世田谷パブリックシアター企画制作「ロボット」シアタートラム
<2024年11月23日(土)夜>
生物を作り出すことを発明した博士とその甥から幾年、とある島では生物的には人間と同じ器官を持ち、ただし感情や痛覚を持たない生き物を作って売っている工場があった。この生物はロボットと呼ばれ、世界中で引っ張りだこであった。この会社の社長令嬢がロボットの人権向上を目指して島に見学に訪れるが、島で働く数少ない人間である工場長に求婚されて島に残る。それから10年、社長令嬢の誕生日、1週間前から島に船がやって来ていなかった。
古典小説らしいですが、役者を信用して脚本演出したなという印象。出だしはさておき、それから10年で話を飛ばすところは字幕か何かを出しそうなものですが、舞台替えだけでそのまま押しました。向こうに大勢のロボットがいる場面で役者の演技が実に揃っていて、腕のある役者が集まっていました。何でもない場面を面白くやって盛上げる渡辺いっけいはさすがで、対照的に突然ネタを挟んでうけを狙ってくる菅原永二は、うん、この日は滑っていました。小劇場的演出の生理としてここでひと笑いほしいというのはわかるのですが、そこはもう少し別のところでやるように演出で整理してほしい。ただし役者全員、テンションを維持していたのはさすがです。話に出ていたレンガを模したであろう板で舞台美術を変えていくところは面白い。
物語はやっぱり古典らしいというか、三幕目に相当するところが蛇足といえば蛇足だし、今となっては終わり方も楽観的すぎる。けど、それも含めて古典じゃないですかね、という感想。「来てけつかるべき新世界」とこの「ロボット」との間を埋めるような芝居が望まれます。それが何というか、人類の未来への希望になるのではないかと。