2010年3月 5日 (金)

いつのまにが2月が終わっていた

結局2月は1本も観られなかった。3月はどうなるかな。上海バンスキングと農業少女とヘンリー六世とスイングバイは観に行きたいんだけど、厳しいか。

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2010年2月28日 (日)

個別公演を宣伝する前に観客人口を増やすほうが先だと思う

なんか先にfringeで似たようなことを書かれてしまいましたが、先日の「『演劇公演の宣伝について考えるラウンドテーブル』の実況」に関する個人的な感想。

芝居に限らず、宣伝というのは買ってもらうことが重要。宣伝対象が洗剤とか冷蔵庫とか映画とかだったら、それらの宣伝を見てもらうだけで購入までの過程や利用イメージは湧くので、買うための方法までフォローする必要はない。映画を映画館に観に行ったことがない人がいたとしても、かなりの確立で身近に経験者がいるだろうし、ネット上の情報もある。興味を持てば、それをフォローする環境はいろいろある。なにより、テレビで映画は定期的に放送されているから、映画自体がよくわからないという人はまずいない。

だけど芝居は、上演箇所や時間の制限でただでさえ経験者を減らすハンデがある。テレビに出てくる芸能人が舞台の宣伝をしたとして、そこから行動に移れる人の数は少ないだろうし、それをフォローできる経験者はもっと少ない。まして小劇場であれば、なにがなんだかわからない人が圧倒的多数になる。そんな状況でちまちま宣伝して、それで本当に劇場にお客さんは来るのかというと、まずこない。いや間違っていたら申し訳ないけど、でも、芝居初心者がチラシを見て芝居を観に来たという例は、一公演あたり何パーセントくらいになるんだろう。商業演劇ならまだしも、小劇場では、チラシで観に来るのは芝居通だけなんじゃないか。

個人的には、チラシには様々な情報が詰まっているので芝居の選別にはとても重要だと思っている。だけどそれは芝居を観慣れているからであって、普通の人があのチラシを受取っただけで選別できるかというと、たぶんできないんじゃないかと思う。

だから公演の宣伝以前に、芝居というものの宣伝が、もう少し格好つけるとマーケットの開拓が、まずは必要となる。そのときの目安のひとつとして、たとえばこういうものがある。

・市場占拠率の目標数値モデル
1:上限目標値:74%:絶対的な独創状態。
2:安定目標値:42%:安定的な強者の位置。独走態勢に入る。
3:下限目標値:26%:弱者と強者の境目。トップになることもあるが不安定。
4:上位目標値:19%:弱者の中の相対的強者。伸びるが、不安定。
5:提供目標値:11%:存在がマーケット動向に影響を与え、注目される。
6:存在目標値:7%:存在が競合者として認められる。
7:拠点目標値:3%:存在自体が無視されるが何とか存在できる

首都圏の人口が3000万人以上と言われているが、観客人口は10万人程度と言われている。これではまったく足りなくて、せめて7%、200万人強の人たちが、芝居を何度か観たことがあって、観ようと思えば迷わずに行動に移せる、あるいは他の人に教えてあげられる状態までもっていくことが必要だと思う。今の状態で芝居のイメージを一般の人にインタビューして「灰皿を投げる演出家がテントで公演している」と答えられても、私は驚かない。

それだけの人数に観てもらうためには、劇場で宣伝しているだけではダメで、芝居界全体で戦略を立てて、それに沿った宣伝(と行動)をするしかないと思うが、そういう動きは寡聞にして聞いたことがない。

どんな戦略が必要かについてはまた気が向いたら考えますが、個々の公演の宣伝方法をいくら考えたとしても、それは今の観客人口割合という現実の前では、ゲリラ戦以上のものにはならないということを言いたかったわけです。

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2010年2月27日 (土)

新国立劇場を設計した柳澤孝彦のインタビュー記事

ちょっと興味を引かれる記事です。本文はPDFなのでそちらを読んでください。新国立劇場関係は2ページ目の終わりから4ページ目までになります。最初は「二国」と呼ばれていたんですね。

芸大出身の設計家ってのも珍しいけど、そういう人がいて、新国立劇場の設計に関わったのは芸術界にはある意味幸運だったのかも。詳細に興味が湧いたのですが、インタビュー中に出てくる「全部書いた」本(「新国立劇場―Heart of the city」)は絶版な上に高すぎる。残念。

格好いい建築ってのはなんか昔から好きなんですけど、それが出来上がるまでには格好いいだけではすまないわけで。そこら辺の話もいろいろ読み応えがあります。

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2010年2月26日 (金)

「演劇公演の宣伝について考えるラウンドテーブル」の実況

こちらです。面白いもの見つけました。いくつか面白いついーとがあったのでメモ。

「演劇をみにいくとき参考にするのは?」母数41人2票。チラシ22・リアルなクチコミ23・こりっち6・ブログ1・ついったー6・劇場と劇団 7・雑誌5・新聞0 #agolive
serikurosawa
口コミは重要だけど、それは知り合いに目利きが居るとかあるいは観劇仲間でよく話すとか、ある程度コミュニティに入っている人って気がする。小劇場ぐらいの場合は。 #agolive
ykawahira


チラシ束をもらうと、それと同じ量のPDFデータをくれ、と思うことがある。見るときは紙がいいけど、家で保存するにはPDFのがいいw #agolive
dana_oyatsu
ネット上にオンラインチラシ置き場があると便利と思う。 RT @dana_oyatsu: チラシ束をもらうと、それと同じ量のPDFデータをくれ、と思うことがある。見るときは紙がいいけど、家で保存するにはPDFのがいいw #agolive
junott



流れを全く読まずに書きます。各劇団の過去の講演がライブラリ的に見られる施設があったら嬉しいです。ソレがあれば過去の作品からお客さんも呼べるのじゃないかなと思ったりします。ちょっとの興味で最初から劇場に足を運ぶのはけっこうハードる高いかなぁって。 #agolive
umisio



いつも思うけど、「欲しい」と思ってない人に無理やり「もらってください」をずっと続けたくない チラシやメール、だけど知って欲しい  #agolive  
tarattatarattan



参:演劇を観たことがないひとに働きかけるには、一発では無理だなと。福岡から着ているんですが、ベロタクシーとかに告知したりというアイディアがある。マス狙いと絞った狙いに分けて。 #agolive
serikurosawa
参:仕事終わった後1時間かけて、観たこと無い演劇を観に行くのか。何回もデザインのリズムを作って、地域を絞ってマーケティングすることも効果的かなと。 #agolive
serikurosawa



参:わたしは最年長かとおもうんですが、戦略的に一人でやってきました。団塊世代が時間もお金ももっている。制作分野の評価が非常に低い。品質管理の問題。3回くらい客が来なくてもチラシによってブランド力を高める作戦も必要。 #agolive
serikurosawa
続き:団体は日本人には敬遠されやすい。劇団の孤立した関係の中では難しい。企画、制作、すべてが演劇活動と思っていないと、なかなか難しいのではないかと思う。お若い方に頑張って欲しいと思う。(場内笑い) #agolive
serikurosawa



参:演劇初心者というターゲットが危ないなと思っていて、よっぽど売れるものだったら別だけど、本を読まないひとにも読んでもらう作り方の本はダメぼん。誰にも読まれない。 #agolive
serikurosawa
つづき:広告が生きていれば大量に資源を投下して広げられたのかもしれないですが、そういう時代ではないので。強い意志を持った制作者やカンパニーの方に興味をそそられます。 #agolive
serikurosawa



参:学生時代は演劇がすごく好きで、いまはネット会社につとめてます。観たいひとも観せたいひともいるのに、そこのマッチングがうまく行っていない。何も知らないのに劇場に足を運ぶというのは敷居が高い。 #agolive
serikurosawa
つづき:演劇を観て、そのあと演出家のひととごはんを食べる、っていう企画をしたら20人すぐ集まったんですね。(驚嘆)そういった身近な誘いがあれば、潜在的に観たいひとはいるはず。 #agolive
serikurosawa



ウェブにせよ劇場にせよ、すでにある程度関心を持っている人にしか届かないという課題は残るよね。それでは結局広がっていかないのではないか? #agolive
numberten_
そんなんだよね~演劇観たいけど、まずチケットの買い方がわからない。なんて知り合いに言われたもんです #agolive
stoch0419
チケットの買い方はたしかにそうかも。例えば自分ならクラブとか行ったことないからシステムがわからない #agolive
ram_talk
すっごいミュージカル見る人でも、小劇場は手出ししにくいから、何見たらいいか教えてっていわれる。新感線はみるのにw RT そんなんだよね~演劇観たいけど、まずチケットの買い方がわからない。なんて知り合いに言われたもんです #agolive
dana_oyatsu

後で何か書くかも。

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放浪記が公演中止

こちら。日常生活には支障はないけど、普段の4時間上演には森光子の体調が持つか不安とのこと。一度は観ておきたい、今度がチャンス、って思っていたんだけど、また持ち直してくれるかな。

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2010年2月23日 (火)

阪急宝塚友の会は手作業で顧客名簿を管理している

シアターリーグで見つけました。なんだこれ。

宝塚友の会の発表に拠ると、
2月19日、宝塚友の会の一部会員にメールを送信する際、
Excelで管理していた60名分のメールアドレスを誤ってメール本文に記載し、
そのまま別の49名の会員に送信してしまったとのこと。

ファンの数が100人未満の無名劇団ならいざ知らず、宝塚なら1万人以上会員がいるんじゃないのか。それをExcelで管理って、今どきどんだけアナログなんだ。それより何より、担当者が持出し放題じゃないか。こんなちょろい管理で、セキュリティもなにもあったもんじゃない。

ホームページには「宝塚友の会の運営は阪急電鉄株式会社が行っています」と堂々書いているけど、阪急じゃこれが普通なんですか。清く正しく美しくとか言っても、所詮は一発当ててナンボの水商売ですか。電鉄系は保守的を通り越して頭の古い幹部が多いとどこかで読んだ記憶がありますが、たとえば同じグループの阪急百貨店もこんなずぼらなんですかね。とりあえず一度阪急グループ内で顧客名簿の管理方法について情報交換をしてみてはいかがでしょうか。

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2010年2月19日 (金)

青山劇場の人気凋落と没個性化が著しい

私の過疎ブログで地味な人気を誇るエントリーが「赤坂ACTシアター雑感」。なんでかと思って調べたら、どうもみなさん2階席の観やすさを検索してたどり着いているらしい。劇場の危なさを書いたつもりだったけど、別のところで価値がでている。それだけ人気の公演が多いんでしょう。

で、その陰で人気暴落なのが青山劇場。赤坂ACTシアターで現在上演中の三谷幸喜ミュージカルもそうだし、劇団☆新感線、中島みゆきの夜会など、看板公演が軒並みさらわれています。最大席数比較で1200席と1324席の1割差は、客席があればあるだけチケットを売れる人たちには魅力的にうつるのでしょう。ホームページの比較でも、全国からの集客を目指して新幹線や飛行機まで含めて交通の便をアピールするページすら見るまでもなく、やる気のない青山円形劇場の完敗です。単なる推測ですけど、赤坂ACTシアターが上演団体候補をリストアップする過程で、青山劇場の上演団体をねらい撃ちにした可能性もあります。青山劇場は単なる貸し館なのかプロデュース公演も行なうのかわかりませんけど、ここら辺の看板作品の奪回はきつそうです。

かといってあれだけ大きな劇場だと、小劇場を呼びたくても普通の団体では集客、広さがネックになります。小劇場出身で1200席劇場でも通用しそうな団体はBunakmura(シアターコクーン/オーチャードホール)やPARCO劇場(PARCO劇場/ル・テアトル銀座)ががっちり押さえている。だから青山円形劇場まではよくても、そこから青山劇場までがつながらない。

じゃあ商業演劇で、というと、松竹や東宝は銀座有楽町エリアで立派な劇場を持っているので、わざわざ青山劇場で上演する意味がない。ならば芸能プロダクション、というと、ジャニーズはグローブ座を、ホリプロは天王州銀河劇場を自前で持っている。もっと大規模な劇場が必要なら滝沢演舞場なんて最大2割増の1428席の新橋演舞場が拠点だし、やっぱり青山劇場を使う意味がない。

ちなみに青山はよく言えばきれい、わるくいうと(渋谷駅周辺と比べて)店や人通りの賑わいにかけるエリアですが、そのもっと渋谷寄りには東急が2012年に2000席のミュージカルホールの開業を予定しています。Bunkamuraで実績もコネクションも十分の東急が本気を出したら、観客の足が渋谷で止まるかもしれません。

ついでにいうと、舞台が実際の距離よりも遠い気がするんですよね青山劇場は。舞台と客席の一体感を求める団体だと、それを嫌って敬遠するということもあるかもしれません。そこら辺が上手なのは新橋演舞場で、客席の傾斜の緩さと横に長い劇場構造で、客席数の割りにむしろ距離が近いと感じさせてくれます。

とマイナス点ばかりならべてみましたが、さてどうなる青山劇場。

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2010年2月15日 (月)

劇団四季がチケットレス開始

詳細はこちらに。根付いてほしい気持ち半分、そうでない気持ち半分、って感じでしょうか。一応公式サイトの説明を載せておきますと

チケットレスサービス「劇団四季スマートチケット」(仮称)
劇場に来るまでに「ご予約」「座席指定」「ご購入」がお済みであれば、当日チケットボックスにお立ち寄りいただくことなく、直接入場口へとお進みいただけます。

「マイページ」
お客様の属性を分析し、最適なコンテンツを表示。嗜好に応じた情報を優先的に提示し、検索の無駄を省きます。航空会社やAmazon.comのホームページのように、お客様のご興味に合わせた情報が的確に表示されるだけでなく、航空会社の「マイル」のような、リピーターや新しいお客様をご紹介いただいた方への特典付与なども検討しています。

「メールコンシェルジュ」
これまで、お客様へ定期的に情報提供を行っていたメールサービスを拡充。メールアドレスをご登録いただいたお客様に「メールコンシェルジュ」が、ニーズに応じた情報を的確にお届けします。

「贈答用ギフトカード」
これまでの演劇のチケットは、予め観劇日を決めなければ発券できなかったので、贈答用としては扱いにくい商品でした。新システム「ウェブプラン2010」では、演劇の「オープンチケット」とも言うべき、贈答用のギフトカードの販売を開始します。このカードを使えば、カードを手にした方のご都合に合わせて、日本全国の劇団四季作品をお求めいただくことが出来ます。企業の販促プロモーションや、大切な方へのギフトとして有効にご活用いただけるはずです。

「チケット譲渡システム」
入場券データの完全電子化により、購入したものの、観劇できなくなったというお客様の救済策として、「チケット譲渡システム」を提供することが可能になります。
こうした興行主自ら運営する“譲渡”システムは業界初。オークションでのチケット譲渡の根絶を目指します。

「劇団四季Web法人営業部─企業への新しいサービス」
劇団四季の舞台を、社員の福利厚生にお使いになる企業向けの新施策。企業の社内ネットワークから、直接、劇団四季のチケットが予約できるようになります。また、予め福利厚生費などを差し引いた金額での販売も可能。あなたの会社と劇団四季が、ダイレクトに結ばれます。

どちらかというと、新しい販路(販売方法)を実現するために紙(物理)媒体が邪魔なので電子化を考えました、というように読取れます。それはマーケティングの成果でしょうから、別に文句をいう筋合いではありません。

で、冒頭で「そうでない気持ち半分」と書いたのは、これが一般に広まると、予約即確保となって人気公演の当日券の競争倍率が上がることが予想されるのと、支払がクレジットカード化されるのがイヤだという2つの理由になります。

そうはいってもこういう大きいところでないとチャレンジが難しい面もありますので、とりあえず成行きと観客にとっての使い勝手を見てみたいと思います。

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<再掲載>芝居の費用を計算する

すでに再掲載したエントリーを引用してブログを書こうとしたら、実はまだでした、というオチ。今読むと我ながら暇な計算をしたものだと思いますが、今でも書いたことを覚えているくらいなぜか熱心に書いたエントリーです。

一部のエントリーは失われていますので省きました。あと、東京都の最低時給は上がっているのですが、金額は昔のまま載せました。

<ここから再掲載>

唐突ですけど、芝居を行なうにあたっていったいどのくらいの費用が必要なのかを計算してみます。別に観客としては予算の内訳を知らなくとも、払ったチケット料金に見合った満足が得られれば構わないのですけど、私はお金の話に興味があるので。

実は商業演劇の予算については調べるまでもなく、詳細な内訳があります。キャラメルボックスの制作者である加藤昌史氏が、自身のホームページに「演劇の謎」というコーナーを設けています。その中の一項目として「チケット料金の謎」というページ(注:リンク切れ)があって、「1000席の劇場で1ヶ月30ステージ、出演者10人、当日スタッフ15人、ロビースタッフ10人の場合の費用は1日475万5千円、1席あたり4755円」ということを、具体的な数字を挙げて計算しています。

ここで挙げられた内訳を参考に、小劇場の最低の上演必要金額を算出してみます。若干内訳の分類は変わります。上演内容は、会場が東京、仕込み1日と週末3日間で5ステージ、稽古期間と上演で1ヶ月(30日)とします。

・脚本家1名:100万円(日本劇作家協会「劇作家の最低上演料に関する決議」(注:リンク切れ))
・演出家1名:13万6320円(東京都労働局「東京都内の最低賃金」。710円/時で192時間。計算は稽古1日6時間で24日、稽古休み2日、小屋入り後1日12時間で4日、交通費などは省略)
・役者:1名当たり同上
・当日スタッフ3名(舞台監督、照明、音響各1名):1名当たり12万円(舞台照明ブログ「照明家に払う適正なギャランティはいくらか?」より1日3万円の小屋入り4日間で計算。音響、舞台監督も同じとみなして算出)
・衣装スタッフなし(自前持寄り)、照明機材、音響機材持込なし
・音楽有り物:とりあえず1万円(JASRAC「演劇・漫才などの芸能の催物」。計算方法がいろいろあり、チケット代や使用曲数によっても変わってくるので、大まかに)
・ロビースタッフ2名:6万8160円(受付2名、場内整理1名、うち制作責任者が兼任1名として除外、スタッフは小屋入り後受付以外の仕事も行なうために全時間走り回るものとして、4日間48時間、時給710円×2名で計算)
・舞台美術(小道具込み):デザイン料20万円と製作代実費(日本舞台美術家協会「舞台美術(装置・衣裳)のデザイン契約にあたっての今年度の目安」で製作物100万円未満として計算(注:リンク切れ))
・宣伝費:デザイン料10万円と印刷代実費(fringe「チラシアートワーク指南」。このデザイナー(京さん)はデザイン料5万円からと書いていますが、同文中の荻野さんの「東京で10万円以下は見たことがない」から取りました)
・稽古場代なし(無料スペースを渡り歩く)
・チケットは全部手売りで、チケット会社に払う手数料はないものとする
・その他雑費は省略
・劇場費諸経費込み:後回し
・最後に、制作責任者1名:後回し

脚本家と演出家、役者のバランスが悪いですね。一定の質を求めるのであれば、書直しも含めて3ヶ月は必要でしょうし、コンスタントに書くのも困難でしょうから、専業脚本家ならこれくらいはもらってもいいとは思いますけど。逆に演出家や役者は最低時給で計算するとこの金額になってしまいました。これは試算なので、バランスを取るために脚本家に泣いてもらい、半額の50万円としましょう。これを3ヶ月で割れば、1ヶ月の稼ぎとしてはまあまあ近づきました。脚本は芝居の出来の根本を為すものですから、演出家や役者よりは高くてもいいと思います。

実際には稽古外での打合せなど多数あるでしょうし、稽古期間ももっと長いでしょうし、仕込みは2日間ほしいでしょうから、総額はもっと上に振れると思われます。でも、試算なので省略します。

すると役者、劇場費、制作者を除いた金額は、137万4480円 + 舞台製作代 + 宣伝印刷代実費になります。宣伝印刷代が2万枚(これも独断による推定)で10万円くらい(もちろん独断による推定)なのかな。それと、舞台製作は仕込みバラシも込みでお願いすると、30万円は必要かも(くどいですけど独断による推定)。なので、177万4480円。便宜上役者が5人と仮定すると、68万1600円。劇場選びが難しいのですが、誰もが一度は通ったと思われるシアターグリーンにします。現在改築中なのですが、HALL IN ONEによると(注:リンク切れ)130人収容で平日1日9万4500円とあります。週末料金は不明ですが、この規模にしては高額な部類のようですから、平日料金で4日間を計算すると、37万8000円。ここまでを合計すると、283万4080円。制作者を含めて、切りよく300万円にしましょう。制作者には金銭を取扱う最終責任者としての役割がありますから、演出家や役者より上乗せする大義名分もあります(劇団を継続するにあたっては、公演外の部分での仕事も増えるでしょうから、公演単位での計算に合わないポジションであることは承知しておりますけど、便宜上)。

総額300万円を5ステージで割ると60万円/ステージ。130人で割ると4615円/ステージ人。商業演劇と大差なくなってしまいました。収容人数が少ないことによる効率の差と、上演ステージ数が少ないことによる固定費(舞台美術とか宣伝印刷代とか)の重みの違いですね。シアターグリーンだったら2500円くらいのチケット代でしょうから、どう考えても赤字です。役者がもっと大勢だったり、当日スタッフが大勢必要な芝居だったら、これよりさらに膨れ上がります。グリングの「ストリップ」では、主人公である主宰者が逃げ出して公演中止になり、付合っていたヒロインが「肩代わりした借金の額が300万円以上あった」という台詞がありましたけど、これで大体納得がいきました。

では世間一般の劇団ではどうしているかというと、脚本家も演出家も役者も制作者も、ただ働きどころかノルマを背負って、さらにスタッフの費用を値切って上演しています。あと、複数のパートをひとりで兼任することも多いですね(脚本家と演出家、役者と美術タタキ、など)。音楽の使用料金も払っていないでしょう。ただしこのような形態をとることは、本来その人が行なっている貢献に対する報酬を犠牲にすることで成立っています。キャラメルボックスではチケット代から逆算して足りない分は我慢してもらうと書かれていますけど、これは規模が大きく、年間の芝居公演数も多いからお願いできるわけであって、払わないということとは違います。あと、同じスタッフが毎公演担当しているので、スタッフのチーフ(クレジットされる人)がお弟子さん(という業界なんですよね)に規模の大きい公演を経験させるという了解ごともあるかもしれません。

あとこの金額が最低限というのは、金額やリンク先を見ればわかっていただけると思います。例えば役者だったら1ステージ計算だと2万7000円で結構な額のようですが、実際に費やした時間は1ヶ月です。それでこの金額では全然見合いません。先ほど挙げた加藤昌史氏も、役者だって月収30万円はほしいじゃないですか、と同じページに書かれています。

単発芝居ならいざ知らず、継続を目標とする劇団で、適切な報酬を犠牲にした状態が長く続くわけがありません。芝居の質の向上が第一目標なのは当然としても、金銭の管理もそれに劣らず重要です。劇団を継続するのであれば、適切な利益を上げて各種維持費を捻出することも必要でしょうし、スタッフワークが大掛かりな公演に備えることも必要でしょう。スポンサーに頼るのでなければ、より高いチケット代、より大きい劇場、より長期間の上演を目指すことは、収支のバランスをとるうえで劇団として自然であり必然ではないかと思う次第です。

この手の事情に詳しい方、間違っている部分がありましたらご指摘ください。予算の管理は制作者と舞台監督が担当するものと認識していますが、「それだけの金額が使えればましな方だ」という泣き言もお待ちしております(笑)。ところで制作者や舞台監督の最低賃金はいくらなんでしょう。特に舞台監督は、他のスタッフ以上の重責を担わされるポジションため、1ステージ換算すると、役者も含めた関係者でもっとも高いギャラが必要という話を聞いたことがありますけど。

<ここまで再掲載>

で、fringeでわざわざ実際の計算を載せてもらって恐縮した次第です。

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2010年2月 7日 (日)

他人事ではない転勤と芝居の関係

都内有数の芝居フリークである「休むに似たり。」のブログ主が転勤で長野に引越すとのこと。小劇場発掘のために参考にしていた私にとっては痛手だけど、そもそも引越す本人にはそれどころではない。

私ももともと都内に勤務していて、転勤に伴う引越しで首都圏外に引越したのですけど、交通費をかければ芝居を観るのも無理ではないと算段がたったのは引越が落着いてからです。それでも交通費がチケット代を上回ることもたびたびあって、以前よりは足が遠のきました。けど、観たいものは観たいので、交通費+時間がかかるのは諦めています。高いといっても、たかが知れているといえなくもない金額ですけど。

さて、引越し先に迷っているようですけど、芝居を観るという観点で言えば、松本市に軍配が上がります。なんとなれば
・東京への交通手段がそれなりに用意されている(こちら参照)。電車は夜だと21時が最後(こちら参照)ですけど、新宿が起点なので、それなら青年団の夜の回くらいは観られるし(その場合は松本駅に真夜中に着いてから帰れるのが条件)、電車も回数券で安くできる。バスは、たぶん身体が休まらなくて仕事に差支えるので、バックアップとしてはいいけど、メインの利用は多少安くても止めたほうがいいと思います。
・大阪、福岡、札幌へ行くための飛行場が近い(こちら参照)。大阪は伊丹空港なので、大阪の土曜日の夜の回が観られるなら、東京で話題の芝居はむしろ大阪で観るという選択肢もあるかも。ただ、JALの経営判断がどうなるかわからないのがリスク。
・まつもと市民芸術館がある。串田和美が芸術監督ですし、二兎社が上演するくらいには認知されているので、都内に足を運ぶ回数を減らせる。

となります。車社会の場合はターミナル駅 or 空港までの交通手段が重要で、安曇野までいくと、駅の数はたいしたことがなくても電車の本数が激減するでしょうから(こちら参照)、県外へ出るにはそれだけ不利になります。町の便利さや雰囲気、職場やそれ以外の拠点との距離の兼合いもありますけど(そしてそこら辺は、松本市には城がある、くらいしかわからないのですけど)、便利な場所に住むのに越したことはありません。

ちなみに私は、ターミナル駅(っていうのかな)から徒歩10分強の場所に住んでいるので、終電で帰ってきても歩いて帰れます。最初は日常の買物その他で便利な場所がいいと思って選んだのですが、後で芝居を観るようになると、駅からの距離が帰りの時刻の余裕に大きく影響するというのがわかり、いい場所を選んだといまさらしみじみ思います。

何かの参考になれば幸いです。

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