2017年8月13日 (日)

松竹製作「野田版 桜の森の満開の下」歌舞伎座

<2017年8月11日(金)夜>

古代ヒダの国の王が3人の彫刻職人を呼寄せる。昼しか起きない早寝姫と夜しか起きない夜長姫の2人の姫の成人に祝いに、3年の期限で仏像を彫ってほしいという。ところがそのうち一人は誤って師匠を手をかけた弟子が、もう一人は道中を襲った山賊の頭が成りすましている。互いに様子を見ながら過ごしていると、もう一人の職人は姫と近づきになり、ヒダの国の丑寅に封印されている鬼のことを調べている。

これまでは舞台を江戸に寄せて上演してきたのを、常連スタッフともども遊眠社通りの設定で歌舞伎座に。1等席で見物したところ周辺客席からは「シュール」「難しい」の声しきりで、他の劇場と歌舞伎座との客層の違いを思い知る。衣装は豪華になったものの、言葉遊びから想像を飛ばして客席を巻きこむ野田秀樹の脚本には必ずしもプラスにならず、むしろ鬼の面など具象的な要素が入りこむことで想像の邪魔に。それなりに台詞をこなす役者はさすがも歌舞伎のフォーマットで芝居のテンポが損なわれる点も散見。残念ながらこれなら2割安く東京芸術劇場で上演してもらったほうがよい。

勘九郎はさすがにノリを理解して馴染んでいたが、顔も声も父親そっくりで、これが歌舞伎を見ることかと得心。それ以上に七之助の夜長姫の狂いっぷりが見事。市川猿弥のマナコ思い切りよし。奴隷女の中村芝のぶは少ない出番だけど確実に目を引いて、これだけの役者にこれだけしか役を与えないのだから日本の伝統芸能は残酷。野田秀樹が現代演劇側に引張るべき才能。

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2015年5月17日 (日)

PARCO Production「幕が上がる」Zeppブルーシアター六本木

<2015年5月16日(土)昼>

とある高校の演劇部。地区大会を突破したものの、信頼する顧問が学校を辞めてしまい、動揺する部員たち。体調不良で部活を休む部員もいる中であせる部長が何とか取りまとめるものの、部員の一人が台詞を言えなくなってしまう。その回復を願いつつも試験前の部活禁止期間に突入して稽古はできない。果たして無事に県大会を迎えることができるか。

小説、映画に続いて舞台まで、きっちりと制作側の思惑に乗せられて観劇。アイドルの初舞台だからグダグタになることも想像していたけど、想像の一番上よりもさらに上の出来で仕上げてきた。平田オリザがワークショップを設けたそうだけど、だとしても、もっと広い会場でもっと大勢の観客を相手にパフォーマンスしてきたアイドルをなめてはいけないと一人で反省中。「演技は声派」の自分としては玉井詩織がよかった(腹筋しながら歌うのすごい)。けど周りに見覚えがあって妙に上手いと思ったら、7人中4人を青年団(無燐館経由)で固めていた。それは上手いはずだ。

映画と違って舞台は平田オリザが脚本だけど、観客が小説か映画を見ている前提のようで、いつになく早いテンポの導入部分。けど、やっぱり歌わせないと、という期待に応えてさりげなく歌わせる展開から、そういう繋がりで突っ込むかという舞台オリジナルの話をピークにもっていくところ、さらに最後の展開の飛ばし方は、さすがの手腕。いつもの青年団と違うとしたら音響の使い方で、選曲が映画監督らしかった。そして最後の場面にビジュアル的な美しさを持ってくるところがとても素敵。

客席数が900もある割に、横に長くて舞台までの距離が短いため観やすい劇場にも恵まれて、暴れるようなファンもおらず、好印象の芝居だった。そして普通の芝居ではまず聞いたことがない、終演後の熱烈で切れのいい拍手を聞いて、ああ今目の前にいるのは人気のあるアイドルなのだなと改めて認識した次第。

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2012年6月30日 (土)

俳優座劇場プロデュース「東京原子核クラブ」俳優座劇場

<2012年6月30日(土)昼>

食事が粗末な代わりに家賃も安い、昭和戦前の東京のある下宿屋。理化学研究所に勤める研究者の他に、様々な人たちが下宿している。やがて戦争を開始する世の中に翻弄される下宿人たちを、物理学の研究の発展を中心に描く。

一回観て、もう一回観たくてしょうがなかったんですが、ようやく願いがかないました。ただ前半がやけに大味で、思い出補正を考慮しても劣化した感が拭えなかったんですが、休憩を挟んで後半になったら見違えるようによくなるという、今まであまり観たことのない仕上がりでした。前半と後半で別の人が演出したような。

でも雨の晩に下宿に西田教授が人を訪ねてくる場面からラストまでの、あの流れはやはりたまらないものがありました。ぐっとくるとはこういう事だ。満足しました。

私が前回観たのは俳優座劇場初演の2006年版で、そのときと役者はほとんど変わっていませんが、印象はだいぶ変わりました。今回は実験屋の田中美央と、海軍軍人の渡辺聡がとてもよかった。

満足したので感想はここまで。俳優座劇場プロデュースは今回(この後ツアー)で最後らしいので、宮田慶子演出版に代わって今度はマキノノゾミ演出版で別キャストでも観てみたい。ほんといい脚本です。

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2010年9月 6日 (月)

サンライズプロモーション東京製作「イリアス」ル・テアトル銀座

<2010年9月5日(日)昼>

古代ギリシャがトロイアの国と10年戦争を戦っていた末期。ギリシャ軍随一の勇将アキレウスは、総大将アガメムノンとの確執が原因で戦線を放棄する。その間にトロイアに総攻撃を仕掛けたギリシャ軍だが、トロイアの王子ヘクトルの活躍の前に、逆に攻め込まれ、追込まれる。

ギリシャ悲劇(正確には詩に分類されるらしい)は粗筋を書くとそれだけで全紹介になってしまうのが悩ましい。有名な話なので知りたい人はWikipediaをどうぞ。自分は一度くらい観ておきたいという好奇心と、抜群の役者陣に惹かれて観劇。面白くてためになったし生演奏もよかったけど、時間と値段には見合わなかったな。

内野聖陽のアキレウスがすげー見栄えがよくて格好よかった。一度通路を通るときに間近で観たけど、迫力あります。池内博之のヘクトルと合わせて、絵になってます。でも、木場勝己とか平幹二朗にももっと暴れてほしかったし、馬渕英俚可と新妻聖子ももっと観たかった。終わってみればたったこれだけの人数であれだけ壮大な芝居を仕上げたのかと思うけど、そのなかでもさらに出番に差がつくからギリシャ悲劇で豪華すぎるキャスティングはもったいないのかも。

あと、劇場が悪い。これがシアターコクーンだったら、たぶんもっと好意的な感想になったと思う。ル・テアトル銀座は客席最後列までが遠すぎるし、歴史物の芝居に向いていない。経済事情とかいろいろあると思うけど、芝居に対する劇場の向き不向きには関係者はもっと敏感になってほしい。

シアターコクーンにするか、ル・テアトル銀座のままで8000円くらいだとよかったんだけどな。でも有名なギリシャ悲劇を観られて気分は豊かになったのでよしとする。

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2009年12月22日 (火)

松竹制作「十二月大歌舞伎 夜の部」歌舞伎座

<2009年12月19日(土)夜>

野田版鼠小僧。あと2つ。

酔っているのでこんなもんで失礼。

やっぱり野田版鼠小僧のスピード感、テンポのよさは素晴らしい。初演から特に演出は変わっていないけど(他の役者をネタにした台詞はたくさん増えていた)、再演に耐えうる名作です。再演でリラックスした勘三郎、軟派から悪役まで幅広く見せる三津五郎、短めの見せ場もきっちりこなす七之助など、役者も見ごたえ十分。このテンポのよさを支える野田芝居常連のスタッフも素晴らしい。

何度も書くけど、何でこのテンポと台詞回しが歌舞伎の標準にならないんだろう。これに比べると、一幕目の引窓なんてかったるくて観ていられないし、第一何を言っているのかわからない。外国人向けにはいざ知らず、日本人向けにイヤホンガイドが必要な芝居なんてそれだけで失格だ。伝統芸能づらしているんじゃないよ。このペースで芝居ができないならそんな役者は引退しちまえ。

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2009年4月26日 (日)

松竹製作「赤い城 黒い砂」日生劇場

<2009年4月25日(土)昼>

長年に渡って争いを繰返す赤い国と黒い国。赤い国の王女と戦場で対決した黒い国の戦士2人だが、敗れて捕虜となる。その争い以降、新しい兵器を導入して黒い国を圧倒した赤い国の王族に近づくひとりの男があった。

どこまでがシェイクスピアでどこまでが翻案なのかわかりませんが、ところどころの展開でシェイクスピアっぽさを感じさせなくもない脚本。役者の力不足がもったいない一本。

有名でない話でも伝わりやすいのは衣装の分かりやすさのお手柄。新感線に慣れて地味な殺陣に耐えられない自分でも楽しめる殺陣になっていたのは生パーカッションのおかげで、あれは良い発案なのでぜひ他でも真似して欲しい。

だけど役者が今ひとつ。片岡愛之助の戦士と黒木メイサの王女が結構大きな割合を占めるのですが、前者は格好よさとか野心などのシェイクスピア芝居に欠かせない要素が足りず、後者は華があっても演技が安定せず殺陣がいまいちなのも「あずみ」で観て以来かわらず。もう一方の主人公である中村獅童は遊びがすぎるしリズムが悪い。せめて誰か一人は実力十分の役者を混ぜればよかったのに。

その分脇で頑張っていたのは女王の姉である馬渕英俚可で、喜怒哀楽から意地悪まで、ひとつの出番の間に何度も切換えてしかもやり過ぎない演技で、正直出番を一番期待しました。あとは王の中山仁とか商人の中嶋しゅうもよいですね。2回目のカーテンコールにこの人たちが出てこなかったのは不満です。獅童と愛之助は引っ込んでいなさい。

一般小劇場の芝居に比べればずい分派手ではあったのですが、それでも新感線だったらどうだったかな、と想像しながら観てしまいました。

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2008年12月13日 (土)

俳優座劇場プロデュース「空(ソラ)の定義」俳優座劇場

<2008年12月12日(金)夜>

喫茶店を経営する父と、医者の娘。母は娘が2歳の時にいなくなった。娘は念願の留学が実現しそうだが、ちょうど妊娠し、同じく医者の夫と意見が食い違っている。というタイミングでいろいろな出来事が重なったある日の話。

青木豪脚本。表テーマに結婚の話を用意して、裏テーマに60年安保の政治活動を見せる。やや御都合な出来事を織交ぜつつ、かついかにも青木豪と言えなくもないけど、そこは上手に展開させつつ鋭い台詞をさらっと混ぜて、とてもよいお話。佳作です。

結婚生活に関する近頃の話と安保がつながるのかと思うんですけど、きれいにつながっていました。展開としてもそうなんですけど、メッセージというか、時間のつながりというか、それがとても腑に落ちた。いかにも安保な台詞もでてきますけど、それが本来のメッセージを引立てるスパイスだということがよくわかる。

並居るベテランを従えて松永玲子が主演だったけど、鮮やかに切替わる感情、目まぐるしく変わる表情、絶妙の声のトーン、一人勝ちになってもおかしくない素晴らしい仕上がりでした。同じ土俵に乗らずに自分の役を通した名取幸政や中嶋しゅうで、バランスが取れていました。普段だと縁の遠いベテラン俳優をこういうよい芝居で観られて幸せです。

それにしても結婚の話、この前の三谷幸喜もそうだったし、今度のKERA・MAPもそうだし、世の中そんなに結婚生活がやばいのか。世の中の変化に人間が追いついていないのか。

チケット半額デーだけでもありがたいのに、いい席が取れたので表情までじっくり堪能できて満足です。ひとつだけわからなかったのは客席の反応で、ここで笑うかという場面でも笑い声が聞こえたりして、なんというか、新鮮な客層でした。

あと、俳優座劇場の素っ気ない公演紹介ページはあんまりでしょう。改良を求む。

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2008年8月11日 (月)

松竹製作「八月納涼大歌舞伎 第三部 野田版愛陀姫」歌舞伎座

<2008年8月10日(日)夜>

戦国時代の美濃の国。領主齋藤道三の娘である濃姫は武将の木村駄目助座衛門に思いを寄せ、駄目助座衛門は濃姫の侍女であり隣国尾張出身の愛陀と相思の仲であるが、それは二人とも濃姫には内緒である。美濃が尾張から攻込まれて軍の総大将を決める必要が出た日、祈祷師にお告げを伺って決めようとする道三の性格を利用して駄目助座衛門を総大将に任命させるべく、濃姫は城下で評判の、しかし詐欺師の祈祷師と組んで、駄目助座衛門を総大将に就けることに成功する。戦には勝ったが、捕虜として捕らえられたのは愛陀の父にして尾張の領主である織田信秀。しかも愛陀と駄目助座衛門との想いが濃姫の知るところとなり・・・。

オペラの「アイーダ」が原作だそうですが、そちらは名前しか知りませんのでどの程度原作に忠実かはわからず。一部の名前をふざけているにも関わらず、堂々たる愛の物語を、戦国時代を舞台に違和感なく上演しています。歌はなくても十分面白い話で、史実の取入れ具合も含めて、よくできています。これを1時間20分で終わらせるというのだから、野田秀樹の演出のスピーディーさがわかります(第三部前半の「紅葉狩」は1時間5分しかなかったことが信じられないくらい遅く感じたのに)。

言葉遊びや節目の独白や最後のちょっといい長台詞(笑)は野田秀樹らしい脚本。派手な動きは映像(今回は映像も使ったんですよ)にまかせて、台詞回しも極力普通っぽいまま、いかに役者に物語と演技に集中してもらうかに力点を置いた演出ですが、それが役者の実力を引出すのに功を奏しています。

七之助の愛陀姫なんて本当の女性みたいでした。詐欺祈祷師の2人の、前半と後半の差もよかったですね。他もよかったのですけど、勘三郎だけちとキャスティングがきつかったかも(苦笑)。まあ、今までは勘三郎が主役だったから、今回は他の人の見せ場もたくさんあってよかったのではないかと。

場面転換の多い美術はがんばっていましたが、途中で壁が倒れそうになるアクシデントが何度もあり、ちともったいなかったです。最後の場面の小道具?のアイディア(観てのお楽しみ)はシンプルだけどよかったですね。

ま、時間に余裕があれば観ておいて損はありません。ということで自分は観てしまったので心を広くもって(笑)、当日券情報を。

  • 前売は売切れていても、1階席(上手桟敷席前の通路 + 通路上手側の約15枚くらい:一等席と同額)と2階席(一番後ろの24枚だったかな?:6000円)に補助席の第三部通しの当日券があります。幕見で並ぶのが面倒で余裕のある人はどうぞ。これは朝から売っているので勘違いで買い逃しのないように。
  • 前半の紅葉狩も含めて花道をほとんど使わないので、距離と頭上の圧迫感が気にならない人なら2階補助席でも十分です(ちなみに今回はそこで観ました)。
  • 17時半ごろで、幕見にはざっと60人くらいが並んでいました。日によってはもっと増えると思います。2日目からそれなりに仕上がっていますので、リピーターや様子見していた人の参戦による混雑が予想される後半より、前半でさっさと観たほうがいいかと。
  • 当日券の残り具合を、電話で問合せれば教えてくれます(ちゃんとHPに書いてあります)。全部自前でチケット販売している松竹ならではのサービスですね。便利です。

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2008年4月30日 (水)

東宝製作「ラ・マンチャの男」帝国劇場

<2008年4月29日(火)夜>

宗教裁判が横行する16世紀のスペイン。教会を侮辱した容疑で投獄された詩人のセルバンテスとその従者。牢名主に品定めの牢内裁判を開かれたセルバンテスは、自分の抗弁の代わりに即興劇「ラ・マンチャの男」を、囚人たちも巻きこんで上演する。年老いてなお読書が過ぎたため、ついには自分を騎士ドン・キホーテと思い込み旅を続ける男と従者の運命や如何に。

これも名前は聞いたことがあっても詳細は全く知らない芝居。ドン・キホーテは劇中劇だったことを初めて知った。見所が点在して途中は眠たくなったけど、最後は泣きそうになった。いい脚本です。ただし公式ページのストーリー解説は詳しすぎるので事前には見ないほうが無難。

朗々としゃべるけど音(おん)を重視しすぎて不自然な松本幸四郎は、正直いまいちでした。本編?である牢獄内の場面や、風車に向かう有名な場面などをあっさり終わらせすぎて、演出の強弱も不満。

その分を補って余りあるくらい松たか子がとてもよい出来で、あばずれ女と呼ぶほどではないのですが、強気で正直な女がはまっておりました。喧嘩の場面もきれいな立回りで、新感線の「メタル・マクベス」以来のできです。松たか子は暗い要素のある役だと魅力が出てくるようです。

夢は稔り難く
敵は数多なりとも
胸に悲しみを秘めて
我は勇みて行かん

よい歌詞です。それだけに「仕上がりがもったいない」という感想になってしまいます。2階席だったのですが、劇場が広すぎたのも物足りなさを助長していました。松尾スズキの演出、主演で、松たか子が大人計画に客演して、シアターコクーンで上演したらさぞかし面白いと思うのですが。

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2007年12月15日 (土)

東宝製作「恐れを知らぬ川上音二郎一座」シアタークリエ

<2007年12月11日(火)夜>

紆余曲折を経て役者になり一座を旗揚した川上音二郎。日本で興行を失敗して一座が解散となった彼は、新しい座員を募集してアメリカ公演を強行する。最初に公演を行なったサンフランシスコでこそ人気を博したが、売上を持逃げされてから苦難の連続。ようやくボストンで劇場を確保したが、今度は座員がストライキを起こす。起死回生の策として隣の劇場で人気の「ベニスの商人」を、ストライキに加わらなかった座員と、役者の素人だけで上演しようとする。

派手なキャスティングと万全のスタッフで臨んだシアタークリエの柿落とし。でも結果は、面白いけど値段に見合わない仕上がりとなりました。

何しろ実力派の揃った舞台なので、三谷幸喜は全員に見せ場を作るのですが、それがかえって冗長になってしまいます。

脇が達者なのは三谷作品の特徴ですが、今回も戸田恵子、今井朋彦、堺雅人は舞台を締めます。さらに飛び道具を最大限活用した瀬戸カトリーヌと堀内敬子には笑わせていただきました。残念だったのは主役の3人で、ユースケ・サンタマリアは上手いけれど地味で疲れ気味、常盤貴子は残念ながら下手、堺正章は上手いけれど声が枯れていてしかも一人だけ遅いリズムでの演技でした。

それにしても柿落としに合わせてそれにふさわしい、劇場を舞台にした作品を出してくるところは、三谷幸喜の制作面でのサービス精神は抜群であります。劇中劇やその練習の場面が特にいいです。

役者のファンならお勧め、そうでなければお金と時間次第、といったところでしょうか。

最後に新劇場のメモを2つ。一つ目は当日券。キャンセル待ちで30枚ほど出ていたが、最後の数名はおそらく買えていない。電話予約はぴあだが、購入時に身分証明証の提示が必要。窓口は2箇所で捌くも、チケット予約はコンピュータで順番に処理するので結局は並ぶ。2つ目は劇場。客席はまったく新しさを感じ「させない」シンプルな設計だが見易さは後ろの席でも容易。パルコ劇場を横に広げたイメージ。収容人数の割にロビーが狭い。廊下に段差が多数あったり、ボックス席の一部は客席を横切らないとたどり着けない。客席にスペースを割いてロビーや廊下を犠牲にした模様。その代わり休憩時間中なら客席内で飲食可能(ロビーにいたスタッフに確認)。

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