないみたいで、山手線と中央線が通常運転になっています。私鉄も東急や京王は通常運転です。神奈川の西と千葉が影響大ですね。

しかもこの後は雨が落着く方向です。新型コロナウィルスできつい折、これで中止払戻しを行なうこと団体は少ないと思いますが、観客としては気をもむところです。さっき大きいところのホームページを眺めましたけど、上演するしないの情報は載っていませんでした。遠方の客もいるでしょうから、11時を過ぎたら載せたほうがいいと思いましたけどね。

そして客。影響大の地域に住んでいる場合は、芝居よりは自宅の心配をしましょう。買ったのに観に行けず払戻しもされなかったチケットは、3年くらいすると話のネタにできるので、捨てずにとっておくと手持ちのネタが増えます。もし関係者で当日引取予約をしている人だったら、観に行かない場合は速やかにキャンセル連絡をして、近隣客の当日券確保を助けてあげてください。

制作側は、これで売れたのに観に来られなかった客がどのくらいいたか、概算でもいいから数えておくと、今後の役に立つかもしれません。チケットの半券はちゃんと調べましょう。たぶん、今後もこういう天気が増えます。

2021年6月 6日 (日)

劇団、劇場系の研修所カリキュラムを眺めてみた

大学や短大以外だとどんなもんなんだろうかと、なんか思いつきで調べました。心当たりで見つかったのは4つです。

文学座附属演劇研修所

本科1年、研修科2年の3年制です。ただし本科から研修科の間で選考があります。役者としてまずは必要な演技と、和事の知識を本科で詰めこんで、いけそうな人間だけを研修科で鍛える、というスタイルでしょうか。演出家を常に複数抱える文学座なだけに、演出部や制作部もあるみたいですが、そちらの詳細は載っていません。

月曜日から土曜日まで週6日ですが、10時30分から14時までの昼間部、18時から21時30分までの夜間部に分かれます。応募資格は18歳以上で経験不問。費用は入所金7万円、授業料年間24万円(1期6万円x4期)、実習費年間22万円(ただし演出部と制作部は免除)です。

新国立劇場演劇研修所

役者特化の3年制です。2年次までは研修、3年次で発表です。いろいろな授業が用意されていますが、今の目で見ると、演技を学ぶ感じではありませんね。脚本が求める声を出せるような身体の使い方を学ぶために、カリキュラムが組まれているように読めます。それが演技だろと言われたらその通りなのですが。

月曜日から金曜日まで週5日、10時から18時です。応募資格は満18才以上、満30才以下。費用は授業料が年間237,600円、ただし3年次は年額118,800円です。特筆は2年次以降に奨学金月額60,000円支給があり得ることですが、条件不明です(全員だったような気もしますが、失念)。

座・公演時劇場創造アカデミー

基礎課程1年、専門課程1年の2年制です(講義聴講に特化したコールもあり)。1年目は共通で、2年目は必修科目以外に、役者と演出と劇場環境とで一部がわかれるスタイルです。役者以外に劇場環境というコースが目新しいです。

月曜日から金曜日まで週5日、10時から15時です。応募資格は見つけられませんでした。費用は入学金5万円、受講料年間30万円です。杉並区民だと1年目の受講料20%免除もあります。

宝塚音楽学校

未だにわかっていませんが、宝塚歌劇団のための育成学校が宝塚音楽学校、でいいのかな。さすがにしっかり組まれています。予科1年、本科1年の2年制です。発声はボイストレーニングがありますが、他に声楽と合唱があります。他では必須の日本古典も、日本舞踊はやっても能狂言はなくて、その分をバレエとモダンダンスに充てています。ピアノや譜読みまで入っています。唄って踊れる基礎を2年でがっちり仕込む、演技は最低限だけやって後は歌劇団で、という強い意志を感じるカリキュラムです。女性ばかりの劇団で花の盛りに技術を間に合わせるという都合もあるのでしょう。高卒資格取得のための授業があるのも、若年から入学する生徒向けの特徴です。

月曜日から土曜日まで、9時から、日によって16時20分または18時05分まであります。応募資格は16歳から20歳まで。費用は入学費用48万円、授業料月額5万円の2年間120万円、他に修学旅行積立金や教材購入費など。さらに通学できない生徒は入寮必須で寮費が月額1万5千円です。

とりあえず4つの紹介ここまで。

こうやって並べてみると、歌劇団という出口がはっきりしているとはいえ、宝塚は異色です。他は何もない人間に一から教える想定ですが、宝塚のカリキュラムを何もない人間が2年でこなして身に付けられるとは思えません。バレエでもピアノでも、何かしらはやってきた家庭の子女が対象のように読めます。実際そうでないとインプットが追いつかないのでしょう。費用もなんだかんだで2年で200万円を超えますが、2年で最低限、ものになってもらうための環境と関係者の費用という現実面、冷やかし防止面、両面で設けたハードルかと思います。

なら他のカリキュラムなら身に着くのかよと言われたら言葉に詰まります。が、他は出口がはっきりしていない代わりに、人生の長期戦として戦うための基礎を身に付けさせようとしているように読めます。そこは関係者のキャリアも関わっているのでしょう。いろいろ苦労して生き延びてきた経験が、これを早期に身に付けさせたいというカリキュラムになったのかなと想像します。人生経験も影響する職業ですし。

ところで、とりあえず役者に絞ってどこがいいのかと聞かれても、困りますね。今は活躍する有名人と同じ場所で学んで同じことが身に着くかといったらそんなこともなく、しかも活躍どころか生活が保証されているわけでもないのが役者です。さらに合う合わないの相性の問題もあります。趣味の習い事でも講師との相性が出てくるのに、表現系の職業だったらなおさらです。これはもう、本人が自分で調べてどうにかするしかありません。最後は運です。

ただ、かれこれ見比べると、初心者が演技に結びつけるための発声と身体の基礎を習得するだけで、だいたい丸2年は必要という目安は共通認識だと読取れます。そこをセンスで最初からできる人がいて、凡人には困ります。そのセンスある人は例外とすれば、熟練の講師陣が長年の経験に基づくカリキュラムを試行錯誤した結果、だいたいそのくらいは必要なのでしょう。

2021年6月 5日 (土)

団体ごとに上演劇場の流れが別れてきてやいないか

こういう話題を書くと劇場すごろくガーって騒ぐ人が来ますけど、そういう人は置いておきます。単に流れが出来て、しかも別れていやしないか、という話です。もともと大手の松竹東宝阪急は外します。

・下北沢小規模系

どこかの小さい劇場から、駅前劇場、ザ・スズナリあたりで上演する層です。ただ、ここから本多劇場まで行く団体が最近は少ない。

・老舗劇団系

本多劇場でたまに上演しつつ、演出家がシアターコクーンに呼ばれる層を想定しています。が、最近はあまりいませんね。ナイロン100℃、大人計画(ウーマンリブ含む)に、M&O Playの上演で岩松了や倉持裕が絡むくらいでしょうか。

・民間ストレートプレイプロデュース系

シアターコクーン、世田谷パブリックシアター、東京芸術劇場プレイハウス、新国立劇場中劇場、が射程で上演する層です。シス・カンパニーやホリプロ、あとはTBS以外のテレビ局関係のプロデュースなどです。PARCOが外の劇場でプロデュースする場合もここですね。

昔だとサンシャイン劇場も入ったと思いますが、今は2.5次元芝居が多いイメージがあります。

・こまばアゴラ劇場系

他に吉祥寺シアターとか、三鷹星のホールとか、東京芸術劇場のシアターイーストとウエストとか、神奈川芸術劇場の大スタジオとか、こまばアゴラ劇場以外は似た規模の公共劇場をぐるぐる廻る層です。こまばアゴラ劇場系と便宜上書きましたが、娯楽志向より表現志向が強い団体ですね。ここから規模を上げない団体が最近は目立ちます。

・公共劇場自前系

新国立劇場の小劇場、世田谷パブリックシアターのシアタートラム、神奈川芸術劇場の大スタジオ、あたりです。それぞれ中劇場、世田谷パブリックシアター、ホール、の大規模にはあまり手を出したがりません。こまばアゴラ劇場系か次の新劇系から演出家が起用されやすいイメージがあります。

・新劇系

自前の拠点で上演しつつ、たまに紀伊国屋ホールやサザンシアターで上演しています。あとはツアー。

・民間ミュージカルプロデュース系

スターを呼んで上演する層です。赤坂ACTシアター、東京建物BrilliaHall、IHIステージアラウンド東京が3大劇場です。ミュージカルが多く、劇団☆新感線もここに乗っています。

最後の民間ミュージカルプロデュース系は松竹東宝阪急に準ずるから外していいと思います。残りの系統を大雑把に、民間劇場系(下北沢小規模系、老舗劇団系、民間ストレートプレイプロデュース系)と公共劇場系(こまばアゴラ劇場系、公共劇場自前系、新劇系)に別れているように見える、というのがこのエントリーの趣旨です。娯楽系と表現系と分けてもいいかもしれません。公共劇場の興隆で後者が育ってきました。

昔はもう少し本多劇場と紀伊国屋ホールの上演団体が近いイメージがありましたけど、最近はあまりかすりませんね。いまいろいろな種類の団体が上演している劇場はどこだと聞かれたら、東京芸術劇場のシアターイーストとウエストではないかと答えます。手ごろな規模の劇場を持ちつつ、野田秀樹の影響でだいぶ変わりました。

そして紀伊国屋ホールや本多劇場で上演する団体が増えていない気がします。今もあるかわかりませんが、昔はどんなに人気があっても本多劇場初回の団体には4日しか貸さないルールがあって、それでキャラメルボックスは縁を切ったと読んだことがあります。

ただ、今は紀伊国屋ホールも本多劇場も、400人規模の劇場に手を出す団体自体が減って、両者とも上演団体の新陳代謝が出来ていない印象が強いです。本多劇場だと新規常連団体はヨーロッパ企画くらいでしょうか。その、昔なら400人規模の劇場に手を出した団体が今はどこにいるかというと、こまばアゴラ劇場系の規模、200人前後の劇場でたむろしています。

1公演の集客が1万人を超えたあたりが(収入と支出のバランスで)一番きつい、とはこれもキャラメルボックスの話で読みました。1か月4週末で25ステージを上演するとちょうど1万人です。団体の上演だけで食っていくことを目指すのでなければ、劇場の規模はそのままにロングランして、あとは他の上演なり映像の仕事なりに出演するのが安定するんだろうな、とは想像がつきます。

ところで今の芸術監督には下北沢系から老舗劇団系を辿った出身者が結構な割合を占めています。野田秀樹、松尾スズキ、長塚圭史ですね。新国立劇場は小川絵梨子という海外系の突然変異の芸術監督になったのが例外で、もともと新劇系です。串田和美や佐藤信の自由劇場出身者も俳優座出身だから新劇系と言えます。平田オリザはもちろんこまばアゴラ劇場系です。野村萬斎は古典畑の人、近藤良平はダンス畑の人ですね。

この多様性が保てているのがよいのですが、ここから下北沢系の出身者がいなくなった場合、どこから芸術監督を充てることになるのでしょう。新劇系は長年運営されている大所帯で演出することで、老舗集団ならではの経験が積めるのでしょう。それが下北沢系の場合、そこでとどまって老舗劇団系のキャリアを踏めていない場合、芸術監督が務まるのか微妙なところです。こまばアゴラ劇場系でとどまっている場合も同様です。

もともと劇場すごろくと呼ばれるくらい一本道しかなかったところに、別の選択肢が出てきたことは素晴らしいかもしれませんが、いいこともあれば悪いこともあるでしょう。以前なら民間劇場系の団体は、ある程度売れたら押し出される形で老舗系に進出せざるを得なかったところ、そのパスから外れられるようになった。個別の団体視点では喜ばしいことですが、「業界」の人材育成がどうなるか。私の趣味の範囲に偏った範囲ですが、要観察です。

さいたま芸術劇場の次期芸術監督は近藤良平、そしてネクスト・シアターの解散

これを取上げたつもりで取上げていませんでした。やや古いですがステージナタリーより。

近藤良平が、2021年4月から埼玉・彩の国さいたま芸術劇場の次期芸術監督を務めることが発表された。

これは、近藤がコンドルズやハンドルズとして、埼玉県の芸術文化に貢献してきたことから決定されたもの。近藤は2022年4月の芸術監督就任に先立ち、今年4月1日から次期芸術監督として、2022年度以降の主催事業の方向性や年間ラインナップの策定、劇場運営全般の助言・提案にあたる。なお、近藤は、蜷川幸雄前芸術監督の後を継いでの就任となる。

臨時に後を務めていた吉田鋼太郎は、一部中断はあったものの、シェイクスピア上演が全シリーズ目途がついたことで退くようにもともと約束していたのでしょう。

そして近藤良平。芝居っ気のある人ですが、ダンサーでありダンスカンパニーの主催者なので、今後は芝居よりもダンスに舵を切っていくという劇場の意思表明だと理解しました。

そう考えると、4月に発表されたさいたまネクスト・シアターの解散も流れに沿っています。同じくステージナタリーより。

さいたまネクスト・シアターの最終公演が、8月5日から15日まで埼玉・彩の国さいたま芸術劇場 小ホールで行われる。

さいたまネクスト・シアターは、次代を担う若手俳優の育成を目的に、2009年に蜷川幸雄が立ち上げた若手演劇集団。平均年齢34歳、1期生から4期生までの14名が携わる本公演では、ほろびての細川洋平の書き下ろしを岩松了の演出で上演する。

さいたまゴールド・シアターは役者の年齢が年齢なので続けてもあと10年でしょうが、若い役者を抱えておくのは難しいからいっそ解散という流れです。というか、平均年齢34歳はもう若くないですね。

人気実力意思の3拍子が揃った蜷川幸雄がいたからこその体勢だったのだなと改めて思います。

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