2018年11月 1日 (木)

「シアターガイド」が休刊へ、サイトも運営停止に

倒産だそうです。まだ見られる本家サイトより。

読者の皆・ 関係者の皆様へ

急啓

平素より大変お世話になっております。

この度、弊社モーニングデスクは経営不振により、10 月31 日をもって業務停止し、月刊誌「シアターガイド」は、11月2日(金)発売・2018年12月号を最後に休刊することになりました。HP「演劇ポータルサイト シアターガイド ホームページ」も、今後運営を停止いたします。

1992年の雑誌創刊より長きにわたり、多くの読者に恵まれ、演劇に携わる全ての皆様のご厚情を賜りましたにも関わらず、このような事態を招きましたこと、心より申し訳なく思っております。

定期購読をご契約いただいていておりました皆様には、今後、お問合せ先等の通知が届くと思いますので、そちら宛にご連絡願えますと幸いです。

この事態に伴い、読者、関係者の皆様に多大なご迷惑をおかけしますこと、重ねてお詫び申し上げます。

末筆ではございますが、皆様の益々のご健勝とご多幸をご祈念申し上げます。

草々

有限会社モーニングデスク 社員一同11月1日

これだけネットが発達しているのにニッチな分野の雑誌が続くものだと思っていたけど、続かなかった。もったいないけどしょうがない。

倒産した場合の過去資産の取扱には詳しくないけど、ネットのデータとドメインは運営意欲のあるところに引継がれることを願うばかり。

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2018年10月31日 (水)

2018年11月12月のメモ

ついこの前に歌舞伎を批判していろんなことを書いておいて何だけど、それにしたって年末に悲劇的な話が多すぎやしないか。そして自分が偏っているにしても企画製作の芝居ばっかりで劇団芝居はほとんどないというこの現実。

・デンナーシステムズ企画制作「笑福亭釣瓶落語会」2018/11/01-11/04@赤坂ACTシアター:観られやしないだろうけどメモ

・神奈川芸術劇場プロデュース「セールスマンの死」2018/11/03-11/18(11/03-11/04プレビュー)@神奈川芸術劇場ホール:風間杜夫主演長塚圭史演出で名前だけは有名な芝居を観る機会

・東宝製作「ピアフ」2018/11/04-12/01@シアタークリエ:再演頻度の高い大竹しのぶ主演芝居

・新国立劇場主催「誰もいない国」2018/11/08-11/25@新国立劇場小劇場:そういえば江本明を舞台で観たことがない

・世田谷パブリックシアター企画制作「The Silver Tassie」2018/11/09-11/25@世田谷パブリックシアター:アイルランドの生臭そうな話を森新太郎演出で

・ワタナベエンターテインメント企画製作「光より前に」2018/11/14-11/25@紀伊國屋ホール:円谷幸吉とそのライバルの君原健二の物語を谷賢一の脚本演出で

・M&Oplaysプロデュース「ロミオとジュリエット」2018/11/20-12/16@下北沢本多劇場:主演候補女優が降板したとかしないとか話題になった、宮藤官九朗ができるだけそのまま演出しようという企画

・万作の会「法螺侍」2018/11/21、11/25@国立能楽堂:野村万作のシェイクスピアは観たいけど2公演だけで日曜日はすでに前売完売

・Bunkamura企画製作「民衆の敵」2018/11/29-12/23@Bunkamuraシアターコクーン:まだ観ていないイプセンの芝居は観ておきたい

・iaku「逢いにいくの、雨だけど」2018/11/29-12/09@三鷹市芸術文化センター星のホール:2本目をなかなか観られないiakuの新作

・テアトル・エコー「おかしな二人」2018/12/01-12/12@エコー劇場:今年亡くなったニール・サイモンと言えばこの劇団

・新国立劇場主催「スカイライト」2018/12/01-12/24(12/01-12/02プレビュー)@新国立劇場小劇場:蒼井優を迎えて芸術監督の演出一本目

・松竹製作「於染久松色読販」2018/12/02-12/26@歌舞伎座:名前だけ聞いたことがあるお染の七役が午前の部にあるのでメモ

・国立劇場主催「増補双級巴」2012/12/03-12/26@新国立劇場大劇場:石川五右衛門の作品をつなげ合わせて一本にしたものを吉右衛門の主演で

・ONEOR8「ゼブラ」2018/12/04-12/09@東京芸術劇場シアターイースト:劇団の看板作品を20周年記念で前売2000円というお得な価格で

・シス・カンパニー企画製作「日本の歴史」2018/12/04-12/28@世田谷パブリックシアター:ミュージカルで日本の歴史を描こうという三谷幸喜の企画が成功するかどうか

・城山羊の会「埋める女」2018/12/06-12/16@ザ・スズナリ:面白いわけでも後に残るわけでもない芝居を目指しているそうです

・シアター風姿花伝企画製作「女中たち」2018/12/08-12/26@シアター風姿花伝:今年のプロデュース公演は鵜山仁を迎えてフランスの女3人芝居

・PARCO PRODUCE「志の輔らくご in EX」2018/12/13-12/18@EXシアター六本木:見送ると思うけどメモ

・カタルシツ演芸会「CO.JP」2018/12/19-12/28@スーパーデラックス:間もなく取壊されるスーパーデラックスで、演劇の境界を探る寸劇集とか何とか

・高校演劇サミット「高校演劇サミット2018」2018/12/27-12/29:これで9回目の結構長く続いている企画、まだ出場校は決まっていない

・月刊「根本宗子」「愛犬ポリーの死、そして家族の話」2018/12/20-12/31@下北沢本多劇場:新作だけどチケット取れるものか怪しい

もう観たけど、11月は他にNODA・MAP、KERA・MAP、青年団など。

平日にこの日なら観にいけるかもという日があるのだけど、そこに限って時間が合わないとか休演日とか、都合が合わないことが最近増えています。

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2018年10月12日 (金)

2018年の東京台風直撃の対応の記録

2018年9月30日の日曜日の出来事。自分は家でじっとしていたけど、こんなブログを後日読んでしまった。そのときに調べておけばよかった、こういうのはすぐに記録しないと消えてしまう、いそいで記録を残しておく、と考えながら10日以上経った記録が以下になる。

先に状況もメモしておくと、台風24号が首都圏に来ることは5日前くらいから予想されていた。ただしJR東日本が夜8時以降の電車をすべて止めると発表したのが当日の昼12時過ぎ。JR西日本が予告して止めるのは2014年以降何度かあったけど、JR東日本が予告して止めたのは今回が初。新幹線から山手線まで全線が対象。私鉄もその後、順次取りやめを発表して最終的には以下のようになった。NHKより。

・小田急電鉄は、全線で午後10時から順次、運転を取りやめました。
・東京メトロは、東西線の地上部分を走る東陽町と西船橋の区間で午後9時から運転を取りやめました。
・東京モノレールは、全線で午後10時から運転を取りやめました。
・京王電鉄は、全線で午後10時から順次、運転を取りやめています。
・西武鉄道は、全線で午後10時から順次、運転を取りやめました。
・東京臨海高速鉄道のりんかい線は、全線で午後10時半すぎに運転を取りやめました。
・多摩都市モノレールは、強風の影響で全線で運転を見合わせています。
・東急電鉄は、東横線と目黒線を最後に午前0時までに運転を取りやめるということです。
・都営新宿線は、大島と本八幡の間で、都営三田線は本蓮沼と西高島平の間で、日暮里・舎人ライナーは、全線でいずれも午後11時に運転を取りやめました。
・ゆりかもめは、午後11時すぎに全線で運転を取りやめました。
・東武鉄道は、日光線と伊勢崎線の特急列車の一部が運休しました。

ここで芝居の世界で幸運だったのは、正真正銘の月末9月30日でしかも日曜日だったこと。なぜなら
・商業演劇や国公立劇場主宰の芝居は、月単位で行なわれることが多いため、月末は上演がないことが多い。
・最近は「土日祝日で翌日が平日の夜の回」は客入りが悪いため、日曜日は昼公演だけのことが多い。10月1日の月曜日は平日のカレンダーで、これに当てはまった。
・渋谷方面はPARCO劇場が建替中、シアターコクーンはメンテナンス中で長期休演の最中。

ということで、被害を免れたところが結構多い。逆に小劇場があわただしかった。

全部を拾うのは無理なので首都圏メインで調べた。上演時間や終演時間は公式サイト、公式Twitter、シアターガイドの上演時間情報のどこかから拾ったもの。書いた事情はリンクがなければすべて推測。あとTwitterの時刻もメモしたけど「本日」と書かれているツイートが前日深夜に見えて、自分の調べた環境で時刻がずれて表示されたかもしれないので、Twitterの時刻は信用しないでほしい。

最初に国公立劇場編。
・国立劇場:月末未上演のためセーフ。
・新国立劇場:芝居は月末未上演のためセーフ。なおオペラは昼2時からの上演でセーフだったけど予定通り上演することを朝10時に掲載。そういうニュース掲載は残しておいたっていいのにすぐに消されてしまったので困る。一応手元のコピーを案内文のサンプルとして載せておく。

本日、9月30日(日)の公演は、予定通り上演いたします。

台風により交通機関にも影響がでる可能性がございますので、お出かけの際は予め運行情報をご確認の上、十分余裕をもってお気をつけてお出かけください。

9月30日(日)の公演

●オペラパレス

オペラ「魔笛」関連企画「ウィリアム・ケントリッジ スペシャルトーク」 (14時開始)
※変更がある場合はこのニュースにてお知らせいたします(9月30日10時現在)
お問い合わせ:新国立劇場03-5351-3011(代表)

●中劇場

NBAバレエ団公演『リトルマーメイド』(12時/15時開演)

(最新情報は公演名をクリックして、主催者のウェブサイトにてご確認ください)

・東京芸術劇場:芝居は三輪明宏が夕3時と、招聘劇団が昼2時でおそらくセーフ。ただし表で開催していた大道芸は16時からの公演終了後、以降の公演を中止と前日23:18に発表。劇場も夜7時で閉館ほぼ同時刻に発表
・世田谷パブリックシアター:世田谷パブリックシアターは休演日でセーフ、シアタートラムは無名塾の「かもめ」千秋楽だったけど昼2時からの回だけなのでセーフ。
・座・高円寺:イタリアから招聘公演の「フランドン農学校の豚」を上演中だったけど昼2時の回だけなのでセーフ。
・神奈川芸術劇場:主宰の「華氏451度」は上演中だったけど昼2時からの公演のみでセーフ。ただし招聘公演だったアメリカのウースターグループ「タウンホール事件」が昼2時夜6時公演で、前日から上演予定ただし各公演の開演3時間前に再度発表すると掲載、その後当日昼3時に夜6時の回を上演ただし払戻しありと発表。元々前後3日間しか上演予定がなかったスケジュールなので振替ようがなかったものと推測。
・さいたま芸術劇場:事前に、雨天か否かに関わらず発表は当日朝11時にHPにて連絡と掲載。世界ゴールド祭の最中で、劇場では2つ、「病は気から」夕4時からの休憩なし2時間半と、海外ダンス「フロック」が夕4時から1時間がスケジュール。これは変更なしと前日22:29にアナウンス。またよりによって野外劇の「BED」上演中で昼1時半夕3時半の2公演をスケジュール。こちらは夕公演のみ3時からに変更して上演。もともとチケットを前売しておらず、上演に要する時間も35分と短い特殊な公演ため可能だった対応。

商業演劇方面
・歌舞伎座、新橋演舞場、日生劇場:月末未上演のためセーフ。
・帝国劇場:ジャニーズの「DREAM BOYS」千秋楽だったけど昼12時からの公演のみだったのでセーフ。
・シアタークリエ:東宝の「ジャージー・ボーイズ」上演中。当日は昼1時夜6時のうち夜の回を中止、同じ会場の公演期間に余裕がないためもともと予定していた神奈川県民ホールで空いている11月10日(土)夜に振替。ただし席は主宰者に一任、増えた席は追加一般販売させてくれとのこと。また払戻しも受付。会場が狭くならなかった分だけ主宰者に運があった。
・東京宝塚劇場:花組「MESSIAH(メサイア)-異聞・天草四郎」上演中。昼11時夕3時半の公演で、この夕方の回が貸切公演に当たっている。どういう対応だったかは不明。ちなみにもっと台風に近かった本家宝塚大劇場の月組公演は夕3時の公演を中止して払戻し。これは翌日昼が千秋楽で、しかも娘役トップの愛希れいか退団挨拶(この後の東京公演で退団、本家ではこの公演が最後)まで組まれていたので、翌日夜は空いていてもいまさら追加はできずに中止判断したものと推測。
・シアターオーブ:東宝の「マイ・フェア・レディ」千秋楽だったけど昼12時からの公演のみだったのでセーフ。
・サンシャイン劇場:東宝の「文豪ストレイドッグス 黒の時代」上演中で、前日夜5時時点では上演すると言っていたものの、JRの運休を受けて公演中止と払戻しで対応。会場はあと1週間あっても、休演日と千秋楽を除いて夜公演が埋まっていた。その休演日も2日後の10月2日なので振替公演を組みたくても出演者やスタッフの調整時間も足りなかったものと推測。千秋楽の夜はその後に大阪公演が控えてバラシ、移動、仕込み、場当たりまでの時間を考慮すると余裕がなくてこれも振替公演を組めなかったと推測される。
・赤坂ACTシアター:乃木坂46で「美少女戦士セーラームーン」千秋楽で昼12時夜5時の公演あり。前日22:53時点で上演決行、ただし払戻し受付の発表あり追加2追加3)。6月と9月に分けた公演の大千秋楽なのでいまさら1ステージだけのための振替公演もままならず、かつこの公演だと熱心なファンが遠方から宿泊付きでやってくる可能性もあり、払戻しを用意したものの上演決行したと推測。ただし上演予定時間は2時間50分なので、終演後には赤坂から地下鉄には乗れてもそこから先のJRは一切乗れなかったはず。
・六本木EXシアター:PARCO制作で黒柳徹子の「ライオンのあとで」上演中だったけど昼2時からの公演のみだったのでセーフ。
・大阪公演で梅田芸術劇場を見つけたので追加。「ナイツ・テイル-騎士物語-」を上演していて夜6時の回だけというスケジュール。これは上演中止して期間中の10月8日(日)夜に振替。同じ会場なので席は同じ座席を利用。併せて払戻しも受付。

最後に小劇場編。代表して本多劇場グループで拾ってみる。千秋楽が重なっていた模様。
・下北沢本多劇場:加藤健一事務所「Out of Order」上演中だったけど昼2時からの公演のみだったのでセーフ。
・ザ・スズナリ:あひるなんちゃら「あじのりの神様」千秋楽で昼2時夜6時というスケジュール。電車停止を受けて夜の回のみ夜5時に繰上げTwitter1Twitter2)。上演時間80分予定の芝居だったためそれなら収まると判断した模様。あわせて当日券の予約をストップ、夜予約の人が昼に来ても入れるように受付準備した模様。これは後日談があるので後述。
・駅前劇場:ふくふくや「真実なんてクソくらえ」千秋楽だったけど昼2時からの公演のみだったのでセーフ。なお上演時間は1時間45分とのこと。
・OFF・OFFシアター:異魂「墨牡丹」千秋楽だったけど昼2時からの公演のみだったのでセーフ。
・劇「小劇場」:T1project「ショートストーリーズ vol.8」千秋楽だったけど昼12時夕4時の公演だったのでセーフか。上演時間不明。
・小劇場楽園:劇団チョコレートケーキ「ドキュメンタリー」千秋楽で昼12時夜5時を決行。なお上演時間は80分とのこと。
・シアター711:TAAC「を待ちながら。」千秋楽で昼1時夜5時だったのを決行。なお終演時間を6時45分と告知
・小劇場B1:佐藤貴史presents「喧嘩ウォーズ」千秋楽で昼2時夜5時を決行。終演時間を6時半と案内、あわせて当日券を前売価格で販売すると告知

これだけたくさん見ると対応の基本パターンが見えてくる。国公立劇場や商業演劇の場合は以下の3つのどれか。
(1)可能であれば振替公演+無理な人には払戻しをセット用意。この場合、振替先の会場が同じまたは近場で、かつ日程が似ている(夜なら夜公演、週末なら週末)ところで、かつ他の日程に悪影響を与えずに用意できるのが条件。週末だから行けるのに平日に振替えられても無条件で無理、という人は大勢いそうなので、わかる。
(2)振替先が用意できない場合その1として、潔く中止して払戻し。特に今回は日程以外の理由でも千秋楽の夜に追加できない宝塚の例もあって非常に参考になった。
(3)振替先が用意できない場合その2は、上演決行して無理な人には払戻しをセットで用意。今回は神奈川芸術劇場と乃木坂46のセーラームーンが該当。

ここに4つ目、5つ目の選択肢が出てきた。
(4)時間を繰上げて上演。これも帰宅に要する時間も含めて、繰上げて収まるであろうという前提。あひるなんちゃらと「BED」が該当するけど、「BED」は前売チケットなしで屋外公演という特別条件なので外す。
(5)決行+払戻し告知なし。今回だとさいたま芸術劇場の「病は気から」と、佐藤貴史presentsとTAACのケース。終演時点で、埼玉の与野本町で1時間30分、下北沢で1時間30分または1時間15分あるという条件。

上演する側と観客側とで理想が(1)なのはわかる。それが無理な場合に他のどの選択肢を取るのかが問題になる。先に自分の考えを書くと(3)より(2)。突然のトラブルと、事前に予想できるトラブルへの危機管理は結果オーライではなく最大限安全に振ってそれが空振りに終わってもよしとするべき、という発想による。もっとも今回に限っては首都圏では初の予告運休しかも当日アナウンスなので突然のトラブルと言ってもいい。あと自分が帰るのは東京都外で案外時間がかかるため、上演決行された場合に帰れなくなるなら観にいけない、いっそ中止してもらったほうがすっきりするという個人的な都合もある。

残り2つのうち先に(5)の対応について書くと、終演予定時点で3時間、譲っても2時間切っていたら払戻しも対応するべきだと考える。知人への手売や当日精算が多くて1時間あれば帰れる近隣の人ばかりと判断できたのかもしれないし、劇場の規模を考えると連絡が来た客には個別に対応したかもしれないけど、払戻しも発表して受付けるべきだったというのが自分の意見。さいたま芸術劇場も当日昼からでもいいから払戻しは用意されるべきだった。世界ゴールド祭りはほぼアマチュアかつ年寄りが出演するという特殊な条件の公演なので予想される客層も含めて急遽変更するほうましと判断したのか、大宮か武蔵浦和からどの方面でも帰れるだろうと判断したのか、不明。

そして(4)の対応。これは、近場だから帰れる、遠方だけど当てがあるから大丈夫、などと判断して時間通りに来た客が観られなくなって、払戻しとは別の問題が発生する可能性がある。やってはいけなかったというのが自分の意見。

あひるなんちゃらの主宰ブログで今回の判断について説明していて、過去に台風で似た状況でもお客さんが来てしまった、という経験に基づいて、中止はしない方向で判断したとのこと。

まさか電車が問答無用で止まるとはね。
最終日の夜の回は、見に来たら帰れなくなっちゃうような時間になりそうだったので、開演を早める、という決定をさせてもらいました。我々は帰れなくてもいいけど、さすがにお客様が帰れないのはどうかと思ったので。

私も、一瞬、中止にしようかと思ったんですけどね。まあでも、あれなんですよ、中止にします、って言ったところで、全員見に来ない、ってことはないと思ったんですよ。前にも1回、台風が公演に直撃したことがあって、その時は、今よりだいぶ小劇場のことを知らなかったので、電車止まってんじゃんもうこれ誰も来ないでしょ、って思って、かといって劇場から帰れるわけでもないので、なにか対応も考えるでもなく、みんなでのんびりしてたら、普通にお客様がいらっしゃって、どうやって来たのかわからないけど、じゃあやるか、みたいな感じで本番をやったことがあったんですよ。だから我々レベルの公演においては、中止にしてもあんまり意味がない、と判断した次第です。

開演時間を早めたことで、逆に見に来れなくなっちゃったお客様には本当に申し訳なかったのですが、こういう事態だったので、ご容赦いただければな、と思います。

何人かは観に来る客がいるから上演する、というのはわかる。でも開演時間を繰上げたら、予定通りに観に来た客に無駄足を踏ませることになる。観に行けなくなったとわかった客はまだよくて、公式サイトやTwitterに当日情報を載せたとして、それを見てもらえるとは限らないし、見た時点では掲載が間に合っていないこともありうる。観に来た客が激怒したらどういう対応を取るつもりだったんだろう。

だいたいチケットの裏面には、「興行中止以外の払戻し、振替は行なわない」という記載と同時に「指定した日時の回のみ有効」という記載がある。前者の記述は(3)のケースに反して払戻しているけど、客に有利に振った判断なので文句は出ないはず。少なくとも払戻しがないなら無理して出かけるという客を減らして惨事の可能性を減らせる。でも後者の記述は、客も縛るけど上演側も縛る条件で、トラブルで開演が遅れるならともかく、前倒しされて観られないのでは、大げさに言えば訴えられてもしょうがない。そこに公演規模の大小は関係ない。前売に一般客はいなくて直接謝ることができる知人だけだった、という前提があってもぎりぎり選択肢に乗ってくるくらいのリスキーな判断で、そこで結果オーライを狙うものではない。

と振返って、上演側にとってどういう判断と行動が適切だったかを考える。

まず運休の案内については、今後改善される見込み。ブログを書くのが遅れたのでそんな記事が出てきた。Yahoo経由で毎日新聞より。

 国土交通省は10日、9月末に日本列島を縦断した台風24号に備えて鉄道各社が実施した「計画運休」などの対応を検証する会議を開いた。会議には鉄道22社が出席し、計画運休について「安全確保の上で必要」との認識を共有した。一方で、首都圏の一部路線で運転再開が遅れ、利用者が混乱したことから、情報の提供方法の改善が必要との声が相次いだという。国交省は今後の運行の参考になるよう、12日をめどに各社の意見を集約する。

 会議は非公開で行われ、国交省鉄道局によると、JR6社と首都圏や関西圏などの私鉄16社が参加した。台風の進路予想に基づき、東武、京成、京急、西鉄を除く18社が9月30日午前から運転本数を減らし、夕方以降、全面運休するなどの対応を取った。JR東海は同日午後5時以降、東海道新幹線で全面的な計画運休を初めて実施した。

 運休の情報提供については、JR西日本とJR東海、南海、京阪が29日から具体的な運休時間帯を周知したのに対し、JR東日本を含む首都圏の各社は当日の30日になって周知した。新幹線や関西方面では混乱が少なかったが、首都圏の利用者からは「もっと早く知らせてほしかった」と不満の声も出た。鉄道会社からは「運休の可能性がある段階でも周知すべきだ」「自治体にも情報を提供することが必要」といった意見が出たという。

 台風が通過した10月1日朝は、安全点検や線路への倒木や飛来物のため、JR中央線など首都圏の一部路線で運行再開が遅れた。通勤時間帯にも重なり、乗客が駅内外にあふれたことから、JR東が32駅で入場規制を実施するなど各社は対応に追われた。鉄道会社からは「安全を確認した上で運転を再開する方針だったが、多くの乗客に『始発から通常通り運転する』と受け止められていた」との反省の声が出たという。

なので、今後はアナウンスが前日のうちに発表されることが期待できる。関西の鉄道会社が前日からアナウンスしていたのはこの記事であらためて気がついて、商業演劇のケースで本家宝塚と梅田芸術劇場が中止や振替を決めたのは、運休慣れしていた関西の鉄道会社が前日に判断していたので客への周知も含めて時間が取れた、という理由もありそう。

それを受けていつ告知するか。前日に判断できればいいけど、台風は進路が読みにくいので、実際の判断は当日になるはず。でもそれだけでは無理があるので、前日の時点で「当日X時に決定」と告知しておくのがよい。その上で当日X時に判断して告知するのが理想。もし複数回公演があっても一括で発表する。このX時を何時にするかが問題で、交通機関が運休を前日に発表してくれたらそれを受けて前日に即時発表でいい。でもそうならない場合、神奈川芸術劇場のように3時間前では遠方の客に余裕がなさすぎる。気象庁の天気予報は朝5時、昼11時、夜5時の3回更新が基本で、交通機関はそれを見て判断するはず。今回のJR東日本が昼12時過ぎに発表したのは昼11時の天気予報を見て決めたのだと思う。発表は朝のうちにしておくのが遠出になる客には望ましいので、5時の天気予報を見て交通機関が運休を考えて発表するまで2時間ちょっとの猶予を見ると、朝8時には関係者で対応を確認して、8時半から9時に発表するつもりで準備するのがよい。

あと告知の手段。国公立劇場や商業演劇は、公式サイトを随時更新していて、こういう点は人手の多い組織のいいところ。小劇場は今回公式サイトを探したけど、更新されていた気配はなくて、たいていTwitterを告知に使っていた。人手もないだろうし手間を考えるとTwitterを使うのは分かるのだけど、それであれば公式サイトに前日のうちに「上演予定は公式TwitterでX時に発表します」と書いて公式Twitterのリンクを載せておいてほしかった。それなら客もそちらを確認できるし、制作者も公式Twitterの更新で済む。トップページと公演ページの両方に記載されているとなおよい。今回Facebookまでは確認しなかったけど、TwitterがFacebookでも事情は同じ。最近は当日券情報などもTwitterで発表することが一般的なようだけど、サイトがあるならサイトのほうが公式度は高いので、そこから辿れるようにしておくのは本来必須。

そして肝心の対応は、事情に応じて(1)(2)(3)のどれか。(1)が最上、(2)でも客が劇場の往来で往生したり、最悪劇場に閉じ込められて一緒に一夜を過ごすことになるよりはまし。どちらもかなわないなら(3)もある。状況の変化によっては(3)のつもりが(2)になることもあるかもしれない。でも、どのケースも払戻しは覚悟して準備する。上演決行するなら上演時間はずらさない。あと規模が大きいと強引に来場する客の数も増えて対応もトラブルになる可能性も指数的に増えるので、1000人を越えたら中止に振るべきで、1万人を越えたら中止必須。芝居だと滅多にないけど。

調べた内容ここまで。今後の資料として活用されたら幸い。

あと今回調べてもわからなかった内部事情で気になることもメモ。
・公演中止になった場合、保険を掛けていたら下りるのか。契約によって人災オプションとか天災オプションとかがあって、天災オプションを付けていた場合のみ保険が支払われるようになっているのか。
・千秋楽で帰れなくなりそうな場合、あるいは帰れなくなった場合、バラシは明日で追加費用も請求しないから早く帰ろう、と劇場で事情を汲んでくれるのか。劇場スタッフだって帰りたいだろうから、翌日の劇場利用予定が空いていて、上演側の都合もつくようならそんな提案もできそうだけど、どうだったか。
・劇場内の夜公演がなかったとはいえ、大道芸を中止して、夜7時に閉館することを決定した東京芸術劇場の判断と手際のよさが目立つ。副館長の関与が推測されて気になる。この決定にいたる経緯と、あるなら普段のシミュレーションについても、参考事例としてぜひ公開してほしい。

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2018年9月18日 (火)

当日パンフとチラシ束を合体させてほしくない人の意見

感想に書こうと思ったけど止めていたら、fringeで取上げられていたので一言。野田地図の当日パンフがチラシの冊子と一緒になっていた、ということについて、嫌だという話です。

表裏表紙を入れて20ページ。発行編集が野田地図の当日パンフなのに、野田地図は4ページだけ(表裏表紙とめくった見開き)。後はチラシだけど、そのうち東京芸術劇場関係が8ページ(企画でクレジットの「父」、主催でクレジットの「ゲゲゲの先生」「書を捨てよ町へ出よう」「間」の4ページ、それに東京芸術祭2018が見開き2ページ、あと「芸術監督のだ秀樹のもと、道場に集え!」という東京芸術劇場名義の野田秀樹オーディション、ワークショップの見開き2ページ)。普通のチラシは8ページだけ(シネマ歌舞伎として「野田版桜の森の満開の下」が載っているのは松竹判断として普通扱い)。芸術監督を務める劇場の噛んだ宣伝をメインで載せて当日パンフの費用を賄うのはどうなのよ。

まあそれは正直いいんだ。微々たる金額だろうからそこの公私混同は目をつぶっても構わない。そもそも東京公演は共催扱いだし。

嫌なのは、自分は記念に観た芝居の本チラシ、当日パンフ、チケットの3点セットを可能な限り保管しているんだけど、全篇その芝居の冊子ならともかく、関係ない芝居の宣伝チラシまで保管したくないんだ。かといってホチキス外して中途半端な形で保管するのも困る。そもそもクレジットの見開き2ページの裏に普通のチラシページが来るようになっている(今回だとKAATの「出口なし」)。

これを今後の手段として使うなら、ホチキスを使わず、野田地図の情報だけが1枚の紙にまとまるような形にしてほしい。一番外側の紙か、一番中の紙が野田地図の情報になっていて、他がチラシの冊子。

それじゃこれまでの当日パンフと何が違うのかというと、実質何も違わない。つまり当日パンフとチラシ束を分けたままにしてほしい。

という話。

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2018年8月29日 (水)

公演中止と公演延期と公演強行の記録

降ればどしゃ降りというか、同じような時期に3つも揃うのも珍しい。あまり野次馬する元気がないので記録メインで。

まずは公演中止の話。the pillow talkという早稲田出身の旗揚げ3年目という絵に描いたような小劇場劇団。公式サイトは実にあっさりしたもので、

9月に予定しておりました、こまばアゴラ劇場での上演を中止する運びとなりましたことをご報告申し上げます。
楽しみにしてくださった皆様、大変申し訳ございません。

さっぱり事情がわからないのは劇場サイトも同様だけど、ちょっとだけ想像力を刺激する。

9月上旬に公演を予定していたthe pillow talkの『我が闘争。気軽に、(仮)』の上演中止が決まりました。

上演を楽しみにしてくださっていた皆様、特に支援会員の皆様には、たいへん申し訳なく、劇場の芸術総監督としてお詫び申し上げます。

こまばアゴラ劇場としては、最後まで公演を実現すべく支援をして参りましたが、諸事情により中止のやむなきに至ったとのことです。本公演は、劇場の主催公演ではありませんので、これ以上の関与は難しいと考え、その判断を受け入れることにいたしました。

劇場は支援したけど劇団は中止と判断したと。一般的には資金繰り、人間関係、怪我や病気による続行不能、作品の魅力不足からくるごたごた、あたりが思いつくけどどうなんだろう。あとは災害の多い夏だったから、主要関係者がそちらの復旧にかかりきりになった、なんてこともあるかもしれない。

次は青年団から独立しつつ、まだ演出部に所属する田川啓介の水素74%。これは公式サイトで台本遅れと明言している。

2018年8月9日~13日に下北沢駅前劇場で予定しておりました水素74%「ロマン」につきまして、東京公演の上演中止を決定いたしました。
台本完成の遅れに伴い、稽古時間が十分に取れず、皆様にお見せすることが難しいと判断したためです。
このような事態を引き起こしてしまい誠に申し訳ありません。 俳優、スタッフ、その他関係者の落ち度はなにもありません。全て主宰・田川啓介の責任でございます。 改めて出演者及び関係者の皆様にお詫び申し上げます。

平田オリザからも平手打ちが飛んで裏付けは取れています。

また、青年団演出部の田川啓介が主宰する水素74%が、駅前劇場で予定していた公演を中止しました。こちらも独立した団体ですが、田川はこれまでも執筆が遅く、再三にわたって注意をしてきたにもかかわらず、上演を遂行できなかったことは同じ劇団員として情けない思いです。
(中略)
なお、田川と協議し、今回の混乱の責任をとって、以下のような措置を行うことになりました。

・田川啓介ならびに水素74%は、当面活動を停止し謹慎する。
・田川啓介は9月の上演終了時点で青年団を退団する。

明快。ところでこの芝居は東京の後に三重公演も予定されていて、そちらには間に合って、一部キャストの交代はあったけど上演された。そこに先ほどの公演中止が重なる。再び平田オリザ。

 また、すでにこまばアゴラ劇場のHPでは公表しておりますが、アゴラ劇場のラインナップに入っていたthe pillow talkの『我が闘争。気軽に、(仮)』の上演中止も決定しました。HPにも書きましたが、プログラム選定に責任を負う芸術総監督として、支援会員の皆様をはじめ多くの方々にご迷惑をおかけしたことをお詫び申し上げます。

 さて、上記、二つの上演中止の案件を受け関係者と協議を行い、水素74%が本来、駅前劇場で行う予定だった新作『ロマン』を9月上旬にこまばアゴラ劇場で上演することとなりました。
 一つの劇場をキャンセルし、その一ヶ月後に近隣の劇場で上演を行うのは非常識な行為ですが、駅前劇場様からもご理解をいただき公演を実施する運びとなりました。
(中略)
異例の措置かとは思いますが、俳優たちにとっても、やはり公演はやれるならやるに越したことはなく、どうか関係各位にはご理解をいただければと存じます。

そもそもこんなにタイミングよく公演中止が発生することもないのであまり聞かない措置ですが、融通の利くご近所の民間劇場主同士、話をつけたんでしょう。平田オリザがどんな風に駅前劇場にご理解をいただいたのかに興味はありますが、それは表に出てくる話ではない。公演を延期して上演できた話。

個人的には、劇団☆新感線が「髑髏城の七人」を初演したときの話、ぎりぎりすぎてラスト場面の稽古を何もできないで初日を開いたら、ラストになって「おい、どうすんだよ」と訊かれた古田新太が「いいから後ろを向け」とみんな後ろを向いてラストに収めた話を思い出す。まるで間に合わない場合に適当なところで切りをよくしてとりあえずアウトプットを出す、というのは社会人のスキルとしてぜひ身に付けたい。

最後は公演強行した(劇)ヤリナゲという6年目の劇団。こちらも脚本演出家が原因だけど理由は病気で、そこを資料で構成して作ったとのこと。これは公式サイトにも劇場サイトにもほぼ同じ内容が連名で載っている。ちなみに公式サイトは8月19日の日付。

このたび、越寛生は病気のため、演出を担うことができなくなりました。
そのため、本作品は、構成・演出:(劇)ヤリナゲとして上演を致します。

なお、今回の越の不在による構成・演出の変更を受けまして、相談のうえ、國吉咲貴さん、三澤さきさんは出演を辞退されることになりました。
本公演は國吉さん、三澤さんの代役は立てずに13人で上演致します。
今回の國吉さん、三澤さんの決断は、作品へ向き合う誠実な姿勢であり、お二人に非のある行動ではありません。

越寛生演出による『みのほど』を心待ちにしてくださった皆様、また國吉さん・三澤さんの出演を楽しみにしてくださった皆様には深くお詫び申し上げます。誠に申し訳ありません。

今回の、演出の変更、および國吉咲貴さん、三澤さきさんのご出演取り止めに関しまして、本日より、すべてのご購入者様、予約者様におきまして、お預かりしているメールやお電話に、ご連絡を差し上げます。払い戻しや、ご予約の取り消しに関しましてのご相談は、その際にお伝えいただけましたら幸いです。何卒よろしくお願い申し上げます。

(劇)ヤリナゲ
公益財団法人三鷹市スポーツと文化財団

劇場サイトだともう少しだけ詳しいのと、最後の部分が少し変わっている。

<お客様へ>

(劇)ヤリナゲ『みのほど』は昨日、8月24日(金)に幕を開けました。
8月18日(土)の発表のとおり、越寛生さんは病気で演出を担うことができなくなったため、本作品は、構成・演出:(劇)ヤリナゲとして上演をしております。今回の『みのほど』は、越さんの執筆時の構想、集めた資料、また過去の越さんの短編作品を中心に、構成し創作した作品です。

なお、上記のような構成に変更されたことと、越さんの不在により、相談のうえ、國吉咲貴さん、三澤さきさんは出演を辞退されることになりました。本公演は國吉さん、三澤さんの代役は立てずに13人で上演しております。
今回の國吉咲貴さん、三澤さきさんの決断は、作品や創作へ向き合う誠実な姿勢であり、お二人に非のある行動ではありません。

越寛生演出による新作本公演『みのほど』を心待ちにしてくださった皆様、また國吉さん・三澤さんの出演を楽しみにしてくださった皆様には深くお詫び申し上げます。誠に申し訳ありません。

公演は9/2(日)まで続きます。出演者・スタッフ一同、誠心誠意最後まで創作を続けてまいります。
より多くのお客様に現在の(劇)ヤリナゲの作品をご覧いただけますと幸いです。ぜひ劇場に足をお運びくださいませ。

2018年8月25日
公益財団法人三鷹市スポーツと文化財団
(劇)ヤリナゲ

連名の順番も違っているので、少しでも多くの客に来てもらえるようにと劇場側が工夫した跡が見て取れる。初日は8月24日なので、どうにかこうにか開演に漕ぎつけたから、じゃあ次は宣伝、と劇場側が積極的に協力してくれている模様。そもそもがMITAKA Next Selectionの1本だから、劇場の関係者が推薦して、声をかけて、上演してもらう運びになっているはず。それが体調不良で中止になったら推薦した側の立場もなくなるという事情もある。だとしても劇場側の協力体制は見逃せない。こまばアゴラ劇場が支援しても公演中止に至ったという話があるのでなおさら。

世間で有名な話だと井上ひさしが台本が間に合わずに初日遅れどころか公演中止にしたことがあって、後で「公演に間に合わせるためにつまらない芝居を書くとお客さんが離れていってしまうので、台本が駄目なら公演中止のほうがいい」なんてどこかに書いていたけど、あれは井上ひさしの実力と実績と台本が遅いことがネタになるほど知られていたという背景があってこそのギャンブルで、普通は公演中止のほうが信頼は落ちる。だから今回、過去の公演の再演でもなく、いっそ有名で著作権フリーな古典で「ロミオとジュリエット」とかやるでもなく、新作の体裁を整えてきたのは見上げた根性。

でも、初日が8月24日で、病気ダウン発表が8月19日で、別の演出家を立てた台本上演でなく構成創作したということは、それよりだいぶ前の段階から病気が長引いて台本はあがってこない稽古もできない状態が続いていたのではないかと想像する。台本が遅れても本人がいればエチュードその他でネタを作ることもできただろうし。であればもう少し早い時点で代案を用意しておくことはできなかったものか。芝居の台本を1本書くのに3日ということもないだろうから、今後は初日3週間前くらいで対策に動けるように劇団の制作体制を整えておくのがよいのではないか。

仕事にトラブルはつきものなので、期せずしてトラブルに巻込まれた関係者各位は、ある人は一段成長したり、あるひとは日ごろ見せない思わぬ腕をふるって見直されたり、きっといいことがあるはず。とか自分で観る予定のなかった芝居ならいくらでも優しく野次馬でいられる。自分がチケットを買っていて中止とか言われたら「うおおおおおおーいっ」って叫ぶ。

ここまでですでにお腹いっぱいなので、平田オリザのブログには無隣館三期生が家宅侵入の疑いで逮捕されたなんて話まで載っているけど、そこまでは追いません。

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2018年9月10月のメモ

ここで観ておかないと、という芝居が満載なので困る。細かい芝居を見落としている気がするので後で見直して更新。

・野田地図「贋作 桜の森の満開の下」2018/09-01-09/12、11/03-11/25@東京芸術劇場プレイハウス:いきなり本命の1本は「これなら2割安く東京芸術劇場で上演してもらったほうがよい」と書いた通りの公演だけど罰があたってチケットが取れていない

・松竹製作「河内山」「俊寛」2018/09/02-09/26@歌舞伎座:昼の最後が河内山、夜の中が俊寛で、有名な芝居を観ておきたいのと、吉右衛門を本場で一度観ておきたいというミーハー気分による

・俳優座劇場プロデュース「十二人の怒れる男たち」2018/09/07-09/09@俳優座劇場:ちょこちょこ再演してくれるのだけど期間が短い

・ぱぷりか「きっぽ」2018/09/07-09/17@三鷹市芸術文化センター星のホール:MITAKA Next Selectionが始まっているのを見落としていた

・グループる・ばる「蜜柑とユウウツ」2018/09/13-09/23@東京芸術劇場シアターイースト:評判だった芝居の再演で解散、脚本は長田育恵で演出はマキノノゾミ

・小田尚稔の演劇「聖地巡礼」2018/09/14-09/17@RAFT:さいきん気になっているのでピックアップ

・遊園地再生事業団「14歳の国」2018/09/14-10/01@早稲田小劇場どらま館:名前だけ知っている芝居だけど気になるのでピックアップ

・オフィスコットーネセレクション「US/THEM」「踊るよ鳥ト少し短く」2018/09/20-09/27@小劇場B1:海外脚本の日本初演と、ノゾエ征爾の再演ものと、2人芝居の同時上演企画

・KAAT神奈川芸術劇場プロデュース「華氏451度」2018/09/28-10/14@神奈川芸術劇場ホール:焚書から始まるディストピア小説を、翻訳でなく脚本化から長塚圭史でいいのかな、演出は白井晃

・ゴールド・アーツ・クラブ「病は気から」2018/09/29-10/08@彩の国さいたま芸術劇場大ホール:数百人で上演という何がどうなるのか想像がつかない企画

・株式会社パルコ企画製作「ライオンのあとで」2018/09/29-10/15@EXシアター六本木:黒柳徹子のコメディシリーズのとりあえずの最終回

・国立劇場主催「平家女護島」2018/10/01-10/25@国立劇場大劇場:9月の歌舞伎座の俊寛を観ておくと、ここで通し狂言と観比べることができる

・松竹製作「助六曲輪初花桜」2018/10/01-10/25@歌舞伎座:よく言われる助六というのがこれらしく、仁左衛門で観られるものならここで押さえたい

・新国立劇場主催「誤解」2018/10/04-10/21@新国立劇場小劇場:新芸術監督が就任しての第一作はカミュの翻訳を、文学座の稲葉賀恵演出で

・地人会新社「金魚鉢のなかの少女」2018/10/06-10/14@赤坂RED/THEATER:海外翻訳脚本だけど、気になるキャスティングなのでピックアップ

・東京芸術劇場主催「ゲゲゲの先生へ」2018/10/08-10/21@東京芸術劇場プレイハウス:イキウメ本公演の代わりに気になるゲストを迎えて、前川友大が水木しげるの世界を描く

・パラドックス定数「蛇と天秤」2018/10/10-10/15@シアター風姿花伝:一挙公演の第5弾で、ここまで1本目、3本目、4本目を観ているので期待したい

・青年団「ソウル市民」「ソウル市民1919」2018/10/14-11/11@こまばアゴラ劇場:何度も再演されていて、そろそろ観ておきたい

・こまつ座公演「母と暮せば」2018/10/05-10/21@紀伊國屋ホール:構想だけで映画製作された話を畑澤聖悟脚本で舞台化して栗山民也演出、「父と暮らせば」がいまいちだったけどこれはどうか

・かわいいコンビニ店員飯田さん「手の平」2018/10/19-10/28@三鷹市芸術文化センター星のホール:MITAKA Next Selectionの3本目だけど、設定が上手そうなのでピックアップ

・KERA・MAP「修道女たち」2018/10/20-11/15@下北沢本多劇場:女優演出の上手いKERAが女優だらけの新作なので期待度高し

・文学座公演「女の一生」2018/10/23-10/28@紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA:名前は有名な演目を鵜山仁演出で

他に「出口なし」が9/24まで新国立劇場小劇場で。

<2018年9月24日(月)追記>

2本追加。

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2018年6月26日 (火)

2018年7月8月のメモ

DULL-COLORED POPと阿佐ヶ谷スパイダースは劇団再始動。パラドックス定数は劇場提携1年7本公演のうちの2本を連続上演で、ハイバイは2本並行上演で片方は演出家も出演。忙しい人たちが大勢いる。

・ナイロン100℃「睾丸」2018/07/06-07/29@東京芸術劇場シアターウエスト:客演陣の期待感がたまらない新作はいつもよりだいぶ狭い会場で

・マームとジプシー「BOAT」2018/07/16-07/26@東京芸術劇場プレイハウス:これは以前観た他の作家とのコラボレーションのようなスタイルではなく、自分で書く新作

・ホリプロ企画制作「レインマン」2018/07/20-08/04@新国立劇場中劇場:橋爪功と椎名桔平版を観たときには楽しんだ記憶がある

・DULL-COLORED POP「1961年:夜に昇る太陽」2018/07/21-08/05@こまばアゴラ劇場:福島3部作の第1部先行上演とのこと

・本多劇場プロデュース「志の輔らくご in 下北沢 牡丹灯籠」2018/07/31-08/12@下北沢本多劇場:すでに観たのでたぶん行かないけどメモ

・阿佐ヶ谷スパイダース「MAKOTO」2018/08/09-08/20@吉祥寺シアター、2018/09/07-09/09@神奈川芸術劇場大スタジオ:大勢劇団員を増やして再スタートだけど長塚圭史の確信犯的三振狙いの気配があるので迷う

・松竹製作「盟三五大切」2018/08/09-08/27@歌舞伎座:三部制の第三部に通しでやるのでスケジュールが合えば

・キョードー東京企画招聘「コーラスライン」2018/08/15-08/26@東急シアターオーブ、2018/08/29@神奈川県民ホール大ホール、2018/09/05-09/09@東京国際フォーラムホールC:一度くらいみてもいい気になった

・パラドックス定数「5seconds」2018/08/18-08/21@シアター風姿花伝:2人芝居連続上演の前半は日航機三五〇便が羽田沖に墜落した話だそうです

・ホエイ「スマートコミュニティアンドメンタルヘルスケア」2018/08/18-08/27@こまばアゴラ劇場:粗筋は非常に嫌な話の気配がする再演モノ

・ハイバイ「て」2018/08/18-09/02@東京芸術劇場シアターイースト:並行上演の先行は自分でもすでに2回(1回目2回目)観て鉄板の名作で、今回の母親役は浅野和之

・パラドックス定数「Nf3Nf6」2018/08/23-08/26@シアター風姿花伝:2人芝居連続上演の後半は収容所でチェスをする看守と囚人の話だそうです

・ハイバイ「夫婦」2018/08/23-09/02@東京芸術劇場シアターウェスト:並行上演のもう1本は亡くなった憎い父親を巡る再演のこちらも名作

・シス・カンパニー企画製作「出口なし」2018/08/25-09/24@新国立劇場小劇場:サルトル3人芝居大竹しのぶと多部未華子と段田安則で上演、10月から新国立劇場の芸術監督に就任する小川絵梨子なのにシス・カンパニー製作で演出ってのもまあ以前から決まっていた話なんだろうけど妙な感じ

Bunkamuraはメンテナンスで3ヶ月休館で、PARCO劇場も建設中で、渋谷方面の劇場は休みが多いです。

<2018年7月19日(木)追記>

2本追加。

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2018年6月14日 (木)

芸術は労力よりも結果がすべてである

前のエントリーに続いてこれも紹介されていたので拝見。劇場合同のイベントで審査員を依頼されたら出演団体の作演家からケチを付けられて心が折れたという話(今のところ12の2本)。書かれた内容だけで判断すれば、審査公表ルール変更の周知不徹底のため関係者全員の誰も得しない結果になるという不幸な出来事です。

先に書いておくと前述の心が折れたエントリーより先に公式Facebookでは

やはり、TGRは”お客様の目線で”一番面白い作品を決める祭典であることに立ち返り、専門家でも演劇関係者でもない方が単純に楽しめる作品が大賞に選ばれるべきではないかと考えます。

として審査方針を明確にし、次回の審査員(の一部)を公募することになりました(もう募集は終わり)。なので次回からはもう少し関係者が幸せになれるはずです。ちなみに公開された講評は6人分で、審査員の全員分ではありませんが、すでに掲載されています(123456)。

なので今さら書くこともない、と思いつつ絡むのが野次馬。絡むのは心が折れたと書いた岩﨑真紀の文章中で紹介されていた作演家の言葉です。

結果を目指してとてつもない労力を注いだ作品をあんな稚拙な講評でまとめられては全く報われない。

心が折れた仕返しに悪意を持って要約していないか、と疑うほどひどい言葉です。これが本当に書かれていたとしたら、その作演家に3つ訊いてみたい。

・そもそも誰に向けて上演しているのか。審査員のいるイベントの一環だとしても、観客に向けて上演するものではないのか。それとも観客席に審査員しかいないほど集客力に難があったのか。

・結果と労力は無関係である。世の中のモノやサービスを提供するためにどれだけの労力が費やされているのか想像したことがないのか。それらモノやサービスを普段あなたが選ぶにあたってどれだけ費やされた労力のことを考えて選択結果に反映させているのか。いわんや芸術の分野に於いておや。自分は一観客として、製作者の労力なんて気にしない。世の中たいていのものはそれなりに労力が掛かっているのでそれは判断材料にならない。観た内容で面白いかつまらないか、払ったチケット代に見合っていたかの結果を判断する。

・稚拙な講評というけど、どれだけ立派な文章を期待していたのか。そもそもこの2017年は1ヶ月で参加作品34本、しかも公演期間は短く週末に偏って、全部観られるタイムスケジュールになっているのかも悩むボリューム。仕事があれば1ヶ月に10本観るだけでもへとへとになるのに、そこに懇切丁寧なコメントを期待するならよほど出来がよくないといけない(ついでに書くと一般公募の審査員は20本ほど観ることを期待されているが、これもハードワークで、自分が1ヶ月で20本観たら若い頃ならいざしらず今なら文字通りゲロを吐く)。自分もつたない感想文を書いている身として、公開されている講評6人分どれをとっても、あれだけ書いてあれば十分だと思う。

それで以下の話が出てくることになる。演劇専門で長く批評を書いてきた人ではないかもしれないけど、あれだけの文章が書ける人に

改めて考えてみれば、観客が書く演劇作品の感想など、演劇人にとってはそもそもが余計なお世話に過ぎないのだ。作品について語ることは、演劇人とは関わりのない観客の側の遊び。多くの声に翻弄される中で忘れていたそのことを、私は某劇団のマネジメントに携わる方からの指摘でつい先日、思い出したところだ。

と言わせてしまうことのもったいなさ。それがたとえ正しいとしても、その業界その地域のもったいなさ。

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2018年6月13日 (水)

広田淳一の「全員で動く」資料

紹介されていたので見つけました。書いた本人Dropboxで公開中です。いまだにアマヤドリは観たことがないのですけど、これだけ読むとやっぱり演出家はいろいろなことを考えてしかも言語化、体系化することに長けているのだなと思いました。「前掲の資料はどうぞご自由にご利用ください。複製・印刷などしてもらっても構いません。あ、でも、この資料で勝手に商売しちゃダメヨ! ということで。」だそうです。

以下はスライドのタイトルを引用してみました。資料はもっと丁寧に書いてあって面白いのでぜひ実物をご一読を。

概要 俳優たちが影響を与え合いながら動く
基本の3動作 歩く/止まる/走る
流行を作る1 コンタクト 音を出す
流行を作る2 順番 役割 割る トーク
流行を作る3 アクション
「面」を作る
「面」から「点」へ
「面」を曲げる
「集」と「散」
「列」
「離れたまま同期する」
増減
意味/物語の発生と切断
テーマ/プラットフォーム
応用編 他のゲームとの組合せ
道具を使った「全員で動く」
「全員で動く」への心がけ
ゲームの上級者

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2018年5月10日 (木)

演劇の契約について

蓬莱竜太がオーディションについてツイートしていました。

オーディション終了。勝手に台詞を創作する若者が多い。自分の間を埋めるために、自分の感覚によせるために。相手はやりにくそう。与えられた台詞だけで成立するように書いてる。無くされるより足されるのが嫌だ。いらないから書いてない。まずは与えられたもので成立させるのが演劇の契約だと思うよ。

言われてみればその通りだし、実際どんな感じだったのか気になるけど、何よりも「演劇の契約」って言葉がいいですよね。さすが脚本家。

誰か「演劇の契約」で1本書いてくれないかな。業界あるあるみたいになったりして。

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